とある魔法と科学の交差点   作:もっち~!

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プロローグ

この子は、私の夢と希望を叶えてくれる。

 

「深夜、ありがとう」

 

「ちょっと…真夜…私の子供に何をするの?」

 

狂気に満ちた妹の表情を見て、顔が強ばる深夜。

 

「今は、何もしないわ。もう少し大きくなって、身体の構造が安定してからよ」

 

深夜の子供は、胎児の段階の検査で、最高難易度と言われている『分解』と『再構築』の能力が見つかった上、桁外れのサイオン保有量も確認された。

 

「この能力は天からの授かり物よ。これで、世界へ復讐が出来るわ。いずれ、『人工魔法演算領域」を造ってあげれば、最強の魔法師になるのよ」

 

深夜は、真夜の狂気に触れ、恐れおののいた。このままでは、自分の子供は、世界を破滅に導く道具にされかねないと。

 

 

深夜は真夜に内緒で、産まれ出る子供を兵器化させない為のストッパーを作る事にした。彼女達の四葉家は、武力においても、財力においても、技術力においても、世界有数の家柄であった。

 

「能力の一部、そうね…サイオン保有量に、リミッターを掛けられる能力を持たせたいの。出来るかしら?」

 

四葉家参加の技術スタッフに相談する深夜。魔法師の世界では、選りすぐれた魔法師を造るため、遺伝子調整技術を用いて調整体と言われる魔法師を製造していた。特定の遺伝子による組み合わせで産まれる能力、1つの受精卵を造るのに、数え切れない人数の遺伝子を掛け合わせていくので、親との血縁関係は無いに等しく、人造人間製造に値し、違法行為になるのだが、どの家系も秘密裏に研究し製造していた。

 

「そうなると、脳の一部を停止させるような、精神感応術が良いですね。では深夜様の保存卵子を使い、造ってみます」

 

深夜は精神感応術においてトップレベルの魔法師であった。

 

「お願いね。真夜の野望で、この世界を滅ぼしたくないの」

 

「わかりました」

 

 

時は同じ頃、真夜は真夜で、自分の子供が欲しくなっていた。

 

「彼との間に子供が欲しい」

 

破談した婚約者のことに思いを馳せる。どうするか。真夜は、立川にある学園都市を訪れた。ここは、最先端の科学を研究している学園都市であり、この国の国家施設でありながら、治外法権地帯であった。最先端の科学を法で縛ると、研究の妨げになるという理由であり、認可されていない医療科学技術もあった。

 

真夜はその内の1つに目をとめた。自分の細胞から万能細胞を造り、子供の産めない身体でも卵子を造れる技術である。

 

「これね。これに彼の凍結してある精子を受精させれば…」

 

真夜はその研究施設を買い取り、己の欲望に突き進んでいく。

 

 

深夜、真夜姉妹の師匠に当たる九島烈の元に、放っていた密偵より、二人の計画が届いた。深夜の計画は至極当然なことであるが、不完全な調整体は出産後20年未満しか寿命が無いのが問題であった。

 

深夜の体内にいる子供の能力にリミッタを掛けて、いざ使わせたい時に調整体がいないと、リミッタは外せず、宝の持ち腐れになる。これは不都合であり、国の為にならない。そこで、深夜の造っている調整体を完全体と呼ばれる、人間と同じ寿命を持つ身体にすることにした。方法は1つ、人間と同じ、受精をさせての出産である。深夜の造った受精卵を、極秘理に万能細胞化させて卵子に戻し、精子と受精させた。これで人間と同じ寿命を得られるはずである。

 

一方、真夜の受精卵であるが、自らの好奇心で、実験をしてみた。まず自分の精子を万能細胞化させて卵子を造り、そこに真夜の受精卵を精子に作り替えて、受精させておいた。男性の精子を卵子にして受精させたのは、初めての試みである。彼は、何らかの変化を期待した。

 

 

