緑谷出久の法則   作:神G

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【警告】(爆豪勝己ファンの方は必ず読んでください)
 大事なことなので最初に書きます。
 今回更新した《変えられない過去と戻れない日常の法則》シリーズは、全部が全部《爆豪勝己アンチ》の作品です。
 私自身『酷く書きすぎたか?』と思う程の厳しい仕上がりなので《爆豪勝己ファンの方々》と《『爆豪勝己が(社会的に)酷い目に会うのは納得いかない』という方々》は、至急ブラウザバックをオススメします。





 では改めまして…

 UAが8万を突破しました!

 今作を読んでくれている皆様!

 本当にありがとうございます!



 本当はゴールデンウィーク中に《5話(12話~16話)》の更新を目指していたのですが……無理でした…

・12話
変えられない過去と戻れない日常の法則(報復)

・13話
変えられない過去と戻れない日常の法則(ネット)

・14話
変えられない過去と戻れない日常の法則(暗躍)

・15話
変えられない過去と戻れない日常の法則(?)

・16話
 ? ? ? の法則

 以上の《5つの話》を同時に投稿したかったのは、今まで投稿した話の殆どは《ヘビーな話(暗い話題)》ばかりでしたので、16話は《ライトな話(明るい話題)》である《出久君の今後》の話を含めて更新したかったんです……
 でも、私の投稿スピードではまだかかってしまうので、先に3つの話(12話~14話)を投稿いたします。

 15話と16話の更新はもうしばらくお待ちくださいませ…

 毎度のことながら、投稿が遅くて申し訳ありません…



 今回更新した話には《シンリンカムイ達が出久君の警備についた経緯》の他に、《うえきの法則のキャラクター》も入ってます。

 《ヒロアカキャラ》の声優さん達の中には、《うえきの法則のキャラクター》の声優を担当した人もいましたね。
 今回の話の中には、《ヒロアカのあるキャラ》と声優が同じ《うえきの法則キャラ》が登場します。



 今更ですが…戦闘シーンに至っては自信がありませんので悪(あ)しからずに…


変えられない過去と戻れない日常の法則(報復)

None side

 

 ヒーロー社会を揺るがす発端となった事件の《1つ》である《無個性の中学生の飛び降り自殺未遂事件》……

 

 未だにその被害者である《無個性の中学生》は名前が伏せられている……

 

 更に、その中学生を結果的に死に追いやる要因となった《無個性差別の発言をしたヒーローの名前》も公(おおやけ)にはされていなかった…

 

 だが、この事件を知る全ての者達は皆一度は思う……

 

 

 

 

 

 なぜ…無個性の中学生に対する《自殺教唆の発言》が明るみにされているのに…

 

 その発言をした《ヒーローの名前》は明らかになっていないのか…と…

 

 

 

 

 

 普通、発言の内容を一語一句間違えることなく判明出来ているのなら、その発言をしたヒーローが誰かなのかも分かる筈、なのに世間の人々は《そのヒーロー》が誰なのかを突き止められずにいた。

 

 テレビ、新聞、雑誌を隅から隅まで調べても全く判明してはいなかった…

 

 『《ヘドロヴィラン事件に関わったヒーロー》の誰かじゃないか?』と疑う者もいたが、確証がないためハッキリとはしていない…

 

 その疑問の答えを探せば『誰かが裏で糸を引いて《その名前》を隠蔽したんじゃないか?』という結論にぶつかる…

 

 そうなれば真っ先に疑われるのは、《ヒーローの汚点》によって一番の被害を受けてしまう《ヒーロー協会》だ。

 

 

 

『今回の騒ぎの元凶の1人である《ヒーロー》をヒーロー協会が庇っている…』

 

 

 

 そう考えるのは《自明の理》だった…

 

 事態の悪化を恐れたヒーロー協会は是が非でも隠し通そうとしている…

 

 しかし、世間の人々はそのヒーローが誰なのかを知りたい…

 

 世間の人達は、そのヒーローに対して『自分だけ社会から誹謗中傷を受けないようにヒーロー協会に守ってもらっている卑怯者のヒーローだ』と印象付けている…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その《卑怯者のヒーロー》というのが……

 

 《平和の象徴・オールマイト》だなんて…

 

 人々は夢にも思ってないだろう…

 

 現在《ヒーロー側の人間》にて、自殺未遂をした無個性の中学生である《緑谷 出久》を死に追いやる発言をしたのが《オールマイト》だと知る者は限られている…

 

 

 その張本人であるオールマイトから一連の事情を直接聞いた《塚内警部》《根津校長》《リカバリーガール》…

 根津校長を通して《ヒーロー協会の上層部》《警察の上層部》《教育委員会の上層部》《イレイザーヘッド》《グラントリノ》《ヘドロヴィラン事件に関わったヒーロー達》…

 そして…グラントリノを通して《サーナイトアイ》《神様》…

 

 

 決して少なくはないが、ヒーロー側の人間で《無個性の子供を死に追いやった犯人》を知っているのは現在《この面子》だけである…

 

 そして…真相を聞いた誰もが最初は信じたくはなかった…

 

 《No.1ヒーロー》としては絶対にあってはならないミス……

 

 真相を知った者達の反応は様々(さまざま)…

 

 ある者は《失望されられ》…

 ある者は《頭を悩ませ》…

 ある者は《信頼が揺らぎ》…

 ある者は《呆れながも信じ》…

 ある者は《怒り満ちていた》…

 

 いずれにしても、皆がオールマイトに対して《大きな不信感》を持つようになった…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そう…《1分に満たない会話》とはいえ…

 

 その会話の中でオールマイトの言った《一言》が…

 

 1人の少年を死なせかけたのは…

 

 《変えようのない事実》なのだから…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして、その《不信感》を更に逆撫で(さかなで)する《新たな問題》が、神様の制裁を受けた後のオールマイトの口から語られた!

 

 しかも!それを語ったのは《退院する前日》にだ!

 

 

 

 そう……オールマイトはまた《問題》を起こしていたのだ…

 

 

 

 それを最初に知ったのは、担当医《リカバリーガール》であり、オールマイトがその《やらかし》を口にした瞬間!リカバリーガールは《体格差》や《病人》など関係なしにオールマイトの胸ぐらを掴み、その《やらかしたこと》を全て吐かせた!!!

 その《やらかし》を全て聞き終えたリカバリーガールは…《怒りの感情》など通り過ぎ…《呆れ落ち込んでいた》…

 当のオールマイトは、何故リカバリーガールがそんな態度をとっていたのか把握出来ていなかった…

 

 

 

 

 

 そんな《オールマイト》と《リカバリーガール》が互(たが)いに頭を悩ませていた……

 

 正にその時!!!

 

 新たに《2つの大事件》が発生していた!!!

 

 

 

 

 

 今年の4月末に開催されたヒーロービルボードチャートにて、20年以上前にヒーローを引退した《先代No.1》である《ゴッドヒーロー・神様》をヒーロー公安委員会が期間限定で復帰させて以降、上昇したヴィラン発生率は目に見えて下がりつつあり、日本の平穏は戻りつつあった…

 

 平和になりつつある日本で…

 

 《神様》が復帰して1週間後に《大規模な事件》が2つも発生した…

 

 

 

 

 

 その《大規模な事件》とは…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

●警察署(ビルボードチャート上半期から2週間以上経過した日…)

 

 

根津 side

 

 出久君の意識が戻って4日目…

 

 ヘドロヴィラン事件から1ヶ月以上経った日でもある今日……オールマイトが先週に退院し……頃合いを見計らい、僕は彼ら(ヘドロヴィラン事件に関わったヒーロー達)に、再びこの場所(警察署の会議室)へ集まってもらい、先程解散した…

 

「(はああぁ………まったく……全員が僕の予想してた反応をするとは………あそこまで思った通りの返答をとられると……逆に気持ち悪いくらいだね)」

 

 《予想してた反応》…

 

 《思った通りの返答》…

 

 それは言葉の通りの意味を指し、僕が彼らに1番伝えた内容である《意識を取り戻した緑谷出久君の現状》のことだ…

 

 僕は1時間前……この会議室での出来事を思い出していた…

 

 

 

 

 

 

●1時間前…

 

 

 前回の時とは違い、今回は《緑谷出久君を自殺に追いやった主犯の1人》である《オールマイト》も含め、《ヘドロヴィラン事件に立ち会ったヒーロー達》を1ヶ月前と同じ《警察署の会議室》へと呼び集めた。

 

 実はこの会議室には、小型の監視カメラが備え付けられており、隣の個室にはその監視カメラの映像が見られるモニターがある。

 

 前回は午前中の会議が終わったあとで、僕は相澤君と共に、モニターのある個室で《会議室の様子》を確認して、全員集まるのを待っていた。

 

 今回は全員が大人しく席に座って静かに待機し、予定していた時間の30分程前になって最後にオールマイトがやって来た。

 

 だが、前回は集まった時のメンバー(オールマイト以外のヘドロヴィラン事件のヒーロー達)はお世辞にも大人しくは待っていなかった…。

 《仲の良いヒーロー同士で、呼び出された事への愚痴を言い合う者》《席に着くや否やスマホを弄(いじ)る者》《場所を弁(わきま)えず大声を上げて叱り声をあげる者》等の態度をとるプロヒーロー達がモニターに映っていた…

 これから《僕のお説教》を受けるとは知らずに…《自分の時間を各自過ごしていた》…

 

 知らないとはいえ…《僕が呼び出した張本人であること》も《自分達が1人の少年を自殺に追いやった》など微塵も把握してる様子はなかった…

 

 僕はそんな《彼らの態度》を見て、全員集まっていなかろうが関係無しに今すぐ会議室へ飛び込み1人1人説教したかったけど、そこは相澤君に止められて《全員》集まるのを待つことになった…

 

 とは言っても《事の次第》を前もって伝えていた相澤君も、僕が会議室に乗り込むのを止めはしたが…彼も明らかに機嫌が悪くなっていた………どうやら相澤君も彼らに対して《怒り》を持っていたようだ…

 

 そして最後に《シンリンカムイ》が到着し、僕と相澤君は隣の会議室へと移動した…

 《煮えたぎる怒り》を抑え込みながら…《いつもの表情と音程》で会議室へと入室した…

 

 それから僕は…一種の《圧迫面接》のように《前もって得ていた情報》を順々に語っていき、彼らの《心の柱》を片っ端からズタズタにへし折った後(のち)、僕と相澤君は会議室を出た…

 

 でも…正直言うと、今でもまだまだ言い足りなかったさ…

 だって…結果的に言えば、彼らは《1人の少年を飛び降り自殺させるまでに追い詰めた要因》なのは変えようのない事実…

 《緑谷 出久》君が…無人ビルの屋上から飛び降りる際……

 

 どれだけヒーローに《失望》していたことか……《絶望》したことか……

 

 あのノートの内容も含めて考えると、僕は胸がとても痛くなったよ…

 

 だから、今回はオールマイトを含めた彼らには知って理解してもらわなければならない!

 《ヒーローを舐めている彼ら》に…今一度…《自分の罪》を再認識してもらうために!

 

 僕は心の中で《1ヶ月以上前の自分の心境》を思い出しながら、全員が揃った会議室の扉を開いて中に入った。

 

『やぁ!諸君!時間通りに全員揃ってるね!』

 

『根津校長』

 

 僕が会議室へ入ってくると、全員が顔を強張(こわば)らせた。

 

『さて、忙しい君達をまたこの場所へ呼んじゃったことだし、さっさと用件を伝えようじゃないか』

 

『………』

 

 僕は席に着いて早々、彼らに対して分かりきった皮肉の発言をした…

 

 僕の発言に対して全員が口を閉じ無言だった…

 

 当然だろう……

 

 彼らが《忙しい》かって?

 

 それは微妙なところだ…

 

 1か月前から《彼らを含む現役ヒーロー達の失態が連発したこと》で、《若手ヒーロー達の引退》を招(まね)いてしまった…

 《彼ら》は世間の人々から《ヒーローとしての信頼》を失ったことで、副業の仕事は無くなって《ヒーローの仕事》のみとなり、今は《引退した若手ヒーロー達の穴を埋める役割の仕事》が殆(ほとん)どだ。

 僕が決めた《奉仕活動での監視の仕事》も中断とし、各地の《ヴィラン対処》に明け暮れている。

 

 そんな中、シンリンカムイ、デステゴロ、バックドラフト、Mt.レディの4名は、ヘドロ事件後に僕から呼び出しを受けて警察署の会議室にて語られた《無個性の男子中学生の自殺未遂》の真相を聞かされた次の日に、雄英高校へ訪れて僕とリカバリーガールの元へやって来るや否や…『昏睡状態の緑谷出久君を護衛させてほしい』と直談判(じかだんぱん)してきた。

 

 いきなりの事で、僕もリカバリーガールも驚いたけど、《そんな勝手な頼み》を聞き入れる気なんて最初は全くなかったさ…

 

 でも彼らの意思は固かった…

 

 彼らは僕の説教を受けたあと深く反省し、《オールマイトを除くヘドロヴィラン事件のヒーロー達》で改めて話し合った結果、シンリンカムイを代表として、デステゴロ、バックドラフト、Mt.レディの4人が《緑谷 出久君とその御家族の護衛》をし、《プロヒーローとしての償い》するという結論を出したのだ。

 

 しかも《給料の半減》を条件に引き受けさせてほしいとのことだった。

 

 4人の今の現状からして、給料が半分になることがどれだけ大変な事なのかは言わずとも分かる…

 それに《飛び降り自殺を図った被害者の護衛》となれば、その《被害者の親》と《見舞い客》から直接《バッシング》と《苦情》を浴びることにもなる…

 

 僕としては《緑谷君とその御家族のこと》も気がかりだったが、《彼らの(苦しむ)負担をこれ以上増やしたくない》というのが本音だった…

 リカバリーガールだって同じ考えさ。

 

 僕もリカバリーガールも彼らの《頼み》を断り続けた……

 でも4人は僕とリカバリーガールの目の前で、深々と頭を下げ…《土下座》までして頼み込んできた…

 

 そんな彼らの覚悟に、僕もリカバリーガールも折れて《緑谷君とその御家族の護衛》を許可することにしたのさ…

 この事は僕を通して《ヒーロー協会》に伝えた、当然ながらヒーロー協会もご立腹な反応をしたのちに、シンリンカムイ達が言ってた通り《減給》の条件込みでの《護衛の仕事》を許してくれた…

 だというのに、ヘドロヴィラン事件から1週間後の大雨が降った日に《緑谷出久君を10年以上虐めてた爆豪勝己君》を、緑谷君の病室の前まで侵入を許してしまう事態が起きた。当人達の接触は何とか避けたが…追い返せたのは《リカバリーガール》のおかげらしい…

 本当に彼らは護衛する気があるのか?…と僕は疑問に思ってしまったさ…

 

 

 

 っと…僕が色々と思い出している間、オールマイトは《余計なこと》を考えてるみたいだね。

 

『その通りさ!オールマイト!』

 

『なっ!?』

 

 僕の突然の発言にオールマイトは目に見えて驚愕すると、彼ら同様に顔を強張らせた。

 

 余談だけど、僕は《読心術》なんか使えないからね?

 オールマイトみたいな《思ってることが顔に出るタイプ》の考えは、今までの人生(?)経験で分かるだけさ!

