痛いのをいっぱい感じたいので体力に極振りしたいと思います。   作:マガガマオウ

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ドⅯ少女の毒竜

フローラが生命と叡智の神樹の下から帰還して一日が過ぎた明くる日、全身を純白に包んだ一見すれば聖女と見紛う美少女が一人、昨日とは違う方角へ歩み進めていた。

 

「こっちかな~ヒドラって毒竜の居る洞窟の方向は?」

 

彼女の今日の目的地はヒドラと言う猛毒の攻撃を仕掛ける多頭龍が出現するダンジョンだった、前日の戦闘相手のナーガとククルカンとは一度倒れ抵抗しないまたは出来ない相手には攻撃を行わないと言う彼女自身のポリシーもあって結局最後まで戦う事は無く彼女自身が不完全燃焼気味の逃走本能にヤキモキしていた為である。

 

「それにしても、またクロムさんにたよちゃったけど良かったのかな~?」

 

そんな事を呟きここに来る前の始まりの街での出来事を思い返すフローラは、今日の目的地の情報を教えてくれた先輩プレイヤーの姿を思い浮かべた。

 

ヒドラの居るダンジョンの事をフローラに教えたのはクロムであり事の始まりは、フローラが抱えた欲求不満の捌け口を求めて良い発散場所は無いかと情報を集めていた時の事だった。

 

『あ~ぁ!無性に暴れたいなぁ~!痛みを感じたいな~!昨日の神樹の試練が思ったより戦闘が大人しかったから尚更だよ~!』

 

そう心の中で叫びながら他のプレイヤーから話を聞いたりして情報を集めていたのだが、質問しようと近づいたプレイヤーの多くが話をする前にフローラの姿を見ると遠慮がちな態度で離れ、話が出来そうな相手も大体が露骨な口説き文句を事あるごとに吐き、真面な情報を教えてくれるプレイヤーはほんの少数だけなので結果はあまり良いとは言えない状況だった。

 

「あれ?フローラじゃないか、どうしたんだこんな所で?」

「っ!……クロムさん。」

 

人伝の情報が芳しくないの結果に露骨に意気消沈していた時、NWOを始めた時から何度も世話になった相手であるクロムに声を掛けられた。

 

「あの……いえ、何でも。」

「ん?何だ、何か聞きたい事でもあるのか?なら遠慮なく聞いてくれ。」

 

神樹の所在のヒントをくれたクロムなら他にも有益な情報を知っているかもしれないと思い質問しようとしたが、これまで散々世話になった相手にこれ以上縋るのも憚られたフローラは口を閉ざしたが、クロムの方が彼女の意図に気が付いて逆に聞き返してくれた。

 

「え⁉でも……。」

 

だがそれでも好意に甘える事を厚かましいと感じるフローラには、彼からの提案にまだ抵抗がある。

 

「何だ遠慮してるのか?なら気にするな、俺が君に親切にするのは俺がそうしたいからなんだからさ。」

 

そんな彼女にクロムは笑顔で胸を張り実に誇らしげに自身の行為を自己満足だと言いのけた。

 

「……ぷっ!ははははは!そうですね、”ほどこせし 情けは人の為ならず 己が心の慰めと知れ”ですよね。」

「ん~?それって”情けは人の為ならず”だよな、前後の言葉には覚えがないが。」

 

フローラの聞きなれた諺に似た聞きなれない言葉に、クロムは首を傾げ彼女の聞き返した。

 

「あ~ぁ!そうですね、その諺の原文の一つじゃないかって言われてる新渡戸稲造の詠った詩なんです。意味は、人に親切にするのは人の為ではなく自身が満足したいが為にやっている事だって言ってるんですよ。」

「成程!潔くていいな……うん、つまり俺が君にする施しは全て俺の自己満足って事だ。」

 

彼女の説明を聞いたクロムがその意味を知ると、納得のいった表情でその考えを肯定する。

 

「フフ、それじゃあお言葉に甘えさせて貰いますね。」

「おう、何でも聞いてくれ。」

 

