どうしてもバディ要素は薄く感じるかもしれませんが、楽しんでいただければ幸いです。
日本にある、山々に囲まれた街、神庭市。
ここでは、政府主導で「子供を早く社会と関わらせ、他者や異世界のモンスターの多様性を学ばせ、高いコミュニケーション能力を持つ優秀な若者に育てる」という名目で、子供に色んなことをさせている。
小学校では会社見学(抜き打ち)。中学校ではモンスター引率の元、実際に異世界へ行き文化を学ぶなどといったぶっ飛んだ教育がなされている。
更に、高校生になると「高校に通いながら働く」という選択ができる。
流石に、一般企業の会社員になるケースはほとんど無いが、金銭面や技術教育による手厚いサポートの元、自ら会社を興したり、自営業を営む学生が多く存在している。
それは、この場所。神宮高校の学生も例外ではない。
今、授業の終わりを知らせるチャイムが鳴り響いた。
教師「お、もう終わりか。解散。」
白衣を着た男性教師が数学の授業を終えて教室を出ていき、途端に放課後のことを話す者や商業の話をする者が現れる。
女子生徒A「今日どうする?」
女子生徒B「木之本君がクレープ屋さん始めたみたいだし行ってみない?」
女子生徒A「うわ、またアイツ、カロリーの化け物シリーズ作ってきたの!?」
女子生徒B「毎回美味しいから困るよね〜。」
男子生徒A「昨日送ったゲーム企画、どうだった!?」
女子生徒C「ボツ、ラノベ未満、企画書の概念から学び直せ。」
男子生徒A「くぅ!?」
男子生徒B「確かにな、企画書って言ってるのに…プフッ!1ページ目にあんな中二小説を載せるとか。」
男子生徒A「んだと!次こそは凄いストーリーでぎゃふんと言わせてやるからな!」
女子生徒C「だから…企画書の1ページ目にストーリー入れる奴は三流って何度も言って…。」
男子生徒A「期待してろよー!」
男子生徒B「あららー、行っちゃった。…ゲーム企画は僕達のが通っちゃったかな?」
女子生徒C「そうね、荒木君と伊吹童子の案で進めるわ。早速補助金の申請しましょう。」
伊吹童子「ヘヘ、ホントに通っちまったよ。」
女子生徒C「スマホゲームとしてのポイントは抑えてるし、面白さが伝わったからよ。純利益は初月30万、その後は継続して40万〜60万ってところかしら。」
男子生徒C「で、儲け話ってなんだ。」
男子生徒D「タピオカを売るんだよ!」
男子生徒C「帰る。」
男子生徒D「待ってよ!タピオカだよ!女子が寄ってくるんだよ!」
男子生徒C「今更新規店舗出したって売れるわけないだろ。」
男子生徒D「そんなぁ!じゃあなんでキンペイはタピオカで儲けたのさ!この前言ってたじゃん!」
キンペイ「ブームに火がある間にオリジナル商品を売って、飽きられそうな3週目で撤退したから儲けが手元に残っただけの話だ。都合の良い話しか聞こえないのはお前の悪い癖だぞ。」
周りが活気にあふれる中、教室の隅では男子生徒2人が真面目な顔で話している。
男の一人目は、速水探(速水 さぐる)。黒い髪をオールバックにして、机に座りながら工具箱を膝に置いている。
二人目は、花宮耕助(はなみや こうすけ)。少し伸びた茶髪を後ろの方で縛っている。
そして、二人の間には、銃の引き金が取り付けられたUSBメモリ型の機械が置かれている。
探「昨日1日かけて調べたが、このメモリはモンスターの能力を強化させるみたいだ。それも、そのモンスターを別物に変えてしまったり無茶苦茶な変化を起こせる。」
耕助「しかも、適合できなかったら使用者を暴走させると。やっぱり…最近のモンスター暴走事件とも関わってるってのは本当みたいだね。」
この二人は、元々機械修理業者をしていたのだが、ある人物の助っ人として数週間前からモンスターが暴走する事件を追いかけていた。そして、神庭市の至る所で引き金付きUSBメモリの用なツールが裏で取引されていることを知り、それを一昨日手に入れ、調べていたのだ。そして探はメモリの特性が、「モンスターの変質と強化」であることを突き止めた。
探「こんな危険な物が出まわってたらその内街が崩壊するぜ。」
耕助「なら、すぐに探偵さんに報告しよう。って、もうしてるか。」
探「ああ、昨日の晩にな。今日の放課後にコレを持ってこいと言ってた。」
耕助「なら、行こう。」
探「だな、…ん?」
二人は自分達に向けられた視線に気づく。
視線の主は、女子生徒。それも、二人と仲の良いクラスメイトで桜木春乃だ。
探「桜木、どうしたんだ?」
春乃「二人とも真剣に話してるからどうしたのかなって思って、さっきから見てたんだけど、そのUSBって。」
探「すまん、詳しいことは話せん。」