 

『じゃあ早速本題に入るのさ、当然のことだけど、今から話すことは《他言無用》だよ?』

 

 

 

 

 

 僕が彼らへ最初に伝えるのは…

 

 

 

 

 

『1か月前に《飛び降り自殺をした被害者》である《緑谷 出久》君が先日意識を取り戻したのさ!』

 

 僕自身が数日前に対面した《緑谷 出久》君のことさ。

 

 

 

 

 

『…………えっ?…』

 

 

 

 

 

 僕の発言に全員が目を見開き…口を無意識に開けて驚いていた…

 

 そんな彼らがこのあと何を言うのかは…もう見当がつく…

 

『み!緑谷少年の容態は!?』

 

『リカバリーガールが定期的に個性を使って治療してるとは聞いていましたが!?』

 

『どうなんですか!?根津校長!!』

 

『後遺症とかは無かったんですか!?』

 

『彼は元気なんですか!?』

 

 全員が僕に《緑谷君のこと》で質問してきた。

 

『落ち着いてくれ諸君、まだ話してる途中だよ、質問は全部話し終わってから受け付けるのさ』

 

 僕は彼らを落ち着かせながら、Mt.レディが言った《後遺症》という言葉が頭に突っ掛かった…

 

『今はリカバリーガールが彼を診(み)てくれているのさ。《古傷》と《事故の際についた額(ひたい)の傷痕》以外で身体に異常はないみたいだよ。逆に驚く程の早さで回復に向かっていてリカバリーガールも驚いていたさ!今後の検査結果次第では、早くて今月末に退院できるみたいさ!』

 

 そう……数日前に初めて会った《緑谷 出久君》は、《額に傷痕は有れど》1ヶ月間眠っていたなんて信じられないほどに、体調が回復して元気だった。

 当のリカバリーガールが『この回復は異常さね』と言うくらいだからね。

 

 緑谷君が《目を覚ました》上に《元気》だと知って、全員が《肩の荷を下ろしたように安堵の表情》になった。

 

 

 

 諸君……その《肩の荷》を下ろすのは早いよ…

 

 

 

『でもね《彼のお見舞いに行くこと》も《無断で会うこと》も君達は許されないよ?』

 

『ッ!!!???』

 

 立て続けの僕の発言に、全員がまた驚愕した。

 

『な、何故ですか!?』

 

『お願いです!彼に謝罪をさせてください!!』

 

『俺達は緑谷君に誠意を持って謝りたいんです!!』

 

『根津校長!お願いします!どうか彼に会わせてください!謝るチャンスをどうか私達に!!』

 

 《オールマイト》に続いて《バックドラフト》《デステゴロ》《シンリンカムイ》が食い付いてきた…

 

 一々説明しなくても分かって欲しいのさ…

 

『あのぅ…根津校長……もしかして緑谷君本人が私達に会いたくない……って言っていたんですか?』

 

『………』

 

 僕の考えてることを察してくれたのか《Mt.レディ》の発言によって全員静かになった…

 

 緑谷君が起きてくれて嬉しいのは分かるけど……僕から言わせれば『どの面を下げて謝り行こうとしてるんだい?』って気持ちさ。

 

『いや……話はそんなレベルじゃないのさ………Mt.レディ…さっき君が言ってたように…緑谷君には《ある後遺症》が出てしまったのさ…」

 

『えっ!?』

 

 

 

 

 

 とは言っても……今の緑谷君にとって……彼らからの謝罪なんて《無意味》だけどね…

 

 

 

 

 

『…はぁ……引き延ばしたところで意味なんかないか……じゃあ、ハッキリ言うよ!諸君!心して聞いてくれたまえ!意識を取り戻した緑谷出久君はね……………』

 

 僕は《緑谷出久君の現状》を一部だけ伏せ、彼らには全て話した…

 

 その内容は大雑把に言うと…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 緑谷 出久君は…

 

 《あるもの》を得る代わりに…

 

 《あるもの》を失ってしまった…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 僕が話し終える頃には……

 

 全員が《この世の終わりを見たような顔》になっていたのさ…

 

『言わなくても分かることだろうけど……今話したことは口外禁止だよ?まぁ緑谷君がこの先、自分から口外した後なら…別に構わないけどね』

 

『……………』

 

 説明の最後に注意事項を述べた…

 

『………分かったかい!!!』

 

『ッ!?』ビクッ!

 

 ちゃんと注意事項を聞いていたのか疑問に思った僕が今日1番の音程で声を出すと、全員驚きながら頷いていた。

 

『よし……まだ他にも話すことがあるのさ。今から名前をあげる4名には《ある仕事》を引き受けてもらいたいのさ』

 

『?』

 

『実は目を覚ました緑谷君は《ある人》に憧れて、もう一度《ヒーロー》を目指すことを決めたそうなのさ』

 

『ッ!!!??』

 

 また全員が驚愕した…

 

『一応言っておくけど、彼が《憧れた人》っていうのは、少なくとも《ここにいる誰でもない》よ?』

 

 問いただされると面倒なので率直に伝えた…

 

 約1名は愕然としてたが…

 

 まぁ…そんなことはどうでもいい…

 

『さっきは《お見舞い》だの何だので勝手に会うことは禁止と言ったけど、そこはヒーロー協会と話し合った結果、僕が決めた《5人の教育者》と一緒に《シンリンカムイ》《デステゴロ》《バックドラフト》《Mt.レディ》の4名には《緑谷君の指導》についてもらいたいのさ。どうする?』

 

『ぜ!是非!お願いします!』

 

『緑谷君のためなら!喜んで!』

 

『勿論!参加させていただきます!』

 

『わ、私だって!』

 

 4人のヒーローは《2つ返事》で了解してくれた。

 

『(まぁ…どの道、緑谷君の特訓に《シンリンカムイ》が絶対に欠かせなくなったからねぇ…)』

 

 

 

 

 

 だが、こんな提案を言えば…絶対に《議論》してくるヒーローが1人いる…

 

 それは…

 

 

 

 

 

『ね、根津校長!!私にも!!私にも緑谷少年の指導に参加させてください!!!』

 

 大声を上げて会話に割ってきたのは《オールマイト》だった…

 

『(オールマイト、君なら確実にそう言ってくると思ってたよ…『緑谷君が目を覚ますまで是が非でも生き続け、いつか意識を取り戻してくれた時《ワン・フォー・オール》を譲渡して《平和の象徴》として育て上げる』…って散々意気込んでたからね。だけど…その意見をアッサリ通すほど、僕は優しくはないのさ。それに…そんな発言をするってことは…《仏野君から受けたお叱り》も無駄だったみたいだね…オールマイト。………君はやっぱり何にも分かってない…そんな君には《ピッタリな仕事》を用意してあるのさ)』

 

 根津はオールマイトの発言に対して呆れながら、今のオールマイトに任せる《仕事》について思い浮かべていた。 

 

『オールマイト…悪いけど君にだけは、緑谷君を任せる訳にはいかないよ…』

 

『そ、そこをなんとか!?根津校長!!!どうかお願いします!!!お願いします!!!お願いします!!!』

 

 オールマイトは自分の席から離れ、僕の近くまでやってくると土下座をして何度も何度も頭を上げ下げしてきた…

 

 No.1ヒーローが後輩ヒーローの前で醜態を晒さないでほしいものさ…

 

『それにねぇオールマイト、僕は今とても悩んでることがあるんだ………君を来年《雄英教師》として迎えるべきなのかどうかを?』

 

『でえぇ!??そ、そんな!!??』

 

『オ、オールマイトが教師に!?』

 

『初耳だ!?』

 

『そんな話があったのに…無個性の子供の夢を否定したのか……オールマイトさん』

 

 驚いたオールマイトを放置し、《オールマイトの関係者》しかまだ知らない話を喋ったことで皆が動揺していた。

 

『どうして僕が、君を我が校の教師にすることを悩んでいるのか………その理由を説明する必要はないだろ?オールマイト?』

 

『………』

 

 言葉を失い…動きを止めるオールマイト…

 

 納得は出来ないようだが、彼も頭では理解しているようだった…(本当に理解してるのか不安だけど…)

 

『今の君は…《緑谷君》よりも考えるべきことがある筈だよね?このまま来年になって、もし《緑谷君》が雄英高校に入ったとしても、その時に君は《教師》として雄英高校にはいないさ』

 

『なっ!!?………』

 

『でも……僕だって《鬼》じゃない、最初に君へ雄英の教師を進めたのは《僕》なんだからね。でも正直言って《今の君》を我が校の教員として受け入れようとは思ってない。…そこでだ!オールマイト!君には《ある生徒》を来年の雄英高校の受験日の前日まで指導するという《ヒーロー以外の仕事》を任せたいのさ!』

 

『わ!私個人が…1人の生徒の指導を?』

 

『そうさ、その生徒もまた《ヒーロー》になることを目指しているようなのだが《色々と問題を抱えた生徒》なのさ。君がその子をちゃんと導くことが出来るのなら、僕は君を《雄英の教員》として迎え入れるのさ』

 

 僕が言ったことを簡潔に纏(まと)めると『《雄英教師》になりたいのなら《1人の問題児》を指導及び更生しろ』という意味だ。

 

 つまりコレは、僕からなりの《オールマイトへの課題》であり《チャンス》でもある。

 場合によっては雄英高校で緑谷君と出会えるという意味だからね…

 

 

 

 だが僕はこうも言った…《色々と問題を抱えた生徒》だと…

 

 

 

 ここまで来れば…その子供が誰を示しているのかは、僕とオールマイトの会話を聞いていた他のヒーロー達なら大体察っただろう…

 

『それにオールマイト、君を緑谷君に会わせるわけには行かない、引き続き接近禁止になってるからね』

 

『ッ!!!……お……お願いします…根津校長……《5分》…いえ《1分》でも構いません!どうか彼に会わせてください!お願いします!!!』

 

 オールマイトは僕がこれだけ言っても尚、《緑谷君》のことしか頭にないらしい…

 

 

 

 

 

 仕方ないさ……これだけは言いたくは無いけど……今のオールマイトには《良い薬》になるだろう…

 

 

 

 

 

『オールマイト……もうこの際だからハッキリ言うけど、《今の君》には緑谷君へ《会う資格》も《指導する資格》も無いよ』

 

『ど!?どういう意味ですか!!?』

 

『《どういう意味》だって?その答えはもう君が出してるじゃないか?正直に言いなよオールマイト、《今の君の本心》をさ』

 

『私の……本心?』

 

『そうさ、君が緑谷君と初めて出会った時、《無個性の緑谷出久君》には《ヒーローとしての期待》なんてしてなかったんだろ?』

 

『ッ!??ち、違います!!!』

 

『君は彼の覚悟を試(ため)したんだ。断片的にでも《彼の無個性としての辛い過去と経験》を聞いた上で…』

 

『そ、それは……』

 

『君は緑谷君が《ヒーローを目指すに値する人間》なのかどうかを試した……《口先だけではヒーローは勤まらない》《覚悟の無い者はヒーローになれない》……常識的なことさ。といっても君の場合は、緑谷君が《無個性》だと知った時点から本心じゃ見限ってたんだろ?《個性(ちから)の無い人間には、ヒーローになる資格はない》…とね。これはつまり…あの日の君の本心は《緑谷君からの質問》に対して返答するのが《面倒くさかった》だけなんだろ?だから『無個性はヒーローになれない』なんて安易で適当な返答をした…』

 

『《面倒くさかった》なんて!!?そんなこと思ってはいません!!私はあの時!親身になって緑谷少年と話をしました!!!そ、それにあの時は《時間切れ》が近づいていたので…考える余裕など…』

 

『(《時間切れ》?)』

 

 オールマイトに対する根津の冷たい言葉に圧倒され、無言でいたシンリンカムイ達だったが、オールマイトがふと口をついて出した《単語》に疑問を持った。

 

『都合の良い《言い訳》や《嘘》なんて、後(あと)からいくらでも言えることさ……世間に対しても……僕達に対してもね…』

 

『………』

 

『オールマイト、君は考えてみたことはないのかい?この先、もし《緑谷君を飛び降り自殺に追い込む発言をしたヒーロー》が《君》だと世間にバレたその時、君が緑谷君を指導をしていたら、世間の人々はどう受け止めると思う?』

 

『…?』

 

『僕の予想では、君に対しての《大きな失望》と共に、君は《緑谷出久君が個性を発現したことで興味が湧(わ)き、掌を返して彼を指導してる》ってね』

 

『なっ!!!??そんなこと!?』

 

『有り得るんだよ、現状の世の中を見れば余計にね。僕から言わせれば…今の君はただの《自己中な大人》さ』

 

『か、彼を最初に見つけましたのは《私》です!』

 

『そして、緑谷君を最初に見捨てたのも《君》じゃないか?』

 

『っ!!!!!』

 

『……見苦しいよオールマイト…僕が前に君へ言ったことを忘れたのかい?『緑谷君にとって君はもうヒーローじゃない』ってね。《今の緑谷君》には…君はもはや《画面越しのNo.1ヒーロー》でしかないのさ』

 

『グッ!!?…に…2度と…間違えたりはしません!この私の命に変えても!彼を守り、育てます!ですから私に彼を!緑谷少年を《平和の象徴》にさせるチャンスをください!!!お願いします!!!』

 

 オールマイトはまた頭を深く下げて床に額をつけた…

 

『それなら証明して見せなよ…オールマイト。本当に君がこの先…《間違えたこと》をしないと言うのなら、僕が言った生徒を《更生》して《ヒーロー高校》に合格させてみせなよ!それくらいのことが出来なきゃ《緑谷君へ会わせること》は出来ないよ。それに、教師じゃない君に対して指導する生徒を《1人》だけにしたのは、僕なりに《最大限の配慮》でもあるんだよ?本当なら《折寺中の3年生全員》を任せたかったけど、特別に《その中で1番の問題児》だけにしてあげたんだからね』

 

『なっ!!!??ま…まさか……私に任せるという《生徒》とは……』

 

『そうさ、君と同様に緑谷君を自殺に追いやった主犯の1人である《爆豪 勝己》君さ』

 

『あんまりだーーーーーーー!!!!!!!』

 

 絶望に顔を歪め、跪(ひざまず)いた状態で両手を床につけ顔を下に向けながら、泣き叫ぶオールマイト…

 

 だから後輩ヒーローの前で《No.1ヒーロー》が醜態を晒すのはやめてほしいのさ……示(しめ)しがつかないじゃないか…

 《No.1》としても《平和の象徴》としての《風格》も《威厳》もあったもんじゃないね…

 

 

 

 

 

 その後は《絶望しているオールマイト》を放置し、他のヒーロー達へ《通達》と《今後の活動》を報告した。

 

 

・まず、僕が折寺中3年生達へ与えた厳罰である《奉仕活動》は《終了》になったということ…

 

・同時に《その奉仕活動》で彼らに任せていた生徒達の監視も《終了》になったこと…

 

・オールマイト、デステゴロ、シンリンカムイ、バックドラフト、Mt.レディ以外の折寺町のヒーロー達は正式に県外へ移動になり、新しく折寺町へ移動してきた《県外のヒーロー達》が、今後の折寺町の警備をしていくこと…

 

・爆豪勝己と緑谷出久以外の折寺町の生徒達とその家族の殆(ほとん)どが、《ある政治家》の誘いを受けて《愛知県のある町》へ引っ越す手筈を整えていること…

 

・シンリンカムイ、デステゴロ、バックドラフト、Mt.レディの4名は折寺町でのヒーロー活動をしながら、緑谷出久が退院するまで引き続き警護を行(おこな)い、緑谷出久の退院後は来年の雄英入試前日まで、僕が選んだ《5人の教育者》と共に、緑谷出久君の《教育》及び《特訓》に参加すること…

 

・オールマイトもヒーロー活動をしながら、爆豪勝己の《教育》《更生》《指導》をすること…

 

・そして、シンリンカムイ、デステゴロ、バックドラフト、Mt.レディ以外の《ヘドロヴィラン事件にかかわったヒーロー達》は、緑谷出久とその御家族への接近を引き続き禁ずること…

 

 

 他にも《細かい報告》はあったが、重要視するべき報告を《7つ》重点して僕は説明した。

 

 全ての説明を終えた後、《県外へ移動するヒーロー達》は折寺町から去る前にどうしても《緑谷出久》と《御家族》に会って謝罪したいと言っていたが……僕はさっきのオールマイト同様に断固拒否した…

 

 

 

 

 

 

 ついさっきまでの出来事を、僕は思い返していた…

 

「オールマイト……いつになったら気づいてくれるんだい?」

 

 この場にいないオールマイトに対して…僕は愚痴を吐いた…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

オールマイト side

 

 警察署を出た私(トュルーフォームの姿)は…憂鬱な気持ちになりながら…先程、根津校長から下された命令(厳罰)に従い…《ある場所》を目指していた…

 

 …のだが…到着したその場所は…

 

 一言で言って目的の場所は《悲惨なこと》になっていた…

 

 私が目指していた場所…

 

 それは《爆豪少年の自宅》だ…

 

 

 

 何が《悲惨なこと》なのかだって?

 

 

 

 爆豪少年の自宅は大きな一軒家なのだが、《家の壁にはスプレーやらペンキなどで『この町から出てけ』『悪魔の子』『消えろ』『人でなし』などとラクガキが書かれ》、《石か何かを投げ込まれたのか家の窓ガラスが割られ》…更には《自宅前に大量のゴミが不法投棄され悪臭を放っていた》……

 

 

 

 折寺中生徒達の自宅前を警備をしていた《ヒーロー》や《警察》は何をしているのかって?

 

 こんな《嫌がらせ》が起きているのに、止めに入らなかったのかって?