彼女に頼りにされたいと言うクロムの意思を汲み、彼を立ててその場は素直に甘える事にしたフローラは自分が今何を求めているのかを聞いた。

 

「ふむ、つまり入手した装備とスキルを試せる手ごろなフィールドを探しているって事でいいのか?」

「はい、他の方にも聞いても割ったんですがどうにも……何処か良い所を知りませんか?」

 

フローラの話の内容を要約し彼女が要求している情報がどういった類なのかを見当をつけたクロム、自身の見解が合っているかを質問すると肯定する返事が返っしてくる。

 

うん、今のフローラの装いで聞き込みをしたら確かに気後れするよな……事情は分かった、フローラの希望に沿うかは分からないから確実にお勧めできる訳ではないが幾つか心当たりはある。」

「本当ですか⁉」

 

クロムが何やら小声で独り言を呟いた後、目の前のフローラが求めている本日の狩場の候補に心当たりがある事を告げると、彼女は食い気味な姿勢で質問を返した。

 

「お、おぉ……ここから一番近い場所だと、初期マップの森とは反対方向に《毒竜の迷宮》って洞穴のダンジョンがあるんだ、ボスモンスターは厄介だけど出現するモンスターも大して強い訳じゃないし初心者向けのダンジョンだぞ。」

「ふむふむ……《毒竜の迷宮》ですか、じゃあ今日はそこに行ってみますね……あっ、クロムさん情報ありがとうございました。」

 

クロムから話を聞いたフローラは早速町の外へと体を向けて移動を始めたが歩みを止めてに振り向き、笑顔を見せてお礼を告げそのまま目的地に向けて再び移動を始めた。

 

そして現在、クロムの情報を頼りにして目的のダンジョンの捜索を続けるフローラ。

 

「う~ん……まぁいっか、だって”我れ人にかけし恩は忘れても ひとの恩を長く忘るな”だもんね、ゲームを続けていれば何時かは恩を返すタイミングもあるよね。」

 

クロムに教えた新渡戸稲造博士の詩の続きに準えて語るフローラ、序に意味は自分が親切にした事は忘れても人から親切にされた事は覚えていなさいっと言っている、そうこうしている内に目的の洞穴らしき場所を見つけ探索を開始する。

 

「さてさて、どんな相手が出てくるかな~?」

 

さっきまでの回想を区切り目の前の洞穴の入り口に意識を集中させ、これより始まる新たな被虐的体験に胸を高鳴らせる。

一歩踏み込むと定番のスライムや如何にも毒持ちの生物を彷彿とさせる様相のトカゲのモンスターが行く手を阻む。

 

「きたきたきた!スライム君にトカゲ君かぁ、よろしくお願いします!」

 

最早ルーティーンとなりつつある何時もの構え、あえて相手の攻撃を受け止めるための低姿勢からの形だけファイティングポーズ、誰が口火を切ったかスライムの先制の突進を仕掛け次いでトカゲもそれ続く。

 

「ん!連携で来るか~確かに、一体ずつで相手をするより効率的だね!いいよいいよ、じゃんじゃん来てよ!」

 

二体の攻撃を体全体で受け止めその衝撃を全身に感じたフローラ、彼女の表情は早くも情欲に沸き立ち始め締まりのない笑顔を見せる。

以前よりも大幅に増加したHPが少しずつ削られ、その度に発生するむず痒い痛みが彼女の神経に甘い快楽となって刺激を送り続ける。

 

「あん!あぁ!あ~ん!」

 

スライムの粘質の体が胴に当たる度……トカゲの爪や牙が体を穿ち抉る度……フローラの口から歓喜の喘ぎが零れ落ちるその様は、淫猥な雰囲気を辺りに漂わせもし偶然にもこの光景を見る者が居たならば恐らく性癖を捻じ曲げかねない状況を作り上げていた。

 

「ふぅふぅふぅ……っん~!……はぁはぁはぁ、あれ?どうしたさ君達、さっきから攻撃の手が緩いよ?ほら……もっとガンガン来てよ!」

 

