緑谷出久の法則   作:神G

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【10万UA突破記念作】1作目!

 《緑谷出久の法則》を読んでくださり、誠にありがとうごさいます!
 おかげさまで10万UAを突破しました!

 その記念として今回の番外編を作成に至りました。

 番外編の作成もしていために更新が遅れてしまったことは重ね重ね申し訳ありません…



 この番外編の物語は、出久君が《ヒーローの道》を諦めて《悪の道》へと進んでしまった場合の世界線です。



-注意-

・この番外編の話は、本編である《植木耕助から正義と能力を授かった出久君のいる世界》とは別世界の物語です。

・このロベルト・ハイドンの法則の話は《爆豪アンチ》どころか、完全な《ヒーローアンチ》の作品となっております。

・この世界の出久君は記憶喪失にはなっていません。

・今回の番外編の話に登場する《うえきの法則キャラクター》は《ロベルト・ハイドン》のみとなっており、他の《うえきの法則キャラクター》達がいない世界線です。

・ヒロアカの原作キャラが最終的にはかなり死亡しております。



 以上で苦手要素があるからはブラウザバックをオススメします。

 それが全て大丈夫という方だけ御覧になるようお願いします。


【番外編】ロベルト・ハイドンの法則(1)

 世界は無数に存在している…

 

 木の幹が沢山の枝に別れ…その枝の1本に《葉っぱ》や《木の実》という…《未来》ができるのだ…

 

 しかし…たった1つのキッカケで…世界の運命と未来は大きく左右され…その枝に《葉っぱ》も《木の実》ができない場合もある…

 

 

 

 

 

 精神世界にて本物のヒーローと出会い…

 《正義の道を突き進む緑谷出久》の世界があるように…

 

 

 

 

 

 それとは全く真逆な世界も存在する…

 

 

 

 

 

 これは…緑谷出久が《悪の道》へと進んでしまった世界の物語である…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

緑谷出久 side

 

 

「………あれ?ここは?」

 

 僕は気が付くと…謎の空間にいた…

 

 とりあえず状況を把握するために…目に写る光景を見渡した…

 

 僕の今…《赤紫色の巨大な箱の中にある闘技場のような場所》に立っていた…

 

「確か…僕はビルの屋上から飛び降りて…………えっ!じゃあここはあの世!?」

 

 

 

 僕は改めて上下左右を確認した!

 

 

 

 もし、ここがあの世だとするのなら…どうみてもここは《天国》なんかじゃない!!?

 

 

 

 つまり…僕は…

 

 

 

「ここは…地獄…なのかな?…ハ……ハハッ……そうだよね……最後の最後にオールマイトやヒーロー達に迷惑をかけただけじゃなくて…ビルから飛び降りる前に《あんなこと》をすれば…地獄行きだよね……」

 

 僕は押し寄せる悲しみに耐えきれず…その場に座り込んで膝に顔を埋めて泣いた…

 

 ここに来る前…無人ビルから飛び降りる前に…僕は《あること》をした…

 

 

 

 それは僕がビルから飛び降りる前…《かっちゃん》を始め…《無個性であることを理由に僕の存在を否定してきた人達(クラスメイト、担任)》と《ヘドロヴィラン事件に関わったオールマイトを含めたヒーロー達》…そして…僕を無個性として産んだ《お母さん》への…恨み…妬み…怒り…憎しみ…悲しみ…苦しみ………その全ての《負の感情》を込め…

 これまで僕が受けてきた数々の理不尽と屈辱の全てを、鞄にあったノートや教科書の余白に書いたことだ…

 

 例え僕が死んだとしても…このノートと教科書を誰かが見つけてくれば、かっちゃんやオールマイト達に復讐できると信じて書き記したんだんだ…

 

 

 

 でも…今思えば…《それ》をしてしまったが故に…僕は地獄へと来てしまった…

 

 僕は…悲しくて悔しくて堪らなかった…

 

 なんで僕ばっかり…こんな理不尽な思いをしなくちゃいけないんだよぉ…

 

 個性が無かっただけで…なんであんな散々な人生を送らなきゃいけなかったんだよぉ…

 

 僕は涙が止まらなかった…

 

 

 

 

 

 無個性と診断されてからの10年以上…かっちゃんや同級生からはイジメられ…先生達から差別されるわ…

 

 かっちゃんには大切なノートを爆破されただけじゃなくて自殺教唆まで言われるわ…

 

 憧れだったオールマイトには夢を完全否定されるわ…

 

 かっちゃんを助けよう飛び出したことで…ヒーローに怒鳴り叱られて…沢山の人からは笑い者にされるわ…

 

 

 

 

 

 もうウンザリだ!!!

 

「呪ってやる………呪ってやる!!!かっちゃん!お母さん!そしてオールマイト!お前ら全員を地獄で呪ってやるーーーーー!!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「誰を呪うって?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ッ!!!!!?????」

 

 僕がかっちゃん達を呪いの叫びをしていると、いきなり後ろから声が聞こえてきた!!?

 

 えっ!?誰かいるの!?

 

 僕は咄嗟に立ち上がって後ろを振り向くと、少し離れたところに《1人の少年》が立っていた!