 

 

 

 それは違う…

 

 

 

 ヒーロービルボードチャート(2週間以上前)の前日まで、折寺中3年生達の自宅前でそれぞれ警備とマスコミの対応などをしていたヒーロー達(ヘドロヴィラン事件の関係者)の話では、マスコミや大量の手紙以外で目立った嫌がらせはそこまで無かったと聞いていた…

 

 しかし、彼らはビルボードチャートの日からはヒーロー協会の決定で、活発化したヴィランの対処にあたってもらうため、《奉仕活動での折寺中3年生達の見張り》と《折寺中3年生達の自宅前での警備》から離れることになった。

 

 《警察》もヒーローと同様に生徒達を警備していてはくれたのだが、ヒーロー公安委員会が警察にもヴィランの対応のために《個性使用許可証》を取得する権利を与えたため、日本の警察は挙(こぞ)って職務に個性を使用出来るようにするため、《ヒーロー公安委員会が用意した試験》を受けるよう警視庁から命令され、生徒達の警備から離れてしまっている…

 

 つまり今、ヒーローも警察も彼ら(折寺中3年生達)を守っている暇がないのだ…

 

 

 

 そうなれば何が起きるか…

 

 ヒーローと警察の警備が無くなった生徒とその家族達は…社会から一方的に《袋叩き》に合う結果となってしまった…

 

 私の目の前にある《爆豪少年の家の有り様》がそれを物語っている…

 

 

 

 私は爆豪少年に会うため…悪臭に耐えながらゴミを掻(か)き分けて…玄関に到達した…

 

 ピンポーン

 

「……………?」

 

 呼び鈴を鳴らしても何の応答もないため、もう一度鳴らしてみた。

 

 ピンポーン

 

「……まだ帰ってきていないのか?」

 

 そんな筈はない、もう辺りが暗くなり始めていると言うのに…

 

「……まさか…《あの場所》か?」

 

 私は爆豪少年の居場所を予測し、その場所に向けて歩き始めた…

 

 

 

 私は3週間ほど前に《公園》で話をしたっきり爆豪少年とは会ってはいない…

 

 爆豪少年の面倒をみるにあたって、根津校長からは《ワン・フォー・オール》と《あの男》以外の《私の秘密》である《本当の姿(トュルーフォーム)》や《活動時間》や《臓器の摘出》等は教えて良いと許可されていた。

 そんなことは《ヒーロー協会上層部》や《警察上層部》、《グラントリノ》や《ナイトアイ》が反対するのではないかと根津校長に確認を取ったら、その全員が反対はしなかったらしい…

 

 私が見限られる日も…そう遠くは無いのかも知れないなぁ…

 

 

 

「…っと…着いたな…」

 

 そう考え事をしながら歩いていると、いつの間にか《目的の場所》に到着していた…

 

 その場所は…私がこの1ヶ月の間に時間を見つけては何度も訪れた…

 

 《緑谷少年が飛び降り自殺を図った無人ビル》である…

 

 

 

 この場所に来る度、私は何度も何度も《後悔の念》にかられた…。『なんであの日……私は緑谷少年に《あんなこと》を言ってしまったのか…』っと…私は《あの時の私自身》を深く恨んだ…

 

 2週間前…神様に攻撃されながら叱られた内容が刹那に甦っては……心が痛くなった…

 

 その心の痛みに耐えかねて…『私は何度もこの世から消えたい…』と思ってしまうのだ…

 

 

 

 私は自虐的思考のまま…無人ビルへと入り…屋上へ続く階段を登った…

 

 そして階段を登りきり…屋上の扉を開けると…

 

ガチャ

 

「…やはり……ここにいたのか…爆豪少年…」

 

 屋上のド真中で《体育座りをしながら身体を丸めている爆豪少年》がいた…

 

「HEY!爆豪少年!」

 

「………」

 

「爆豪少年……覚えてるかな?3週間前に公園で話をした…《オールマイトの遠い親戚》だよ?」

 

「………」

 

「もうすぐ暗くなるから早く家に帰った方がいいよ?君に話したいこともあるし、送っていk」

 

「るっせぇ!!!」

 

 …やっと口を開いてくれたと思ったら…初(しょ)っぱなから罵倒で返事をして来た。

 

「…爆豪…少年…」スタ…スタ…スタ…スタ…

 

 私がゆっくりと爆豪少年に近づこうとしたら…

 

「近づくんじゃねぇ!!!……テメェに……テメェに俺の………俺の何が分かんだよ!!!!!」

 

「………」

 

「…俺にはもう……帰る場所なんかねぇ!!!……俺は…もう一生…《ヒーロー》にはなれねぇんだよお!!!!!」

 

「………」

 

「俺は《人の道》を外れた………もう引き返せねぇ所にまで来ちまったんだよぉ………戻りたくても戻れねぇんだよ!!!」ポロポロポロ

 

「っ!?……爆豪少年…」

 

 私は爆豪が怒鳴りながら…《泣いていること》に気がついた…

 

「うっ…くぅうぅぅ………皆…俺のこと…忘れてくれねぇかなぁ………それが叶わねぇなら…俺の存在を…この世から消してくれよぉ………あああぁあぁあ”あ”あ”ぁ”あ”ぁ”…っ!う”あ”あ”あ”あ”あ”あ”ああああああぁぁ!!!!!!!!!!」

 

 爆豪の少年は…今日までの日々で…溜めるに溜め込んでいた《負の感情》を全て爆発させ…大泣きし出した…

 

 

 

 爆豪少年も…私と同じ考えだった…

 

 私達は…《この平和な社会を壊してしまった》といっても過言じゃない…

 

 それにより…彼の日常も大きく狂ってしまった…

 

 そんな爆豪少年は…世間から《不名誉な2つ名》を付けられてしまった…

 

 

 

 

 

 私の《平和の象徴》とは、真逆の存在を意味する2つ名…

 

 

 

 

 

     《騒乱の象徴・爆豪 勝己》

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

None side

 

 

 突然だが、折寺中学校の生徒は《元気一杯で活発な子供達》である!

 

 1人を除いて全員が《自慢の個性》をもっており、誰もが《己の個性》に誇りをもっていた!

 

 特に今年3年生となった《爆豪 勝己》という《爆破の個性を持つ男子生徒》のいる3年のクラスメイト達の9割は、爆豪程ではないが男女問わずに《元気な子供達》ばかりだ!

 

 来年の高校受験においては、生徒全員が《ヒーロー志望》であり、夢に向かって《ヒーロー科の高校》を目指していた!

 

 その中でも《爆豪 勝己》は、日本で1位2位を競う難関ヒーロー高校である《雄英高校ヒーロー科》を受験しようとしており、学校中の教師達も揃って《爆豪 勝己》に期待していた!

 

 生徒の皆、将来へ《大きな希望》を持ち、《明るい未来》を信じて《自分の道》を突き進んでいた!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そう…

 

 3年生になったばかりの…

 

 4月中旬までは…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 どうしてかって?

 

 

 

 

 

 1ヶ月程前…担任からの《進路》の説明があった際、クラスにいる全員が将来プロヒーローになるため…《ヒーロー科の高校》を受験すると意気込んでいた…

 

 だがその日…彼らは《無個性のクラスメイト》が…《雄英高校》を受験すると知った途端、彼の夢を貶し…嘲笑い…誰1人として味方する者はいなかった…担任も含めて…

 

 そして…その《進路》の説明があった日、それは《ヘドロヴィラン事件》と《無個性の男子中学生が飛び降り自殺未遂事件》が起きた日でもある…

 

 その日から数日後、折寺中学校内で《自殺を図った無個性の男子中学生である緑谷出久》に対しての《無個性イジメ》と《無個性差別》があったことが警察の捜査で発覚しただけでなく、何者かによって《緑谷出久以外の折寺中3年生達の個人情報》が世間に公(おおやけ)にされてしまった…

 

 これにより…彼らの日常は狂いに狂ってしまい…

 

 《明るい未来》も《自分の道》も閉ざされた…

 

 そんな彼らが…あの日から1ヶ月経過した今…どう過ごしているか…

 

 

 

 

 

 真実が明らかにされたことで…世間からの風は一方的に冷たくなった…

 

 1ヶ月前まで当たり前のように挨拶してくれた近所の人達からは、挨拶をしても無視され…白い目を向けられながら…陰口を言っていた…

 

 他校の友達に連絡して現状を相談しようとすれば…『被害者面するな!』と言われて…絶交され…友達がいなくなる…

 

 両親や家族は《仕事を失い》《職場で悪口を言われる》などの被害を受けて性格が急変、家では毎日のように怒声と虐待を受けている…

 更に今回のことが原因で、家庭が荒れてしまい離婚にまで発展してしまう家庭も少なくは無かった…

 

 こんな事態(家庭内暴力、離婚騒ぎ)が何十件も起きれば、普通は教育委員会が動く筈なのだが…肝心の教育委員会は《無個性差別とイジメをしていた生徒達の家庭》の相手をしていられない程に忙しい現状なのだ…

 

 

 

何故って?

 

 

 

 1ヶ月前の《折寺中学校教師達の記者会見》以降、全国の《無個性が通ってる学校》にて《無個性のイジメと差別》がないか調査するようにと《国や政府》からの命令が出たため、その確認をするために全国の学校をしらみ潰しに調べるという多忙な毎日を送らされているのだ…

 しかも…その調査の結果、全国の学校にて《無個性のイジメと差別》をしていた学校が《8割以上》も確認され、それが報道されたことによって、全国の《無個性の権力者達》と《無個性達とその家族達》が教育委員会にバッシングと苦情をぶつけている!

 

 つまり…今回の騒動の始まりである《折寺中の生徒と教師》達のアフターケアに手を回している余裕など全く無い…ということなのだ…

 

 教育委員会に勤める者の中には…辛い現状に心を苦しめられて『ブラックな労働期間だ…』『折寺中学のクソガキ共のせいだ…』『最後に休んだの何時(いつ)だっけ…』などと弱音や愚痴を言ってる始末であり、そんなことを言う者達へは上司が『愚痴を言う暇があるなら身体を動かせ!』と怒鳴る!…というのが…今の《教育委員会》の状況である…

 

 

 

 だがこれは《教育委員会》だけでなく、《ヒーロー協会》にも言えることだった…

 

 《ヘドロヴィラン事件》を始まりに、ヒーロー達の不評が増えると同時に、ヴィラン達も増えて各地で暴れだし、ヴィラン発生率は格段に上がってしまった…

 その原因は勿論、《オールマイトのミス》《ヘドロヴィラン事件に関わったヒーロー達の職務放棄》《エンデヴァーの家庭内暴力及び個性婚の発覚》によって、ヴィラン達が意気づいてしまったためである…

 

 だがそれは、元No.1である《ゴッドヒーロー・神》が復帰してくれたお陰もあり、今のヴィラン発生率は10%から6%未満にまで下げることが出来ていた…

 

 これまで20年以上にわたり、ヴィラン発生率が3%~4%未満をキープしていたのもあって、今時のヒーローはいつの間にか心のどこかで《平和ボケの思考》になっていたために、その《しっぺ返し》のツケが回ってきてしまった…

 

 《現役ヒーロー》、《ヒーロー協会》、《ヒーロー公安委員会》が世間から叩かれているこの状況下で、《若手ヒーロー達》は挙(こぞ)って引退をし、更にその《引退した若手ヒーロー達》は《ヒーロー狩り》に狙われて被害を受けている…

 

 立て続けに起きる《不幸の連鎖》を何とか絶(た)ち切るために、《ヒーロー公安委員会》は《神様》を復帰させて、若手ヒーローとベテランヒーローの人材確保のために《警察》《自衛隊》《一般人》へ協力を求めなくてはならなくなった…

 

 つまり《ヒーロー協会》も《ヒーロー公安委員会》も、《折寺中の生徒達》の警護に対して人員を回してる余裕が無いのだ…

 

 

 

 《ヒーロー》にも《教育委員会》にも見放され、更に悲惨な状況になっていく折寺中生徒達の現状になどお構いなしに、世間の人々は蔑(さげす)み、マスコミは未だに何件かの生徒とその家族にしつこくインタビューを続ける始末だ…

 ほんの少し前までは生徒達の自宅に押し寄せるマスコミ達は、《警察》と《ヒーロー》が対応してくれていたのだが、例のヒーロービルボードチャートでのヒーロー公安委員会からの発表の1つである《警察や自衛隊も職務においての個性の使用を許可する発表》がされたためにいない…

 

 

 

 彼らは《多くのもの》をも失ってしまった…

 

 

 

 今じゃ《1人欠けてしまったクラスの生徒達》には《元気》や《活発》なんて感情が残っている者など誰も居やしない…

 

 あの日から《急変した生活》を余儀なくされ、毎日涙を流し…辛く悲しい日々を送っていた…

 

 それもこれも…《1人の無個性》の存在を否定し貶したため…

 

 彼らは自らの手で《自分の未来》を握りつぶしてしまったのだ…

 

 

 

 

 

 そんな折寺中学校の生徒達の不幸は…

 

 最悪な形になって彼らに降りかかった…

 

 ヒーロービルボードチャートから1週間後のGW(ゴールデンウィーク)明けの月曜日…

 

 学校と奉仕活動を終えた帰り道…

 

 彼らは《ある大事件》に巻き込まれた…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

●爆豪宅(ヒーロービルボードチャート上半期から5日後…)

 

 

爆豪勝己 side

 

 5月初めの夜…

 

 俺は今…1人で暮らしている…

 

 生まれ育った家に《1人ぼっち》だ…

 

 

 

 なんで1人かって?

 

 

 

 そんなの父ちゃんと母ちゃんが家にいないからに決まってんだろうがっ!!!

 

 

 

 どうしていないのかだと!!?

 

 

 

 ……2人とも…遠くに行っちまったからだよ…

 

 

 

 最初に言っておくが…父ちゃんと母ちゃんは俺を置いて逃げた訳でも…俺を勘当した訳でもねぇ…

 

 

 

 2人が俺の前からいなくなったのは………

 

 

 

 俺のせいだ…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

●1週間以上前…(ヘドロヴィラン事件から1週間後…)

 

 

 ガイコツ野郎と公園で話したことで、自分の間違いに気づき…

 

 母ちゃんに頼んで《出久のお見舞い》に病院へ行ったあの日…

 

 無能ヒーロー共に羽交い締めにされながらリカバリーガールより告げられた引子さんからの伝言を聞いた瞬間…

 

 頭の中が滅茶苦茶になった…

 

 俺は考えもまとまらず…病院を飛び出し…アテもなく走り続けた…

 

 雨が降る夜道を走り…疲れて足を止めたところは…《出久が屋上から飛び降りた無人ビル》だった…

 俺は訳もなく…そのビルに入って屋上へと上がった…

 

 その場所で俺は《今までの俺の生き方》が《ヒーローを目指す人間がすることじゃない》と考えを纏めた…

 

 

 

 そして…産まれて初めて《自分が悪いことをしてきたんだ》と認識した…

 

 

 

 それから雨雲に向かって…俺は叫び続けた…

 

 途中からは自分でも何を言ってたのかは分からねぇ……だが何を言ってたにしろ、結局要点は『これから俺はどうすればいいのか…』って内容だ…

 

 

 

 どれくらいあの場所に居たのか…雨でずぶ濡れになった身体を動かして…ビルを出た俺は自宅に向かった…

 

 

 

 自宅に着くまでの俺の足は…まるで重りを付けられたみてぇに重く…帰るのに時間がかかった…

 

 そして雨が止み始めた頃、俺は家に帰ってきた…

 

 だが…家の電気は点いていなかった…

 

 それなのに、何故か家の鍵は開いていた!?