フローラの尋常ならざる雰囲気に押されたのか果敢責めていた二体のモンスターの攻撃が途端に緩慢になり勢いを落とし始めた、二体の攻撃を一心に受けていたフローラは攻勢が緩んだ事に不満げな表情を浮かべて更なる激しい攻撃を要求する。

 

「……そっか、あははは!ごめんね、一方的な勝負じゃつまらないよね……分かった、ここからはちゃんと反撃するね。」

 

そう言うとフローラの纏う空気が変わる、先程までの彼女が受けに全てを注いだ守りの被虐だとしたなら、今の彼女は反撃を誘発させるために敢えて反撃を返す攻めの被虐、一見すればドⅯとは真逆のドSに見える見敵必当の構えであり彼女が真剣勝負に臨む際に取る戦闘スタイルであった。

 

「ふっ!……くぅ~!はっ!……はぁ~ん!」

 

此方が当てるつもりの無い反撃を繰り出す度、二体は呼応するように攻勢を仕掛け再びフローラの艶めかしい喘ぎが漏れ聞こえた。

やがては二体と一人の興が乗ってきたのか遣り合いが激しくなり、何手かフローラの反撃が当たりだすと遂にスライムのHPが尽き消滅しそのすぐ後にトカゲの方も後を追うように倒れた。

 

「えぇ……折角いいところだったのに、仕方ない次の相手探すか。」

 

ダンジョン内の初戦の相手が居なくなり、次の相手を求めさらに奥へ進んでいくフローラ。

そして狭い通路を進み開けた空間に出た彼女は、その場の中央に不自然に群生する植物を発見した。

 

「毒竜を冠するダンジョンに唐突な緑……怪しいねぇ?あからさまな罠だよねぇ?罠なら引っかからないなぁ~⁉」

 

フローラの興味は常に被虐の刺激を望む、普通の見識を持つプレイヤーならば怪しんで近づかない草木生い茂る緑の絨毯の上を躊躇う事無く進み入り、緑一色の中でも一際存在感を見せる紫の花の前で身を屈める。

 

「見るからに発動のキーはこの花だね、よしそれじゃ行ってみよー!」

 

フローラが花の一つを指先でつつくと、花弁を萎めて紫色の粉末を勢いよく噴霧させそれに続くように周囲の花も毒の粉をばらまく。

 

「けほっ!こほっ!あははは、刺激を受けると毒性の花粉を放出するのか、それも連鎖的に……って事はこの一帯は根で繋がってるのか。」

 

立ち込める毒霧に咽ながら冷静に状況を分析する、[完全抗体]の影響で毒を含めたすべての状態異常に耐性を持つが故の平静だが、それでも煙たさは拭えず多少息苦しいらしい。

 

「ふむ……ケホケホ!如何やらギミックはこれだけらしいね、コホコホ!それじゃあ先に進もうか。」

 

毒粉舞う空間をゆっくり歩きだし煙が晴れる頃、次なるトラップに遭遇した。

淀み切った汚泥に似た怪しく濃い紫色を称え時折炭酸泉宛らに水面で気泡が破裂する様は人が想像しうる限りで誰しもが最初に思い浮かべる毒沼の風景そのものだろう。

 

「今度は毒沼だね!くぅ~!よしよし、ガンガン行こうぜ!」

 

何も恐れる事は無いフローラには通常避けて通るべき毒々しい水面を踏み抜き一歩一歩深みへと歩を進める、ぬかるむ沼底に足を取られ思うように動けずゆっくりとしか進めなかったがその焦れた心境ですら歩を進める原動力に変えていた。

 

「ふっ!ふっ!ふっ!ワップ!何⁉」

 

毒沼も中程まで進み残り半分まで行き着いて腰の辺りまで沈んでいた時、前を行く彼女の頬に何かが当たり驚きと共にまた新たな刺激が投入された事を喜んで声を張り上げ、自身の頬を叩いたそれを掴んで検める。

 

「これって……魚だよね?毒の泥水の中を泳げるって事は、毒に耐性があるのかな⁉それかこの子も毒持ちで自分の毒と沼の毒を中和させて中性にしてるとか⁉ふ~む、何はともあれ一回齧ってみよう!」

