痛いのをいっぱい感じたいので体力に極振りしたいと思います。   作:マガガマオウ

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神樹の試練とドⅯ少女後編

ナーガの頭の上に乗り光溢れる森の中を進むフローラ、その行く先は生命と叡智の神樹。

 

「ねぇナーガくん?今行こうとしている生命と叡智の神樹ってもしかしてあの崖の上にあるの?」

 

彼女の視界はナーガの頭の上に居る分高くなっている、その位置に居ても見上げるだけでその頂の端だけしか見る事が出来ない絶壁が聳え立っていた。

もしもフローラがナーガを討伐していた場合この景色を拝むこと自体不可能になっていたし、何より自分がまだエデンの入り口にすら立てていなかった事にも気付けなかっただろう。

 

「やっぱり一筋縄にはいかないな~、でもあの岩壁を登るのは楽しそうだね。」

 

遠方からでも分かる鋭角に切り立った斜向と掴まれる足場が殆どない岩肌、その威容を眺めあの崖を登頂する為にどれだけ多くの精神力と労力を削られるのかと考え喜悦の表情を見せる、そんなフローラを連れてナーガは目的地へと辿り着いた。

 

「ふへへへへ~っと!到着したのナーガくん?お~い……。」

 

ナーガが一旦頭を下げフローラを地面に降ろすと眼前に広がる岸壁の影になって視界の通らない谷に向かって長い体を移動させ始め、その後をフローラが追いかけた。

 

「横穴?ここから上に行けるの?ねぇナーガくん。」

 

谷の根元にナーガの巨体でも通れそうな横穴があり、フローラは傍に控えるナーガにそう尋ねたが質問に答える様子はなく横穴の中へ入っていく。

 

「そっか、ここからでも行けるんだね……でも、やっぱり私は……。」

 

ナーガの一連の行動を無言の肯定と捉えたフローラ、だが彼女はナーガの教えた横穴を一度だけ見つめると次にすぐ横の険しい岩肌に視線を移しそちらに歩を取る。

 

「折角のスリル満点のシチュエーション、これを楽しまずにいられますか⁉」

 

そう言って岩肌の僅かな凹凸に手を掛け頂上に向けて登頂を開始した。

命綱なしのロッククライミング、更にここは標高もそれなりで登れ登るほど落下死のリスクが大きくなる選択、フローラは自滅願望がある訳でも自殺志願者でもない唯の純粋なけれども度が過ぎた被虐趣向者だ、だが己の被虐的琴線に触れる状況には愚直と言われようと従う事も間々ある事ではあった、特に彼女が困難で過酷であると直感した事柄には満面の笑みで向かっていく。

 

「ほっ!ほっ!ほっ!ふぅ……うっひゃー!結構登ったね~もう地面が見えないよ。」

 

ある程度の高さまで登りついたフローラは丁度休憩できそうな広めの起伏に腰を休め、自分がどこまで登ったかを知る為に真下を見下ろした。

眼下に広がる景色では既に地面が見えず鬱蒼と茂る木々だけが広がっている、普通の思考回路をした人間はこの状況で足を竦ませるのだろうが、フローラにはその一時の恐怖ですら己を突き動かす動力源となるのである。

 

「さて……休憩終わり!先はまだまだあるぞ……ん?なんだろアレ……。」

 

登頂を再開させようと立ち上がったフローラは、目の前に広がる遮蔽物の無い空に細長い生物の様な影を発見した、その影は上下に体をくねらせながら接近してその姿がはっきり見えてくる。

 

「ん~アレは……銀龍?」

 

銀の体表が日光を弾き眩く輝く東方龍がその長く巨大な体躯を撓らせ悠々と飛来してくる、その体からは電気が流れているのか時より放電の光が瞬いて見えた。

 

「こっちに向かってきてる……よね?どう考えても。」

 

その姿が大きくより鮮明に視認出来ている事実を銀龍が接近していると捉えたフローラは、一旦崖を上るを止めて防御の構えを取る、それ呼応するように銀龍も彼女の真上の位置に口から雷撃を放ち崖を崩して岩雪崩を起こす。

 

「くぅ~こう来るか~。」

 