 

 空き巣かと思い、警戒しながら家に入ったが家の中には誰もおらず、荒らされた様子も…何が盗まれたような形跡もなかった…

 

 ただ…出掛ける前と違ったのは、居間のソファーに《父ちゃんの背広の上着》があったことだけ…

 父ちゃんが一度帰ってきたのは間違いないようだったが、家の何処(どこ)にも姿が見えず、出掛けたにしても…あの几帳面(きちょうめん)な父ちゃんが家の鍵を閉め忘れるのは考えにくい…

 

 どういう訳だと考えていたら…

 

 

 

PRRRRRRRR…PRRRRRRRR…

 

 

 

『あ"っ?』

 

 病院へと出掛ける前に、居間に置いていった俺のスマホが鳴った。

 

『誰だよ…こんな時に…』

 

 俺は電話の画面を確認すると《親父》からだった。

 

『親父…?(Pi)おぅ…なんだよ』

 

『勝己!今は家にいるのか!?』

 

『家に置いてあったスマホから通話してんだから家にいるに決まってんだろ……んで…なんだよ…』

 

『なんだよじゃない!!!家に帰ってきた途端に病院からの電話で《母さんが出久君の病室の前で倒れて気を失った》っていう連絡があったんだ!!!』

 

『か…母ちゃんが!!?どうして!!?』

 

『それを今から診察してくれたリカバリーガールに聞くところだ!あと事情は聞いたぞ!面会が謝絶をされてるのに出久君のお見舞いに来たそうだな!?そして了解無しに出久君の病室に入り込もうとした挙げ句、今度は病院を飛び出した!お前は今まで何処をほっつき歩いていたんだ!!!』

 

『…そ……それは……』

 

 何も言えなかった…例え本当のことを言ったとして…信じもらえるとは思ってなかったから…

 

『………はぁ…もういい……僕が家に帰るのは遅れるだろうから…夕食は自分で何とかしろ。それと明日はお前が学校から帰ってきたら《今後のことについて大事な話》がある、いいな?』

 

『…大事な話?……あぁ…わかったよ…』

 

 そう言って親父は電話を切った…

 

 

 

 母ちゃんが倒れた…

 

 少し前から《強気》や《勝ち気》って感情が消えちまって…弱っていたのは知ってたが…まさかあの母ちゃんが倒れて気絶するなんて…

 

 それも…俺のせいなのかよ…

 

 そんな意味の無い自問自答をしたところで…状況は何も変わりゃしないし、時が戻ってくれるわけでもない…

 

 俺は虚(むな)しい気持ちに押し潰されそうになりながら、ずぶ濡れになってひえた身体をシャワーで暖め、夕食はカップ麺を食べてさっさと寝ることにした…

 ベッドに入った俺は…今日もまた《嫌な夢》を見るんじゃないかっていう恐怖に駆られた…

 だが…そんな恐怖よりも今日一番の驚愕だった《ガリガリ野郎との話》を思い出していた…

 

 あのガリガリ野郎が言っていたことを…俺は信じたくはなかった……けど《作り話》とは思えなかった…

 

 

 

 出久を自殺に追いやったヒーロー……

 

 俺以外のもう1人の主犯…

 

 どんなに否定したくても…ガリガリ野郎の説明は筋が通って納得できちまう…

 出久に『無個性はヒーローになれない』と宣言したヒーロー…

 俺達の世代なら誰もが憧れ…俺の超えるべき目標のヒーロー…

 

 

 

 《平和の象徴・オールマイト》…

 

 

 

 誰か嘘だと言ってくれ……俺が地獄へと道連れにしようとしていたのが…《No.1ヒーロー》だったなんてよぉ…

 

 俺は悩みながら眠りについた…

 

 だが…またしても《悪夢》に魘(うな)され…夜中に飛び起きることになった…

 

 

 

 

 

 

 次の日の朝、寝不足ながらも起きて下の階に降りてきたが親父の姿は無く、かわりに食卓のテーブルに朝食が置いてあった。

 どうやら親父は昨日の夜遅くに帰ってきたようで、朝になって俺の朝食を作ってから仕事に行ったってとこだろ…

 

 今更だが昨日の夜から自宅前でマスコミの姿は見ていない…

 

 俺は朝食を済ませて学校へ向かった…

 

 昨日から考えを改めてなのか…俺は周囲からの視線に《恐怖心》を持つようになっていた…

 

 

 

 その日の学校と奉仕活動を終えて家に帰ると…まだ夕方だと言うのに親父が帰ってきていた…

 

『……親父…』

 

『帰ってきたか…勝己…』

 

『…なんで……こんな時間に帰ってんだ…』

 

『そんなことより早く着替えて《リビング》に来い、昨日言った《大事な話》をする…』

 

『……わかったよぉ…』

 

 俺は親父の気迫に押され…言われた通り私服に着替えて1階のリビングに入ると…

 

 ソファーに座った親父がいたんだが、リビングには他に《今朝まで無かった物》が山積みで置いてあった…

 旅行用の《キャリーケース》と《ボストンバッグ》が大量にリビングへ並べられていた…

 海外旅行にでも行くのか?と思える荷物の量に不信感を抱いていたが…

 

『勝己…座りなさい…』

 

『……あぁ…』

 

 俺は親父が指差した、親父が座ってるソファーとは向かいのソファーに座った…

 

『勝己……お前に対して僕は言いたいことが山程あるんだが……もうそんなことはどうでもいい…』

 

『………』

 

『お前にどれだけ説教したところで今更無駄だからな………要点だけ伝える………昨日母さんが倒れたのは話したな…』

 

『…ああ…』

 

『リカバリーガールに処置と診察してもらった結果、母さんは《鬱病》だと診断され…治療のために県内の遠く離れた《精神病院》へと入院することになった…』

 

『《鬱》!??母ちゃんが!!?』

 

『そうだ……かなり酷い深刻な状態らしく…専門の病院でちゃんと療養してもらった方がいいとリカバリーガールに言われてね。今日の朝に移動して…昼頃に《専門の精神病院》へと正式に入院させたんだ…』

 

『………』

 

『それと昨日…引子さんが自分から私に会いに来てくれて……話をしてきたよ』

 

『出久の母ちゃんと!?』

 

『あぁ…僕は会うのは久々だったけど…痩細っていて別人みたいになったよ…』

 

『………』

 

『正直…彼女と話すのは恐かったよ。《出久君のこと》だけじゃない…《お前のこと》で何を言われるのかがね…』

 

『………』

 

『色々と話はしたが…お前に伝えておくべきことだけは伝えておくよ。引子さんは《今回の件》を《訴え》もしなければ…《裁判沙汰》にもしないらしい…』

 

『…え……』

 

『その代わり《僕達(爆豪一家)》は金輪際《彼女達(緑谷一家)》に関わらないようにと言われたよ。特に勝己、お前には一生…出久君へは関わらないでほしいと懇願されたよ…』

 

『………』

 

『それと話の最後に…引子さんから《写真》を渡された…』

 

『写真?』

 

『あぁ………引子さんの家にあった…《お前と僕とお母さんが写ってる写真》全部をな…』

 

『ッ!!??………』

 

『昔の写真もあって色褪せてる写真もあったが、傷が無ければ…折られても無く…破れてもない…綺麗に写った写真だったよ。しかも態々(わざわざ)ファイルに纏めた状態で渡してくれたんだ…』

 

『………』

 

『その写真のファイルは母さんに預けといたよ。まぁ…それが正しかったのかは微妙だけど…』

 

『あ”ぁ”?……なんだよそれ』

 

『今日僕が家に帰ってきて早々に、母さんが移動した精神病院から連絡が来たんだ……母さんの意識が戻ったとね。だけど…目を覚ましてから様子が変で…《ずっと写真に向かってボソボソ話しかけてる》らしい…』

 

『!!!???んだと!!??母ちゃんが!!?そんなに変わっちまったのかよ!!!!!』

 

『勝己……母さんは自分から変わったんじゃない…』

 

『ぐっ!!!???……俺の……俺のせいなのかよ…』

 

『………』

 

 父ちゃんは何も答えなかった…

 

 この状況での無言は《YES》という意味だ…

 

 父ちゃんは昨日俺が病院を飛び出してから出来事を話始めた…

 

 《鬱病》になっちまった大きな原因は、《度重(たびかさ)なった過度のストレス》と《精神的ショック》で、《俺が出久を10年以上も個性を使ってイジメて傷つけていたこと》《俺が出久に自殺教唆の発言をしたこと》《引子さんからの決別の言葉を言われたこと》と連続したストレスとショックによって母ちゃんの精神は既に限界寸前……

 

 そして…そんないつ壊れてもおかしくない母ちゃんにトドメを差したのは…《俺が母ちゃんの静止を振り切って出久の病室へ向かったこと》《リカバリーガールからの引子さんの拒絶の言葉をまた聞いたこと》…そして《ヒーロー(シンリンカムイとデステゴロ)の言うことを聞かずに走り去った俺を見たこと》で…

 

 溜(た)めに溜め込んでいたストレスが爆発し…出久の病室前で気絶した…

 

 

 

 これが…母ちゃんが家にいない理由だ…

 

 

 

 そして…

 

『じゃあ……その荷物は…全部母ちゃんのか……』

 

 俺はリビングに置いてある《キャリーケース》と《ボストンバッグ》を指差した…

 

『半分はそうだが、残りの半分は《僕の荷物》だ…』

 

『は?…どういうことだよ?』

 

『…僕自身が…もう今の会社にはいちゃいけないと思ってね……社長に《辞表》を出したんだよ…』

 

『はっ!?』

 

『でも……職場の仲間も…上司も…社長も…皆《良い人達》のばかりでねぇ……社長は僕の辞表を《受け取らず》に《預かる》と言ってくれたんだ。でも状況が状況だから…今の会社に勤め続けるのは無理になった代わりに…ここから遠く離れた人手の少ない《系列会社》へ移動という形の処分になったんだ…。その《系列会社》には寮があって住み込みで勤務して良いことになった……それだけじゃない《その会社》から《母さんが入院している精神病院》までは《2~3駅程の距離》なんだ。……本当に感謝しきれないよ……僕の息子が犯した問題の数々を知った上でも尚……まだ僕を雇ってくれるんだからね…』

 

『そ…それじゃあ、この家には俺1人になるってことかよ…』

 

『そうなるな…』

 

『………』

 

『本来なら今住んでる家を売り払って、《その系列会社》のある町へ引っ越すのが定石なんだが、教育委員会からは《お前を含めた折寺中の3年生》が厳罰として参加している奉仕活動が終わらない限り、《転校すること》も《この町から引っ越すこと》も許されていない…』

 

『………』

 

『勝己、僕は明後日にはもう《新しい勤務先》に出勤しないといけない。母さんの世話も病院に任せっきりというわけにはいかないからな…。いつになるか分からないが《奉仕活動》が終わったら、お前はどうするつもりだんだ?』

 

『…どうって……俺は…』

 

『……考えるのに時間がかかるのなら…今は聞かないよ。それに…奉仕活動期間もかなり延長されてるそうじゃないか?』

 

『………』

 

『はぁ……お前を1人にする以上…僕は仕送りをする。でもね…そう遠くない内にこの家は手放して、アパートとかに引っ越すことになるよ?仕送りで送るお金だって限度ある、今よりも稼ぎが落ちるし、母さんの入院費もかかるから、いくら1人とはいえ無駄遣いは出来ないぞ?』

 

『………』

 

『お前が賢(かしこ)いから…その辺は自分で何とか出来るだろうけど………いい加減に《今の自分の立場》を弁(わきま)えろ……《過去を変えることは絶対に出来ない》んだ…』

 

『ッ!!!!!?????……………』

 

『……僕はこれから《母さんの荷物》を配達してもらうよう頼んでくる……お前の夕食は作っておいたから…それを食べなさい…』

 

 そう言うと親父は…リビングに置いてあった荷物の半分を車に積んで出掛けていった…

 

 

 

 そう…これが父ちゃんが家にいない理由だ…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

●爆豪宅(ヒーロービルボードチャート上半期から5日後…)

 

 

 父ちゃんから《母ちゃんと父ちゃんの今後》について話された次の日、父ちゃんは自分の荷物を車に纏めて、転勤する会社がある町へと移動する準備を終えた。

 そして俺に《仕送りする日までの生活資金》と《1人で暮らす上での色々な注意事項が書かれた紙》を渡すと、出発していった…

 

 その時の俺は何も反論せず…黙って親父を送り出した…

 

 普通の中3のガキなら…この場合はワガママを言って父親に着いていくんだろうが…俺はそうはしない…

 

 

 

 一人暮らしが出来ることに優越感を浸(ひた)ってるのかって?

 

 奉仕活動の期間中だからどの道、着いていくのが出来ないんだろって?

 

 うるさい両親と離れられるからだろって?

 

 

 

 違ぇよ!!!少し前の俺だったらそう感じてたろうけど、今は違う!!!

 

 誰も信じてくれねぇだろうけど…俺が父ちゃんと母ちゃんから離れることを選んだのは…

 

 《2人にこれ以上の迷惑をかけたくなかった》からなんだよ…

 

 父ちゃんも母ちゃんも口には出しちゃいなかったが、本心じゃあきっと…俺を《捨てたい》とか《勘当したい》とか思ってた筈なのに…それだけはしなかった…

 

 こんな俺をまだ…《自分の子供》として見放さずにいてくれた…

 

 

 

 

 

 少し前のことを鮮明に思い出しながら…俺は1人しかいない家で過ごしていた…

 

 今の俺は…正直《心細かった》…

 

 

 1人でいることが…

 

 味方が誰もいないことが…

 

 家にいても誰もいないし帰ってこない…

 

 《孤独》ってのが…こんなにも《辛いこと》だなんて…全く知らなかった…

 

 

「なんで……こんな思いをしなくちゃいけねぇんだ………何時(いつ)になったら……どうしたら……この《苦しみ》から解放されるんだよぉ…」

 

 自分以外誰もいない家の中で…《答えの見つからない問い》を呟いた…

 

 今日はGW(ゴールデンウィーク)最終日…

 

 

 

 ゴールデンウィークをどう過ごしたかって?

 

 

 

 んなもん!強制で厳罰の《奉仕活動》に決まってんだろうが!!?

 

 学校が4月最後の土曜日から5月の日曜日までの長期休みだったが、俺達(折寺中学校の3年生達)は祝日だろうと関係無しに《町のゴミ拾い》をすることになった…

 しかも俺は…あのクソ担任のせいで午前と午後のどっちも参加させられた!

 その間、連休もあって人通りが増えて……俺達に向けての《冷たい目を向けてくる奴》《影口を言っている奴》《スマホで物珍しく撮影する奴》とかが《いつもの倍》以上もいやがった!

 しかも俺と違って…午前か午後のどっちかだけの活動だっていうのに…途中で《勝手に抜け出す奴》や《泣き出して勝手に帰る奴》とかがチラホラいたせいで、また期間が延びちまった!

 

 俺の人生で…ここまでロクでもないゴールデンウィークは今まで無かった…

 

 全然休めた気がしねぇ…

 

 あと…4月が終わった時に気が付いたが…俺はもう《15歳》になっていた…

 

 俺の誕生日は《4月20日》だったが…その日に何があったのかを改めて思い返してみれば…

 その日は《折寺中学校のクソ教師達》と《オールマイト達》の謝罪会見のあった日でもあった…

 そしてもう1つ…俺がヒーローの監視を振り切り…裏路地を通って帰ろうとしたことで…《あの3人組》に絡んで一時的に個性が使えなくなった上に重傷を負わされた日でもあったんだ…

 

 去年までは…母ちゃんも父ちゃんもクラスの連中も…そして出久も俺を祝ってくれたが、今年は誰1人として祝ってはくれなかった…

 

 

 

 そして…明日からは…また学校が始まる…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 この時の俺は…

 

 自分や親ばかりを考えていたことで…

 

 微塵も把握してなかった…

 

 俺に……いや俺達に対しての《恨みや憎しみという名の火薬》が…少しずつ積(つ)もり積(つ)もっていたことに…

 

 そして…その火薬の導火線の火が…

 

 次の日に《山となった火薬》へ到達(とうたつ)してしまったことに…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

None side

 

 ヒーロービルボードチャート上半期から6日後の月曜日…

 

 世間的には、ゴールデンウィーク明けに起きた《惨劇》でもある…

 

 その日……社会の人々の積もり積もった《怒り》や《憎しみ》が……《ある学校の生徒達》にぶつけられた…

 

 それは《偶然》に起きたことなのか…

 

 それとも《必然》に起きたことだったのか…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

●ゴールデンウィーク明けの月曜日の夕方…

 

 

爆豪勝己 side

 

 ゴールデンウィーク明けの月曜日…

 

 俺は嫌々ながら学校へ登校した……

 

 教室に入れば…相変わらず《1人欠けたクラスメイトの連中》は揃い揃って俺を無視しやがる…

 

 ゴールデンウィークと聞きゃ、俺達学生にとっちゃ長い休みだ…

 

 だが《あの騒ぎ》で、俺と同じく家に《居場所を失った奴等》にとっては…ゴールデンウィークっつう連休は…ただ辛く…苦痛の時間を増やすだけだった…

 

 俺の場合、おふくろは精神病院に入院しちまって居なくなり、親父は転勤で居なくなった。

 つい最近まで《騒がしがった我が家》が一変した…

 当然それは他の奴等も同じ……家にいれば親や家族からは邪険にされるのが当たり前……

 今までの家族からの待遇がまるで違うことに対処できず…自宅にいるのが辛い奴もいたそうだ…

 そして…そんな家の空間から抜け出せるのが…皮肉にも《奉仕活動》の時、……俺達はGWだろうと関係ない、俺なんざ9日間の連休中は午前と午後にどっちも奉仕活動をしなきゃならなかった…

 世間から当たり前のように《冷たい目》を向けられ《陰口》を言われていた…

 

 ただ1つ…近頃は奉仕活動中でガキが絡んでくることはなくなった…

 

 

 

 何故かって?