 

そう言うと彼女は手にした魚を腹から噛み付いて租借し始めた、ついでにこの時別の場所でフローラと同じ様にモンスターを捕食していたもう一人の初心者プレイヤーが怪物の側に踝の辺りまで浸かり始めたと事は今は置いておこう。

 

「んぐんぐ……味は、悪くない?毒沼を泳ぐ位だからてっきり不味いのかと思ったけど、毒効果も発動してないしHPも回復してる……なんだろこの魚?」

 

彼女が口にした魚はデトックスフィッシュと呼ばれる解毒効果のある魚型モンスターでこのダンジョン内で毒状態になった際ここで解毒と回復を行えるセーブスポットとなっていた、なお解毒ポーションはこの魚を素材にしても製作できる為に一部の生産職プレイヤーは定期的に訪れるらしい。

 

「ふぅ、ここは特に目新しい刺激は無かったな……次行こ次。」

 

毒沼を渡り切ったフローラはこの場で肩透かし気味を喰らった心境でその場を後にした。

その後も出現したモンスターを相手に攻撃を受けては痛みの快楽を振るえ、攻撃が緩めば反撃を返し更なる猛攻を誘い、トラップがあれば自ら進んで発動させギミックによる責め苦に頬を染めて喜んだ。

 

「ふむ、ここが最奥ボス部屋の前ってところかな?」

 

目の前にはフローラの身長よりも高く大きい扉、如何にもこの先に強敵が待ち受けている事を想起させるに十分な威容と存在感を示す両開きの門扉が聳え立っていた。

 

「クロムさんの話だとこの先に厄介なボスが居るって事だったけど、どのくらい厄介なのかな?ダンジョンのボス何だしきっとすっごく強くて手強いんだろうな~?……よし行こう!すぐ行こう!たっのしみだな~!」

 

固く閉ざされた扉に手をかけ力を込めて押し開くと、薄暗い室内には薄紫色の靄が中を満たし途中にある毒沼より色が濃く巨大な貯水池台の毒池が如何にも何かが潜んでん居る事を伝えていた。

フローラが完全に部屋にの中に体を入れると勝手に後ろの扉が締まり閉じ込められる、大きな音を立て閉まる門扉に興奮して身震いするフローラ、大方あの戸に挟まれたら痛いのだろうと想像しての事だろう。

 

「雰囲気あるな~、ふふ何処からでもカカッテきなさい!……何てね。」

 

そのセリフに反応する様に毒池から巨大な影がせり上がりその全容を見せた。

 

「アナタが毒竜さん?想像通りの姿ね、とても強そう!」

 

三つ首を持ち上げた巨体は所々を自身の毒が侵食してそうなったのか肉が腐り骨が見えている個所まである、眼球もその幾つかは潰れてしまったのだろう目が在った場所には深淵の闇を思わせる影が見えた、一度咆哮すればその口から紫の毒息を吐き散らし、己がこの洞穴の長だと主張せんばかりの存在感と重圧を示していた。

 

「先ずはどう来る!ってヒャア~!毒液の濁流かぁ~!」

 

相対するフローラに向けてその口を大きく開き独のブレスを浴びせた、この攻撃を体を広げ全身で受け止めた彼女はその勢いに押し流される。

そのまま威力が弱まるまで流されたフローラは全身に猛毒を受ける、幸い装備は無事だったが毒の状態異常にはかかってしまう。

 

「驚いたよ流石はボスモンスターの攻撃だね、[完全抗体]もすり抜ける毒効果って事はその辺りも普通じゃないって事か……よし、ブレスは積極的に受けて後は様子を見て受けるか逸らす考えよう。」

 

一撃喰らって相手の実力の一旦を体感したフローラは、その一端から相手の能力を分析して攻撃の受け方の方針を決める、そうと決めたら痛みに一直線なフローラは止まりないブレスを受けて押し返されても直ぐに立て直し何度も向かっていく、猛毒の痛みが全身を駆け抜ける度に体の動きは鋭くなり素早くなるHPが減る度にMPが増え攻撃が緩めば反撃してカウンターを喰らう、そんな遣り取りをフローラのHPバーが半分になるまで続けたその時。