耕助「このメモリには、女の子には話しちゃいけないような内容が詰まってるんだ。ごめんよ!」
耕助はUSBをカバンにしまい走り出す。探も工具箱とカバンを手に持ち、春乃の横を通り過ぎる。
春乃「え、あ!二人共そのメモリ!」
春乃はそのメモリの正体に心当たりがあるらしい反応を見せ、それを聞いた二人の足は更に早足で階段を降りていった。
春乃「まさか、二人が…?」
探「危なかったな…。春乃、今頃会社に連絡してるかもな。」
耕助「探偵事務所に急ごう。最悪、僕らが売人だって疑われるかも。」
春乃は、「葉山警備会社」という学生警備会社で働いている。街で起こるモンスター関連の犯罪をバディポリスとは違い、実力行使で抑える武闘派の会社で警察との提携によって収入を得ている。
そして今、メモリの事も警備会社は調査をしている。
なので、もしメモリが社員に見つかれば取り上げられる。
今回は探と耕助は「雪桜探偵事務所」という事務所が受けた依頼に協力する形でメモリを追っていたので、万が一にでもメモリを取り上げられる訳にはいかなかったのだ。
探「俺らも危ない橋渡ったもんだな。」
耕助「僕ら、卒業まで生きてるか心配だよねぇ。」
二人の会社は、「修理野郎」という機械の修理屋…のはずだが、「雪桜探偵事務所」から受けた仕事で、事件の解決まで協力してしまったことを革切りに機械修理に加えて探偵事務所の手伝いまでするようになっていた。
今回の場合、メモリを違法な地下工場からこっそり奪っている。
そして、二人は今探偵事務所に到着した。
探「ふぅ、警備会社の連中は来ないな。」
耕助「早く入ろう、モタモタしてたら来ちゃうよ。」
探「おう、探偵!入るぞ。」
扉を開けた先では、鹿撃ち帽を被り神宮高校制服の上からトレンチコートを羽織った銀色のくせっ毛を肩まで伸ばした女性が新聞を読んでいる。身長は140程度と小さく、真っ赤な目は、事務所に入ってきた探達を見つめる。探偵事務所唯一の人間。雪桜氷華は二人に手を挙げ、笑いかける。
耕助「氷華先輩、お疲れ様です。」
氷華「うん、二人共お疲れ様。まさか、トリガーの工場を突き止めた上、くすねて持ってくるなんて驚いたよ。」
探「よく言うな。その答えはもう分かってて、俺らにヒントを与えたくせに。」
耕助「探…。」
氷華「ふむ…確かにメモリ犯罪の発生地点を纏めた資料は渡したけれど、そんなの工場の場所は。」
探「連中、この街を実験場と見てるのは明らかだ。てことは、売人の目撃情報と犯罪発生箇所が集中している北側で、安全な場所から見てるってことだろ。」
耕助「えっと、それでノースサイドで情報集めてたらたまたま売人を見つけて、追いかけて工場発見したんです。地下に。」
氷華「やっぱり君達は面白いよ。アレだけのヒントで工場に辿り着いて、しかも誰にも気づかれなかった。アレだけの警備兵がいたのに。」
探「お前も工場に潜入してたな!?」
氷華「それでも、USBを盗むことまでは出来なかった。君達は私以上の活躍をしたよ。それで、USBはどこだい?」
探「……これだ。けど、これを欲しがる依頼人って誰なんだ。」
氷華「バディポリス、今回のモンスター暴走事件が人為的な物という証明が無いとモンスターを捕まえる以外の踏み込んだ捜査ができない。だから今回は証拠を掴んでくれと言われたんだ。」
探「で、それがこのメモリってことか。」
氷華「ああ。まさか、学生企業が製造していたとは思わなかったけどね。」
耕助「え?あれ学生企業なの?」
氷華「そうだよ、たちの悪い研究をしている高校生達が秘密裏にコレを製造販売している。」
氷華は工場に一度潜入した際、中で働く人間達の顔を把握し、既に素性を割り出しているようだ。デスクに数人の学生情報を広げる。
氷華「殆どが北西神社高校の生徒だ。彼らはこれを『エボリューショントリガー』又は『Eトリガー』と呼び、製造していた。多分、誰かの指示で。」
耕助「あー…今まで気にしてなかったけど、確かに学生だけでこんなもの作れないよね。」
探「だが、それもバディポリスに任せれば問題無いだろ。仕事は終わったし俺は帰る。協力料振り込んどけよ。」
氷華「ああ、お疲れ様。…いっそ君達が私の助手になってくれればいいのにね。」
耕助「あ、それ面白そう。」
探「…!だ、駄目だ!それは…。」
二人の言葉に顔を真っ赤にしながら探が反対する。
耕助はその反応ににやけ顔を浮かべ、氷華は不満げな顔をする。
氷華「どうしてだい、修理屋の業務は邪魔する気は無いし、私の事務所を本拠にすれば機材のスペースも確保できる。良いと思うんだが。君達確か、店舗も作ってないんだろう?」
