愛する人の言葉を胸にソードスキルを発動する紺野木綿季。身体中に負傷を受けながらもALO内での出来事を活かし鬼を討伐する。
しかし、ソードスキルを連発したことによる負担と負傷による痛みできを失ってしまう。
「う……んん…………うん?」
目を開けると見馴れない天井が視界に映った。……ってまさか実際に使うときが来るなんてね……それでここは何処だろう……。
確かボクは姉ちゃんと一緒に山で山菜採りにいって、休憩がてら昼寝しちゃったら日が暮れちゃって、山から鬼に――。
「――っ!!姉ちゃっああっくっ!!」
布団から飛び起きようとしたら身体中に激痛が走る。姉ちゃんは……姉ちゃんはどうなったんだろう……。
「気が付いた?」
「え?」
突然声がしてそっちの方に目線を向けると全身を黒い服装で多い、顔までも黒と白目の布で隠され、目元しか露になっていない。例えるのならまさに時代劇とかの黒子が相応しいだろう。そして体つきと声で女の子と言うことは分かる。
「おはよう。って言ってももうお昼だけど。貴女が寝込んでから1日も経ってないから安心して?」
「えっと……貴女は?」
「私は鬼殺隊事後処理部隊《隠》所属の【雪原 幸】。ここは藤の花の家紋の家。貴女が鴉が言ってたユウキさんだね?」
「あっはい。紺野木綿季って言います。木綿のゆうに季節と書いて……。それであの……何ですか?その鬼殺隊―とか鴉とか……。」
いきなり聞いたことのなかったりよくわからない事ばかりで頭の整理が追い付いていないまま応えて、その言葉について問う。
「詳しいことは省くけど、《鬼殺隊》って言うのは簡単に言えば政府非公認の鬼狩り組織で、隠って言うのは、その鬼を狩った後の事後処理を担当する部隊だよ。それで鴉って言うのは本来は《鎹鴉》って言って隊内の情報のやり取りや指令を伝えたりとかする役割を持った鴉の事だよ。それで、貴女があそこにいた鬼を倒したのね?」
「はっはい……。あっそうだ!あのボクの姉ちゃっ!いったたた……。」
うーん痛みのせいで全然身体が動かせないや……。
「あっあまり身体で動かさない方がいいよ。肉離れとか起こってるし身体中に筋肉痛もあるでしょ?所々に掠り傷とか刺傷があって更には右肩にヒビが入ってたんだから。」
……思ったより重症だった……。でもそっか、ただでさえ負担が重いソードスキルをあんなに連続で使ったらそうなるよね……。
「それでお姉ちゃんがどうしたの?」
「その……あの時の少し前に姉ちゃんと一緒に山菜採りに行ったんですけど――」
そこからボクは鬼を狩るまでの事を全て話した。そして話をしていく内に幸さんの顔はみるみる内に暗くなっていく。
「そう……私達が現場の事後処理をしていた時に路地裏に大きな血溜まりがあったの。だけど……ごめんなさい。貴女のお姉さんらしき姿は無かったわ。」
「そんな……!」
「そしてその付近には鬼が誰かを食べた形跡があったの。その現場にあった衣服と思われる布が2種類落ちてたの。」
そう言って幸さんはポケットから2種類の布切れを取り出す。
「これがその布切れの一部。近くにもう1匹鬼がいたのなら、多分貴女のお姉さんはもう……。鬼は群れることないからそんなことは殆ど無いのだけれど、鬼に喰われてなくてもその傷だともうとっくに――。」
「なんで……なんで……そんな…………。」
布を見た瞬間に溢れんばかりの涙が出てきた。
「やっぱりこの布切れのどちらかが……。」
「違う……どっちも姉ちゃんのじゃない……。」
「えっ?」
なんで?だってあの鬼は……!嘘だ……嘘だ嘘だ……!!
「――パパと……ママのだ……。」
て事はパパとママは喰われたってこと!?なんで!?あの鬼はそんなことも一言も……
「今の危なかった……多分放っておいたら……自殺しようとしてた。」
私は人一倍そう言う
――正直あんな事があった後でこれをやっている自分に驚かされる。
多分この子は自分より家族を優先するタイプの人間なんだと思う。それもこんな身体に無茶を省みず行動するレベルで。……あの表情と涙が物語ってる。今話しても精神的に安定してない状態だと不味いから気絶させたけど……起きたらちゃんと話さないと!
……【キリト】もこんな感じだったのかな……。私や皆がいなくなって……。私のメッセージ、ちゃんと聴いてくれたのかな。それを確かめる術は無い。だけどもし届いていたのなら、この子は私が止めてあげないと!
……
目が開けると周りは既に暗かった。
あれ……なんでボクは未だにこんな所にいるんだろう……。ボクはこんな所にいちゃいけない人間なのに……。でも丁度いいや……夜なら鬼が動くんだよね、ここから出たら鬼に会えるかな?