 

【スキル[完全抗体]より毒耐性が[毒無効]に昇華しました。】

「えッ⁉嘘でしょ!このタイミングで!」

 

毒竜の猛毒のブレスを回避せずに喰らい続けたのだからこうなる事は明白だったしフローラも予想はしていたが、それでもそれまでにHP値にして三分の一になるまではもつだろうと考えていた。

予想よりも早い毒の無効化に落胆して動くを止めた時、その一瞬を逃すまいと三つ首の内の真ん中の顔がフローラに延び彼女の胴体に噛み付かんとしたその瞬間、フローラの腕に巻かれた腕時計の様に召喚盤が輝き銀龍ククルカンの分身が迫る毒竜の首に噛み付いた。

 

「へ?ククルカン君?何で、私は呼んでないよ?」

 

急に現れたククルカンの分身に困惑するフローラだが、そんな彼女に追撃する様に残る二つの頭も迫り急いで回避すると、彼女が避難したのを確認した分身が彼女の元に近づいてくる。

 

「ククルカン君?何で君が出て来たのかな?……何かな何を伝えようとしてるの?」

 

フローラの目の高さで浮遊する分身が彼女の質問に答える代わりに体を擦り付ける、まるで何かを伝えようとしいる風にも見えた彼女はさらに質問を投げかけて今度は毒が付着している顔を舐められる、それも何度も何度も。

 

「くすぐったいよ。そっか、心配してくれたんだね……ありがと。」

 

彼等は召喚盤に記録された其々の時を司る神獣の分身である、だが分身であっても意思は独立し一つの個体としての性質を持つ為、彼らの主の窮地には彼らの意思で顕現する。

 

「そうだよね、今は戦闘の最中だった、ちゃんと相手に集中しないと失礼だよね……よし、気持ちの切り替え完了だよ!」

 

自分を助ける為に命じられずとも現れた分身の姿に、さっきまで目先の些事に囚われ動きを止めた自分を恥じ現状の優先順位を眼前の毒竜との戦いにのみ意識を向ける。

 

「ふっ!……ちぃぃぃぃチェスト―――!」

 

元々発動していた[大物喰らい(ジャイアントキリング)]と[勇猛果敢]に加え、今はHP半減の効果で[激昂]と[正拳]の同時に発動した事でAGIが加速度的に上昇、その速力をもって毒竜の懐まで飛び込むと渾身の一撃をぶつける。

一撃を受けた毒竜はその巨体を数歩下がらせたがそれだけで、攻め切るにはまだSTR的にも足りてない。

 

「……ダメだね、思ったより手応えを感じない、もっと威力を上げなきゃ。」

 

勿論一撃を放ったフローラも拳を通じて感じ取っていた、相手の体が硬く衝撃が内部に届いてないと感触で理解できている。

 

「威力を上げつつ内側に衝撃を浸透させて、内部で炸裂させるには……うん?何かな?ククルカン君、何か提案?召喚盤がどうかしたの?」

 

フローラと共に毒竜を攻撃していたククルカンが、思案を巡らす彼女の元に近づいて目の前で静止すると視線を送って何かを伝えようとする、何を伝えようとしているか如何にか読み解こうククルカンの送る視線の先を見ると召喚盤を指している。

 

「この召喚盤に何が……若しかして!憑依[辰の刻]ククルカン!」

 

そう宣言すると体が半透明になりオーラの様な状態になったククルカンがフローラの体を覆い、ひと際強い輝きを放つとククルカンの姿は消え代わりにククルカンの特徴に似た光のエフェクトを身に纏ったフローラの姿があった。

 

「綺麗……これが憑依か、見た目以外に変化は……竜装拳?……成程、いけるね!」

 

召喚盤の守護獣の召喚ともう一つの機能、憑依とは呼び出した守護獣の分身をオーラとしてその身に纏い能力を得る機能である、そしてククルカンの憑依時の付与能力は[竜装拳]その手に竜の気を纏い相手を透過しながら衝撃を伝える防御透過技だった。

