---宮藤真一---
転移をすると、目の前のベッドで、バァバのお姉さんの深夜さんが苦しそうな呼吸をしていた。
「真一…直るかい?」
深夜さんの身体を探査をして、悪い箇所を探した。心臓近くに細かい金属片を見つけた。これかな?『強奪』で取り除き、『修復』で体内のキズを修復してみた。それにより、呼吸は静かになったが、まだどこかが痛そうだ。探査を再度行い、症状の原因を探ってみる。肺胞の先の方が火傷かな。これも『修復』で修繕してから、全身に『回復』魔法を掛けた。これで、どうかな?しばらくすると、深夜さんはスヤスヤ寝だした。
「真一…ありがとうね」
バァバに抱きつかれた。ジィジは目元を抑えている。これで、良かったのかな?
いつの間にか寝ていた。僕を包む感触がいつもと違う。インデックスの質感とは違う物が僕に接していた。
「真一…ありがとう…」
全裸の深雪に抱かれていた。こういうのは男が女を抱くのでは無いのか?何故、僕は抱かれているのだ?それも、僕まで全裸なんだけど。
「一生、傍にいる。いいわね。逃がさないわよ~」
なんか、怖いよ、ネェネ…
「真一のおかげで、お母様が助かったって…本当にありがとうね」
感謝されるのは良いけど、脅さないでください。
---司波達也---
母が危篤なのに、風間少佐の召集を受け、魔法大隊本部に向かった。危篤の母の元へは、深雪だけを送り出した。
「大黒特尉、よく来てくれた。用件は本日未明に起きた大亜連合の軍港2箇所への爆撃について、意見を訊きたい」
そう言えば、ニュースでやっていたな。レーダー反応も無く、いきなり爆撃を受け、軍港2箇所が消滅したとか。
「キノコ雲が上がっていましたので、魔法では無く、核弾頭による爆撃だと思います」
「そうか、特尉もそう思うか。あの沖縄侵攻以来、我が国とは終戦していない国が攻撃され、我が国の仕業では無いのかと、疑惑の目を持たれているのだ」
この国には核弾頭は無い。公式にはだ。実際には九島家辺りが持っていると噂があるのは事実である。だが、それを爆撃する為の飛行機が無いのも事実である。
「核弾頭の使用であれば、我が国以外の国、USNAもしくは新ソビエト連邦が有力になる」
いや、違う。爆撃機がレーダーに無反応なんてあり得ない。特にあの国のレーダーは、大陸式の結界も併用していたはずだ。それを掻い潜り、爆撃出来る人物は一人知っている。総ての魔法を使える真一だ。アイツの場合、大漢に恨みがあるし。
「で、もう1つ訊きたいんだが、宮藤真一って人物を知っているか?」
既に、容疑者として浮かんでいるのか。
「はい」
「どんな人物だ?」
「一言で言えば、バケモノです」
「バケモノ?どういう意味だ?」
「そういう意味です。九重先生の体術、幻術ともに通用しませんでした」
あの先生が意識を狩られていた。俺ですら勝ったことが無いのに…
「そうか…彼も、君と同じ様に、わが軍に協力してくれそうかね?」
「止めた方が良いですよ。俺と違い、飼うのは無理です」
「赤紙徴収でもか?」
国としての命令ってことか?
「試してみたらどうですか?この国が戦場になっても知りませんよ。アイツは、四葉真夜の後継者ですから」
「何?どういう意味だ!彼女は子供を産めないはずだが」
「ですから、試してみてください。俺程度では予測は出来ません。そういう相手ですよ」
用件が終わったので、母の元へと急ぐ。
---七草弘一---
真一の元に赤紙が届いたそうだ。トラブル処理は俺の役目らしい。まぁ、真夜が前に出ると、取り返しが付かなくなるもんな。秘密クラブで、魔装大隊の隊長である風間と会った。
「何故、あなたが出てくるのですか?」
俺の登場に動揺しているようだ。
「真一に掛かるトラブルの処理は、俺の担当だ。この紙はなんだ?こんな紙キレ1枚で、真一に何をさせる気だ?!」
「何故、七草家の当主が出てくるんですか?」
「真一は俺の息子だ」
「!?」
戸惑う風間。
「認知もしている。家族も知っているよ。で、なんで、真一なんだ?」
「彼の計りきれない能力を、我が国の為に使って欲しい」
「そういうのは、アイツの総てを計りきってから言え。後、アイツの手を汚させるなよ。それにだ、既にアイツは違う国の所属だ。横取りは、国際問題になるぞ」
「違う国?何故です?国籍は我が国で、未成年ですよね?」
「アイツは3歳で拉致され、13歳で救出されたんだよ。この国は、アイツの為に、なんかしてやったのか?何もしていないよな?その顔は、事件被害者ってことも知らなかったようだな。一昨日来やがれ!!」
真一を何だと思っているんだ?アイツも俺も被害者だぞ!
「いいか、アイツはやっと人並みの生活を送れるようになったんだ。そんなアイツを軍に差し出せと?ふざけるなよ!」
俺は、席を立ち、その場を立ち去った。
---宮藤真一---
沖縄旅行は無くなった。真由美さんが僕を睨んでいる。ネェネは夏休みの間、深夜さんに付き添うそうだ。
「真一…違う場所に連れて行きなさいよ」
違う場所?僕は僕の家と学園都市しか知らないのですが…後は、イギリスかな?でも、観光地は知らないし。バチカンも隔離施設以外、よくわからない。さて、どうしたものか?
「温泉に行きたいなぁ」
と、美琴。温泉?
「温泉とは地面から吹き出すお湯ですっと、ミサカは解説をいたします」
ミニが解説をしてくれた。真由美さんがタブレットで温泉地を検索し始めた。夏休みは温泉決定なのか?
「これなんか、どうかな?秘境の一軒宿」
「いいですね」
真由美さんと美琴が盛り上がっている。そこに決定か?
「お届け物が来ていますよ」
玄関から封筒を抱えた五和がやってきた。教会の仕事が無い時、家事を手伝いに来てくれていた。五和から封筒を受け取ると、ニィニからだった。封筒を開けると、フォーリーフリゾートへの招待券が入っていた。
「あっ!これ、今話題のスポットですよ」
五和が喰い付くと、真由美さん、美琴まで喰い付き、同封されていたパンフに目を通し始めた。
「真一、決めたわ。ここにしましょう。都心にあるし、近いし」
秘境の一軒宿の温泉じゃないの?真由美さんは、再度パンフに視線を向けていた。