鬼滅の刃―母の十字架と片羽の蝶―   作:氷金夜

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幸に鬼を倒した方法を教えた木綿季。そこで木綿季は幸が元SAOプレイヤーであることを知り、そして今度は自分の事を話すこと決意する。


第7話 新たな門出

ボクは幸さんに打ち明けることにした。……生前の自分を。

「ボクは生まれつきHIVに感染してたんです。産まれる時に輸血した事で感染したみたいで。それで学校にもほんのちょっとしか行けなくてずっと死ぬまでの3年間は病院でずっと仮想世界にいました。」

「3年間も……仮想世界に?」

まぁ驚くのは無理もないよね。SAO帰還者でも2年間だったんだから。

「はい。そこで使ってたのはアミュスフィアじゃなくて医療用に改修されたナーヴギアの試験機だったんです。」

「改修された……ナーヴギア!?」

「はい……でも元々のナーヴギアみたいな危険性は無いんです。ナーヴギアは人間の五感をシャットアウトして仮想世界にログインするのは知ってますよね?それを医療に応用できないかって話からできたのが改修されたナーヴギア……メディキュボイドって言うんですけど、ボクはその試験機のテスターをしてたんです。3年間も無菌室で……可笑しいですよね。キリトや幸さんを苦しめて、ましてや幸さんを殺した大犯罪者に命を救われてたなんて……。それにその時も、ボクは姉ちゃんを優先することができなかった……。」

自嘲的話したボクに対して幸さんは首を横に降った。

「ううん、そのメディキュボイドはそのHIV……つまりAIDSの治療……ううんそれ以外にも他の沢山の病気を治療する為に作られたんでしょ?それを完成させるために木綿季が選ばれたのならそれを誇らないと。だって木綿季の頑張りで今後誰かの命が救われるのなら、木綿季はその人達にとって英雄になるんだよ?お姉さんもその事を誇ってるんじゃないかな。もし向こうで生きてたら何か賞貰ってたかもね。」

ボクがやった事はそんなに凄い事じゃないと思うけど、もし貰えたらかぁ……

「アハハ、嬉しくはないわけじゃないけど、どうせだったら食べ物の方がいいかなぁ。賞食べれないし。」

そしたら幸さんが急に吹き出した。そんなに面白かったかなぁ。

「ぷっふははははは!木綿季って結構食意地張ってるんだね。」

ボクそんなに食いしん坊じゃないやい!って思いながら頬を膨らますと。幸さんがゴメンゴメンって笑いながら謝っていた。

やっと笑いが収まったと思ったら今度を抱き締めてきた。

「お疲れ様。私は貴女のしてきた事は誇るべき事だと思うし、そのテストのデータがあの世界の今後を良くするものだって信じてる。だから気に病まないで。貴女の家族が貴女に託した事は、絶対に間違いじゃないから。」

打ち明けて良かった。そう思った。ボクがしてきた事は無駄じゃなかった。

「木綿季、また泣いてる。」

いつの間にか涙を流してた。おかしいな、昨日からずっと泣いてばかりだ。

「だって、実は怖かった……。HIVキャリアってだけで否定されて、メディキュボイドを使ってても本当はどうすればいいのか分からなくて、機械や薬も沢山使って、家族もいなくなって、本当は誰かに甘えたいくらいに弱くて……。打ち明けて全部否定されるのが怖くて……本当は逃げたくて仕方がなかった……。だけど打ち明けて良かった……。」

「けどキリト達にも打ち明けたんでしょ?それだけでも十分強いよ。それに否定される事なんて何一つ無い。皆分かってるよ。」

「えへへ、なんか幸さんお母さんみたい。」

そしたら今度は幸さんが頬膨らませた。

「むー。どうせ私は精神的年増女ですよー。」

「ご、ごめんなさい……てゆーかそれボクにも言えることなんだけど……。」

アハハ……幸さんの前で年齢の話は厳禁だね。と心の中で乾いた笑いが起こった。

さてこれでこの話もお終い!これからがボクとしては本題だ。

「幸さん……ボクも、鬼殺隊に入れますか?」

「っ!?」

身体を幸さんから離してボクは面を向かって話す。

「ボクも鬼から人を守りたい。多分その為にここに来たんだと思うんです。それに鬼をこのまま放っておくわけにはいかない……でないと、未来で、皆が会うことは無くなっちゃうと思うんです。だから教えてください!どうやったら鬼殺隊に入れますか?」

「……一応訊いておくけど、()()()()()()じゃないんだよね?」

「勿論です。」

そんなことやったら、お姉ちゃんやパパやママ……それにキリトやアスナ達に失礼だよ。

「貴女は前の世界で十分戦った……もう無理に戦う必要は無いんだよ?それに鬼狩りはVRMMO程甘くはない……それは木綿季自信も分かってるはずよ。」

かもしれない……だけど――

「それは幸さんも同じです。幸さんもSAOの事があったのに隠やってるじゃないですか。それに、言ったじゃないですか。もし自分が赦せないなら赦せるまで償おうって。ボクはまだボクを赦しきれていない、だからこれがボクなりの償い方だと思います。」

「そっ、か……それじゃ私からは何も言えないね。分かった。」

幸さんは少し悲しげな表情を見せてポケットから紙切れを渡してきた。……これは、住所と地図?

