痛いのをいっぱい感じたいので体力に極振りしたいと思います。   作:マガガマオウ

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ドⅯ少女の辿った道の上の奇跡

フローラは浮かれていた、この戦場にこの狂乱の場に時に痛みを奪いそして己の悦として、そして挑む者には全霊を持って受け止め返す。

向けられる敵意は棘は彼女の精神を突き刺し喜びに奮わせた。怯えた者は敵に在らず、戦わずとも敗れたも同じ。畏怖のみの感情は向けられるだけで戦意を失せさせるだけ。

なれども、放っておけば悪戯に恐怖を掻き立て弱者を襲う暴徒となるだけ、だからこそ近くにいたプレイヤーに処理を任せ自分は新たな享楽を求め足取り軽く修羅を渡る。

ここは宴の場、人の欲・闘志・殺気蔓延る狂乱の輪達、フローラにとっての生水の源。

 

「はぁ~、楽しい!気持ちいい!うっれしい~!」

 

水を得た魚の様に戦渦交わるフィールドを満面の笑みで駆ける、目の前に迫る火球氷塊体に受けて迸り穿つ電光気にも留めず、少女は進むよ何処までも!

 

「くそ!止まんねぇ!」

「どうなってんのよ⁉さっきから結構な頻度で打ち込んでるんだけど⁉」

「いいから打ち続けて!何でか分かんないけど、狙いやすい位置に移動しながら近づいてきてるからきっと倒せるから⁉」

 

フローラの向かい魔法使い三人組はMPの許す限り有りっ丈の魔法を放ち、それ喜々して受け止めるフローラは何処までも幸せそうである。

 

「……さっきから何発当てた?」

「50発超えてから数えてない、ってか数えたくない。」

「普通ならとっくに倒れてる筈なんだけど……。」

 

そんなやり取りを繰り返し何度目かのMP切れ、MP自動回復スキルを持つ三人は一人が控え一人が攻撃一人が回復のルーティンを組んで順調にポイントを稼いでいた所フローラと鉢合わせ、彼女の遊び相手(一方的)になっていた。

 

「埒が明かない、ここはリスクが大きいけど大技を仕掛けよう。」

「それっきゃねぇ~か。」

「じゃあ、次の交代のタイミングで仕掛けるって事でOK?」

 

そのやり取りがあったとは知らないフローラだが、攻め方の変化から何かを感じ取っていた。

 

「攻め方が変わった?何かを狙ってる、何を……あっ!そっか、大技を仕掛けようとしてるのか!うふふ、いいよ受けて立つよ~!ドンドン来い!」

 

感に鋭く狙いに聡い、多くの試合を経験し幾度となく熱戦・激戦を繰り広げたフローラの勝負勘が相手の策、大勝負の前の溜めの一時の静寂を感じ取った。

 

「っ!態々遮蔽物の無い開けた場所に出て、立ち止まった?」

「何考えてんだ相手さん?」

「……ずっと気になってたんだ、何でこっちの魔法が全部当たってたのか。」

 

フローラの謎の行動に特大の疑問符を浮かべた二人は困惑する、とは言っても彼女はただこれから味わえる極上の刺激を最大限味わう為に出た来ただけだが、その様子を見ていた大技を準備している魔法使いが徐に語り出す。

 

「まさか、わざと食い続けていたって言うの?」

「……じゃなかったら、一撃か二撃は外れてもよかった、寧ろ態と外した攻撃も当たってところ見ると向こうから当たりに来てる。」

「避けるまでもないって事かよ……ふざけやがって!」

 

フローラはどんな痛みも零れ落としたくない一心で全てうけに行っただけ、しかしそれを知らない三人からすれば自分達の攻めは避けるまでもなく幾らくらっても痛痒感じないと言われている様だった、故に怒りを覚えた嘗められたままではいられないと。

 

「準備できたよ、詠唱もMPも……タイミングは何時?」

「あと少し、さっきから微動だにしてないわ……腹が立つぐらいね。」

「嚙ましてやれよ!俺達の最大威力の一撃だぜ、きっと倒せる!」

 

感情が荒振り目の前でふんぞり返るあの少女の目に物見せてやると息巻く、その敵意は遠くからでもビシビシと突き刺しフローラは喜悦はより強くなる。

 

「来るね次だ……[リベンジソウル]チャージ!」

 

この一撃は大きい、為の時間の長さがそれを物語る、どこらこそ引かないいや引けない挑む者には対等に自分の性癖を除いてもこの気質は歪めない!