 

「お待たせ毒竜さん、ここからが本番だよ。」

 

ドⅯのフローラが本気の戦いを始める時、それは己の性癖を封じ戦いに徹する時、それ即ちフローラが相手と戦いに決着を着ける時である。

 

「[リベンジソウル]チャージ、[電撃鱗]!」

 

毒竜との対戦の最後は今のフローラが打てる最大の一撃を放つと決め、その為の[リベンジソウル]を準備状態で発動すると次いで[電撃鱗]で自らにダメージを与えある。

 

「[電撃鱗]![電撃鱗]![電撃鱗]!」

 

それも一回では終わらず何度でも、フローラがHPを削る度の電気結界は大きさを変えて範囲を拡大させ遂にボスの間の半分を占めるまで巨大になる。

 

「はぁはぁはぁ……ん!」

 

自らが発した痛みに身悶えつつも毒竜を晴眼し、一歩一歩ゆっくり体を前に倒しそれ連動して電気の結界も移動し毒竜を圧迫少しづつ後退させ空間の端まで追い詰める。

逃げ場を失った毒竜は尚も前足を上げ電気結界の範囲から逃れようと胴体を持ち上げるが、フローラは更に前進して毒竜の腹部に電気結界を押し付ると、腹に電流が流れた痛みに藻掻く様に叫びをあげる。

 

「[竜装拳]……すぅぅぅぅ、[リベンジソウル]バースト!」

 

[竜装拳]の発動と同時に[リベンジソウル]のチャージを解いて最後の一撃の為にすべてを引き出す、彼女の腕には竜の頭部状のオーラが現れ更に周囲に展開されていた電気結界の電気が集まりだす。

 

「電撃……竜装……銀龍拳!」

 

そう言い放ち拳に溜めたエネルギーを毒竜に向けて解き放つ、瞬間彼女の手から放たれた竜の頭部が胴体を得て真っ直ぐ毒竜に迫り貫き通すとその一瞬の間の後、一撃を受けた毒竜は光と消えその後には宝箱が現れる。

 

「ふぅ……たのしかった~!それじゃ、箱の中身は何じゃろな~っと?」

 

戦いを終えて高めた気を下げ精神を何時もの調子に戻すと、出現した宝箱に歩み寄り中を確かめる。

 

「これは石?いや目玉だね、毒竜さんの。」

 

宝箱の中身を見たフローラがそう言うと、宝箱の中から手のひら大の大きさの赤い球体を取り出し詳しい情報を確認する。

 

【毒竜の眼】

毒竜ヒドラの眼。

杖の素材として使用できるが装飾品としても価値が高い為売却すれば高額で取引できる。

 

彼女の推察通りこのアイテムは【毒竜の眼】であった、説明には魔法職の武器の素材に出来るとあるが売却しても良いらしい。

 

「う~ん、これに扱いについては保留でいっか。」

 

フローラには現状必要ない物だが追々何かの役に立つかもしれないと思い、ストレージの肥やしにすることを決め帰路へと着いた。




status
Lv20 HP875〈+40〉 MP18〈+40〉
[STR0]〈+30〉[VIT0]〈+30〉[AGI0]〈+30〉[DEX0]〈+30〉[INT0]〈+30〉

装備
頭[神樹の冠(未覚醒)]胴体[神樹の軽鎧(未覚醒)]
右腕[神樹の籠手(未覚醒)]左腕[神樹の籠手(未覚醒)]
足[神樹の腰マント(未覚醒)]靴[神樹の具足(未覚醒)]
装飾品
[ククルカンの雷宝珠]
[十二刻守獣召喚盤]
[空欄]

skill
[激昂]
[正拳]
[完全抗体]
[毒無効]
[混乱無効]
[大物喰らい(ジャイアントキリング)]
[勇猛果敢]
[ミストイリュージョン]
[電撃鱗]
[ダメージアブソーバー]
[マギアコンバートライフ]
[バイアップチャレンジ]
[リベンジソウル]
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