---司波深雪---
入学式の後、校門へと向かう。お兄様と一緒に帰る約束をしていたのだ。友達となった光井ほのかさんと北山雫さんと向かった。お兄様もお友達を連れて、既に校門前で待っていた。
「お兄様、遅くなりました」
「真一が問題を起こしたみいたい」
校門に着くと、美琴がそんなことを言い出した。彼女は謎のネットワークを使い、距離に関係無く、真一、シスターズと会話の交信が出来るそうだ。
「どんな問題?」
蘭が訊いた。
「襲われて…結果、怪我人多数だって」
そういえば、遠くから救急車のサイレンが複数聞こえて来た。
「初日から、何をやっているんだか」
呆れている美琴。言葉とは裏腹に、心配そうである。
「達也君、真一って?」
お兄様のお友達の赤毛の女性が訊かれた。
「深雪の…婚約者だよ」
「「「ええぇぇぇ~!」」」
事情を知らない皆さんに驚かれている。
「まだ、高校生なのに、婚約者がいるの?」
「う…うん…」
あぁ、耳が熱い。気のせいだろうか、お兄様はの表情が笑っているようだ。真一のこと…嬉しいのだろうか。
「先に帰っていてって。生徒会長と一緒に帰るってさ」
真由美さんと一緒なら、安心ね。みんなで帰路に着いた。
---宮藤真一---
かっちゃん、はんぞー君と共に現場検証に付き合った。
「森崎の魔法をバリアで弾いたのか…それにしても威力がデカイなぁ。森崎はオーバースペックで撃ち込んだようだ」
はんぞー君が、装置を使って、魔法弾の動きを計測している。
「ねぇ、ここって三科生はいちゃダメなの?」
僕の傍に付いているかっちゃんに訊いた。
「ダメでは無い。三科生もうちの生徒であるんだから、生徒会室に行くことは問題は無い」
「僕って、問題児?」
「或る意味…そうかもしれない。真一のような三科生は珍しい。一科生相手にしても、お前は負けないしなぁ」
ウィザードが魔法師の学校に通うのが問題なのだろう。ここも僕の居場所で無いのかもしれない。
「だが、お前の居場所はここだぞ。いいなぁ、変な気を起こすなよ」
かっちゃんは僕の心を見透かしたような事を口にした。僕の理解者なんだろうな。その後、真由美さんと家へ転移して帰宅した。
◇
翌日…学校へ通学…真由美さん、美琴、蘭と共に、学校の生徒会室へ転移で飛んだ。通学中に問題を起こさない為である。蘭は僕を元彼としてで無く、僕として認識できるようになっていた。認識した上で、一緒の学校へ通いたいと、蘭は両親を説得して今に至っている。
「授業が始まるまで、ここにいてね。真一は転移で移動して。学校サイドには許可を取ってあるから」
この学校の差別意識は強く、三科生が一科生のいる場所にいるだけで、不敬罪を口にする一科生がいるらしい。そんなヤツラがいるから、戦争も無くならないのだろうか?