 

「やっぱりいいな、この肌を突き刺す視線と気迫……この感覚だけは忘れられない!」

 

懐かしい敵意を向けらた時の身の毛が総毛立つ程の興奮、鍛錬は痛みと苦しみがあればあるだけ強くなれるが相手が居なければ張り合いがない、相手が自身に向ける敵意にはプラスの感情もマイナスの感情も両方備わっていた怒り嘲り緊張興奮そして僅かな恐怖と喜び、挑む相手と挑まれる自分又は挑む自分と挑まれる相手両者の間に流れるその空気が好きだった、だからこそ被虐に目覚めたソレも重度のマゾヒズムに。

 

「はぁはぁはぁ……滾る……溢れる……奮い立つ!」

 

本能を剝き出しにし、理性も高揚させ、魂から叫び、今この時こそが絶頂前フローラの命の迸りを堰き止めそれでも漏れ出る興奮の熱気が呼吸を荒くする。

 

「我が赫焔は神よりの怒り、延焼せよ爆裂せよ焦滅せよ……[メギド・バースト]!」

 

その手から放たれたのは最初は小さな火球だった、だがその大きさは膨張し続け遠く離れてもその熱気は周囲の環境を焼いきながらフローラに迫る。

 

「ん~!熱い!痛い!息苦しい!だから良い!」

 

彼女の周囲は地獄の景色に様を変え、地面は焦がれて草木は既に消し炭と化し水は蒸発しきって跡も残らない、それでも彼女は立っていた一歩も動かず跪かず堂々と迫る太陽の如き火焔球を笑みを浮かべて待ち構え極光と炎熱の渦に吞み込まれていった。

 

「行った!」

「ははは、ザマーみろ!俺達を侮っていた罰だ!」

「……あの人、何で逃げなかった⁉」

 

控えに回り終始の様子を見ていた二人は自分達の勝利を確信して大いに喜ぶ、はしゃぐ二人とは対照に不気味さと驚愕した様子で炎々と燃え爆ぜる火焔地獄を注視し続ける攻撃主。

 

「何でって、そりゃビビッて逃げる事も出来なかったんじゃ……?」

「そんなんじゃない!当たる直前まで見せていたあの表情にはそんな……。」

「そんな……何かの間違いじゃ?」

 

普段冷静な仲間が珍しく焦っている、その様子に浮かれていた二人も漠然とだが不安が過ぎ、そして三人で爆発地点を注視していると、火の中でゆっくりと動く人影を見る。

 

「…………っ!嘘……でしょ?」

「そんな……こんな事って、アリかよ……?」

「やっぱり……倒せてない!」

 

熱波と火炎が空まで赤く染める直地点の中心、火炎とそれで発生した火傷のダメージのエフェクトを身体の其処彼処に見受けるが、本人の表情は健常むしろ余裕の笑みすら浮かべて地獄の景色を観覧でもするかのように足取り確かに当たりを歩き回る。

 

「……なんだよアレ?」

「あそこまで喰らって反撃も接近もしてこないなんて……嘗めてるとかそんな次元じゃない、相手にもされてないんだ私達!」

「……………。」

 

信じられない信じたくないこの光景はまやかしだ、自分たちの相手への畏怖が見せる虚像だと精神が理解を拒み消えてくれと願うが、その思いは虚しく時間が経てば経っただけそれが紛れむない現実で真実と突きつけられる。

 

「何て……なんて奴だよ……はは、ハハハハハ!」

「っ!いきなり如何したのよ!こんな時に笑いうなんて!」

 