4月24日、深夜の体内から、男児が産まれ出た。名前は達也と命名された。

 

ソレを知った烈は、深夜の胎児を女性に、真夜の胎児を男性にした。更なる掛け合わせもしたくなったのかも知れない。

 

翌年の3月25日、借り腹より深夜、真夜の子供が生まれ、名前は深雪、真一と命名された。

 

「真夜も子供を作ったの?誰の子?」

 

「彼との子よ。能力は気にしない。スクスクと育ってくれればね」

 

あの狂気に塗れていた真夜の顔は、自分の子供を抱き締めた瞬間、優しい顔つきになったと言う。しかし…真一が3歳になる頃、事件が起きた。

 

烈が真一の能力を検査した結果、『吸収』であることが判明し、その上、脳内の魔法演算領域が膨大であったのだ。その結果、真一は誘拐された。どこかの組織に攫われたのだ。攫われた現場には達也と深雪もいたが、真一だけ連れて行かれた。真一を狙った犯行であるのは明らかだった。

 

「先生!なんで、能力検査なんかしたんですか?私は、真一が真一であれば良かったんですよ」

 

原因を知った真夜は烈に掴みかかった。

 

「検査したくなるだろ?真夜と彼の子供だぞ。それは期待出来る能力持ちに決まっている」

 

「私は、あの子を兵器にはしませんよ。あの子の成長を見ていたかっただけなのに…」

 

一旦は鎮まっていた真夜の狂気は、再度うねり上がって来た。

 

 

時は流れ、10年の時が経った。とある教会で二人の少女が話していた。

 

「お願い、火織…私は儀式の後、記憶を無くすの。あなたしか頼れない。あの子を救い出して」

 

「あの子とは?」

 

「私に移植される能力の元々の持ち主を持つ少年よ。十字軍が大漢を攻め落とした時、実験場にいたそうなの。今は、バチカンの隔離施設にいるの」

 

「元々の持ち主?能力を奪ったのか?」

 

能力を奪い取ることは、奪い取られた側の死を意味する。

 

「違うの。コピーしたの。彼の脳のクローンを造り、私に埋め込むのが、今日行われる儀式の正体よ」

 

儀式とは名ばかりの脳移植手術を行われる少女が、もう一人の少女に涙を堪えて言い寄っている。

 

「お願い…あの子を、国に返してあげたい。名前は真一って言うらしい。火織の国の名前よね?」

 

「そうだな。ありがちの名前だ」

 

「連れ戻れたら、土御門家を頼って。彼なら信用出来るから」

 

時間になったのか、司祭達が迎えに来て、涙を零した少女を連れ去って行った。

 

「火織、教皇の元へ来てくれ」

 

副教皇に連れて行かれる少女。教皇のいる部屋に連れて行かれた。

 

「火織、君を女教皇に指名した」

 

「教皇に指名?」

 

少女が驚いた声を上げた。教皇は普通、選挙で選任するのだから。

 

「教皇では無い。女教皇と言う新しいポストだ。君は聖人だし、若い。この先、教皇が変わり、道を誤りそうな時は、君が指摘し、誤りを直して欲しい」

 

驚きながらも話を聞いていた少女は、教皇の隣にいる少年が視界に入った。

 

「それで、君への初任務だが、彼を日本へ輸送して欲しい」

 

あの少女が願っていたことだ。どうして?もう用済みだからか?

 

「真一といいます。教皇達は精神感応術で操っています。記憶も書き換えたから、辻褄は問題無いです」

 

笑顔の少年の口から、驚きの言葉が飛びだした。

 

「どういうこと?」

 

「あのお姉ちゃんを救いたかった。でも、遅かったみたいだ」

 

既に手術が開始したのだろう。途中で止めれば、死に至る可能性が大である。

 

「どこで、そんな術を?」

 

「わからない。ずっと、隔離されていたから…記憶が曖昧なんだ」

 

少年を連れ、教皇の部屋を出た少女。

 

 

 

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