 

 

 

 最初は俺も分からなかったが《ゴールデンウィーク中》にゴミ拾いが終わって自宅へ帰る最中に…《それ》が何故かを見て知っちまった…

 

 いつものように人目を避けるため裏路地を通り…出口へ差し掛かった時だった…

 

 誰かが《俺の名前》を口にしていた…

 

 俺は裏路地に隠れながら…声のした方を確認すると、そこには表通りで《お手玉を両手で持ったツインテールの小せぇガキ》と《そのガキを叱っている母親》がいた…

 

『百々花(ももか)、お願いだから言うことを聞いて?』

 

『イヤ!絶対に会いに行くの!!』

 

『何度も言わせないで!駄目なものは駄目なの!それに、そんなワガママ言ってると!《爆豪 勝己》みたいな《ヴィラン》になっちゃうわよ!』

 

『ッ!?!?!?!?!?』

 

 母親が口にした言葉に!俺は驚き、衝撃を受けた!!!

 俺が直接言われた訳じゃねぇのに…俺は胸が締め付けられるように苦しくなった!!!

 

 それだけじゃねぇ…

 

『そんな《悪い人》になりたいの!?』

 

『イヤ!出久お兄ちゃんをイジメた《あんなヴィラン》なんか大嫌い!!!』

 

『…はぁ…なら分かってちょうだい?《出久お兄ちゃんのお見舞い》に行くのは我慢して?分かった?』

 

『………うん…』

 

『よし、良い子ね。百々花は出久お兄ちゃんのこと《本当のお兄ちゃん》みたいに慕ってたもんね。大丈夫、きっと目を覚まして元気になってくれるわ。そしたら改めて『お婆ちゃんのお手玉を探して見つけてくれてありがとう』ってお礼を言いに行きましょうね』

 

『うん!!』

 

 俺は通ってきた道を咄嗟に引き返し…裏路地の途中で座り込み…声を殺して泣いた…

 

 この町……いや…全て《子持ち親達》は、俺のことは完全に《ヴィラン》としか思ってない上に、それを使って子供に言い聞かせる材料にしてやがる!

 

 オマケにあんな小せぇガキまで、俺を《ヴィラン》だと認識してやがった!

 

 しかも…さっきのガキが駄々をこねてた理由は《出久のお見舞いに行けないことへの不満》だった…

 

 出久は《この町の人達》に大きく慕われてやがる…

 だが俺には…もう…この町に居場所も無けりゃ……俺を必要としている人間が誰もいないことを……さっきの親子を見て理解させられた…

 

 そんな《知りたくもなかった事実》に偶然出会(でくわ)しただけでも災難だったっつうのに…

 

 

 

 今日の俺は…

 

 

 

 いや俺達は…

 

 

 

 《個性社会からの報復》を受けることになった…

 

 

 

 今日の授業が終わり…

 

 もはや恒例になった放課後からの町のゴミ拾い…

 

 ガキに絡まれることは無くとも…

 

 活動中に俺達を見かけては《冷たい目》や《影口》をいう一般人からの対応は変わらねぇ…

 

 しかも…俺達と一緒になって奉仕活動に参加してた《無能ヒーロー共》は、3週間前の謝罪会見に出た5人を除いて全員が《各地のヴィラン退治》のため居なくなった…

 

 今この町に残ってるヒーローは4人だけ…《シンリンカムイ》《デステゴロ》《バックドラフト》《Mt.レディ》だ。

 そしてソイツらは、記者会見の日辺りから交代で《出久と引子さんの警備》をしているらしい。俺も詳しくは知らねぇが、どう考えたって《罪滅ぼし》が目的だろう…

 

 

 

 余談だが…あの《オールマイトの親戚だと言ってた骸骨野郎》も…あの公園以来会っちゃいねぇ…

 

 

 

「(っと…余計なことを考えるのは止めだ止め……さっさと家に帰るか…)」

 

 

 

 

 

 俺はいつものように《人通りの少ない道の裏路地》を選び、そこを通って帰ることにした…

 

 だが今日通る裏路地は、3週間前に《俺の個性を消して散々痛ぶりやがった3人組》にあった裏路地だ…

 

 俺だって好きでこの裏路地を通る訳じゃねぇ!

 

 俺は『今日はどの路地を通って帰るか』を考えて表通りを歩いていると、通行人がヒソヒソと俺を《冷たい目》で見ながら《陰口》を言ってやがった…

 いつものことなんだが…今日は何故だが人が異様に多かったことで、《陰口を言う奴ら》も大勢居やがったんだ!

 俺は日を変えては《人通りの少ない道》を通って帰ってたが、今日はどの道を通ろうとしても人で一杯だった…

 それで仕方なく…あの日以来から絶対に通っていなかった《あの裏路地》を通って帰る羽目になったっつーことだ…

 

「(どいつもこいつも!!下らねぇことしやがって!!!いつか絶対ぇ!!!死ぬ程後悔させてやるからなあ!!!!!)」

 

 俺は《陰口を言ってた奴ら全員》への恨みながら、裏路地を進んだ…

 

 そして…あの《3人組》と会った角を曲がった…

 

 誰もいる筈ないと思っていた………が…

 

 そこには《誰か》がいた…

 

 しかも《4人》…

 

「おい見ろよ、やっと来たぜ!」

 

「ちっ!随分と待たせてくれたじゃん?」

 

「外典(げてん)、聞いてた時間より10分も遅れてきたぞ?」

 

「予定通り《この裏路地》を通って来たんだ……文句を言わないでくれ…」

 

 ソイツらは俺を見てブツクサ話し始めた…

 

 どいつもこいつも見るからに《不良》みてぇな奴等だ…

 

 

 

 最初に俺を見て声をあげた《鞄を背負った『炎』って文字がデカデカと書かれた赤いシャツにノースリーブの上着を来た大男》…

 

 舌打ちしながら次に口を開いた《青いセーターを着た茶髪の大男》…

 

 勾玉のネックレスを首にかけた《額の横一文字に短い縦線が5~6本の切り傷のある大男》…

 

 そして《フードを深く被って顔が見えない冬物のジャケットを来た奴》が《デカイ木箱》に座っていた…

 

 

 

 この町じゃ見かけねぇ面(つら)の奴等だった…

 

 んで…明らかに《偶然》この裏路地にいた訳じゃねぇみてぇだ…

 

「外典、もう初めていいんだよな?」

 

「…好きにしなよ……ただ時間は限られてるからね?」

 

「やっと…暴れられるじゃん?」

 

「ほんじゃあ平(たいら)、開幕一撃目は任せた」

 

「おうっ!言われねぇでも俺が直(す)ぐにアイツを火葬してやるよ!」ガブガブガブガフ

 

 《赤シャツの大男》が背負い鞄から《水の入ったペットボトル》を取り出しガブ飲みし始めた。

 

「(何する気だ?)」

 

「(焼けちまえ!!!)」

 

ボワアアアアアァ!

 

「なにっ!?」

 

BOOM!

 

 《赤シャツの大男》の口から出たのは《水》じゃなくて《炎》だった!

 俺は咄嗟に《爆破》で後ろに後退した!

 

 今分かった!

 

 コイツらは完全に俺を痛ぶるために、ここで《待ち伏せ》してやがった!!!

 

「(クソが!!なんで俺がこんな目にあわなきゃならねぇんだよ!!!)」

 

 俺は《売られた喧嘩は買う主義》だが、《喧嘩をしたこと》や《個性を使ったこと》がヒーローに知られたら、《オールマイトを超えるヒーローになる夢》を叶えることが出来なくなっちまう!

 

BOOM!

 

 俺は《悔しい気持ち》を抑え込み、《爆破》で通ってきた道を戻って《逃げること》にした…

 

 だが…

 

ドドドドドドドドドドッ!!!!!

 

「なあ”っ!!???」

 

 戻ろうとした道に《巨大な氷の壁》が出現して、裏路地の道を塞ぎやがった!!?

 

「逃がさないよ…」

 

「チッ!」

 

 不良共の方を振り替えると《フードの奴》が手を前に翳(かざ)した状態で、さっきまで座っていた《木箱》から飛び出してくる《大量の氷》を操っていやがった!!?

 

「チッ!《炎》の次は《氷》かよ!?」

 

「ナイスだぜ外典!これで奴の逃げ道は無くなったじゃん!」

 

「どういたしまして…」

 

「おいおい?ヒーローを目指してる癖に逃げるのか?とんだ《臆病者》じゃん?」

 

ピクッ

 

「けっ!オレ様達が恐ろし過ぎて勝てないと察したから、逃げようってか?《腰抜け》かよ!」

 

ピクッピクッ

 

「以前にも別の不良に絡まれて…その時に負けたことがトラウマになってるんだよ…きっと。今の爆豪勝己は…ただの《弱虫》さ…」

 

ピクッピクッピクッ

 

「ははははは!こんな《負け犬野郎》の夢は《オールマイトを超えるヒーロー》なんだせ!?全くお笑いだ!あっはははははっ!」

 

 

 

 

 

ブチッ!!!

 

 

 

 

 

 俺の中の《堪忍袋の緒》が……また切れた…

 

「があ”あ”あ”あ”あ”あ”ぁ!!テメェら全員!!!ぶっ殺す!!!!!」

 

 『逃げる』だの『臆病者』だの『腰抜け』だの『弱虫』だの『負け犬』だの…好き勝手言われたことで《怒り》が頂点に達した俺は、3週間前と同じ場所で!似たようなことを言った!

 

「ネットの書き込み通り…簡単に乗せられたぜ?」ヒソヒソ

 

「物凄ぇ単純な奴じゃん…」ヒソヒソ

 

「《単純》っつーか…《短気》過ぎだろ…」ヒソヒソ

 

「こんな《安い挑発》で冷静さを失うなんて…やっぱり中身はただの中坊ってことだね…」ヒソヒソ

 

 不良共はヒソヒソと何か話してやがったが!今更いくら謝ったって遅せえ!!!

 

 4人の内2人の個性は分かった!

 それにこの前見たいな《白フード野郎》の《個性を封じる個性》は滅多にありゃしねぇ!

 残りの2人の個性は大した個性じゃねぇ筈!!

 

 勝った!!!

 

 俺が負けることは絶対にねぇ!!!

 

 まず爆破の煙幕で起こして視界を奪い、その隙に俺の必殺技で奴等を吹っ飛ばす!!!

 

「うりぃあああああ!!!」

 

BOOOOOM!!!!!

 

 俺は両手に汗を溜め、地面に向けて爆破を放ち《煙幕》と《土煙》を起こした!

 

「ゲホッ!!ゲホッ!!んだこりゃ!!?」

 

「クソッ!?砂ぼこりが邪魔だ!!」

 

「何処(どこ)行きやがったじゃん!?」

 

「………」

 

 不良共は俺が起こした煙、俺を見失った!

 

「(まずはテメェだ!!)」

 

 俺はまず、俺を《臆病者》なんて言いやがった!《青セーターの奴》からボコすことにした!

 

「死ねやーーーーー!!!!!」

 

 俺は右手の爆破を連発して素早く移動し、背後から左手の爆破を食らわせy

 

「なんてな」クルッ

 

BOOM!

 

「なっ!?」

 

 《青セーターの奴》は煙の中で、背後から俺が攻撃を避けて、瞬時に俺の左側へ回り込こんだ!

 

 そして、両手のポケットに手を突っ込むと!額が《何か》に変化した!

 

「残念だったなぁ……頭!かち割れろ!

《ダイヤモンド・ヘッドバッド》!!!」

 

ゴヅッ!!!

 

「ぐああっ!!!??」

 

 俺は額に、《変化した硬い額》で頭突きされた!血は出てねぇが物凄い痛みによって脳味噌が揺れた!?

 さらに額からの痛みが走ると同時に、嫌でも思い出さざるを得なかった!?

 コイツの個性は…3週間前の《ハゲ野郎》と同じ!《身体にクリスタルを纏う個性》だということに!?

 

「どうだ!効いただろ!今のは手加減してやったが、次はその頭完璧にカチ割ってやるじゃん!俺のこの《頭をダイヤモンドに変える個性》でなぁ!」

 

「ぐっ!!?ぐおああああぁぁぁ!!!」

 

「テメェの《個性》は皆知ってんじゃん?当然発動条件とかの詳細も、その個性で何が出来るのかってもの、バレバレじゃん!」

 

「テ…テメェ…!!だったら《コレ》知ってるかよ!!!」

 

 俺は両手を《頭突き野郎》の顔面に向けた!

 

 俺が試行錯誤して完成させたもう1つの爆破技《閃光弾(スタングレネード)》!!

 両手の《爆破》で強烈な光を放ち、相手を目眩ましさせる技だ!

 この至近距離で喰らえば!暫く目が見えなくなって動けなくなる!

 

 頭が痛ぇが、んなこと言ってられねぇ!まずはコイツをぶっ潰す!

 

「喰らえやがれ!!《スタングレネーd」

 

「その技は知らねぇけどよぉ、結局さ…」スッ!

 

「ッ!!?」

 

 いつの間にか《頭突き野郎》は、今度は俺の右側に回り込んで、右手は《手刀》の構えをして振り上げていた!

 

「《手》が使えなきゃ!テメェは何も出来ねぇってこと…じゃん!!!」

 

ゴッ!!!

 

ボギッ!!!

 

「ッーーーーーーーーー!!!!!????」

 

 《頭突き野郎》は付き出した《俺の両腕》に、右手の手刀を《瓦割り》みてぇに思いっきり振り落としてきやがった!!!

 

 両腕から鈍い音と一緒に強烈な痛みが走り、《声にならねぇ叫び》を上げた!

 

「………」

 

ドドドドドド!ガヂ!

 

「な”があ”っ!?冷テェ!腕に《氷》が!!?」

 

 俺が頭と両腕の痛みによろめいていたら、突然《大量の氷》が飛んできて、俺の両腕の《指先から肘》を覆うように《氷》がガッチリと何重に纏(まと)わりつきやがった!

 

「確か君の個性って…掌の汗腺から《ニトロみたいな汗》を溜めて爆発させる個性なんだよね?…じゃあ……両手が凍傷寸前まで冷(ひ)えて…《手汗》が出なくなると…どうなる?」

 

「(コ、コイツ!?クソッ!《爆破》が起きねぇ!!?)」

 

 煙幕が晴れて《フードの奴》の姿が見えると、その周囲には《氷》が浮いていやがる!

 

 奴の個性は《氷》じゃなくて《氷を操る個性》だったのかよ!?

 

 まだ腕に纏わりついてくる《氷》を払おうとしたくても、既に腕に絡み付いた《氷》が重くてまともに動けねぇから避けられねぇ!!!

 

 しかも奴の言う通り、手が悴(かじか)んできて《手汗》が出なくなった!!!

 

 俺の個性は封じられた!!!

 

 《あの時》と同じかよ!!!???

 

「『冷テェ』だぁ?じゃあ俺が燃やしてやるよ!!!」ゴボボボボボボ

 

ボオオオオオオオオォ

 

 《赤シャツの大男》がまた口から《炎》を吹いてきやがった!

 

「(馬鹿が!好都合だ!テメェの《炎》はこの《氷》を溶かすのに利用してやるよ!)」

 

 俺は《氷が纏(まと)わりついて重くなった両腕》を前に構えて、迫り来る《炎》で両腕の《氷》を溶かそうと考えた!

 

ガギッ

 

「グアッ!?」

 

 腕を前に構えようとした時、俺の左目に《石》が飛んできた!

 

「オレ様を忘れんなや…」

 

「テメェ!?」

 

 《石》を投げてきたのは《額に切り傷のある大男》だった!

 俺はソイツに気をとられたせいで、両腕を前に構えられずに…

 

「ぐああああああああ!!!!??」

 

 俺は《炎》をモロに喰らっちまった!しかも御丁寧に《氷》がついた両腕は避けて、俺の上半身だけに《炎》を浴びせやがった!!

 

「あ”っづっあ”あ”あ”あ”ぁ!!!」バタッ

 

「良い連携だぜ!八十吉(やそきち)!」

 

「どうってことはねぇよ。しかし、これじゃ俺が個性使うより先に…くたばっちまうかもなぁ…」

 

「おいおい、まだまだ始まったばかりじゃん?こんなんで気を失われたら、遠路(えんろ)遥々(はるばる)この町へ来た意味がないじゃん?」

 

 倒れて苦しんでる俺を他所(よそ)に、不良共は好き勝手言いやがった!!!!!

 

 俺はアチコチ痛む身体に鞭を打ち、根性で立ち上がった!

 

「…お”い”テメェら……ハァ…ハァ……俺を…《臆病者》や《腰抜け》だなんて言っときながら……ハァ……俺1人を相手に《4人》で挑むなんざ……ハァ……テメェらは…とんだ《卑怯者》だな…」

 

 俺は奴等を《挑発》した!

