痛いのをいっぱい感じたいので体力に極振りしたいと思います。   作:マガガマオウ

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狂い乱れる少女

「よ~し!今日は昨日より刺激的な体験が出来るかな~?」

 

初日から一日空け今日もこの電脳世界に降り立ったドⅯことフローラ、昨日の魅惑の時間を思い返しながら、今日も未体験の被虐を求めて己の道を突き進む。

 

「昨日は良い所までいったんだし、もう少し奥に行けばもっと凄い体験が出来るかも?」

 

昨日の探索は中間部で毒・麻痺・混乱の状態異常を体験した結果、それぞれの耐性小のスキルを会得してしまったフローラ、なので今度はほかの状態異常か耐性スキルが効かないより強力な状態異常効果のある相手を求めてより深部へ進むことを決めた。

 

「うんうん。昨日よりも大分奥まで来たね、さてさて本日最初の相手は誰かな~?」

 

初期マップの深部、上級者マップに足を運んだフローラは最初の相手の出現に心を躍らせその時を待つ。

このマップの中で出会う敵は中級者の中でも上位から上級者の下位のプレイヤーが主対象に設定され、初心者では中々手が出し辛いそこそこ強力なモンスターが出現する。

 

「おお!君は初めて会う子だね?よろしく蜂くん!」

 

フローラの前に現れたのは大型の蜂フォレストクインビー、初期マップの中では強力な毒と針による刺突攻撃が特徴のこのフィールドで最も強力なモンスターの一体である。

 

「ヤル気バッチリだね蜂くん!さぁさぁおいでよ!君の全てを私に見せて!」

 

彼女の周りを高い羽音を五月蠅く騒ぎ立て攻撃の体制に入るフォレストクインビー、闘争本能を剥き出しの臨戦態勢の敵の様子にフローラは心を躍らせる。

まさか相手が己の攻撃を受ける事を心待ちにしているとは思っていないフォレストクインビーは、己の武器である針を突き出しフローラの首に突き刺した。

 

「ぐっ!~っ!凄い……凄いよ蜂くん!君の攻撃が今までで一番強い刺激だよ!」

 

フォレストクインビーの攻撃は彼女の想像を超えた痛みであり初日に感じたどの痛覚よりも痛烈だった、そんな刺激を肌で感じたフローラは歓喜に震え興奮した表情で敵を見つめる。

彼女の熱い眼差しの意味を威嚇と捉えたフォレストクインビーは負けじと睨み返す、無言の睨み合い(一方的)は而して更なる刺激を求めるフローラの手によって破られる。

 

「あはは……そっか、君も一方的なバトルじゃ盛り上がれないんだね……だったら、私からも反撃してあげるね?」

 

空中を浮遊するフォレストクインビー相手ではガントレットではリーチが足りない、だが彼女にはそんな事は関係ないただ己の欲望の手が伸びるまま突撃していく。

 

「シッ!」

 

前日の彼女とは思えない鋭い突きを繰り出すフローラ、彼女のステータスが攻撃力と速力に振られていたらこの一撃だけでも十分な威力となっただろう。

だが振り分けられたのは体力、だからその攻撃も難なく避けられそして反撃を受ける。

 

「くぅ~きっく~!はぁはぁはぁ……。」

 

返ってきた反撃を体で受けると満足そうな笑みを浮かべるフローラ、彼女はそもそも攻撃を当てる必要はないのだ、さっきの攻撃は飽く迄も反撃を誘発する為のエサでしかない。

 

「はぁはぁはぁ……ん?あぁ!もうHPが半分切ってる!」

 

これまでにない強敵からの攻撃が齎す至極の痛みを堪能していたフローラだが、途中から痛みが鈍ったと感じた彼女がHPの残量を確認してみると半分程になっている、彼女の持つスキル[闘魂]が快楽を阻害して半減してしまう。

フォレストクインビーの方も針の攻撃では仕留めきれないと踏んだのかもう一つの毒攻撃にシフトする。

 

「むむ!この感じは毒⁉しかもムカデ君のよりも強力なヤツ⁉」

 

一度大ムカデの毒を受けているフローラだからこそ分かる、フォレストクインビーの放つ毒は大ムカデのモノより数段上の効力を持つ猛毒だった、それこそ彼女が持つ耐性スキルの効果の範囲を超えダメージを与える程である。