ダメージは受けているだが倒れない相手を前に濃厚な絶望感、攻め手はこちらだが追い詰められたのも此方、相手はただこちら攻撃を受け続けたのみ逃げも隠れも避けもせずただ受け続けるそれだけの事、だがそれが恐ろしい攻撃リーチの差など宛てにならない相手は反撃してこないのだから、自分達では倒せない圧倒的な強者を相手にした事に気が付いた時、熱血なプレイヤーの仲間が狂った様に笑い出し勝気なプレイヤーが咎めるがそれでも笑い声は収まらい。

 

「もういいよ、信じられないのは僕も同じだ……。」

「ハハハハハ!……こんなん笑いしかないだろ、これはバトロワだ上位プレイヤーだってわんさか参加してるのも分かってた、でもプレイヤーだからこうやって山張ってたら行けるだろうって考えてたら……本物に当たっちまった……煮ても焼いても食える気がしねぇバケモノ、並の奴には手に負えねぇ本物の怪物……あぁ~こんな事ならもっとレベル上げ頑張ってりゃよかったよ、スキルとかも研究してさ……。」

「アンタ達……まだ、負けてないじゃない!」

 

火焔地獄の中を舞う純白の妖蝶の幻想さながらの光景、その妖艶さと奇怪さを併せ持った観望を前に何もかもを諦め戦わずして敗北を認めようとしていた時、感嘆に暮れる二人を叱咤する勝気なプレイヤーの声が顔を上げさせる。

 

「そうよ、相手は強いわ!強過ぎるわよ!こっちが一方的に攻めても落とせる気がしない位分厚くて大きいわよ!でもね、それで諦める事したくないの!相手が反撃してこないなら、反撃させるまでは粘りたいじゃない!じゃないと、私は悔しくてたまらないよ!」

「……そうだな、アイツは今も本気じゃない……どうせ負けるなら、アイツを本気にさせた上で負けてやる!」

「いやいっそ勝とう、最初僕達は彼女を侮っていたでも本当に侮られていた僕達で、きっと彼女は一人でも戦えるだから群れてる僕らは相手にならないって考えているのかも知れないし、実際に僕らが遊ばれていた……ここから僕らが挑むんだ圧倒的強者に!」

 

数を揃えれば勝てるとは弱者の考えだとはよく言われる事だ、強者はその強さ故に孤独なるともよく言われる、実際どうだかは知らないがこの場の構図はそれを表していた。どんな攻撃も受け止めきり尚も立ち続けるフローラと、どれだけ攻めても倒れないフローラを一方的に恐れる三人。その両陣営の心境は異次元とも呼べるほど離れている。

 

「はぁはぁはぁ、ここすっごく気持ちいい~!火傷ってこんな痛みなんだ!熱くてジンジンきて……最高!」

 

対岸はシリアス此方はコミカル、両者の温度差で風邪でもひきそうなほどである。

 

「ふんふふんふっふん!もうちょっとここに居ようかなー?でもいい加減動かないと、あっちも攻撃してくれないし……っ!何この感じ……悪寒?まさか、相手の心折れてないよね?……ううん、そんな感じじゃないね、もっと危ない!」

 

最高の環境の中で次の行動をどうするか決めかねていた時、フローラは不自然な悪寒を感じ取りそれが何なのか思考する、相手が折れた時も悪寒は感じるが今回はそんな物の比ではないただ落胆するだけの悪寒とは違う毛が逆立つ感覚、例えるなら大きな災害の予兆を感じ取った野生動物の様なそんな感覚、それが彼女を走らせたこのままでは相手が危ないと。

 

「召喚[巳の刻]ナーガ!」

 

普通に走るよりも分身獣に乗せて貰った方が早い、一秒でも早く彼らの下に向かわなくては折角の対戦相手なのだ何が迫ってるか分からないが良からぬものであると事は分かる、何故ならフローラの危機感がさっきからずっと警鐘を鳴らし続けているのだから。

 

「何だと急に、なんか相手さんが本気になったぽいぞ?それも、見た事ないモンスターに乗ってるし。」

「あら本当、何でかしら?まぁでも、やっと本気で相手をしてくれる気になったのかしらね。」

「そうだと良いけど……あんなに焦ってるのは不自然じゃないかな?」

 