 

 そうすることで苛立たせ、《火吹き野郎》と《頭突き野郎》に攻撃をさせて、両腕の《氷》を何とかする算段を即座に立てた!

 

 …だが…

 

「《卑怯》?何言ってんだお前?自分のことは棚に上げてよぉ?」

 

「君が他人(ひと)のこと言える立場なの?…君だって…無個性1人を相手に大人数で痛ぶってたんでしょ…?」

 

「《テメェが今までしてきたこと》と《今オレ達がやってること》の何が違うんじゃん?」

 

「《被害者》面(ヅラ)してんじゃねぇよ!テメェのその腐った考えが邪魔だ!」

 

「ッ!?」

 

 奴等は《苛立つ》どころか、全員が揃いも揃って《冷静》に返答してきた!?

 

「ねぇ君(きみ)………なんで僕達がここ(折寺町)へやって来たと思う?…それは…君達に《制裁》を下すためだよ…」

 

「(君達?)」

 

「君達を恨んでいる人達は…この日本だけでも数十万人はいるんだよ………そんな僕達が集まり……こうして《恨み》をぶつけながら《制裁》をしてるのさ……特に……彼はね…」

 

 《フードの奴》は《火吹き野郎》を指差した…

 

「爆豪勝己……オレにはなぁ……テメェを痛ぶるちゃんとした理由があるんだよ…。オレにとっちゃなぁ…世の中は《邪魔なモン》ばっかだ!!《親》…《教師》…《法律》…そして《クラスの連中》!ソイツらを避けて通るのはもうウンザリだった!!……だが最近になって…ソイツらは俺を避けるようになった……最初は《俺の望み》が叶ったんだと思ったが……それは違った!!!《エンデヴァー》…そして《爆豪勝己》!テメェらの個性はどっちも《炎系の個性》!そしてオレの個性は《口に含めるだけの水を炎に変える個性》……分かるか!?テメェらと同じ《炎系の個性》ってことで、オレは周りから意味無く蔑(さげす)まれるようになったんだ!!!それは俺が思い描いた望みとはまるで違う!!?オレの人生を台無しにしやがって!!!《テメェの存在》は…オレにとって一番の《邪魔》だ!!!だからまずはテメェを消しに来てやったんだよ!!!!!」

 

「なっ!?何を……滅茶苦茶なこと言ってやがんだ!そんなもん俺には関係ねぇだろが!!?」

 

「…ここまで聞いても…そんな台詞が言えるなんてね…」

 

「テメェ……生意気でムカつくじゃん…」

 

「こんなモラルのねぇ奴が…《将来有望なヒーロー》だと?…世間の評判なんてアテにならねーよなぁ…。結局どいつもこいつも《個性》1つで過剰評価しすぎなんだよ!」

 

「次は火傷なんかじゃ済まさねぇぞ!?テメェが《必殺技》を出そうとしてきたんなら…俺もそれに答えてやらねぇとなぁ。オレの個性は《口に含めるだけの水を炎に変える個性》だが、少し応用すれば威力は倍増する、オレはそれに気がついた!《うがいをすると火力が上昇する》!!!」ガブガブガブガラガラガラガラガラ

 

「平(たいら)……お前それ……格好悪いじゃん」

 

「グブベェボ!ボーボ!(うるせぇぞ!ボーロ!)《炎弾(えんだん)》!」

 

ドゴォ!!

 

「(早え!?)」

 

 俺は飛んでくる《炎の弾》を何とか避けた!

 

ドガアッ!!!

 

 避けた《炎の弾》は、裏路地の建物の壁に衝突した!

 《炎の弾》は貫通はしてねぇが、コンクリートの壁は丸く抉(えぐ)られて焼け焦げていた!

 

「かっははは!どうした!?俺の《炎》でその《氷》を溶かすんじゃなかったのかよ!?」

 

 クソったれが!?分かって言ってやがる!?さっきの《炎の弾》を利用すれば《氷》は溶けただろうが、《俺の両手》は大火傷を負って反撃することが出来なくなる!それを知った上で言ってやがるんだ!!?

 

「まぁ避けるしかねぇよなぁ?今のは《ただの炎》でもなけりゃ…うがいで炎圧が上がっただけでもねぇぜ?これは俺の個性の応用で完成した必殺技…《炎弾》だ!炎を圧縮し、弾として一気に吐き出す!!広範囲に燃やすことができないが、スピードと破壊力が格段に増す打撃技だ!!!」

 

 聞いてもねぇのに、自分の技を自慢げにベラベラと語り始めた…が…俺は殆(ほとん)ど聞いちゃいなかった…

 

 俺は今《この状況をどうやったら切り抜けられるのか》ってことしか考えてなかった!

 

 だが正直…《打開策》なんて何も思い付かねぇ…

 

 

 

 来た道は氷で塞がれていて通れねぇ…

 

 俺の両腕は凍(こお)らされた上に、指先まで冷えきって汗が全く出ない!?なのに身体は所々が火傷して、頭はまだ痛ぇ!!!

 

 そんな《爆破》が封じられた俺に対して、相手は4人…

 

 1人はまだ何の個性か分からねぇが、他の3人は《氷を操る個性》《口に含んだ水を炎に変える個性》《頭をダイヤモンドに変える個性》の遠距離から近接まで個性が揃ってやがる!?

 

 しかも《見掛け倒し》って訳じゃねぇようで、肉弾戦でも厄介だ…

 

 例え、両手の氷が取れたとしても…さっきの《頭突き野郎》の手刀で腕の骨が捻挫(ねんざ)……最悪骨折してる状態…

 そんな状態の腕じゃ《爆破》は使えねぇ…

 

 

 

 完全に《手詰まり状態》…

 

 打つ手なんざ何もねぇ…

 

 だが!このままじゃ、3週間前の《二の舞》になっちまう!?

 

「よそ見してんじゃねぇよ!

《炎弾》!!!」

 

「くっ!?」バッ!

 

「逃がすか!ボケが!!

《炎弾》!!!」

 

 《火吹き野郎》は、鞄から何度も《水入りのペットボトル》を取り出しては、即座に水を口に含んでうがいし、《炎の弾》を吐き出してきやがった!

 

 俺は持ち前の《反射神経》で何とか高速で飛んでくる《炎の弾》をかわした!

 

「ちょこまかと!?なら《コレ》はどーだ!!

《連弾》!!!」

 

ドゴッ!ドゴッ!ドゴッ!ドゴッ!ドゴッ!

 

 ッ!!?今度は《炎の弾》を連発してきやがった!!?

 

 俺は避けるだけ避けたが…

 

「ぐおああああああああぁ!!!??」

 

 全て避けることは出来ず、数発喰らって倒れた…

 しかも器用にまた両腕の《氷》は避けてだ。

 

「はっはー!命中だぜ!!平!!」

 

「黒焦げじゃん!」

 

「ははは!やっとくたばったか!!」

 

「ケホッ……ハァ…ハァ……ゴッハ!?」

 

 俺は《炎の弾》を受けたが、普段から《爆破》の衝撃で熱に慣れてるおかげなのか…意識は失わずに済んだ…

 俺はゆっくりと起き上がらせた…

 

「おいおい、まだ意識があんのかよ…」

 

「あのまま寝てりゃあ楽だったモノを」

 

「好都合じゃん、さっきは手加減したとはいえ、俺の《あの技》を喰らって立ち上がった時点で、プライド傷つけられたじゃん!おいっ外典!」

 

「…わかった…」

 

ゴゴゴゴゴゴゴ!ガチ!!!

 

「あ”あっ!??冷メテェ!!!」

 

 ふらふらと起き上がってた俺の足に《氷》が大量に纏わりついてきて、足を地面に固定され身動きが取れなくされちまった!?

 

「がっ!!?クソッ!!!動けねぇ!!!」ジタバタ

 

「暴れんじゃねぇ!邪魔だ!」ガシッ

 

「往生際(おうじょうぎわ)が悪いぞ」ガシッ

 

「あ”あ”っ!?んだテメェら離せや!!!」ジタバタ

 

 《火吹き野郎》と《切り傷額野郎》が凍った俺の両腕を左右で抑えてやがった!

 

「ボーロ君…準備が出来たよ…」

 

「OK、そんじゃあ俺がソイツに鉄槌を渡してやるじゃん?」

 

 《頭突き野郎》はそう言うと…距離をとり始めた。

 そして《フードの奴》が身動きが取れなくなった俺に話しかけてきた。

 

「爆豪君……オールマイトとエンデヴァーが元No.1ヒーローの《神》から鉄槌を受けたのは知ってるよね?この個性社会に混乱を招いた《3人の主犯》の内の《2人》なんだから………でも君は?君だけは神から何のお叱りも受けてない……おかしいよね…君だって《その主犯の1人》で同罪なのに……」

 

「………」

 

「だから俺が!神の代わりに…この俺がお前に《鉄槌》を下してやるじゃん!この《ダイヤモンドの頭》でな!!!」ダッ!

 

 《頭突き野郎》はポケットに手を入れた状態で、俺に向かって突進して来た!

 俺はやっと自分が何をされるのかを理解した!!?

 

「クソが!?離せ!!!」ジタバタジタバタ

 

「逃がすかよ!」

 

「大人しく裁かれろ!」

 

「コレは君が受けるべき《罰》だよ…」

 

「喰らいやがれーーーーー!!!!!

《ダイヤモンド・ヘッドバッド》!!!!!」

 

ズガン!!!!!

 

ミシッ!ベギョッ!

 

「ぐぎぃああああああああああああああああああぁ!!!!!!!???????」

 

 助走をつけて突っ走ってきた《頭突き野郎》の《ダイヤモンドの頭》が、《俺の額》に衝突した!!?

 《頭が割れて脳味噌が吹き飛んだと思うほどの衝撃》と《聞こえちゃいけねぇ音》を耳に入った時には…

 俺は今まで感じたことのない《激痛》によって地面に倒れて暴れもがき苦しみ叫んだ!!!

 

 頭を抑えてぇのに両手が凍ってて動かねぇ!

 

 頭突きされた拍子に、足元の《氷》は解かれて、《火吹き野郎》と《切り傷額野郎》は俺の両手を放したことで、俺は吹っとばされた!!!

 

 脳味噌が激しく揺れて俺は、意識は保ってたが身体は完全に動かなくなった!?

 

「お前っつー《ヴィラン》を退治すれば、俺達は《ヒーロー》じゃん!?」

 

「お前みたいな邪魔な《悪》は…この俺が成敗してやるよ!」

 

「何が《天才》だよ下らねぇ!噂に聞いてた爆破野郎の実力は所詮この程度かよ。こうも簡単にへし折れるテング鼻が《将来有望なヒーロー》なんてなぁ…」

 

 仰向けで意識が朦朧(もうろう)とする俺を《3人の大男》が囲った………

 

 

 

 

 

 そして…この前の《二の舞》になった…

 

 

 

 

 

 動けなくなった《俺》は、《3人の大男》に《殴る》《蹴る》《叩きつける》のサンドバッグにされ…容赦なく痛め付けられた…

 

 

 

 しかも…ただ暴力を振るわれるだけじゃなかった…

 

 

 

「お前、まだ自分が《ヒーロー》になれるとか思ってんのか!?夢見てんじゃねぇよ!テメェは《ヒーロー》になれねぇ邪魔な存在なんだよ!!」

 

 

 

『(無個性の木偶の坊が!夢見てんじゃねぇよ!テメェなんかがヒーローになれっかよ!!!)』

 

 

 

「ッ!!!??」

 

 痛め付けられながら言われる暴言に…俺は激しく反応した!

 

 その暴言の台詞は…《以前自分が出久に対して言っていた暴言》とほぼ同じだったからだ…

 

 一方的に痛め付けられることは…3週間程前に経験したが…そこに《暴言》が追加されるだけで…身体(からだ)だけでなく…心までもが傷ついていくことを…俺は実体験した…

 

 それからも容赦なく…暴言を言われながら《3人の大男》に痛め付けられた…

 

 

 

「テメェみてぇな邪魔な奴は、存在する価値はねぇんだよ!!!」

 

 

 

『出来損ないのクソナードが!テメェにはこの世に存在する価値はねぇんだよ!!!』

 

 

 

 

「おい!泣いてんぞコイツ!泣きゃ助けてもらえると思ってんのか!?」

 

 

 

 

『あ”あ”っ!?泣くのか!?泣いたら助かると思ってんのか!甘めぇこと考えてんじゃねぇよ!死ねや!クソデク!!!』

 

 

 

 

「テメェはこの世に生まれてきちゃいけねぇ奴だってこと…じゃん!!!」

 

 

 

『お前は生まれてきた意味なんざ何もねぇんだよ!!落ちこぼれの無個性野郎が!!!』

 

 

 

 抵抗したくても…耳を塞ぎたくても…この場から逃げようにも…手足には《氷》が纏わりついて何も出来なかった…

 

 昔の俺が出久に散々言ってきた暴言が、今そのまま自分へ跳ね返ってきた…

 

 俺は何の抵抗も出来ず、気を失いたくても《痛み》で意識を覚醒させられ続けた…

 

 俺は《痛み》と《悔しさ》に加えて…心の底から溢れてくる《罪悪感》で涙が止まらなかった…

 

 

 

 

 

 どれだけの時間が経ったのか…

 

 

 

 

 

「……もぅ………ヤメ……テ…」

 

 俺は力を振り絞って…声を出した…

 

「あ”あ”?『止(や)めて』だぁ?テメェはそう言われて止めたのかよ!?」ドガッ!

 

「自分がいざ痛い目にあえば被害者面(づら)をすんのか…じゃん!!?」ズガッ!

 

「これなぁ…《制裁》なんだよ!!テメェみてぇなどうしようもねぇクソガキに、2度と『ヒーローになる』なんてフザけたことを言わせねぇためのな!オラッ!」ドスッ!

 

 どれだけの時間…痛ぶられたか…

 

 自分の身体の感覚が分からなくなってきた…

 

 今さっき…自分が何を言ったのかすらも…思い出せない…

 

「そろそろ…俺が《火葬》してやるよ……この《恨み》…晴らさせてもらうぜ…」

 

「どけ丸男、俺がトドメは差す。《俺の個性》でコイツに引導を渡してやるよ…」

 

 4人組の中で、一度も個性を見せていない《切り傷額野郎》が、倒れている俺に近づいてきた…

 

 そして…俺の目の前に落ちていた小石を拾い上げた…

 

「冥土のみやげに教えてやるよ、俺の個性は《この石を…」

 

「君達!そこで何をしているのかね!?」

 

『ッ!!?』

 

 突然聞こえてきた別の声がした方へと、無理矢理顔を向けると…そこには《氷の壁の上》に立つ《紫色のスーツを着たヒーロー》が見えた!!!

 

「おい!不味いぞ!ヒーローじゃん!?」

 

「クッソ!良いところで邪魔しやがって!!」

 

「おい!ズラかるぞ!!って外典!?なにボサッとしてやがんだ!!さっさと来い!!」グイッ!