上から砂埃と大小様々な大きさの石礫そして岩塊が降り注ぎ辺りの視界を塞いだ、フローラは小さく蹲りそれらをやり過ごして、一通り上からの落下物が収まると体を広げ辺りを確認して安全を確認し再び崖登りを再開する。

それからもフローラが休憩を挟む毎に銀龍の到来し何かしらの妨害を行ってきた……雷撃による崩落は勿論の事、崖に体当たりして彼女を足場から落とそうとしたりあの手この手でフローラの行動を制限してくる、その何度目になるかの妨害をやり過ごしたフローラは銀龍の行動に疑問を感じ始めていた、と言うのも……。

 

「やっぱり……妨害にしては手緩いよね?」

 

普通に侵入者を撃退しようとすれば無防備で回避が出来ない例えば、今の状況であるならば崖をよじ登っている時などに急襲すれば確実に地表まで落とせる、だが銀龍は必ずフローラが一呼吸挟むタイミングで現れ襲撃してくる、ここまで落とせるタイミングは幾度もあったがその一度として銀龍は現れず呼吸を整えて安息している言わば余裕のある時を見計らって彼女の前にその姿を見せるのだ。

 

「妨害自体はフリ?じゃあ、銀龍くんの本来の目的は……そう言う事かぁ~。」

 

今フローラが居る地点は細いながら足場が続いている、そしてその行く先の終着地点にはナーガに最初に案内された横穴と似た道がある、銀龍の狙いはそこに彼女を誘導しようとしているのだろう。

 

「っん~~~!行くなと言われると往きたくなるのものだよね!いいよ銀龍くん!私は是が非でもこの崖を攻略するよ、ここからは根競べだ!」

 

実はドⅯな上にかなりの負けず嫌いなフローラ、銀龍の好意を逆に挑発と受け取り敢えて絶壁を己の力で攻略する道を選んだ。

しかし、彼女の選んだ道は何よりも険しい道である、このどこを見ても微かな突起だけで身を隠せる遮蔽物が無い断崖と定期的に襲来する銀龍の妨害、やはり普通の攻略者なら心が折れて安全を取るだろう……だが!しつこいようだが何度でも言おう、フローラはドⅯだ!度が過ぎてしまった被虐性癖者には苦痛も困難も心を突き動かす何よりの燃料である。

彼女は見る者に絶望を与える絶壁にすら心震えた恐怖にではない歓喜にだ、そんな状況でさらに度々現れては進路を塞ぐよう襲い来る圧倒的強者の存在、最早彼女の表情は喜色に歪み到底人前には出せない顔をしていた。

 

「ふふ、ふふふふ、ふふふふふふ、楽しいなぁ~楽しいなぁ!

 

狂喜の雄叫びが彼女以外の生物などいない絶景の中に響き渡る、下を見れば森が広がり上を見れば紺碧の空がどこまでも続くこの景色に遮る物など何もない、あるのは遥か頭上まで聳え立つ絶壁と偶に進路妨害と言うなの粋なおもてなしをしてくれる銀龍のみ、だからこそフローラは折角のもてなしを心ゆくまで堪能しようと考えたのである。

そこからの彼女を譬え直ぐ傍に人が居たとしても阻める者は居なかっただろう、それ程に彼女の行動は一貫していたのだ、それまでも可成りのハイペースで登頂していたクライミングがさらに早くなり休憩も度々挟んでは銀龍の到来を心待ちにした。

そして、遂にフローラは辿り着いた地に聳え立つ断崖を超え、幾度となく襲来する銀龍の妨害にも屈する事無く、頂に何処までも咲き誇り広がる一面の花畑とその中心に威風堂々と圧倒的な存在感を示す強大な大樹、誰もが何も言わずともアレが目当ての生命と叡智の神樹だと理解できるだろう。

 

「ふふ……楽しかった、それじゃあ後は……君の相手をしてから、あそこに向かおうかな銀龍くん?」

 

花畑に背を向け崖淵に視線を向けるフローラ、その方向にはその体が放電の光で閃き輝く白銀の龍が待ち構えていた。

 

「………………ッフ!」

 