フローラの焦燥は遠見からでも察せるほど表れている、フローラ本人もこのイベント中化身の召喚は行わずに楽しむつもりでいた、だが自決を一時的に捨ててでも対処しなければと思う程の事がこのイベントで起きていると肌で感じ取っていたのだ。

 

「さっきより近付いてきてる、あの三人に後ろから……強く!」

 

それは悪意を感じない全く意識もしてない無邪気さの塊、例えるなら小さな子供が時折見せる無垢なる残虐性、好奇心と言う物の裏に隠れた本能的な暴力、フローラがもっとも危険とし畏怖よりも苦手する手合いの類であり、理性を失った時の望まぬ孤立を得てしまった自分自身でもる。

 

「何にしても、向こうから近づいてきてくれるなら寧ろこっちには好都合じゃない。」

「そうだ、今までは距離を取られてたせいで遠距離でも届く低威力か準備に時間がかかる系の魔法しか出来なかったが、距離さえ縮まれば短時間のチャージで高威力の魔法も撃てる、勝負するなら今だろ!」

「でも……。」

 

今までの余裕あるやり過ごし方を捨てて迄接近してくる意図を掴めない、あのまま彼女に攻撃を続けても体力を削り切る目測も経たなかっただろうし、何より攻撃してもポイントにならないのだからこっちが根負けして別のプレイヤーに狙いを切り替えていた筈で、結果としてはお互いポイントにもならない無駄な戦いを続けていた事になるが、成果に現れない主に精神面での敗北は喫していた。

 

「ポイントが欲しくなった?ならもっと早い内から、接近していても可笑しくない筈……何が目的なんだ?」

「それ言ったらもっと前からでしょ?読み切れない相手なのは、最初からそうだった。」

「相手の出方が変わったからって警戒ばかりもしてられないだろ、ずっとコッチの攻勢ばっかりだったのがアッチからも仕掛けて来ただけだ、これまでの累積ダメージもある火傷も負ってる今以上のチャンスはないだろ?」

 

未だにフローラの動向の変化を勘ぐり眉間に皺寄せて思案を続ける冷静なプレイヤーに、残る二人はこの好機を逃がしたくないが為に慎重になる冷静なプレイヤーを説得する。

 

「……分かったよ、このままウジウジ悩んでても埒が明かないしね。」

「そう来なくちゃ!」

「よっしゃ!ガンガン行くぜ!」

 

難しく考える事を止めた晴れやかな顔でフローラと相対する三人、その闘気は急ぎ向かうフローラも感じ取る。

 

「良かった心は折れてない、でも今はそこから離れて欲しかったかな?」

 

今だに続く警鐘の音の幻聴が距離を縮める毎に強く激しくくっきりと聞こえてくる、最早気のせいではなく確実の近付いてきているのだと本能が煩いほど知らせて来る。

 

「攻撃を再開してくるか、[バイアップチャレンジ]仕方ない最後まで相手してあげますか?」

 

急いでいる時でも相手が攻めの姿勢を見せれば受け止める、彼女はドⅯ意思の在る攻撃から逃げる事は絶対ない、全て受け止め美味しく喰らって喜びで満たす。

とはいえ今はこのいい様なのない不安感を如何にかしたい、だから今度はダメージを受けるよりも力を溜める事にシフトする。

 

「むっ!ガントレットで受けた?」

「どうやら、本気で相手してくれるらしいな。」

「あの大技からよね?って事は、アレがきっかけで本気スイッチが入った?」

 

向かい合う三人も受け身一片から急な防御姿勢の変化に戸惑うがやっと臨戦態勢に移行したと考えた、だからついさっき迄と違い迷わず攻撃を続行する。

 

「それでも、攻撃は避けずか……ここ迄くるとアレが彼女の戦闘スタイルなんだね。」

「えぇ、今なら分かる……彼女は最初から誠意的だったのね、だからこっちの攻撃を受け止め続けた。」

「敬意を払うぜ、アンタみたいな強敵とかち合った事にさ!」

 

ここに来てフローラの戦い方をズレた形で認識してきた三人は、一手一手が直接的な攻撃に変わっていく振りや釣り等ではない明確にフローラを倒す目的の攻撃を。

 