 

「………」

 

 4人の不良共は路地の奥へと走って逃げていった…

 

「コラッ!待ちたまえ!?ん?ややっ!?君は《折寺中のヤバイ子》!?大丈夫かい!?酷い怪我だ!!すぐ救急車を呼んであげるからね!!」

 

 ヒーローが来た……それが分かると……俺は意識を手放した…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

外典 side

 

「畜生!あの《ギョロ目ヒーロー》が!邪魔しやがって!!」

 

「まだまだ痛ぶり足りなかったのに!マジでムカツクじゃん!!」

 

「クソッ!なんだか記憶にねぇけど!同じようなことがあった気がして余計に腹立つ!!?」

 

 突然のヒーローの登場によって、僕らは裏路地の奥へと逃げた…

 

「外典!この町の邪魔なヒーロー共は、今は県外に行ってて殆(ほとん)どいないんじゃなかったのかよ!?」

 

「仕入れた情報に間違いがあったってことじゃん?」

 

「……いや…間違ってはいないよ…」

 

「何?」

 

「あのヒーローは《折寺町を担当しているヒーローリスト》には載ってないヒーローだ。…恐らく《県外から派遣されたヒーロー》だよ…」

 

「じゃあ何か?この町へ派遣されたヒーローがパトロールしてる最中に、俺達は偶然見つかったってことじゃん!?」

 

「そういうことになるね……どっちにしろ…見通しが甘かった……ゴメン…」

 

「チッ!まぁいい、そういうことなら謝ることはねぇよ」

 

「とにもかくにも、爆豪をシコタマぶちのめすことが出来たのは《お前の作戦》があったおかげだからじゃん?」

 

「んで?これからどうすんだ?のんびりしてるとさっきの《邪魔なヒーロー》が追いかけてくるぞ?」

 

「そうだね……とりあえず君達は…当分の間は…何もせずに静かに過ごしていた方が良い。…暗がりで離れてたから…あのヒーローに僕らの顔は見られてないだろうけど……念には念をいれてね…」

 

「確かに…暫(しばら)くは大人しくしているのが利口な判断じゃん?」

 

「まぁ何はともあれ、あの邪魔な《爆豪勝己》への憂さ晴らしは出来たからな」

 

「なぁ、こんな形で出会ったのも何か縁だしよ、連絡先を登録しねぇか?」

 

「おっ!いいなそれ、またどっかで会おうじゃん!」

 

「ふん!まぁいいか…邪魔にはならなそうだしな…」

 

 《山田 八十吉(やまだ やそきち)》の提案に、《ボーロ・T(ティー)》と《平 丸男(たいら まるお)》も賛成し、3人はスマホを出してメールアドレスを交換していた。

 

「おい外典、お前もメルアド交換するじゃん」

 

「…僕とは辞めといた方がいい…君達を誘ったのは《僕》だ。……もしこの先、僕がヒーローに捕まるようなことがあったら…君達に迷惑をかけるかも知れないからね…」

 

「そっか…残念だけど…それじゃあ仕方ねぇか…」

 

「アリバイ工作は僕がやっておく………君達は早く地元に戻った方がいいよ?」ガサゴソ

 

 僕はフードのポケットから、3人へそれぞれの帰路への《新幹線のチケット》を渡した。

 

「そうだな、長居は無用か」

 

「何時(いつ)また邪魔なヒーローが来るか分からねぇからな、さっさと帰ろうぜ」

 

「じゃあな外典、色々ありがとじゃん」

 

「…うん……じゃあね…」

 

 3人は僕に別れを告げて、駅がある方面へと歩き去っていった。

 

 

 

 

 

 3人が見えなくなると、先程の《仲裁に入ったヒーロー》が僕の後ろに現れた。

 

 

 

 

 

 

None side

 

 外典の元へやって来たヒーローは、外典を捕まえようとも、駅へと向かった3人を追おうともしなかった…

 

「…スライディン・ゴー……首尾は?」

 

「バッチリだ!《救急車が到着し爆豪 勝己を救急隊に任せ、私は逃げた君達を追ったが逃げられてしまった》!全てスケプティック氏の筋書き通りだ!外典君!」

 

 何故か、ヒーロー《スライディン・ゴー》は、外典を知っていた…

 

「…さっきの3人も単純で助かりましたよ……自分達が《アリバイ工作》と《襲撃の戦力》に利用されていたとは知らずに…」

 

「ふむ…今更だが、態々(わざわざ)県外から《我ら以外の人員》に声をかけずとも、スケプティック氏の《人形》でも良かったのではないかと、私は思うのだが?」

 

「それも視野に入れてたけど…彼には今回《情報漏洩防止》と《証拠の隠蔽工作》に勤めてもらったから…その余裕が無かったんだよ…」

 

「そうか。では話は変わるが《先程の3人》と《今回の件に利用した者達》も、いずれ我々の仲間へ加えるのかい?」

 

「さあ?そこはリ・デストロの判断次第だね…」

 

PiPiPiPiPi…PiPiPiPiPi…PiPiPiPiPi…

 

「ん?……噂をすれば…リ・デストロからだ…(Pi)はい…もしもし…こちら外典…」

 

『外典、早速だが《そちらの成果》を聞きたい』

 

「こちらは作戦成功です……ターゲットの爆豪 勝己は《彼ら》を使って重傷を負わせました。全員、今回の作戦を疑う素振りは全くありません。先程、帰りのチケットを渡して地元へ帰らせました。今は《スライディン・ゴー》と一緒にいます。彼の方も上手くいったようです」

 

『そうかそうか!それは良かった!他のグループからも連絡があってね!残るは君達のグループだけだったんだよ!いやはや!全グループが成功すると清々(すがすが)しいものだね~!!!』

 

 外典は電話越しからでも分かるほどにリ・デストロの機嫌が良いことを把握した…

 自分の主が作戦が全て上手くいったことを本心から喜んでいるのだ…

 

『外典、後のことはキュリオスやスライディン達に任せて、君は予定通りトランペット達と合流して此方(こちら)へ戻ってきてくれ。その町の住民でない者達が大勢で長居しては流石に怪しまれるからねぇ…』

 

「了解…」

 

『では御苦労だった(Pi)』

 

「それじゃ外典君!私はそろそろ戻らせてもらうよ!ヒーローとしての立場上!これから忙しくなるのでね!」

 

「分かった…」

 

「失礼する!」スイーーーーー!

 

 スライディン・ゴーは外典に別れを言うと…《地面を滑って》裏路地の出入り口へと向かっていった…

 

 外典は《騒ぎ》が大きくなる前に…トランペット達と予定通り合流し…折寺町から離れていった…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

●とある病院…(ヒーロービルボードチャート上半期から1週間以上経過…)

 

 

爆豪勝己 side

 

「……ぅ…ん……あ”っ”?………ハッ!!!ここは……また病院かよ……」

 

 気がつくと……俺はまた病院のベッドの上にいた…

 

 だが…前とは病室の内装が違った…

 

 どうやらここは…出久が入院している病院とは違うみてぇだ…

 

 他にも前とは違うところがあった…

 

 目を覚ました俺の傍に…誰もいなかった…

 

 そして病室にある《日付のデジタル表示がある時計》に目を向けると、《あの不良4人に襲われた日》から《2日》経過していた…

 

 俺がベッドの上で上半身だけをおこして現状を把握していると…

 

ガラッ

 

「おや、やっと目が覚めたかい」

 

「……もっと早く意識が戻って欲しかったですよ……お陰で1日中待たされて…睡眠が………あぁ…帰りたい……眠たい……」

 

 病室の扉を明けて入ってきたのは、前回も俺を治療した《リカバリーガール》の他に、《明らかに寝不足な顔をした黒スーツの男》が入ってきた。

 

「全く…こんなに早くまた大怪我して入院するなんざ………お前さんこの前散々に痛い目にあったってのに…《揃いも揃って》何も学んでいないのかい?」

 

「…………チッ!…」

 

「ふあ~あ……リカバリーガール…すみませんが彼へのお説教はこの次にして…彼の診察をしていただけませんかぁ?……《彼の返答》次第では……私達はまた色々と忙しくなってしまいますので…」

 

 俺がリカバリーガールから説教を言われていると、一緒に病室へ入ってきた男は欠伸(あくび)をしながら催促(さいそく)していた。

 

「……はぁ……そうさね…分かったよ…」

 

 リカバリーガールは《仕方なく了解した態度》をとりながら…俺の診察を始めた…

 

「今回は随分と手酷くやられたもんさね。《全身に受けた暴行》に加えて《両手の凍傷》《両腕の骨折》《腕以外の火傷》《頭蓋骨の陥没》……アンタも相当恨まれたもんさね。ここまでされて…よく2日で意識が戻ったもんだよ…」

 

「……おい……《俺を痛ぶりやがった奴ら》はどうなったんだよ……ヒーローが駆けつけてただろ…」

 

「起きて早々に言うことがそれかい………アンタを痛め付けた犯人なら1人も捕まってないよ」

 

「はっ!?なんでだよ!!《紫色のコスチュームのヒーロー》がいただろうが!!イッ!イデデデデデッ!!!!」

 

 興奮した俺は身体を無理矢理動かそうした瞬間!身体中に激しい痛みが走った!

 

「ジッとしてな!傷まだ完治してないんだ!順を追って説明してやるよ。まずアンタらを襲った犯人についちゃ、警察が調べたけど《目撃者》は疎か、《町の防犯カメラ》には一切映っちゃいなかったそうだよ。あと、一昨日(おととい)アンタの所へ駆けつけてたプロヒーローは、その日の前日に折寺町へと派遣されたばかりの《他県のプロヒーロー》でね、まだ町並みを把握出来てなかったのもあって…犯人には逃げられちまったんだよ。しかも夕暮れ前の裏路地の暗さで《犯人達の顔》は1人も確認できなかったみたいさね。といっても、重傷のアンタの応急処置をしながら、救急車の手配を優先する判断をしたそうだよ」

 

「………」

 

「確かに犯人を取り逃がしたのは遺憾なことだけど、目の前で《死にそうな人間》がいたなら、ヒーローはどっちを優先するべきなのか………《今のアンタ》なら分かるんじゃないのかい?」

 

「………」

 

「念のために言っておくけど、アンタを助けてくれた紫色のコスチュームのヒーロー《スライディン・ゴー》は、今回の事件で役に立てなかったことの謝罪として、《アンタの治療費と入院費を全額を負担してくれる》そうだよ。しかも自分達から昨日《謝罪会見》を開いて全国的に謝罪してたさね。この時点でデステゴロやシンリンカムイ達との《プロヒーローの器の大きさ》を見せつけてくれたよ」

 

「………」

 

「ほら、診察は終ったよ。今の状態で明日アタシの《治癒》での回復で良好なら、3日後には退院できるよ。アンタには今からでも色々と言いたいことはあるけど、それは明日にするさね。ソイツとの話が終わったら今日はさっさと休みな」

 

 リカバリーガールは俺の診察を終えると、病室から出ていきやがった…

 

 俺は《寝不足野郎》と病室で2人にされた…

 

「えぇぇっと…初めまして…爆豪勝己君、私は…ヒーロー公安委員会の者で《目良(めら)》と申します…」

 

「公安委員会?そんな奴が何しに来たんだよ…」

 

「……噂に聞いてた通り……君は年上に対しての《礼儀》がなっていないようですねぇ…」

 

「あ”あ”っ!?喧嘩売ってんのか!?痛っーーー!!!」

 

「……失礼、余計な私語を口にしてしまいました、忘れてください…。『何しに来た』…でしたよね?長話をしても覚えてる気は無いでしょうし……要点だけを…かい摘(つ)まんで説明させていただきます。……爆豪君…今から2週間以上まえに君の元へ《変わった人物》が現れませんでしたか?」

 

「あ”ぁ”?変わった奴?」

 

「はい……君に危害を加えた人達以外でです。…いないですよね?…いるわけないですよね?…いないって言ってくださいよ?」

 

「……いた……《金髪のガリガリに痩せた骸骨野郎》がな」

 

「………まさか……《この人》ですか?」ペラッ

 

 寝不足野郎は俺に《1枚の写真》を見せてきた。そこに写っていたのは、間違いなく《自分をオールマイトの遠い親戚だと言ってた骸骨野郎》だった!

 

「そうだ!コイツだ!!って…何してんだよ」

 

「はあぁぁぁぁぁぁぁぁ………間違いであって欲しかった………これで今日も徹夜決定……辛い……眠たい……休みたい……」

 

 俺の返答を聞いた瞬間、寝不足野郎は目に見えて《疲れてるアピール》しながら項垂れて愚痴を溢(こぼ)し始めた…

 

「おい!コイツは自分を《オールマイトの遠い親戚》だって言った奴だぞ!!?」

 

「……親戚?……成る程、彼はそう言って君に近づいたんですね…」

 

「あ”あ”!?なんのことだよ!?つかコイツは今、何処に居やがんだ!!知ってんなら教えろや!!!」

 

「…それを知ったところ…どうする気ですか?…」

 

「んなもん決まってんだろ!!俺はオールマイトに言いたいことが山程あるんだ!!だからコイツを問い詰めてオールマイトを来させんだよ!!!もうとっくに退院してんだろ!!?」

 

「オールマイトに会って…どうするつもりなんです?」

 

「アイツのせいで俺の人生設計は滅茶苦茶になったったんだ!!《俺だけ》がこんな目にあったのも全部アイツのせいなんだよ!!!その責任をとらせんだよ!!!!!」

 

「…《俺だけ》?……何を言ってるんですか?……君は?」

 

「あ”あ”っ!?」

 

「…さっきのリカバリーガールとの会話で……《違和感》を感じませんでしたか?」

 

「だから!なんのことだよ!!!」

 

「………はぁ……すいませんがTVを点けてもいいですか?……この時間なら…丁度ニュース番組の時間です。…今流れてるニュースの内容を知れば、納得していただけるかと…」

 

「クソが!いったい何だってんだよ!!!」ピッ

 

 俺は寝不足野郎に文句を言いながら、病室に備えられているTVを点けた。

 TVを点けると、丁度ニュース番組が始まるところだった…

 

 そして俺は…その《ニュースの内容》に釘付けになった…

 

 先日までのニュースは《オールマイトの前のNo.1ヒーローが復帰したこと》や《先代No.1ヒーローの復帰によってヴィラン発生率が下がったこと》《引退した腰抜けヒーローを狩りまくってたヴィランが活動を停止したこと》が主な内容だったが…

 

 今、報道されてるのは大きく分けて《2つ》!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 《ヒーロー狩りによる若手の元ヒーロー連続襲撃事件》…

 

 

 

 

 

 《折寺中学生同時襲撃事件》…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 TVに流れた…《2つの襲撃事件》が、どのチャンネルのニュース番組も支配していた!!!

 

 特に俺が驚愕したのは《折寺中学生同時襲撃事件》の方だ!!!

 

 俺だけじゃなかった!!!

 

 ニュースに報道されてる内容だと、《出久》以外の《俺とクラスの奴らを含めた3年生全員(149人)》と《2年と1年の生徒》を足した《200人以上の折寺中学生達》が、一昨日の同じ時間帯である夕方に襲われて重傷を負い、折寺町の各地の病院へと緊急搬送されたニュースが流れていた!!!??

 

「…んな………なんだよ……コレ……嘘だろ…」

 

「出来れば私も《嘘》だと言って欲しいですよ………ですが、これは紛(まご)うことなき《現実》であり、この病院には《君》以外の《折寺中学生》も入院してるんですよ…」

 

「ッ!!!??」

 

「と言っても…意識を取り戻したのは《君》が最初で……他の生徒達はまだ眠ってますが…」

 

「………」

 

ピッ

 

 黙り混んだ俺を無視して、寝不足野郎はTVを消した…

 

「さてと…話の続きをしていいですかな?《さっきの君の発言》からして、君は知っている筈、2週間以上前に《写真の男》から語られた《真実》を……」

 

「………出久の《ヒーローになりたいの夢》を…《個性がない》ってことを理由にブチ壊して…『無個性はヒーローになれない』って言いやがったヒーローが……《オールマイト》だってことかよ?」

 

「………はい……それです……確認ですが……それを他の誰かに話しましたか?」

 

「……言ってねぇよ……もし言ったとしても…誰も俺の言葉なんざ信じてくれねぇからなぁ…」

 

「…本当に……誰にも言ってないんですね?」

 

「チッ!疑うなら《嘘を見抜ける個性》や《他人の思考を読む個性》の奴でも何でも連れてきて徹底的に調べろや!!」

 

「……いえ…分かりました……本当のようですね…」

 

「《それ》を確認するために態々(わざわざ)来て、俺が目を覚ますまで待ってたのかよ…」

 

「はい……お陰さまで…最後に十分な睡眠をとれたのが何時(いつ)なのか…忘れそうですよ…。そして…これからが本題です…」

 

「…本題?」

 

「そうです……爆豪君……今世間で《その真実》を知ってる一般市民は、被害者である《緑谷 出久君》と、《オールマイト………の関係者》から聞いた《君》だけなんですよ…」

 

「…それがなんだよ…」

 

「…爆豪君……今後も…その《真実》は絶対に口外しないでください…」

 

「あ”あ”っ!!?なんでだよ!??」

 

「この真実が世間に知られれば……ヒーロー社会のバランスが崩壊してしまう恐れがあるからです…」

 

「んなもん俺の知ったこっちゃねぇだろ!!元はと言えばオールマイトが出久に余計なことを言ったから《始まり》じゃねぇかよ!!!むしろオールマイトを晒し者にして《真実》を世間に暴露させて、オールマイトにも《これ以上にないくらい反省》させて《身合った処分を下せ》や!!?」

 

「いえですから…オールマイトに関しては知っての通り…先代No.1ヒーローの神様がお灸を据えて下さいました。リカバリーガールの治癒があっても《1週間も入院が必要な重傷》を負わされて、オールマイトも深く深く反省しています…

(それに全ての《始まり》……緑谷出久君を自殺に追い詰めた発端は…《君》でしょうに…)」

 

「だからなんだよ!?《No.1ヒーロー》ならそんなことで許されんのかよ!!?」

 

「…言いたいことはあるでしょうが……その《真実》を他人へ話すことだけは生涯しないと約束し…そして《この契約書》にサインをお願いします…」ペラッ

 

 寝不足野郎は話をしながら、自分の鞄の中から《1枚の紙》を医療ベッドのテーブルに置いた。

 

「フザけんな!!!オールマイトがボコられたのは《自業自得》だろうが!!?物足りねぇんだよ!!!俺は俺自身がオールマイトに気が済むまで反省させねぇと納得いかねぇんだよ!!!分かれやクソが!!!!!」

 

 俺は一方的な要求にキレて怒鳴った!