 

「あぉぉぉぉ。このジワジワと蝕まれてる感覚……やっぱり毒は刺激的でサイコー!」

 

フローラは自身の被虐性癖を刺激する猛毒の感触に喜びの声を上げる、そしてそんなフローラに更なる刺激が迫っていた。

 

「わっ何⁉って、昨日の蜘蛛くんよりさらに大きな蜘蛛くん⁉」

 

悦びの絶頂を極めんとするフローラの背後から忍び寄っていた巨大な影、昨日のパラライズスパイダーよりさらに大型で獰猛な蜘蛛型のモンスタースタンタランチュラである。

これも例に洩れず上級者プレイヤー向けモンスターの一角であり、パラライズスパイダーより強力な麻痺効果の攻撃と噛み付きが特徴であった、さらに麻痺の発現の仕方にも癖があり……。

 

「はっ!麻痺効果のある……糸?」

 

フローラに向けて放たれた糸が彼女に巻き付くと全身に電流が奔った様に痺れ動き辛くなる。

スタンタランチュラの麻痺攻撃は吐き出す糸にも効果が付与されている、僅かでも絡まれば全身に鋭い電流の様な刺激が伝い動きを封じられるのだ。

 

「はは、は……毒と麻痺を同時に……何このご褒美?ハァハァハァ……しゅごい。」

 

彼女に押し寄せる悦楽の嵐に酔いしれただこの状況に浸る、だがここで獲物を横取りされそうになったフォレストクインビーがスタンタランチュラに攻撃を仕掛ける。

スタンタランチュラの方も負けじと応戦しフローラを横に置いて、二体が獲物を掛けて争いだした。

 

「あれ?これって放置プレイ?だとしても、そんな楽しそうな事すぐ傍でやられたら参加したくなるなぁっ!」

 

麻痺で痺れ毒に蝕まれる体を起き上がらせ激しい戦いを繰り広げる二体に混ざろうと足を踏み出したフローラは、突然視界が揺れて思考が纏まらない感覚を覚えた。

 

「毒と麻痺に続いて今度は混乱かぁ~はぁはぁ……今日は大盤振る舞いじゃないか。」

 

そう言う彼女の背後には混乱状態を引き起こしたモンスターが舞っていた、サイケデリックパピヨンと呼ばれる蝶のモンスター。

前日に戦ったパニックモンスの上位種に値する、強い混乱状態を引き起こす鱗粉で平常心を奪い口吻を伸ばして対象からHPを吸い取る攻撃を仕掛けてくる上級者向けのモンスター。

先程から強力なモンスターが立て続けに三体も出現するこの状況、実は初心者が最初にゲーム内で一番死ぬ事が多い場面なのだ。

特にソロで活動するプレイヤーに多く見られるパターンで中層でそこそこ立ち回れるようになってきた最も調子に乗りやすい時期に発生するシチュエーションで、実力の程を理解して何とか町まで戻ろうとして逆にもっと奥に行ってしまいそこで出現した敵に止めを刺されると言うのがお約束の流れになっていた。

 

「君も……中々面白い攻撃をするね蝶君……はぁはぁはぁ。」

 

揺れる視界の中で如何にか耐性スキルの効果で意識を保たせたフローラ、ふらつく足腰に力を籠めサイケデリックパピヨンの正面に体を向け気丈に振舞うフローラ。

如何に今罹っている状態異常が全て耐性のあるものでも三つ一遍に喰らえば大分堪える、フローラはドⅯだ度し難い被虐性癖者だ、だからとこそ紙一重の所で精神を保ってるとも言えるが逆に捉えれば彼女でもギリギリの状況だった。

小競り合いをしていた後ろの二体が新たな競争相手の出現に気が付き、この獲物は自分の物だと言うようにサイケデリックパピヨンに襲い掛かる。

 

「ちょ……と、君達さぁ……はぁはぁじゃれつくなら私も混ぜてょっ!……。」

 

獲物を掛けた三体のモンスターが三つ巴の抗争をようする中、決着を焦らされたフローラが弱った体を引き摺り三体の輪の中に入ろうとした時、彼女の言葉が途切れ纏う雰囲気に異変が起きた。

 

「ふふ……あは、あははははははは!