「攻撃が一直線に成ってる?ありがたいな、態と逸らされたりすると拾いに行くのとか大変だから、まぁでも焦らされるのも嫌じゃなかったけど。」

 

両陣の一方的な拳を交えた対話が間が埋まれば埋まるだけ激しくなる、三人に危機が押し寄せる前に近付きたいフローラと近付かれる前に落としたい三人、意図は違えど両者の間には邪念など無かった。

 

「良し来た!この間合いなら私の最大火力が撃てる!」

「おう!かましてやれ!」

「MPの回復は終わった、援護するよ。」

 

フローラが元の位置からちょうど中間に差し掛かった時、勝気なプレイヤーが大技の準備を始め今度は残る二人が時間を稼ぐ。

 

「また来る、でもさっきのとは違う……いいわ、どんな時でも挑む者には誠実に!」

 

制限時間が迫る中でも来るもの拒まぬフローラは再び受けの体制を取り始め、勝気なプレイヤーとの対話が始める。

 

「受け取って貰おうじゃない!我が蒼氷は絶対なり[アブソリュートグレイシア]!」

 

勝気なプレイヤーの杖の先から青白い光が現れそこから極寒の風が吹き荒れ、射線上を青く凍てつかせ封じ込める。

 

「ん!今度は、寒い!風が痛い!雹が冷たい!暑さの後の寒さ……悪くない、寧ろ良い!」

 

吹雪く雹は鋭利な刃となってフローラに刺さり、当たった場所から凍傷になっていく。

 

「はぁはぁはぁ……ごめんねナーガ君、私に付き合わせて。」

 

フローラを乗せて移動を続けるナーガにも氷のダメージが入り苦しそう巨体を震わせる、だが進む事を止めたりはしないナーガを労わる。

 

「憑依[巳の刻]ナーガ!これでHPは共有された、後は召喚[辰の刻]ククルカン!ここからはお願いねククルカン君。」

 

分身憑依を使用すると分身体のHPは召喚主であるフローラに依存する、そしてフローラのHPは現在ゲーム内でも五指入る域に達しており例えゲーム内に於ける直接攻撃の最大ダメージでも落とせない、ある意味無敵状態と成っているのである、その分移動速度は落ちるが即座にククルカンを呼び出し腕を伸ばして掴まり宙吊りで三人の下に向かう。

 

「くぅぅぅぅ!宙吊りだと寒さが際立つね!手が悴んで辛いのも良い!」

 

どんの時でもどんな場合でもそれが例え鬼気迫った状況でも彼女の思考は被虐に湧き満たす、被虐は逆境にこそ色湧き立ち心躍る環境が厳しきれ厳しい程活発になれるのだ。

 

「おいおい、蛇と合体したと思ったら今度は龍呼び出して掴まり飛びしてるぞ……。」

「私達のこのゲーム(NWO)での常識が揺らぎそうだわ……。」

「僕はもう既に揺らいでいるよ、あの非常識なタフさを目の当たりすれば嫌でもね……。」

 

今回のイベント中いやこれ迄のプレイ時間を総合してもここまで驚かされた相手は居なかっただろう、明らかに異質で鮮明な存在なまじ容姿も優れてるだけに電子の世界の筈なのに神秘性すら覚え、これまでの固定意識が霞んで消えていきかける。

 

「ま、まぁ……これはこれで、俺の最大の見せ場が来たとのかもだけどな。」

「あぁ、アンタの最大技って命中率が低かったんだけ?」

「威力が高い割に命中率上昇効果がないと結構な割合で外れるって言ってたね……。」

 

この三人のスキル構成は極振りステータスほどでは無いにしても大きく偏ている、冷静なプレイヤーは時間は懸かるがその分射程と威力命中率が良い、勝気なプレイヤーは時間は労せず威力とほぼ必中に近い命中率もあるがその代わり攻撃範囲が狭い、熱血なプレイヤーは範囲・威力・時間の三点は申し分ないが命中率が低いギャンブラー気質である。

 

