[注意]
この作品の主要キャラクターに男性は居ません
ストーリー展開は原作準拠ですが、少し変更があります
これは艦船擬人化作品です
シリアス展開、キャラクターが命を落とす描写があります
出てくる船達は宇宙服が必要ないと言う設定です、ご了承ください
[2202年 銀河外縁宙域]
1人の青い髪をした宇宙戦艦が空間を切り裂きワープアウトした。
「こちらゆうなぎ、ワープ成功、指定位置に移動する」
彼女の後ろからも次々にワープアウトして来る。
彼女達は地球軍精鋭の宇宙艦隊、しかし数はあまり多くなく設計も古いものばかりだ。
「全艦ワープアウト、艦隊縦陣隊形」
旗艦の「タイコンデロガ」から各艦に通信が入る。
通信を受け素早く陣形を整え前進を始めた
「虎の子の内惑星艦隊まできて……、司令部は何を考えてるんだろう……」
ゆうなぎは地球本星の艦隊を動員している事に疑問を抱いていた。
そんな事を考えている内に正面に艦影が現れた。数はこちらより圧倒的に多く、威圧的な見た目をしている。
「全艦、取り舵90度」
タイコンデロガより指示があり、艦隊は陣形を乱すことなく転舵を終えた。
その右弦方向に先程の艦隊が同航している。青い肌に深緑の艤装を備えた艦艇たち。
そう、ガミラス艦隊だ。地球で言うところのヨーロッパ系の人と見た目は変わらないが、艤装の大きさは地球艦隊の艦艇と比べると3割以上大きい。
更に、艤装に施されている黄色い眼のようなデザインが深海魚を連想させ一層威圧感を強くしている。
その中で一際大きな艦がゆうなぎの目に入った。
「あれは……装甲突入型のゼルグート……、やっぱり大きい……」
その艦は艤装その物も巨大で、操る人間より圧倒的に大きく、更に正面には巨大な盾を装備している。しかもそのゼルグート級が3人もこの宙域にはいるのだ。
「エリア内ゼルグートとのデータリンク開始」
ゆうなぎを含めガミラス艦隊との情報共有のためにリンクを繋ぐ。これから戦う敵「ガトランティス」の情報はガミラスの方が遥かに多いためだ。
正面に展開しているガトランティス艦艇たちは地球ともガミラスとも似つかない艦影をしている。
地球ガミラス連合艦隊はガトランティス艦隊との距離を縮めていく。
すると、ガトランティス艦隊の中でも一際大きな艤装をした艦が砲撃を開始した。彼女はメダルーサ級殲滅型重戦艦、物質転送機を備えた超長距離砲撃が可能な艦だ。緑の肌が特徴で人間の見た目をしているが何処と無く人ならざる雰囲気を放っている。
その艦が確認出来るだけで2人存在しており、ゼルグート級の正面の盾「ガミラス臣民の壁」に向けて砲撃している。
ゼルグート級には「ケルベロス1~3」までの名前が割り振られており、今現在砲撃を受けているのは「ケルベロス2」だ。
ガミラス臣民の壁は、初撃を防ぎ切り爆煙から姿を再び見せたケルベロス2は悠然と前進する。
続けてメダルーサ級から2度目の攻撃が行われ、またも盾で防ぐとケルベロス2を含む全艦艇が思った矢先に、同時に同じ場所に向けて攻撃された。
メダルーサ級の2人は、個人での攻撃から2人同時の攻撃に切り替えたのだ。
ケルベロス2は艤装から離脱する余裕も叫び声を上げる間もなく、爆煙の中に姿を消してしまった。
「ゼルグート級が沈んだ!?」
ゆうなぎはゼルグート級が沈む事は無いと予想していた。ゼルグート級の装備しているガミラス臣民の盾は、敵の一撃を耐える事が限界だった。
ケルベロス2の指揮していた艦隊が指揮系統を失い混乱し始める中、ゆうなぎは1人陣形から飛び出し敵陣へ突入して行く。
「ゆうなぎ!隊列を乱すな!戻りなさい!」
タイコンデロガから通信があり、ゆうなぎは軽く舌打ちをした。
「状況を見てください!お行儀良く隊列なんて組んでる場合じゃありません!」
敵に砲撃を繰り返しながらタイコンデロガに向けて返答する。
「火力で劣るなら機動力で巻き返すべきです、波動エンジンを積んだ私達ならできます!」
ゆうなぎはおよそ戦艦とは思えない高機動を取り、敵艦を次々と沈めていく。
すると正面のナスカ級から艦載機が発艦した。ゆうなぎは素早く反応し、ミサイル発射管を開いた。
「対宙ミサイル発射!」
ミサイルは全弾命中し、敵航空隊を撃滅した。その勢いのままメダルーサ級へ向けて進路を取る。
メダルーサ級も主砲を指向させて砲撃してきたが、上手く回避し直撃はしなかった。
「艦首魚雷、撃てー!」
艦首にある8門の魚雷発射管から対艦魚雷を撃ちメダルーサ級を撃沈した。
メダルーサ級を撃沈し、爆煙から飛び出したゆうなぎは戦場を見回していた。
(3年前の戦争がやっと終わったのに……、また戦争になるのかな……?)