「真一、問題が起きそうだったら、はんぞー君でも十文字君でも頼っていいからね。勿論、摩利、リンちゃん、あーちゃんでもいいし」
三科生ってだけで、問題が生まれ易いらしい。
授業中は問題は起きない。昼休みも問題は起きない。真由美とお弁当を食べる為に、生徒会室へ転移するからだ。
「真一、風紀委員として、差別主義者達は補導していく。だから、安心してくれ」
摩利の言葉に頷く沢木さん。去年、受講生をしていた関係で、生徒会の上級生には知り合いが多い。
「なんで、三科生の一年がここにいるんですか?」
知らない女性に噛みつかれた。
「彼は真由美の弟だ。敵にはなるなよ、カノン」
風紀委員の千代田花音先輩だと言う。五十里さんが小声で教えてくれた。
「啓!婚約者を前にして、三科生と仲が良すぎない?」
五十里さんの婚約者なのか…う~ん…
「なんだ!おい!ガン付ける気か?」
「いえ…その…決闘でもしますか?」
「バカ!やめろ~!」
はんぞー君が僕を抱え込んだ。
「おい!千代田、謝れ!死にたく無かったら、早く謝れ!」
はんぞー君が喚いている。僕は冷静だよ。こういうチンピラには力で示すのが良いって、ツッチーが言っていたし。
「服部君、何を言っているの?この私が三科生の一年に負ける訳無いでしょ?」
「真一君、ゴメンね。カノンて、短気だから、許してやってよ」
五十里さんが、彼女の代わりに頭を下げている。
「啓!舐められるから、止めなさい。こんなヤツは力で示すのが一番よ!七草先輩の弟ってだけで、つけあがっているだけでしょ!」
キャンキャン五月蠅いなぁ~。えぇ、犬っころになれよ!精神感応術で、千代田さんを子犬にしてあげた。その場で四つん這いになり、「キャンキャン」吠え始めた千代田さん。
「真一…お願い、術を解いて」
今度は真由美さんが僕に抱きついてきた。
「反省するのが先だよ。放課後まで、このままにする。ねぇ、お弁当は?」
「そうね…カノンが悪いのは明白だけど、昼休み中だけにして」
お弁当を背後に隠した真由美さん。お弁当を人質に取られた。真由美さんの申し出を受け入れ、漸くお昼ご飯にありつけた。
◇
放課後…校門に転移して、みんなを待つ。
「真一!」
美琴が走ってきた。僕を一人にするのって、不安なのだろうか?
「授業はどうだった?」
僕のカバンからノートを取り出しチェックしていた。日本語だけのはずだ。
「所々に、英語があるのは何故?」
「人間の言葉として、最初に覚えた言語だからかな?」
ラテン語とかギリシャ語の方が先だったけど、生きた人間の言葉じゃ無かったからなぁ。あのお姉ちゃんに習った言葉が、英語だった。今は不憫な喰う寝る食う少女に成り果てたお姉ちゃん…不憫すぎる。
「あっ!早かったねえ」
蘭、ニィニ達2科生が次に来て、ネェネ達の姿も視認出来る距離にいた。
「あ!貴様!」
へ?
ニィニの連れの赤毛の女性が、伸縮式特殊警棒を展開して、僕に襲い掛かってきた。特殊警棒に指を当て、『10万ボルト』を撃ち込むと、その場で失禁して倒れた。
「うん?真一、エリカと遺恨でもあるのか?」
ニィニに訊かれた。
「えぇ~、記憶に無いけど…この子のフルネームは?」
「千葉エリカだ」
千葉?あぁ~、あの千葉道場のか…そういや、女の子がいたなぁ。
「以前、千葉道場に習いに行って、師範を倒しちゃったんだよ。そしたら、道場破りだって、弟子達が襲い掛かってきて、全員病院送りにしたような」
「あぁ、そんなことが遭ったね。家まで押し掛けてきて、返り討ちにしたことって」
美琴は覚えていたようだ。
「そうなると、今も千葉道場は、真一を狙っているのか」
そうなるね。
---千葉エリカ---
アイツだ。オヤジを倒したアイツが、三科生にいた。何故、三科生なんだ?私を倒した魔法力、二科生でも支障が無い位だった。一撃で意識を刈り取られ、その場で失神という醜態を晒してしまった私。
「アニキ、アイツだよ」
入院した私を迎えに来たアニキに、アイツのことを話した。
「警察のデータベースで調べた。アイツは犯罪被害者保護プログラムで名前を変えていた。今は御坂真一と名乗っているそうだ」
犯罪被害者保護?
「加害者じゃ無いのか?」
「俺もそう思って、上と掛け合ったんだが、被害者で、どんな事件かは個人情報だとさ」
アイツのことだ、碌な事件でも無いだろう。
「名前が変わってても、後ろ盾は変わらない。エリカ、詮索はするな。相手が悪すぎる」
「相手?後ろ盾って、どこだ?千葉家より上なのか?」
「あぁ、そうだよ。4,7,9,10だ」
なに?四葉家、七草家、九島家、十文字家だと…数字付き家系の4割が、アイツの後ろ盾だと言うのか?アイツは、何者だ…
「ここからは、俺の独り言だ。アイツは普通の人間では無い可能性が大だ。CAD無しで魔法が使えるそうだし、体術、剣術も達人並み。手を出すと消される可能性が大、妹には先に逝って欲しくない」
それは、下手を打つと、殺される可能性が大なのか…