周りを少し見渡すと、幸さんが部屋の角で壁に寄り添って寝ていた。出ていくなら今がチャンスだ。幸さんには悪いけど、ボクは誰かに治療されていい人間じゃない。
身体が痛みで軋むけど関係ない。家族を大切にしずに鬼に喰われたのなら、ボクも鬼に喰われるべきだ。
なるべく音がでないように布団から出て外に出ようとしたときだ。
「何処に行くつもりなの?」
「――!?」
なんで……ぐっすり寝てたんじゃ……!
「なんでって顔してるね。隠はいつ事後処理の要請が出るか分からないから夜は寝てないか指令が入ったら起きるくらいの意識を持ちながら寝てるんだよ。それで、何処に行くつもりなの?」
にこやかな眼から急に真剣な眼差しになって問われる。だけどボクの答えるは変わらない。だってボクは罪人なんだから。
「ちょっと夜風に当たろうかなと思っただけですよ。」
流石に素直に言うと止められるだろうから嘘を吐く。
「嘘だね。だってまた眠る前にあんな表情してた人が急に起きて何もなかったみたいに夜風に当たるなんて言うはず無いもの。なんだったら当ててあげる。……鬼に喰われに行く……どう?」
考えている事がドンピシャで思わず眼を見開く。
「なんで鬼に喰われたいなんて考えたのかな?」
「ボクは貴女に治療されていい人間じゃないんです。鬼に家族を喰らわせた罪人。こんな所で呑気に寝てちゃいけない人間なんです。」
「そっか……でも私はそうは思わないな。君は愛する家族の為に、あの鬼を倒したんでしょ?」
「――っ!違うっ!!あれは……ただ……自分だけが助かりたかっただけで……。」
なんでか声が小さくなる。
「自分だけの為に動く人間はそもそも家族の心配なんてしないし、鬼に立ち向かえたりしないよ。」
「……なんでそんなこと言えるんですか。表向きはそうなだけであって裏はもっと醜くて利己的な人間かもしれないんですよ?」
「そんなことないよ。だって私は
「えっ?」
「ねぇ、もし自分や仲間の命が危険な目にあったとき、最終的には何が必要だと思う?」
「え……?」
「私はね、個人が絶対に生き抜くって意思を持つことが必要なんだと思うんだ。」
今の言葉でボクの何かが切れた気がした。
「何ですか……じゃあ姉ちゃんやパパやママが死んだのはその意思が無かったって言いたいの!!!?」
身体の痛みを無視して叫ぶ。だってそれは……赦せない!
「違うよ。君のお姉さんやパパやママには、勿論生き抜くって意思はあったと思う。だけどそれと同時に、木綿季……貴女に生きていて欲しいって言う意思が強かったんだと思うの。」
「そんな事――」
「――無いって言える?自分を犠牲にしてまで逃がして、極力安全な家の中に避難しておくようにって言ったのに?」
「それは……。」
言えない、でもボクはボクを赦せない……。
「だったら何がなんでも生きないとね。貴女の家族は貴女の事を恨んでいないし、貴女は家族の為に怒った。そんな事ができる人が家族の事を大切にしていないわけないよ。貴女は家族の為に最善だと思うことを全力でやり遂げた。それでいいんだと思うよ。」
そう言って幸さんはボクを優しく抱き寄せた。
「それでももし、貴女がまだ貴女の事が赦せないのなら、自分を赦せるまで自分が出来ることで償おうよ。今度は、死ぬ以外でね。」
気が付けば目から涙が出ていた。
「いいのかな……うぐっボクが、ボクだけがヒグッ生きてて……。」
「いいんだよ。それが家族の望んだ事なんだから。私もそれを望んでる。だから今じゃなくていいから、いつか自分の事を赦してあげて?」
「うぐっ……うわあああああああああん!!」
そこからはもう泣いた。泣き疲れるまで盛大に。そしてボクの中で1つ決意をして、泣き止んだ後また眠った。
「眠っちゃったか。けど良かった。ちゃんと引き止めれた……。キリト……私やったよ……キリトはあっちで楽しくやってるかな……。」
ちょっと騒がしくしちゃったから朝になったら。この家の人に謝らないと。それにこの子今日何も食べてないから起きたらちゃんと食べさせよう。それに聴きたいことは他にあるし。
この子が、この子を赦せる日が来ますように。
ご精読ありがとうございました!それとアクセス数2000突破ありがとうございます!!
いやね、逞しくなっちゃって。誰とは敢えて言いませんが。
えー今回登場した幸さんですが。はいそうですあの人です。( ・∇・)
幸さんは木綿季が鬼討伐後、特命で暫くの間木綿季を介護するようにと命じられてます。暇な時はゲスメガネのストッパーになってたりならなかったり。
以上大正コソコソ噂話でした!
次回 運命の合流