浮遊城の狼   作:爆焔特攻ドワーフ

1 / 1
SAOのオリジナル要素マシマシの小説です。
リハビリ作品ですので温かい目で見てくださるとうれしいです。


第1話

 あの忌々しくも嬉しくもあったあの日。約一万人のプレイヤーが浮遊城に閉じ込められ脱出不可能になった出来事からもう一週間も経過した。

初日は知識の有利を確信して始まりの街から足早に出て行ったプレイヤーたち、知識の不足によって恐怖に縛られ始まりの街に留まったプレイヤー、そして現実を受け入れることができずに茫然自失として宿屋に籠るプレイヤーで別れた。

三日目は置いて行かれたプレイヤーたちが置いて行ったプレイヤーたちを罵り、追いつこうとして幾人も無謀な冒険の果てに散っていった。

七日目には少しばかりの勇気を持つものが僅かな情報を寄せ集め、それを検証して始まりの街に残るプレイヤーに配布し始めた。その中には信憑性の薄い情報――例えば隠しログアウトポイント――もあったが少し時間が経てば【情報屋】からの真実の提供によってそれらの不確かな希望は消されていった。

 あの地獄の始まりというべき宣告に大半の人々は憎悪を抱いたのであろうが、俺はむしろ歓喜を得た。人間と同じように会話できるNPCたち、現実の動物の習性を兼ね備えたモンスターたち。頬を撫でる風は現実味を高めさせ、森のむせ返るような草の匂いは現実と錯覚させるほどだ。現代社会で命のやり取りをするようなことはこの法治国家である日本ではどだい不可能だし、野山を駆け巡り自由気ままに生きることは実現できることではない。

だからこそ、あの宣告を聞いた時俺は心底喜んだのだ。

 童心に帰ったの如く半分狂騒状態に陥りながら一週間様々な場所を巡った。始まりの街の近くの洞くつに入り込み鉱石を採取してゴーレムと死闘し、山に登ってオオカミの群れに襲われる恐怖を味わいながら最後には狩りつくした。安全地帯と呼ばれる場所で寝食を行い、日が昇れば飛び起きて別の場所へ。旅人のように気ままに出かけ、何度も死にかけ、それを糧にして狩猟を行った。

 時には狂戦士のように相手と殴り合い、時には狩人のまねごとのように潜伏し奇襲を仕掛けた。SAOはリアル指向が強いVRMMOだ。敵は倒して終わりではない。剥ぎ取りを行い上手く剥ぎ取ることができれば相手の装備が丸々手に入る。武器や防具の作製も【金属精錬】スキルだけで行えるわけではない。応用法が求められるのだ。【木工】は基本的にタンスや椅子などの家具を作成するものではあるが、【スキル:応用】を習得すれば盾や鎧も作ることが可能である。

 金属鎧は防御力が相応の高さを誇るが代償として【速度】と【隠蔽】に対して下降補正が入るため、森や洞窟など奇襲が基本になるフィールドでは金属鎧を装備していれば明らかな地雷になってしまう。【木工】で作れる防具は防御力は低いが金属鎧を装備した時に比べて奇襲が成功しやすくなるのである。

 鍛冶に関係するスキルは【金属精錬】【木工】【小物細工】【裁縫】【合成】が該当するが、基本的に重視されるのは【金属精錬】派生の金属武器防具を作製できるスキル系列であり、一年前に行われたベータテスト版でも鍛冶プレイヤーには【金属精錬】派生が人気であった。しかし、自分にとっては序盤の階層で取得方法が限られている鉱石を加工して行うスキルより素材から直接武具へと加工できる【合成】スキルや【剥ぎ取り】などの複合スキルである【狩人】スキルは有用なものだった。

 自分が一週間で得た知識は順次【鼠】に横流ししているが、本人には初日以降一切顔を突き合わした情報交換は行っていないが、そろそろ補給も切れるので一旦【鼠】と合流し情報の整理と食糧の補給のために山岳地帯に存在する安全地帯である【アーグレァ】へと赴くことにした。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。