長い沈黙を続けながら体は前に向けゆっくり後方に歩を取っていたフローラは、ある程度後退して銀龍に背を向け駆け走ると、それが合図だったのか銀龍もフローラの後を追い彼女に背に電撃を浴びせる、落ちてくる電流を速度を落とし横に逸れて躱し再び走り出すフローラ、そのまま蛇行しながら走り続け電撃を掻い潜り直接的なダメージは避けつつ余波で発生した土塊を受ける事でダメージを蓄積していく。

 

「君のその雷は今の私もHPじゃ受けられないからな~、あ~ぁ勿体ない。」

 

本心から残念がっている表情を浮かべるフローラ、しかしそれも仕方ない銀龍の雷撃は現在のフローラのHP量では一瞬で溶けてしまう。

更に言えば今の装備は片方の武器を失いステータスが半減している状態だ、強化スキルが発動している現在でも攻撃と防御更に移動速度にも大きな影響を受けている、最もフローラ個人としてはよりダイレクトに痛みを感じる事が出来るからか嬉しい誤算だったようだが。

 

「うは~流石の威力~!飛んでくる礫一つ一つでも結構痛~い!」

 

嬉しそうな悲鳴を出して走り抜けるフローラ、彼女が走った後の地面は抉れ咲いていた花は散り乱れる、折角の美しい景色もフローラと銀龍の戦闘……いや逢引の前では惨状になる、辺りの風景を無残なものに変えて彼女たちは巨樹を目指して殺意を多分に含んだじゃれ合いを続けた。

 

「っと!ここまでか……いっよし!逃げるの終わり!HPもいい具合に削れたしMPも貯まった、ここから反撃と行きますか⁉」

 

そんな追い駆けっこも中央の大樹の麓に辿り着き終わりを告げた。

闘争の間にHPを削って[激昂]を発動させ、[ダメージアブソーバー]の効果でダメージをMPに変換させた、とは言え未だステータス的には万全ではない以上、ジャストガード・ジャストカウンター双方のダメージ増加を狙わなければ銀龍と直接対決の勝率は限りなく低い、だがフローラにそんなことは関係ない。

 

「あはははは!すっごいピンチ……はぁはぁはぁ、たっのし~!」

 

被虐性癖それ言いかえれば逆境的状況に対して異常な耐性がある事を意味する、ごく普通の感性を持つ人種であるなら過度な痛覚や周囲からのプレッシャーそれらを感じる環境に長く居続ければ精神に異常をきたす事がある、だがフローラの様な被虐性癖を持つ人種にとっては水を得た魚と同じ、多くの人からすれば絶望的な状況が彼女達から見ると最高のシチュエーションなのである。

 

「ふっ!ぐぅぅぅ……はぁはぁはぁ、やっぱりこれまで感じてきたどの攻撃よりも反動が大きい。」

 

ここに至るまでずっと避け続けた放電をガントレットに受け止めダメージを蓄積し始めたフローラ、だが銀龍の放つ電撃は彼女がゲーム開始からその身で受け続けたどの攻撃よりも強烈で重い、幾らダメージを1に抑えても反動だけは消し切れず後方に吹き飛ばされる。

 

【スキル[バイアップチェレンジ]を取得しました】

「っ!今度はどんなスキルかな~!」

 

[バイアップチャレンジ]

ジャストガードで発生した蓄積ダメージを二倍にする、だがジャストガードが失敗すれば倍加したダメージはこのスキルの使用者に反射する。

 

取得条件

HPが半分以下で一定以上のダメージをジャストガードで防ぐこと。

 

ここに来て新たに得たスキルはフローラの劣勢を覆しえる力、だが同時に敗北のリスクも孕んだ諸刃の剣……[激昂]にもリスクはあったがそれでも克服出来なくは無いもの、しかし[バイアップチャレンジ]には蓄積するダメージ量を増やすと当時に通常受けるダメージが二倍の数値で返ってくる、失敗が直接の死に直結したチキンレースだった。

 

「……にひ、うんうん!分かってるね~こう言うのだよ、私が欲しいのは![バイアップチャレンジ]!」

 

彼女の被虐嗜好はそのリスクすらご褒美だと言い放った様に喜々してスキルを発動する、落とされる雷撃をガントレットに受け後退するフローラ、木の根に踵を落とし下半身全体で強く踏ん張る。

 

