モンスターを捕まえるだけの簡単なお仕事です   作:いろいろ

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《捕獲クエスト》
毒怪竜を捕まえて

《依頼主》
不健康そうな研究員

《依頼内容》
最近、世界中で不思議な生き物たちが目撃されているわ。既存の生態系とは全く異なるらしいのだけど、コーラップスと何か関係があるのかしら?ちょっと気になるから、捕まえてきてくれない?報酬は弾むわよ


叛逆小隊
ギギネブラ


「……いるわね」

 

「……いますね、どうしますかAK-12?」

 

「どうもこうも、やるしかないでしょ」

 

 

そう言って、私とANー94は慎重に動き始めた。物陰からそぉっと観察しつつ、気取られないように廃墟を進む。事前に得た情報では、今こっちを向いているのは尻尾のはずだけど……大丈夫よね?

 

 

「うぅ、何度見ても気持ち悪い……」

 

「我慢してANー94、急いで仕掛けるわよ」

 

 

十分な広さがあるところまで来ると、背負っていたバッグから機材を取り出し、手際よく地面に設置する。といっても、この罠を使うのは今回が初めてだ。対戦車用の電磁トラップを改造したものだけど、あの化け物にどれほどの効果があるかは不明だ。

 

 

「AK-12、こっちはできたよ」

 

「こっちもよ。さて、じゃあお客さんを呼びに行きましょうか」

 

 

罠のスイッチを入れ、私とANー94は武器を構えて『ヤツ』の方へ向かう。距離を離しているとはいえ、あの巨体ならすぐに詰められる距離だ。慎重に慎重を重ね、物陰まで来て一度息を整える。

この壁の向こうに、『ヤツ』がいる。今まで鉄血とも軍とも、そしてE.L.I.Dとも対峙してきた私でも、緊張を隠せない。

 

 

「…………行くわよ、ANー94」

 

「……了解」

 

「「………………!!!」」

 

 

タイミングを合わせ、物陰から飛び出して引き金を引……くことはなかった。

 

 

「っ!?いない……?」

 

「ど、どこに!?」

 

「落ち着いて、あの大きさなら隠れる場所は限られるわ」

 

 

ANー94と背中合わせになり、周囲を警戒する。罠にかけやすいと思って夜を待ったけど、それが裏目に出てしまったようね。

周囲は闇、そして死角だらけの廃墟。人形の目で補正しても、見える範囲はそう広くない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ピチョンッ

「「…………………」」

 

 

不意の水音に、私たちはサッと銃を向ける。私たちのいるところから1メートルもない場所で、地面が濡れていた。

この地区は、ここ数日雨が降っていない。いかにも雨漏りしそうなほどボロボロの天井であっても、雨が降らなければ雨漏りもない。

 

私たちは恐る恐る、天井を見上げた。

 

 

『グルルルル……』

 

「「……………」」

 

『ーーーーーーーーーーッ!!!!!』

 

「「で、出たぁああああああ!!!!!」」

 

 

見上げた先に、それはいた。

白っぽいブヨブヨとした皮膚。そこからのびた前足には翼があり、前後の脚とも吸盤のような指をしている。頭と尻尾はほとんど同じ形状で、目と思しき部分が紫色に光っている。そして口の形状やその見た目から、まるでヒルのような無気味さがある。

はっきりいって『キモい』の一言に尽きるこいつが今回のターゲット、毒怪竜ギギネブラだ。

 

 

「っ!ANー94、撃って!」

 

「!り、了解!」

 

 

見つかってしまったものは仕方がない。多少予定は狂ったけど、罠におびき寄せることに変わりはないわ。見た目通り無気味な挙動に注意しつつ、二人がかりで撃ち続ける。

 

 

『ーーーー!!』

 

「来るわ!避けてっ!」

 

 

天井で一瞬身を屈めるような動作の後、ギギネブラはまるで押しつぶすかのように飛びかかってきた。落ちる、というよりも滑空に近いことから、もしかしたらこいつは飛べるのかも知れない。

 

 

「(そうなったら最悪ね)……ANー94、こっちよ!」

 

「こいつ、全然効いてないよ!?」

 

 

焦ったように言ったANー94の言葉に、私は内心舌打ちする。見たところ傷はつけてるみたいだからまるっきり効かないってわけじゃないようだけど、結局表面を傷つけてるだけみたい。私たちで言うところのかすり傷にも満たないらしいわ。

でも、それも後で解明してくれればいいだけよね!