「動かない相手なら当てられんだけど、早い奴だとほぼほぼ外れるし遠くてもさ……だから、飛んでて基本動けない上に間合いも近い今が一番当てやすいんだ。」

「そうなのね……もう私達は勝負着いちゃってるし、あとはアンタで落とせるかどうかよ。」

「今ある最高打点で行ってもダメだったからね、ここ迄くると君でもダメかもだけど……。」

 

三人が三人同じ方向に目を遣る、猛吹雪の中を強がりじゃない本当に余裕のある笑顔で龍に掴まり宙吊りになり進行してくる少女がやけに眩しく見える、実際ククルカンが微弱ながら放電して雪や雹を遣り過ごしているから光っているのだがそんなことは今は関係ない。

 

「んじゃ!好機は逃すなって事で、雷霆来たれり我が運を試す[八卦雷招]!」

 

吹雪が止んで現れた黒雲がその隙間より電光を覗かせる、今にも打ち下ろして来そうな空模様を浮かべる頭上の様子をフローラは緊張と期待の眼差しで見つめる。

 

「今度はタイムラグ無し、どこに来るか分からないタイプ……でも、外さないよキッチリ貰ってあげる。」

 

蜷局巻く大蛇の様な電光の塊が黒雲の中を這いずり狙い定める様にフローラの真上に留まる。

 

「きたきた!ふふふ、さあ降りておいでお姉さんが受けてめてあげましょう!」

 

その言葉に従った様に猛々しい爆音と閃光を伴った稲光がフローラを撃ち穿つ、遠目からでも直視にきつくその場に天へと続く柱が立ったような光景。

 

「すごっ……。」

「直撃した所初めて見たけど、流石は威力だけならゲーム内最高値ねぇ~。」

「圧倒的だね……でもこれなら。」

 

発動した本人は勿論残る二人も想像の三割増し位の景色に圧倒される、さしものフローラもこれでは生存は出来ていないだろうと三人は考えていた、雲が晴れ降り落ちた電気の激滝が止み切っても龍と共に宙に浮いたままのフローラを見るまでは。

 

「うん、分かってた。」

「何度も見て来た。」

「完全敗北だね、こっちは攻撃受けてないけど。」

 

並の相手なら何度でも倒せそうな大技を三回、間髪入れずに連続で受けきったフローラのタフネスさに呆れと尊敬の念すら浮かぶ、負けたのに晴れやかで無傷なのにどうしようもない疲労感を感じる。

 

「今までの比じゃない位気持ちいい!麻痺も加わって猶更感じちゃう!ンン~最高!」

 

我が世は春、痛みと苦しみの花が咲き灼熱と極寒の風が吹く天よりは雹と落雷が絶え間なく降り続ける地獄絵図(極楽浄土)ここはフローラの修羅場(理想郷)、環境全てが彼女を満たす彼女を喜ばせる彼女を昂ぶらせる。

 

「はぁはぁはぁ、これだけダメージを受けてれば十分だよね?もう時間もないしここで決めよう、憑依解除!」

 

フローラのHPは三分の一まで減り[激昂]も[正拳]も発動している、[リベンジソウル]もずっと待機状態を維持し続けている、迫る危機に対する準備は十分、後は行動するのみだった。

 

「憑依[辰の刻]ククルカン!追い込みの電撃鱗!」

 

更に追い込みを掛けHPを削り攻撃力の上限値を重ねる、すぐそこに迫る脅威はのっぴきならない所にまで来ていた。

 

「ここに来て防御を固めた?次は何を考えてるんだ……?」

「さぁ?それより何か後ろが騒がしくない?」

「そう言われてみれば、ずっとここであの人の相手してて気が付かなかったけど……なっ!」

 

それは迫って来ていた、林を隔てた後ろで一人の異常に固い大盾使いが放った攻撃の余波が止まる事なく広範囲に広がっていたのだ、それは猛毒の濁流だった一人の大盾が多勢に対し放った広範囲の猛毒攻撃その余りが時間を掛け三人に迫る。

 

「来た……アレが!この悪寒の正体、させないよ……彼らは私に取って、豪褒美をくれる人だから![リベンジソウル]バースト!龍装電撃銀龍拳!」

 