「ふぅふぅふぅ……すぅぅぅぅはっ!」

 

迸る電光を受け止め息を吐いてタイミングを計る、そして電光が途切れる瞬間に深く息を吸い込み吐くと同時に全身に力を籠め振り払う……反動は無い、たった一度それも予習も無しのぶっつけ本番、失敗すれば死と言う状況下でフローラは[バイアップチャレンジ]を成功させた、だが吸収した力が大き過ぎたのか残ったガントレットに罅が入り始めた。

銀龍はそれを見て好機と捉え体に電気を纏い突撃を仕掛ける、対するフローラも長くは持たないと考え戦いを惜しむ気持ちを抑えて決着を着ける為に動く。

 

「[ミストイリュージョン]!」

 

ナーガから受け取ったスキルを発動させ自身と銀龍の周りに濃霧を発生させる、立ち込めた霧の中でも迸る電流の光が銀龍の居場所を示す、フローラは巨大な木の根を足場に光り輝くその場所の真上に向かって飛んだ。

 

はぁぁぁぁぁぁ!

 

重力に引かれ落下するフローラは渾身の力を左腕全体に籠め、自分の幻影と戦う銀龍の頭部に目掛けて振り下ろした、フローラの放った一撃の衝撃が突風を起こし霧を払い巨木を太枝をも大きく揺らし、銀龍を地に叩きつけフローラも風に煽られて巨樹の幹に打ち付けられる。

 

「はぁはぁはぁ……ん~!」

 

打ち付けられた痛みで悦に浸るフローラだがやはり攻撃の反動はあったのか暫く動けなかった、そこから漸く歩けるまでには回復して銀龍を叩き落した地点まで移動すると、ナーガの時と同じ様に銀龍の傍にも銀のリンゴが落ちていた。

 

「……それも未成熟なんでしょ?私は要らないよ銀龍君……。」

 

今度はリンゴには見向きもせず銀龍の元を離れ歩き出した。

 

「それで、ここからはどうすればいいのかな~?」

 

一応生命と叡智の神樹と思わしき巨樹の周囲を注意深く観察しながら探索するフローラ、その背後に何か細長い影が近づく。

 

「……ナーガ君に続いて君もかな銀龍君?」

 

このパターンは二度目だからか何かを察したフローラは振り向き近づいてきた影の正体に語り掛けた。

彼女と向き合う形で浮遊していた銀龍はやはり何も言わずに何かのアイテムを差し出してくる、銀色の鱗と黄金色の勾玉を受け取った。

 

【ククルカンの鱗】

 

ククルカンの体表を覆う鱗。

生命と叡智の神樹の元に持っていくと何が起こる。

 

【ククルカンの雷宝珠】

 

ククルカンの喉に複数存在する雷の力を宿した宝珠。

ククルカンに認められた者だけが入手出来る、これを装備している間はククルカンの固有スキルを使用できる。

 

[電撃鱗]

HPをダメージとして消費して電磁結界を発生させる。

電磁結界を敵対対象に接触させるとダメージを与えられる。

 

[マギアコンバートライフ]

MPを使用してスキルを発動した時、使用した分だけHPを回復する。

 

「成程、ナーガ君のスキルと対になってる訳だね。」

 

[電撃鱗]でHPを削ってMPを貯め、貯まったMPを[ミストイリュージョン]に使用してHPを回復する、ナーガとククルカンの固有スキルは相互関係がある事、そして二体に止めを刺さなかったフローラだからこそ二体から直接アイテムを譲渡されその事に気付けた訳だ。

 

「それで、これを渡しに来ただけじゃないよね?ククルカン君が来たって事は、神樹の根元に来ただけじゃ何も起きないのかな?」

 

ここに来る前の森でナーガに連れられてこの高台に辿り着いたのだ、となればククルカンがフローラの前に現れたと言う事はそれ即ち神樹の元迄辿り着くことがゴールではないと言う事、その証拠にククルカンもまたフローラを自身に乗せようと高度を下げて側頭部を彼女の目の前に出した。

 

「よいっしょ、それじゃ次なるステージへ行こうじゃないか。」

 

フローラもこういう事は二度目なので慣れた様子でククルカンの頭部に乗り次なる場所を目指す、フローラを乗せたククルカンはそのまま神樹の幹を沿って上へと上昇し始め太枝の密集した個所へ入っていく。