 

 

「後少し!」

 

「こっちにきなさい化け物!」

 

 

全力で走り、二人とも罠を通過する。壁が迫ったところで足をとめ、振り向きながら銃を構えた。

 

 

 

 

 

 

 

 

べキィ!

「「………………え?」」

 

『ーーーーーー!!!』

 

 

四つん這いで追いかけてきたギギネブラが、罠を踏み潰しながら迫ってきていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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報酬が減りました

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「………………ハッ!?」

 

 

目を覚まし、ガバッと飛び起きる。そこは先ほどまでの廃墟ではなく、ANー94と最後に確認しあった野営地だった。隣を見ると地面に伏せたANー94、さらにその隣にはダイナゲートが4体。

このダイナゲートは私がハッキングしているもので、普段は荷物運びなんかをさせている。そして今回のような非常事態には、私たちを戦場から回収するようにも言ってある……全身が痛いのは、引きずられてきたからだろうけど。

 

 

「……う…うぅん…」

 

「あら、おはようANー94」

 

「お、おはよう………!そうだ、アイツは!?」

 

 

慌てて周りを見渡し、そして安全であると分かると安堵のため息をつく。まぁ気持ちはわかる、あんな体験はトラウマものだからね。

 

 

「起きたのなら支度しましょう。まだヤツはあそこにいるはずよ」

 

「え?また行くの!?」

 

「当たり前よ。そういう仕事なんだから」

 

 

正直気が進まないが、こっちにもプライドというものだってある。何もできずにやられましたでは、今後の信用とか仕事に関わりかねない。

 

 

「大丈夫、私に良い考えがあるわ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

単純なことだけど、アイツが狙えるのは同時に一人までよ。別々の方から仕掛ければ、リスクは分散できるわ。

 

 

「というわけで、頑張ってANー94!」

 

「ひぃいいいいい!!!???」

 

 

作戦はこう。

ANー94が正面から攻撃して、ヤツの気を引く。その間に私が遮蔽物や障害物を利用して大掛かりな罠を作る。さっきみたいなハイテクなものじゃないけど、シンプルかつ有効な手段だと思ってるわ。

難点はANー94が気を引いてくれないと成り立たないことだけど、それも上手くいっているわね。

 

 

「よし……ANー94、準備できたわ!」

 

「た、助けてぇええええ!!!!」

 

「こっちよ!早く!」

 

 

広い空間に瓦礫などの遮蔽物、そこに張り巡らされたワイヤーと爆薬で動きを封じる。これで完全に大人しくなるわけじゃないだろうけど、動きを制限できるしなにより暴れれば暴れるほどワイヤーが食い込んでダメージを与えられる。

後は少し大人しくなってから、この特濃麻酔薬を打ち込むだけ。

 

 

「あ、動きが鈍くなってきましたよ」

 

「そろそろかしらね。じゃあ行くわよ」

 

 

もうぐったりとしたのか、ほとんど動かなくなるギギネブラ。それでも油断はせず、ANー94に注意を引いてもらっているうちに近づく。

 

 

「………うん?」

 

 

あと数歩というところで、私は妙な違和感を感じた。センサー類でしか分からないほど微弱だが、空気の流れが変わったからだ。

周囲の空気はまるで吸い寄せられるようにギギネブラへと集まり、それと同時にヤツの体が少し膨らむ。

 

 

「……何かする気ね、油断しないでね」

 

「わかってる。AK-12も気をつけて」

 

 

麻酔薬入りのアンプルを持ち直し、息を殺して近寄る。あと少し、もう少し………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ーーーーーーー!!!!』

プシュー

 

「っ!? ゲホッゴホッ!」

 

 

が、ガス!?コイツ、こんな隠し球まで……でも、そんなのが人形に効くなんて思わn……

 

 

「え、あれ?」

 

 