ゆうなぎは宇宙戦艦でありながらも、戦争を良いようには思っていなかった。
すると突然ガトランティス艦隊が後退を始めた。それを追撃する形でケルベロス1が率いるガミラス艦隊が前進する。
ガトランティス艦隊の後退を不審に思ったゆうなぎはケルベロス1に対し直接回線を繋ごうとしたが、全く相手にされなかった。
ゆうなぎが回線を繋ごうとしているその時、ガトランティス艦隊の奥から1人の巨大な艦影が現れた。
全身を巨大な艤装で覆い、ゼルグート級よりも強い威圧感を醸し出している。これまでのガトランティス艦の中でも圧倒的な巨大さだ。
「なに…あれ……」
ゆうなぎがその威圧感に圧倒されているうちに、ガミラス艦隊は悠々と彼我の距離を詰めていく、「メダルーサ級が沈んだ今、我がガミラス臣民の盾に防げない物はない」と言っているようだ。
そうして向き合う大戦艦の前方に謎の回転する光の輪が現れた、明らかに何かの砲熕兵器を使う前触れだ。
ゆうなぎが必死に回線を繋ごうとしているのを後目に、大戦艦から緑色をした大量のビームが発射された。
それは、今までのガトランティスの武装と設計コンセプトは同じ「弾を大量にばらまく」と同じようだが、明らかに威力と量が桁違いだ。前進していたガミラス艦隊はビームの嵐に飲まれ全滅してしまった。
ガトランティス艦隊は大戦艦を先頭に再び前進し、距離を詰めて来ている。
大戦艦のビーム攻撃は止むことなく、大量に撒き散らしながら、地球ガミラス艦隊の艦艇たちを沈めていく。
ゆうなぎが、万事休すかと思ったその時、司令部より[プランA]の開始通告が入った。
プランAの内容は、「第3警戒ラインまで後退せよ」という指示だった。
指示に従いゆうなぎは後退したが、謎のプランへの不信感を募らせている。
その後カウントダウンが送られ、刻一刻と数字が減っていく。
そして、5秒前になった
「5,4,3,2,1」空間に一瞬の沈黙が走る。
次の瞬間、宇宙空間に2筋の閃光が走った。
「余剰次元の爆縮!?」ゆうなぎは信じられない事が起きている事を察し、少しパニックになっていた。
2筋の閃光は空間を切り裂き、ガトランティス艦隊に命中するかと思われた。
しかし、その閃光はただの波動砲の閃光ではなかった。
なんと2つが絡み合い拡散し、敵艦隊を完全に消滅させたのだ。
空間には、波動砲の余熱が燻っている。
その空間の燻りと同じ様にゆうなぎの感情も揺らいでいた。
「ねぇ、ゆうなぎ?大丈夫?」
隣に同型艦の[みねかぜ]がやって来た。
彼女はゆうなぎより少し後に作られた艦だが、ほぼ双子と言って良い時期に作られている。
「あれって波動砲だよね……?」
みねかぜが心配気に問いかける。
「大丈夫……、ちょっとびっくりしただけ……」
そうやり取りしていると、全艦に向けアンドロメダから通信が入った。
「私は、地球艦隊総旗艦[アンドロメダ]、プランAの発動により参上した。私はこれより掃討戦に移行する、これまでの健闘に敬意を表す」
淡々と事務的に通信を送り、アンドロメダは戦闘宙域に前進した。
ゆうなぎは、その姿を少し不信に思いながら見ていた。
「アンドロメダ………もう完成したんだ……、でも早すぎる……なぜ…?」
アンドロメダは敵の残骸が漂う中、黒焦げになった大戦艦の元へ向かった。恐らく、敵の兵器を鹵獲せよとの指示があるのだろう。
同時に、[サラトガ]と[ディファイアント]の2人が武装に損傷を受け作戦遂行不能となり、地球へのワープ帰還を要求し、承認された。
ワープは着地点の正確な情報が無いと、とても困難なものとなる。2人は情報を受け取り地球へと帰還した。
すると突然、大戦艦のエンジンに火が入りいきなり動き出したのだ。それもとてつもない加速でアンドロメダの横をすり抜けた。
アンドロメダは咄嗟に砲撃を仕掛けた
「3番、4番、撃てー!」しかし掠めただけだ。
「くそっ!」