三人に迫る毒の波にフローラは龍を象り電気を帯びるオーラを固めた拳から解き放たれた、主の元を離れた銀龍の力の形代は迫る毒波を引き裂いて別け、更に消えずに突き進む通過す進路の先の毒液爆ぜ消して毒に濡れた鬼気すら焼き切って、毒を吐き出す源へと直進する。

 

「えぇ~!何アレ?こっち来る!えぇ~い[悪食]!」

 

銀龍の形代が毒の源、大盾の少女と会的するのに時間は懸からず、自分に向けて真っ直ぐ猛進してくる銀龍に少女は大盾を翳しスキルで呑み込んでいくが、殺し切れない力が踏ん張る足を後ろに押し出す。

 

「うむむむ~!パワー凄すぎっ!でも負けなッキャ!」

 

体中に力を込めて耐え抜こうと踏ん張る、だが最後の最後の最大の余波は耐え切れず大盾を放してしまうそして……。

 

「痛タタ……えっ痛い?」

 

イベント中無傷だったその頬にダメージ痕が現れていた、それは大盾に呑み込まれ消える直前の銀龍の形造ったエネルギーが崩れる際別れた破片の一つが大盾を放した少女の頬を掠めて出来たもの、大盾の少女がイベントで負った現在で唯一のダメージであった。

無論これはこの事実は様々な波紋を広げて、後に伝説へと昇華するNWO魔王と英雄の誕生として。

 

~SIDEchange~

 

295名前:名無しの観戦者

化けもんすぎんだろ

 

296名前:名無しの観戦者

おかしい所

防御系スキルの発動無しの素のVIT値で魔法全てノーダメで受けきる

アホみたいな威力の魔法

あいつのステどーなってんの?

 

297名前:名無しの観戦者

魔法受けたのは鎧がなんかやばいスキル持ちなんじゃないの?

 

298名前:名無しの観戦者

大規模スキルは殆どがエフェクト付きだから多分鎧が光ってないところを見るに何も無い

と思う

絶対じゃないがな

 

299名前:名無しの観戦者

うん

俺も鎧は今のところ何も無い……と思う

 

300名前:名無しの観戦者

マジ何あの歩く要塞W

 

301名前:名無しの観戦者

マジで歩く要塞で草生える

 

302名前:名無しの観戦者

おいなんか画面のはしが光ってないか?

 

303名前:名無しの観戦者

ほんとだちょっと光ってる誰かの攻撃?

 

304名前:名無しの観戦者

あの毒の中で動けるやつがいたんだな

 

305名前:名無しの観戦者

はっ?

 

306名前:名無しの観戦者

はっ?

 

307名前:名無しの観戦者

はっ?

 

308名前:名無しの観戦者

……ごめん俺の目がおかしくなったのか銀の龍がいきなり画面のはしからあらわれたんだけど?

 

309名前:名無しの観戦者

大丈夫俺にも見えてる

 

310名前:名無しの観戦者

俺も見えたぞ

つか絶賛格闘中だぞ♪

 

311名前:名無しの観戦者

ナニアレ……?

 

312名前:名無しの観戦者

歩く要塞がおされてる?

 

313名前:名無しの観戦者

イベント中なにがおきてる?

予想の斜め上過ぎるんだけど……

 

314名前:名無しの観戦者

あっ決着ついた

盾吹っ飛ばされて……ダメージが入った⁉

 

315名前:名無しの観戦者

マジでナニがおきてるこのイベント⁉

 




status
Lv20 HP875〈+40〉 MP18〈+40〉
[STR0]〈+30〉[VIT0]〈+30〉[AGI0]〈+30〉[DEX]〈+30〉[INT]〈+30〉

装備
頭[神樹の冠(未覚醒) 胴体[神樹の軽鎧(未覚醒)]
右腕[神樹の籠手(未覚醒)]左腕[神樹の籠手(未覚醒)]
足[神樹の腰マント(未覚醒)]靴[神樹の具足(未覚醒)]

skill
[激昂]
[正拳]
[完全抗体]
[毒無効]
[大物喰らい(ジャイアントキリング)]
[勇猛果敢]
[ミストイリュージョン]
[電撃鱗]
[ダメージアブソーバー]
[マギアコンバートライフ]
[バイアップチャレンジ]
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