「実はね、()()()からもし貴女が鬼狩りになると言い出したら渡して欲しいと頼まれた物なの。そこに行けば、鬼殺隊に入る為の事を教えてもらえると思うよ。……本当は鬼狩りになんてなって欲しくないんだけど……。」

「ごめんなさい。でも、これがボクがやるべき事なんです。」

「うん。でも本当はちょっと怖い。だから約束して……絶対に鬼相手に死なないで……生きてまた、お話ししよ?」

「はい!約束します。」

死ぬつもりなんて無い。それに同郷だからかもっとお話ししたいのはボクも同じだ。

そう思っていたら幸さんがこんな提案をしてきた。

「ねぇ木綿季。折角だしプレイヤーネームで呼ばない?あと歳も近いし敬語は無しで話そ?」

確かに、ここには他にプレイヤーはいないとは言えない―実際いにボクらの例があるし―けど、別にプレイヤーネームでも渾名程度に止まるだろうし、ここではそもそもリアル割れも何もない。だからプレイヤーネーム呼びは賛成ではあるんだけど……。

「さ、幸さんには命救われてますし。流石に敬語抜きは……。」

「私がいいって言ってるんだからいいの。それにもし貴女が柱になったら寧ろ私が敬語で話さないといけないんだよ?」

は……柱?いきなりなんの事か分からなくて少し首を捻る。……けど幸さんがいいって言うなら。

「えっと、ボクのプレイヤーネームはユウキ!よろしくね!……えっとぉ……。」

そうだ幸さんのプレイヤーネーム聞いてないや……。

「私はサチ。って私達プレイヤーネームも名前も一緒だね」

「ハハハ!本当だね!……ねぇサチ、鬼殺隊の事、もっと教えてくれる?」

「いいよ。こうなったら教えるつもりだったし。それじゃユウキからは向こうでプレイしたVRMMOのお話、聞かせて?」

「勿論だよ!」

そこからサチといろんな事の話をした。鬼殺隊の事やVRMMOやスリーピングナイツの事やキリトとアスナの事を。

そして時間はあっという間に過ぎ、あれから数週間経って、身体中怪我わ完治―肩とかの刺傷の痕は残っちゃったけど―した。

そしてボクは、動きやすい紺色の軽い着物―サチから貰った―を着て、あの時と同じ鉢巻をカチューシャのように巻いて身支度を済ませる。

これからボクは、サチから渡された地図を頼りにとある所へ向かう。

「ユウキ!」

サチの声だ!お見送りしに来たのかな?

「どうしたの?サチ。」

「お見送りしにと思って。……気を付けてね。多分今から行くところにいる方は多分ユウキの事を疑うと思うから。」

「大丈夫だよ。ソードスキルの事はちゃんと説明する。」

そう言うとサチはそれもそうなんだけどと返してきた。

「あの方はそもそも子どもの事をあまり好きじゃないみたいなの。でもユウキなら大丈夫。自分の事をちゃんと伝えれば、きっと伝わるよ。」

成る程ね。確かにまだボクは11歳の子どもだし、子ども嫌いなら警戒しないはずもないか。でも、ボクがやる事は変わらない。

「そうだね。()()()()()()()()()()()()()()。ボクなりに色々当たってみるよ。」

「それじゃ行ってらっしゃい。継ぎ会うときは入隊後にね?」

「行ってきます!サチ、ボク頑張るよ!」

そしてボクは藤の花の家紋の家を後にした。

パパ、ママ、姉ちゃん。自分から危険な所に飛び込むことをどうか許してね。でも約束するよ。絶対に鬼には負けない!だってボクは《絶剣》ユウキだから!そしてあの時姉ちゃんを守ろうとしてくれた鬼狩り様、貴方の意思はボクが継ぎます!

アスナ。君と再び巡り会うのは当分先になりそう。

そしてスリーピングナイツの皆。絶対にこっちに来ないでね。来たらボク怒るからね!!

木綿季は進む。再び剣を取るために。――今度は人を守る剣になるために。

 




ご精読ありがとうございました!
やっと物語が進むなぁ……次回はあの人でそろそろあの人も出せるーーこっから本番だぁ( ・∇・)ってことでここら辺で一区切りです。
あと第3話で出てきた鬼狩りなんですが、その人は階級的にもまだまだこれからの「辛」の隊士で、実力的にも鬼が藍子の腕を喰っていなければ勝てた隊士でした。
以上大正コソコソ噂話でした!
次回 子ども嫌いの柱
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