アンドロメダは自分の主砲で沈められなかった事を悔やんでいる。
ゆうなぎもレーダーで大戦艦の動きを確認した。
「何!?敵が超高速で接近!?」
急いで舵を切り、緊急回避を間にまわせた。
大戦艦はゆうなぎを通り過ぎたすぐ後ワープに突入し姿を消した。
しかし、ゆうなぎは地球軍の2隻が同じ地点でワープしている事を思い出した。
「まさか…航跡を辿った……?」そう思ったゆうなぎは全艦に送られたワープ情報を元に地球へ緊急ワープをした。
[地球外縁 月軌道付近]
サラトガとディファイアントが無事にワープアウトした。
外殻に纏った氷の膜を脱ぎ捨て、通常航行に戻る。
2人は無事に地球の見える宙域に戻れた事で安心したが、その安心は一瞬で終わってしまった。
地球が見え安心していた2人の後方に、先の宙域よりワープして来た大戦艦がワープアウトしたのだ。 2人は全力で回避しょうと最後の最後まで抵抗したがその努力も虚しく、大戦艦は砲撃もせずただ真っ直ぐ2人の巡洋艦に突っ込み木っ端微塵にした。
大戦艦は月軌道に接近していた、だが月軌道を越えた先には金剛型の使っていた主砲を流用した軌道衛星砲がある。衛星砲は自動迎撃を開始したが敵の装甲を薄く削る程度で全く歯が立たず、巡洋艦達と同じ様に粉砕された。
大戦艦は地球連邦の首都に軌道を修正している、大戦艦の質量を宇宙空間より落とせば十分すぎる程の武器になるからだ。
そのすぐ後、大戦艦下方よりゆうなぎがワープアウトして来た。
「よし、追いついた!」
ゆうなぎは大戦艦の左弦へ砲撃を開始する、しかしゆうなぎの主砲では威力が足りず傷を少しつけるだけに留まってしまった。
(回頭して艦首砲を撃つ……?いや、そんな事をしてたら置いてかれちゃう……)
「せめて落着位置だけでもずらせたら…」
そう考えたゆうなぎは大戦艦の下方に回り込み艦首を大戦艦の腹に突っ込んだ。
ゆうなぎは下から押し上げ、軌道を変えようとしているのだ。だが、ゆうなぎ程度の機関出力では巨大な戦艦を動かす事は出来ない。
万事休すかと思っていたゆうなぎに突然通信が入った。
「この短時間で…そんな事できるんですか!?」
通信に驚きながら軌道データを送信した。
データの送信後ゆうなぎは大戦艦から離脱した。
「私の力じゃ無理だけど…あの人なら!」
[海底ドック]
海の底にある暗いドックに1人の戦艦が格納されている。
装甲は所々外され、主砲も一機下ろされていた。
突然ドック内に警報音が鳴り響き、機関始動シークエンスが開始される。
「補助エンジン、エネルギー充填100%」
2つある補助エンジンから始動を始める音が聞こえてき始めた。
「回路よし、シリンダー準備よし、補助エンジン始動、砲雷撃戦用意」
ゆっくりと巨大な影を落とす戦艦は浮上を始めた。
「射角修正35°、撃ち方用意…」
48センチ三連装陽電子衝撃砲が照準を定めて、砲撃準備を完了させた。
「撃てぇーーーー!!!!」
地球最強とも言える砲より3本の光条が空に向かって発射された。光条はグラスドームを突き破り周りにあった海水を一瞬にして蒸発させた。
3本の光は互いに絡み合うように1つになり、空から落ちてくる大戦艦を貫き撃墜した。
「ふう……何とか間に合いました……」
装甲が外されていたり、配管が剥き出しの艤装を装備していた彼女こそが、地球を救った英雄宇宙戦艦[ヤマト]だ。
ヤマトは改装中で艤装を装備していなかったが、緊急事態の為に急遽稼働させたのだ。
「ゆうなぎさんが動いてくれたおかげですね…、後でお礼を言わないと」
ヤマトがそう思っていると、視界が暗転し真っ暗闇となってしまった。
そんなヤマトの前に、先の大戦で沈んだはずのユキカゼが現れた。
(ヤマトさん、テレザートに向かって成すべき事を果たして…)
ユキカゼはそう言うと姿を消し、周りの景色も元に戻った。
「今のは…」
ヤマトは呆然としたまま海底ドックに立ち尽くしていた。
[第1話 完]