探「…か、考えてはおく。行くぞ、耕助。」
耕助「りょうかーい。先輩、また明日。」
氷華「あ、ああ。……どうして紅葉みたいな顔色になるんだろうか。」
耕助「僕は良い提案だと思うけど、どうしてダメなのかな。」
探「分かってるだろ。俺は、アイツと居ると調子狂うんだよ。」
氷華は体が小さく、小学生とすら見まごう見た目なのに反して言動は大人びて頭も良い。
そのギャップのせいか、探は度々彼女に目を奪われるのだ。
耕助「イヤイヤ、それだけじゃないよ。探、部屋のオタカラはロリもの多いでしょ。」
探「俺はロリコンじゃねぇっての!2次元の性癖で現実の人間襲うような分別のつかない人間に見えるか!?」
耕助「それはそうだけど、元から貧乳派だし身長高い人苦手でしょ。けど、人生で一度も理知的なロリ先輩にあったことなかったから距離感測りそこねてるってことじゃない?」
探「〜〜!」
探は先程話した小さな探偵少女を頭に浮かべる。
身長はとても小さく、アルビノに近い白髪と赤い目が特徴的。それなのに、自分達よりもとても賢く喋り方も理知的。その上先輩、向こうからグイグイと話を進めていくかと思えば、こちらの意思を都度確認する独特の距離感。
どれをとっても、読めない。
探「……、アイツは…探偵は単純に好きか嫌いかでは何も言えないだろうな。」
耕助「だろうね。単純な理由では決められないでしょ。」
探「…、明後日ぐらいに答えを出すから。耕助の方から伝えといてくれ。」
耕助「分かった。それじゃ、僕はこのへんで。」
探「ああ。」
その日、探はずっと氷華のことを考えながら悶絶していた。
完全に拠点の話を忘れていた。
ーー葉山警備会社、会議室
探達が氷華にEトリガーを渡した頃、春乃は葉山警備会社で二人のことを報告していた。
報告を受けている男は顎に手を当て、一言一句聞き逃さぬように静かに耳を澄ませている。
春乃「報告は…以上です。どうして二人がUSBを持っていたかについては分かりません。葉山社長は…。」
葉山「あー、桜木ちゃん。恐らくアイツらは白だ。アイツらが入ったビル、探偵事務所があるんだが…数日前にバディポリスが依頼に訪れているという報告も入ってる。」
春乃「良かった、ありがとうございます。」
葉山「単に、依頼の品を俺達に取られたくなかっただけだろうな。じゃ、次に探偵ちゃんからのタレコミがFAXで届いてるんだけど、コレ俺達の出動案件かも知んないねぇ。」
会議室がざわめく。
彼らは、基本的に実働を警察に任せ、情報の収集と警察への報告に専念しているからだ。
厄介な事件が発生しているということに他ならない。
葉山「前にあった生徒や用務員、教職員の失踪が今月に入って急増しているって、統計データと最後に目撃された場所まで丁寧に書かれてる。ねぇ、安奈ちゃん。あの子やっぱりウチで雇わ。」
安奈「私の友人を、セクハラ社長の前に出せると?このロリコン。」
安奈と呼ばれた社長秘書が葉山社長にシャイニングウィザードを決め、意識を刈られた葉山社長の手からFAXが宙を舞う。
社員達が手に取り、春乃も一枚手に取るとそこには恐ろしい数字と文書が添えられていた。
4月16日より、今月6月6日までに、起こった失踪事件について
未解決の案件は78に及び、行方不明者は86名。
一連の事件はモンスター暴走事件の発生のたった2日後から発生し続けているため、モンスター暴走の原因ツール、「Eトリガー」を製造販売する工場との関連を疑われる。
しかし、先日工場に潜入した際に確認した人間が誰一人事件現場付近で確認されていない。
今回の失踪事件は、別の組織が絡んだ誘拐事件であると推測される。
また、被害者の共通点はバディモンスターを持っていないという特徴のみである。
本日から、投稿するJokerseekerをよろしくお願いします。
活動報告は、バディファイトすらしていない今は募集しませんが、感想お願いします。
速水探
年齢、15歳
性別、男
■この物語の主人公、神宮高校1年。
■デリバリー機械修理店、「修理野郎」の店員その1として様々な機械を修理している。
■バディファイトでは、スタードラゴンワールド(ネオドラゴン)を使用するが、バディは居ない。
■一人称は俺。
【secret】ロリもののオタカラを本棚の目立たない位置に収納している。
花宮耕助
年齢、16歳
性別、男
■速水探の親友で、神宮高校1年
■デリバリー機械修理店、「修理野郎」の店員その2として様々な機械を修理している。
■バディファイトでは、カタナワールドを使用し、現在故郷に帰省中のバディモンスターが居る。
【secret】ピッキングが得意