 

「樹の中に祭壇……そっか、ここがこのダンジョンのゴールはここなんだ。」

 

ククルカンに連れられ到着したのは生い茂る枝葉の中に安置された祭壇で、その祭壇の中心の小さな社に黄金と白銀の二種の果実が鎮座しているのが見えた。

 

「ん……ここまでありがとククルカン君。」

 

ククルカンに祭壇の手前で降ろしてもらいそちらに向けて歩みだす、近くで見るとなかなか立派な造りの祭壇であり周囲の風景と相まって幻想的な厳かな空気が流れている。

 

『よくぞここまで来た、試練を挑み超えた者よ……。』

 

フローラが祭壇の端に足を掛けた時不意に声が聞こえた、男とも女つかず幼い子供の様にも年老いた老人の声にも聞こえてくる不思議な声だ。

 

「貴方は誰?若しかして神樹さん?」

『うむ、私自体で見れば確かにそうだ……だが全体で捉えれば厳密には違うとも言える。』

 

行き成り聞こえた何処から話してるとも知れない相手にフローラは慌てる素振りを見せずに質問したが、漠然とした返答が返ってくる。

 

『この樹、生命と叡智の神樹は幾つかある創世の神樹から別れ育った枝木の一つ……つまり私自体は神樹と呼ばれる存在ではあるが、他の兄弟たちを含めると本当に神樹と呼べるのは親樹である創世の神樹のみ……私は創世の神樹から生命と叡智の力を分けられたに過ぎない。』

「……ん~つまり、貴方は神樹と呼ばれてはいるけど厳密には神樹では無い、貴方には親と呼べる樹があってそれが本当の所の神樹様って事?」

 

神樹の意思が語った自身の設定をフローラは自分なりに整理し出した見解が正しいか聞いてみる。

 

『大筋はその通りだ、そして我らには其々に親樹からこの世界を構成する力とそれに対応する試練を預けられた、私には生命と叡智の纏わる試練がな……。』

「えっと……その試練って言うのが、最初に言ってた私が攻略したっていう奴?」

 

かなりシュールな状況だ、神樹の分木の中の一つとは言えそれでもこの世界(NWO)を構築している要素の一柱を担う意思との遭遇なにも関わらず、フローラは臆する事も無く対等な立場からの口調で会話をしていた。

この状況なら普通のプレイヤーは訝しむか逆に興奮して、少なくとも彼女の様に平静ではいられない筈なのだが……。

 

 

「んんん⁉何、光が集まって……装備?」

 

神樹の意思との対話の最中フローラの体を粒子の様な光が覆い彼女の全身を包む装備に変化した、両腕と両足には白の無地の籠手と具足が装着してあり、胴には白地の胸当てとスケールメイル腰からは同じく白マント、頭には木の葉の冠と白いベールが存在感を示していた、すべてが無垢な純白の幼さと純真性を持つ装備を身に纏うフローラから神秘的なオーラを感じる。

 

『それは試練を超え選ばれた者のみが身に付けられる選定者の証、この階層に唯一つのみ存在する創世の神樹の力の一端だ。』

 

オリジンシリーズ

その階層に存在するユニークシリーズの基になった装備。

装備した者の経験や戦闘スタイルによって進化していくと言われており各階層に一つの神樹に一組のみ存在する、取得した者はこの装備を譲渡できない。

 

【神樹の冠(未覚醒)】

[MP+40][INT+15][破壊進化]

 

【神樹の軽鎧(未覚醒)】

[HP+40][VIT+15][破壊進化]

 

【神樹の籠手(未覚醒)】

[STR+15][DEX+15][破壊進化]

 

【神樹の腰マント(未覚醒)】

[VIT+15][INT+15][破壊進化]

 

【神樹の具足(未覚醒)】

[AGI+30][破壊進化]

 

「(未覚醒)……進化する装備か……。」

 

[破壊進化]

この装備が破壊した時この装備に蓄積された経験値を基に強化修復され形状とステータス及びスキルを変化させる。

修復は瞬時に行われるため破損時に数値上は影響はない。

 