不意に体から力が抜けるような感覚が襲い、その場に崩れ落ちるように倒れ伏す。何が起きたのか分からず、慌てて診断ツールを起動させた。

 

 

(エ、エラー!?そんな、まさかさっきの)

 

「AK-12!しっかりしt

 

 

ANー94が私を呼ぶ声で、私は妙に重たい頭を起こす。そうして見たのは、首を倍以上に伸ばしたギギネブラに飲み込まれるANー94だった。

助けないと……逃げないと……そう思いつつも、私はエラーの音を聞きながら意識を手放した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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報酬が減りました

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「うわぁあああああああ…………あ、あれ?」

 

「……起きたわねANー94」

 

 

人形は夢を見ない。見たとしてもそれは、メモリに残っている記録の再生にすぎない。要するに、夢ではなく現実だということ。頭からパクリといかれて、トラウマにならないはずがないわね。

 

 

「さ、行くわよ」

 

「行くって……まさかまだやるの!?」

 

「聞いてANー94、さっきこの子たち(ダイナゲート)に偵察に行かせたわ。どうやらアイツ、予想以上にダメージを負ったみたいで寝てるらしいわ」

 

 

そう、ANー94が起きるまでにダイナゲートたちに様子を見てきてもらったのだ。私たちよりも小柄なら見つからずに済むかもと思ったけど、寝ているのならチャンスだわ。

 

 

「幸い、麻酔薬は無事だったわ。これを寝ている間に打ち込んで、輸送部隊に運んでもらいましょう」

 

「だ、大丈夫かな」

 

「残念だけど、もう他に手はないわ……やるわよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「寝てるね」

 

「えぇ、ぐっすりね」

 

 

二人で足音を消しながら、そっと近づく。飛散した瓦礫を踏まないように気をつけ、物音ひとつ立てないように気を配る。この程度のことなら、私たちにはお手の物よ。

 

 

「え、AK-12」

 

「なに?」

 

「これ、なんだと思う?」

 

 

ANー94が指さしたのは、ヤツの尻尾の近くにできたよくわからない塊。粘土を適当に固めたものに粘液を塗りたくったような、見るだけでも気分が悪くなるそうなものだ。間違っても触りたくはない。

 

 

「後にしましょう。どのみち、コイツの捕獲が最優先なんだから」

 

「う、うん……」

 

 

ANー94はこの得体のしれない塊を気にしてたけど、私の指示に従ってターゲットの方に向いてくれた。

 

その直後、私たちの後ろから水気を帯びた音が聞こえてきた。

 

 

「?なにかしr」

 

「AK-12!後ろ!」

 

 

ANー94が慌てて叫び、私はとっさに反応してナイフを構えた。そして振り向いた瞬間、何か白い塊が飛んできて……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ベチョ……カプッ!

「ひゃぁああああああ!!!!!!」

 

 

私の胸に噛み付いてきた。言うなれば昼に近い見た目に2本の腕が生えているような感じで……紛れもなくギギネブラの幼体だと分かった。

そいつが何の目的なのか、交差させた腕を掻い潜って噛み付いてきたのだ。思わず素っ頓狂な声が出てしまったけど、しょうがないと思う。

 

 

「こ、この!離れなさい!」

 

 

グイッと引っ張るけど、全然離れない。噛みつく……というより吸い付く力が強く、しかも体が粘液でベタついていて手が滑る。

もうこんなヤツ放っておいて、さっさと麻酔薬だけでも打ち込んでおこうと振り向いた先にいたのは、背中の方まで伸びてきたヤツの頭だった。

 

 

(あ、そういえば結局叫んじゃった)

 

 

喰われる前の人形は恐ろしく冷静になれる、私はそんな教訓を得たのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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クエストに失敗しました

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「もう無理よアンジェ〜!あんなの勝てっこないわよ〜!」

 

「…………ねぇ、なにがあったの?AK-12がここまで幼稚退行するなんてよっぽどだけど」

 

「まぁその……察してください」

 

「うわぁああああああああああん!!!」

 

 

 

 




フルフルとギギネブラ、通常種と亜種全ての大連続狩猟とかやってみたくないですかね?
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