 

 このまま大人しくサインしたところで何の解決にもならねぇし!何より俺の腹の虫が治(おさ)まらねぇ!!オールマイトにも俺が味わった《苦しみ》と《絶望》を分からせねぇいけねぇんだよ!!!!!

 

「……はあぁぁぁ……困った子だ…。…爆豪君…その契約書を上から順に目を通してください…」

 

「あ”あ”!?読む必要なんざねぇよ!!俺はサインなんざしねぇよ!!!」

 

「サインするかしないかは…せめてその契約書を最後まで読んでからにしてください………《大事なこと》が書いてあります……《君の将来》を含めてね」

 

「あ”?………チッ!…読みゃいいだろ…読みゃ!」

 

 俺は目を通す気なんてなかったが…《俺の将来》って言葉が気になり…契約書を上から読み始めた…

 

 最初に書いてあったのは《出久を自殺に追い込む発言をしたヒーローがオールマイトだって真実》を、俺が外部に漏らさないか見張るために中学の終わりまで《監視》がつけられることだった…

 

 この内容の時点で、契約書を今すぐに《爆破》で塵にしてやりたかった………だが!その次に書いてあった内容が目に入った途端にそれは思い止(とど)めることになった!

 

 

 

 それは…

 

 

 

 《来年の雄英高校の一般入試にて主席(1位)になれた場合のみ、雄英高校への入学を確定とする》っていう内容だ!!!

 

 

 

「おい!ここに書いてあるのは本当なのかよ!?」

 

「…《雄英高校の入学の件》ですか?…勿論…それを決めたのは誰でもない《雄英高校の根津校長》です…」

 

「雄英の校長が!?俺はまだ雄英に入学できる可能性があんのかよ!!?」

 

「はい、《オールマイト………の親戚》が…勝手に身内であるオールマイトの情報を君へ話してしまったことが判明しまして……それについてオールマイト本人が《君への謝罪と償い》として、彼の卒業高校である《雄英高校の校長》に何度も頼み込んで、その結果…来年の受験で君が《主席》…つまり一般入試で学科と実技共に《1位》で合格できた場合のみ、君を《雄英高校ヒーロー科》に入学させることを約束させたんですよ…。そして中学の間は《監視》を含めて《とあるヒーロー》の教育と指導を受けることとなります……

(まぁ…実際に全部決めたのは《根津校長》なんですがね…。爆豪勝己君……君はその《乱暴で無責任で凶暴な性格と人間性》《これまで起こしてきた事件が子供とはいえ悪質》故に、普通なら《更生施設》に入れるべきだとヒーロー公安委員会の者達も言ってたんですが………何せ今回関わったのが《オールマイト》だったのもあって《非常にややこしく》なってしまった。……根津校長が苦肉の策で…《この案》を提案してくれたんですよ…。根津校長は本心では《こんなこと》望んでなかったでしょうがね…)」

 

「……《雄英の入学》をエサにして…俺を黙らせようってのか……」

 

「捉(とら)え方は君の自由です…。しかし爆豪君…私が言うのもなんですが……君は今年の4月中旬までは…入学出来る高校は日本中に沢山あったそうですね………しかし今…あの事件以降の《君だけでなく個人情報が公(おおやけ)になった折寺中の3年生達》を受験させてくれる高校は…全く無いようなのですよ…」

 

「………」

 

「…君はまだ《贅沢(ぜいたく)》な方なんです…………他の3年生達には《君のようなチャンス》は与えられて無い………君の場合は…《緑谷出久君へ無個性差別発言をしたのがオールマイトであること》を黙っておくだけで、雄英高校への入れる可能性があるんですから…

(と言ってもそうなった原因は全部《オールマイト》が、正体を偽って君に無断で《自分(オールマイト)が犯人だという真実》をベラベラと話したことが判明したからなんですがね…。しかも我々がそれを知ったのは、オールマイトが退院する前の日で、既に《真実》を話した日から2週間以上も経過してしまっていた。…もし…その間に君が《真実》を誰かに口外してしまっていたなら《最悪の事態》を想定しなくてはなりませんでしたよ…)」

 

「………」

 

「あと…一応伝えておきます………もし来年の雄英受験に落ちた場合は…」

 

「んなもん聞く必要ねぇ…」

 

「…え?…」

 

「俺は主席合格で雄英に入学することが決まってるんだよ!だから受からなかった場合の話なんざ聞く必要がねぇんだよ!!!」

 

「………そうですか……なら…私が君に伝えることは全部伝えたので、あとはこの契約書にサインをよろしくお願いします…」

 

「あぁ…」カキカキカキ

 

 俺は大人しく…契約書に自分の名前を書いた…

 

「(情報通り…本当に《自尊心が高い》ようで…。……もし《契約書にサインをしない》…《来年の雄英高校で主席以外になった》場合は…、《オールマイトの引退》まで……情報漏洩の防止のために我々が君を《監禁》するという《最悪の事態》になってたんですからねぇ。………しかし受験するなら本当に《主席》で合格してくださいよぉ?………そして…これ以上…私の仕事を増して…私の《睡眠時間》を奪わないでください…)」

 

「ほらよ…」

 

「……確かに……ではコレを…」

 

「あ?んだよ…この《古い携帯》は?」

 

 寝不足野郎は、契約書を鞄にしまうと代わりに《黒い折り畳みの携帯電話》を俺に渡してきた。

 

「君が《契約書》にサインをしたなら…コレを渡すように言われました………君が今もスマホに電源を入れられずに使えないのは知っています………なのでコレは…《ヒーロー公安委員会》から君への支給品です………《登録した人以外》からの電話やメールがこの携帯にくることはありません…《迷惑メール》や《イタズラ電話》も来ないでしょう。…ですが…今のスマホのような機能はなく…《インターネット》や《ゲーム》などは出来ませんがね…」

 

「………」

 

「まぁ…無いよりは良いでしょう……それと《君の父親》の電話番号も入ってます……。今回こちらへ来られないことは確認してました。………そしてここに来る前に《君の父親》に会ってきて、君に支給される携帯電話のことを話したら……自分の番号を登録してほしいと言われましてね…」

 

「………」

 

 俺は無言で…受け取った携帯電話の《連絡先》を確認した…

 そこには《ヒーロー協会》と…《親父》の名前の《2つ》だけが載っていた…

 

「………」ポロ…ポロ…ポロ…

 

 なんでか知らねぇが…俺は目頭が熱くなって…涙が溢(あふ)れていた…

 

「………それでは…私はこれでお暇(いとま)させていただきます。……君の監視を担当するヒーローは後日に現れるでしょう…」

 

「…最後に教えろや……俺の監視と指導する《ヒーロー》っては誰なんだよ…」

 

「…申し訳ありませんが…それについては教えられません………というよりも……《まだ決まってない》と言うのが正しいですがね…」

 

「……そうかよ…」

 

「(……本当は十中八九で《誰》になるのかは予想がつきますが……それは言わない方が良いでしょう…)」

 

 寝不足野郎は…フラフラと歩きながら…病室を出ていった…

 

 俺は涙を拭いて…貰った携帯電話を病室の棚の中にしまいがてら…病室のカーテンを閉め…電気を消した…

 

 まだ夕方だったが…俺はベッドに入って眠りについた…

 

 

 

 

 

 

 それから数日が経ち…俺が退院する頃には…被害を受けた折寺中学の奴等は全員目を覚ましたそうだ…

 

 そして1早く退院した俺は自宅へ戻ったが…

 

 正直《ひでぇ有り様》だった…

 

 

 

 住み慣れた家には…《ポストには入りきらずに地面に落ちている大量の手紙の山》《外からでも聞こえる電話の音》、自宅の壁には《スプレーによる落書き》だけじゃない……以前は無かった《壁や窓ガラスにはスプレーで『この町から出てけ』『悪魔の子』『疫病神』『人でなし』などのラクガキや張り紙》《石か何かを投げ込まれたのか2階の窓ガラスが割られていて》…一番最悪なのは《家の前に大量のゴミが捨てられていた》…

 

 

 

 変わり果てた自宅の有り様に…

 

 もう…俺は…考えるのを放棄した…

 

 

 

 

 

 そして俺は…それからすぐに知った…

 

 今世間の奴等が…《俺のこと》をなんて呼んでいるのかを…

 

 

 

 

 

 中3になってまもなくして起きたヘドロヴィラン事件を始まりに…

 

 ヒーローが築き上げた《平和》を壊し…

 

 個性社会の《秩序(ちつじょ)》を乱(みだ)し…

 

 騒ぎをどんどん拡大させ…

 

 更には、《先代No.1ヒーロー》に加えて…《ヒーローでない警察や自衛隊や一般人》の協力を求めねぇと…現状の事態を鎮めることのできずにいる…

 

 

 

 

 

 その全ての元凶が《俺》だと決めつけた世間の奴等は… 

 

 俺に不名誉な《2つ名》をつけやがった…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 笑顔で人々を助ける強く優しいヒーロー…

 

    《平和の象徴・オールマイト》

 

 それとはまるで《逆の存在》を意味する…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 笑顔で人々を傷つける自分勝手で卑劣なヴィランの卵…

 

     《騒乱の象徴・爆豪 勝己》

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

●無人ビルの屋上…(折寺中学生襲撃事件から1週間以上経過…)

 

 

None side

 

 1ヶ月程前…このビルから飛び降りるも自殺に失敗…

 

 奇跡的に生き延びた無個性少年…

 

 《緑谷 出久》…

 

 中学生が自殺を図ったとなれば…世間は一時的に騒ぎとなり噂となる…

 

 だが…この個性社会においては《無個性差別》という言葉がある…

 

 世間は出久に対して《無個性》という第1印象を《レンズ越し》にしか見てはくれない…

 

 その上で《無個性》と《自殺》という言葉が揃ったのら…世間の人々の捉(とら)え方は《1つ》…

 

『無個性で生まれてきたことで…周囲の人々から蔑(さげす)まられ……存在を否定されたことで……生きることに疲れ……人生に絶望した無個性が……自(みずか)ら命を絶った…』

 

 今の個性社会に生きる《個性をもって生まれてきた人々》は《無個性の自殺》と聞けば、この様にしか思わないのだ…

 

 マスコミやメディアも同じく、被害者が《無個性》だと知った途端、無個性の被害者について調べようとはしない…

 

 だから今になっても世間の人々は、ヘドロヴィラン事件の日に飛び降り自殺を図った無個性の男子中学生が……《緑谷 出久》だとは知らない…

 

 彼以外の同級生である《折寺中学校の3年生達》は、全員が個人情報を公(おおやけ)にされ…今じゃ日本のみならず世界中の人々が《折寺中学校の3年生達》を知っている…

 

 にも関わらず…《無個性》ということを理由に完全に除け者とされ…彼に対して同情する者達は大勢いても…彼の名前を知る者達はとても限られていた…

 

 それこそ、その《緑谷 出久》が数日前……自殺を図った日から丁度1か月後に意識を取り戻した……

 その《事実》を知ってるジャーナリストがたった《1人》しかいない程に…

 

 

 

 

 

 そして…そんな《緑谷 出久》を死に追い込んだ《2人の主犯格》が今……事件現場となった《無人ビルの屋上》にて会っていた…

 

 爆豪を探して無人ビルにやってきた《オールマイト(トゥルーフォーム)》は、屋上で真ん中で体育座りをして踞(うずくま)っている《爆豪 勝己》を見つけた。

 

「…やはり……ここにいたのか…爆豪少年…」

 

 目的の人物を見つかり、一安心したオールマイトは爆豪に声をかけた。

 

「HEY!爆豪少年!」

 

「………」

 

 しかし爆豪は呼び掛けに反応しなかった…

 

「爆豪少年……覚えてるかな?3週間前に公園で話をした…《オールマイトの遠い親戚》だよ?」

 

「………」

 

「もうすぐ暗くなるから早く家に帰った方がいいよ?君に話したいこともあるし、送っていk」

 

「るっせぇ!!!」

 

「…爆豪…少年…」スタスタスタスタ

 

 オールマイトは爆豪の怒声の返事に狼狽(うろた)えずに、ゆっくりと歩いて爆豪に近づく…

 

「近づくんじゃねぇ!!!……テメェに……テメェに俺の………俺の何が分かんだよ!!!!!」

 

「………」

 

「…俺にはもう……帰る場所なんかねぇ!!!……俺は…もう一生…《ヒーロー》にはなれねぇんだよお!!!!!」

 

「………」

 

「俺は《人の道》を外れた………もう引き返せねぇ所にまで来ちまったんだよぉ………戻りたくても戻れねぇんだよ!!!」ポロポロポロ

 

「っ!?……爆豪少年…」

 

「うっ…くぅうぅぅ………皆…俺のこと…忘れてくれねぇかなぁ………それが叶わねぇなら…俺の存在を…この世から消してくれよぉ…」

 

 爆豪は絞り出すような声で《弱音》を吐いた…

 

 彼はずっと溜め込んでいたのだ…

 

 1か月前まで…《自分がトップヒーローになる最高の未来》は…順調に…何の生涯も…必ず訪れると信じて疑わなかった…

 《自分が今までしてきた行動に間違いは何一つ無い…》《自分が決めてきた選択肢は何もかも正しい…》と確信していた…

 

 

 

 だが…あの一件以降…《全て》が崩れ去った…

 

 

 

《自分を慕い称えてくる同級生達》…

 

《恵まれた才能によって優遇してくれる大人達》…

 

《性格が正反対の両親ながらも当たり前のように送る平凡な日常》…

 

《将来有望だと持ち上げてくれるプロヒーロー達》…

 

《自分が思い描いていた輝かしい最高の未来》…

 

 

 

 爆豪勝己はその《全て》を失い…絶望していた…

 

 そんな爆豪に残っていたのは…《強力な個性の爆破》と《文武両道の才能》だけ…

 

 周りの人間達は…考えを改めた上で《爆豪のこれまでの悪行》を知った途端に態度を急変、手の平を返したかのように爆豪を追い詰め始めた…

 

 

 

 《幼少より築き上げてきた優秀な成績が多すぎること》によって…

 

 《真実(悪行)》が明らかになった今…

 

 『天才』と呼ばれた爆豪は…《人生のドン底》にまで落ちていた…

 

 

 

 そして…こんな状況になって…爆豪は他にも思い知らされたことがある…

 

 

 

 

 

        それは…

 

 

 

 

 

 《本当に困り…悩み…苦しんでる時に………自分を助けてくれる他人(ひと)が…誰もいない…》

 

 

 

 

 

 それを…この1ヶ月間の壊れゆく日常の中で…心身共に深く…深く…深く思い知らされた…

 

 現に…爆豪勝己には《相談する相手》どころか…《話し相手》すらいない…

 

 自分の《他人との絆の深さ》が…

 

 どれだけ《浅い》のかを知ってしまったのだ…

 

「あああああぁあぁあ”あ”あ”ぁ”あ”ぁ”…っ!!!う”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あああああああああああぁぁ!!!!!!!!!!」

 

 爆豪は…その場で声をあげて泣き出した…

 

 

 

 

 

「………爆豪少年…」

 

 《今の爆豪勝己》を改めて知ったオールマイト(トゥルーフォーム)がとる行動は…

 

「ぅう……ぐうぅぅ………さっさと失せろや……テメェが俺の所に来たって…何の解決にもならねぇんだy」

 

「もう大丈夫!!!なぜって!!?」

 

「…はっ!??」クルッ!

 

 《聞きなれたフレーズ》と《その前言葉》に爆豪は咄嗟に振り返った!

 

 そして爆豪が振り返った目先にいたのは、ヘドロヴィラン事件後の奉仕活動で現れた《金髪の異常に痩せた男》ではなく!

 

「私が来た!!!!!」

 

 《平和の象徴・オールマイト(マッスルフォーム)》だった!!!




 今回の話を通し、オールマイトは《緑谷 出久》ではなく《爆豪 勝己》と指導をすることにしました。

 前書きで書いた《今回の話で声優が同じキャラクター》というのは、僕のヒーローアカデミアの《オールマイト》と、うえきの法則の《平 丸男》のことです。

 キャラクターのデザインと性格は違えど、同じ声だと台詞に違和感を感じてしまうものですねぇ…
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