【スキル[闘魂]が[激昂]に進化しました。】

 

フローラが突如不気味な高笑いを始めた時、聞き取れていないであろう彼女の脳内にアナウンスが流れる。

それに反応して無意識の内にスキル画面を開いていたフローラ、そこにはこう記されていた。

 

 

[激昂]

このスキルの保有者はHPが全快状態から半分以下になると全ステータスが70%上昇する。

このスキルの発動中は常時強混乱の状態異常になる。

HPを回復すると効果は終了する。

 

取得条件

[闘魂]発動中に一時間の間に一定値以上のダメージを受ける事。

 

強混乱はダンジョンや特定のクエストで出現するボスモンスターが使用する状態異常の一つ、耐性スキルでは庇いきれず無効スキル出なければ防げないある種その状態異常における最高峰と呼べる、そのスキルが常時発動していると言うのは非常に重いデメリットであると言った方がいい。

 

「ふひ!ふひひひ!ふはははははは!

 

けたたましい笑い声に似た奇声を上げ妖しい光を宿した瞳、誰がどう見ても尋常ならざる彼女を離れた場所を偶然通りかかったプレイヤー前日の大盾使いの男性が目撃していた。

フローラの外面はとても整った容姿をしている、そんな彼女が狂い乱れた様を見せているのはその妖艶さも相まって強く恐怖を駆り立てる、事実大盾の男性は彼女とは距離がかなり離れているにも関わらず迫力に圧倒され一歩も動けなかった。

そしてさっきまで誰がフローラを仕留めるかで争っていた三体も、彼女の異常事態に戦いの手を止めただ傍観する。

 

「ぐぅぅぅぅ!がぁぁぁぁぁ!」

 

フローラの口から発せられる音は最早言葉では無く獣の叫びだった、その雄叫びで我に返った三体は慌ててこちらに突進するフローラに応戦するが、[激昂]がもたらした驚異的に上昇したステータスが彼らの攻撃を悉く相殺させた。

 

あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!

 

三体が攻撃を繰り出す度にガントレットを的確に捌き攻撃をいなす、これはガントレットと言う武器が持つ唯一他の武器にはない特色ジャストガードと呼ばれるオートスキルだった。

動かすタイミングさえ合えばどんな攻撃でもダメージを1にすることが出来るのだが、このタイミングを合わせる事がとても難しい、実際最初の三手までならセンスが良ければ難なく捌けるだが四手以降は僅かにタイミングがずれただけで失敗する玄人向け技能であった。それを難なく二十回以上捌き続けているのは、彼女のセンスが飛び抜けているからだけでなく彼女自身が格闘技の鬼才だったからである。

 

「ふっ!」

 

三体の内最初に相手をしていたフォレストクインビーの間近まで接近したフローラは今度こそ渾身の突きを繰り出す、その一撃は例え[激昂]でステータスを強化していたとしても考えられない威力を持っていて他の二体を巻き添えにして同時に消滅させた。

ジャストカウンターそれがフローラが繰り出した突きを強化した正体である、実はジャストガードが発動している時いなした攻撃で発生していたダメージは無くなった訳ではなくガントレットに蓄積され攻撃力に加算されていた、更にジャストカウンターはジャストガードのコンボが繋がれば繋がるほどその威力は増大していく。

今回は三体分の攻撃を連続で三十回いなし続けたので、その突きの威力は一発だけで三体纏めて討伐できるだけに膨れ上がっていた。

 

があ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!

 

目の前の獲物を倒しても荒ぶるフローラの闘争本能は戦いを求めて中間層に走り出す、そこでも出会う大ムカデや芋虫型のモンスターキャタピラーを片っ端から甚振り葬り消滅させていった。

 

「うっ……うぅぅぅぅ!」

【スキル[混乱耐性大]が[混乱無効]に進化しました。】

 

暴走するフローラに変化が起きたのはそれから三時間ほど暴れた後だった、突如頭を押さえ苦しみだすフローラの脳内にスキル取得を告げるアナウンスが流れた。

実のところは最初の三体を相手にしていた時からずっと流れていたが、強混乱の効果で頭の中を本能の濁流に流されそれ処ではなかった。

フローラ自身[混乱耐性大]を取得してから如何にか抵抗できるようになり、抵抗している最中は激しい頭痛を感じて喜んでいたが、身体的には相当疲労していて立っていられずに体を仰向けに倒した。