すべての装備に(未覚醒)とあるのは前述にある通りこれからのフローラ次第で変化していく事を、彼女は装備の効果の欄を見つめて呟いた。

 

『そしてこれが、私から君に贈れる物だ受け取ってくれ。』

 

神樹の意思がフローラにそう伝えると祭壇の中にあった二つの果実がフローラの下に飛んでくる。

 

【金識の実】

生命と叡智の神樹に生る知識の実。

食べた者はランダムに三つのスキルを取得できる。

 

【銀名の実】

生命と叡智の神樹に生る命の実。

食べた者は自身のHPの最大値が三倍になる。

 

「金識の実と銀命の実。未成熟じゃない本物……ついに!」

 

フローラがここに来た理由であり目的の品の金識の実と銀命の実を手にして暫く感慨に浸り、その後銀命の実から齧り続いて金識の実を齧る。

 

『スキル[完全抗体]を取得しました。』

『スキル[リベンジソウル]を取得しました。』

『スキル[正拳]を取得しました。』

 

金識の実の説明にあった通り三つのスキルを同時に得た事を告げるアナウンスが流れて、今度はどの様なスキルなのかと早速確認する。

 

[完全抗体]

全ての状態異常に対して耐性大効果が発動する。

 

[リベンジソウル]

このスキルは発動してから効果発揮までを任意のタイミングで行う事が出来る。

一旦発動を宣言してから効果発揮までに自身の削られたHP量と同じ数値分全ステータスが反撃時に上昇する。

 

[正拳]

このスキルの保有者はHPが全快状態から半分以下になると全ステータスが60%上昇する。

HPを回復すると効果は終了する。

 

「うんうん、どれもいいねぇ~。」

 

取得したスキルは全てフローラに取って好相性だった事に満足そうに表情で何度も頷き笑みを浮かべる。

 

『最後に十二刻の守護獣に認められた証を持つ者は必ず送る事になっているこれもも渡しておく。』

「腕時計?違うな腕輪だ……ん?ナーガ君の抜け皮とククルカン君の鱗が反応して……えっ⁉」

 

最後に贈与されたのは腕時計の様に見えるブレスレット、そのブレスレットがフローラの手に渡った時彼女の持つナーガの抜け皮とククルカンの鱗が光を放ちブレスレットの中に吸収され、突然のことで驚くフローラは何が起きたか知る為にアイテムの解説欄を開いた。

 

【十二刻守獣召喚盤】

十二刻の守護獣に認められた者だけが所持する事が許される装飾品。

守護獣に認められた証を読み込んだ守護獣の分身を呼び出し攻撃支援または憑依させて其々の能力を引き出す事が可能、但し一度に呼べる分身は三体までである。

[召喚可能:辰巳]

 

「これはつまり……深く考えないようにしよっと!」

 

式神か従魔を複数体の使役し直接戦闘なり憑依しての能力付与、それは控えめに言ってもチートアイテムであり更に額面通りに受け取れば現在の二体にあと十体を合わせ合計十二体の分身を従わせる事が出来るのだ、流石のフローラも目を背けて見なかった事にしたいらしい。

 

「はぁ~、今日もいろいろあって楽しかったけどつっかれた~今日はもう帰ろっと。」

 

そう言うと出現した転移ゲートの上に移動して一路始まりの街へ帰っていた。




status
Lv18 HP840〈+40〉MP15〈+40〉
[STR0]〈+30〉[VIT0]〈+30〉[AGI0]〈+30〉[DEX0]〈+30〉[INT0]〈+30〉

装備
頭[神樹の冠(未覚醒)] 体[神樹の軽鎧(未覚醒)]
右手[神樹の籠手(未覚醒)] 左手[神樹の籠手(未覚醒)]
足[神樹の腰マント(未覚醒)] 靴[神樹の具足(未覚醒)]
装飾品
[ククルカンの雷宝珠]
[十二刻守獣召喚盤]
[空欄]

skill
[激昂]
[正拳]
[完全抗体]
[混乱無効] 
[大物喰らい(ジャイアントキリング)]
[勇猛果敢]
[ミストイリュージョン]
[電撃鱗]
[ダメージアブソーバー]
[マギアコンバートライフ]
[バイアップチャレンジ]
[リベンジソウル]
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