 

「はぁはぁはぁ……ふふ。そっか……これが強混乱になった状態なんだ、凄いなあんなに激しい頭痛は初めてだよ……。」

 

混乱の無効化スキルを取得し[激昂]が発動していても自我を保てるようになったフローラは満足した様な顔で空を眺める、その瞳はまだ妖しい光が灯っていたが意識ははっきりしていた。

 

「ん~今日は疲れちゃったしもう帰ろうかな?」

 

~sidechange~

 

ネットのとある掲示板にはある書き込みが静かな話題になっていた。

 

『NWO』にやばい居た新人二人見つけた

 

1名前:名無しの大剣使い

やばい二人とも相当やばい

 

2名前:名無しの槍使い

kwsk

 

3名前:名無しの魔法使い

どうやばいの

 

4名前:名無しの大剣使い

二人とも西の森で目撃したんだが一人は大盾でもう一人がガントレット

大盾の方は大ムカデとキャタピラー数十匹に取り囲まれながら佇んでた

ガントレットの方は何か荒ぶりながら同じく大ムカデとキャタピラー数十匹相手に一方的に屠ってた

 

5名前:名無しの槍使い

え?何それwどういう状況?あり得なくね

普通死ぬだろwガントレット装備は当然として大盾装備でも

 

6名前:名無しの弓使い

>1

強力な装備だったとか?そこんとこどうなん

 

7名前:名無しの大剣使い

見た感じは二人とも初期装備だった

思い出すだけ身の毛が弥立つわ

何で芋虫とムカデの中で平然としてられるんですかねガントレットに方に関しては若干喜んでいた様にも見えたし

 

8名前:名無しの槍使い

ガントレットが上級者過ぎる……

 

9名前:名無しの魔法使い

その状況で死なないのは二人ともダメージを無効化したか軽減させてる?としか……

 

10名前:名無しの槍使い

そんなこと出来るか?

 

11名前:名無しの弓使い

ガントレットの方なら理論上は可能だけど難易度的にシビアで現実的じゃない

大盾の方は確かβテストの時の検証で防御力に極振りしても白兎の攻撃を耐えられるだけだったはず

 

12名前:名無しの槍使い

両方ゴミじゃねぇか

 

13名前:名無しの大盾使い

俺多分両方知ってるわ

 

14名前:名無しの大剣使い

教えてくれると嬉しい

 

15名前:名無しの大盾使い

プレイヤーネームは知らんが大盾は身長150無いくらいの黒髪ショートの美少女

ガントレットは身長は170に届きそうな長身で濃い栗毛の三つ編みの流しでコチラも美少女

二人共歩く速度からしてAGIはほぼゼロっぽい

ちなみに俺が大盾の子と同じことしたら一瞬で溶けますはい

 

16名前:名無しの魔法使い

大盾はやっぱ極振りか?まあ、でも隠しスキルでも見つけたとかかも知れん

ガントレットはどうか分からんけど?

 

17名前:名無しの槍使い

あーそれっぽいなって言うか両方女かそれも美少女か

 

18名前:名無しの弓使い

ほうそこに目をつけましたか

俺もだ

 

19名前:名無しの大剣使い

んーまた追々情報集めるしか無いか

トッププレイヤーになるのなら自然と名前も上がってくるだろ

 

20名前:名無しの大盾使い

また何か見かけたら書き込むわ

 

21名前:名無しの魔法使い

情報提供感謝します!(敬礼)

 

 

小さな掲示板の中でフローラともう一人の少女が本人たちの与り知らぬ間に話題になりつつあった。




status
Lv13 HP210〈+33〉 MP15
[STR0]〈+10〉[VIT0]〈+10〉[AGI0]〈+10〉[DEX0]〈+10〉[INT]〈+10〉

装備
頭[空欄] 体[空欄]
右手[初心者のガントレット] 左手[初心者のガントレット]
足[空欄] 靴[空欄]
装飾品
[空欄]
[空欄]
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