 

 ティーカップを片手にもって、包帯を頭に巻き付けた同い年くらいの少年だ…

 

「あ……えっと……その…」

 

「ん~キミ……見たところ《人間》だね?」

 

「え?…あぁ…はい…人間です…」

 

 僕が言葉に詰まっていると、包帯を頭に巻いたの少年は奇妙な質問をしてきた…

 

 こんな質問をされるってことは…やっぱりここは…

 

「あのぅ…いきなりで申し訳ないんですが…ここは何処なんでしょうか?」

 

「ここ?ん~そうだな~…なんて言ったらいいんだろう?一応はここは地獄界にあった《ドグラマンション跡地》なんだけど……そんなこと君に言っても分からないよね?」

 

 

 

 地獄界………今…この人は確かにそう言った…

 

 僕は本当に…

 

 地獄へ来たんだと理解した…

 

 

 

「ハハッ…地獄って…本当にあったんですね…」

 

 ここが地獄と分かった途端…もう恐怖や悲しみなんか飛び越して笑えてきちゃったよ…

 

「どうしたの?急に笑いだして?」

 

「アハハッ…すみません…何だが色々有りすぎで頭の処理が追い付かなくて………あぁ…それと…さっき僕は《人間》だって返答しましたけど…僕はある意味……普通の人間じゃありません…」

 

「?…どういう意味だい?」

 

「だって僕は…《無個性》だからです…」

 

「《無個性》?」

 

 個性を知らないのだろうか、包帯を頭に巻いた少年は僕の言葉に疑問を持っていた…

 

 僕はそれからその少年に…僕が生きていた世界と…僕が送ってきた散々な人生を含めて全貌を話した…

 

 正直呆れられると思ったけど…彼は最後まで聞いてくれた…

 

「…という訳で、生きていることが嫌になってビルから飛び降りたら、いつの間にかこの場所にいた訳です…」

 

「ふ~ん…成る程…」

 

 僕の話を聞いて彼は何やら考え事している様子だ…

 

 あっ!そういえば名前を聞いてなかった!

 

「あのぅ…今更なんですが…お名前は何と言うんですか?僕は緑谷出久と言います…」

 

「ん?僕の名前?僕は《ロベルト・ハイドン》だよ」

 

「ロベルト…ハイドン…」

 

「とは言っても《本人》じゃないんだけどね」

 

「え?それってどういう?」

 

「簡単に言うと僕は《ロベルトの記憶の塊》って言ったところかな」

 

「《記憶の塊》?」

 

「そう、僕はロベルトであってロベルトじゃない。植木君の正義によって、ロベルトが忘れちゃった《人間を憎んでいた頃のロベルトの記憶の塊》……要は《残留思念》ってところかな?」

 

「植木君?」

 

「ああゴメンゴメン、君に言っても彼のことは分からないよね」

 

「?」

 

「それとさ、君は死んでないよ?」

 

「え!?死んでない!?ど、どういうことですか!!?」

 

「恐らくだけど、君は事故のショックで精神だけがここへ来ちゃったんだと思うよ?だから戻りたいと強く思えば元の世界に帰れるんじゃない?」

 

「で、でも!?さっきここは《地獄》だって!」

 

「《地獄》じゃなくて《地獄界っていう場所にあったドグラマンションが壊された後の空間》だよ。なんでこんな空間が残ったのかは僕にも分からないけど、本来ならもう存在してない建物が別の空間に留まって…僕はいつの間にかこの空間にいたんだ。それからはずっとここで一人暮らしていたのさ」

 

「ずっと…一人ぼっちで…」

 

「まぁ僕は一人が好きだったから、別に不憫とは思わなかったよ!それに僕は残留思念だから寿命を気にすることなく【能力】が使えて、生活にも困らなかったし!」

 

「【能力】?」

 

「でもね~流石にこの暮らしにも飽きて来ちゃったところなんだよ。でも何にもすることがなくてさ~、ずっとボーッとしてたんだよ。君はこの空間へやって来た初めてのお客さんさ」

 

「は…はぁ…」

 

「あと、君のさっきの憎しみの叫び!とっても良かったよ!」

 

「ど……どうも…」

 

 それは正直聞かれてちゃって恥ずかしいんだけど…

 

 何故だろう…

 

 この人に対して僕は素直になれる…

 

「それでさ、さっきの君の話を聞いて思ったんだけど、なんで君は彼らに《復讐》しようとしないんだい?」

 

「復…讐…?」

 

「そうだよ…無個性だとかは関係ない、君は頭良いんだから復讐の方法なんていくらでもあったんじゃないの?死んで復讐なんか出来やしない、生きて復讐しなくちゃ意味ないよ」

 

 

 

「!!!??……ロベルト…さん……」

 

 

 

 ロベルトさんの言葉に…僕は気づかされた…

 

 そうだよ…僕が自殺したところで…かっちゃんやオールマイトが反省なんかするわけない…

 

 

 

 かっちゃんは自分は悪くないと突っぱねて『自殺するデクが悪い!』と言って、そのまま罪と向き合わずにヒーローの道を突き進むに決まってる!

 

 オールマイトだって同じだ!僕に言った無個性差別の発言を間違ってないと断言して、僕のことなんかさっさと忘れて、のうのうとヒーロー活動に戻るに決まってる!

 

 

 

 そう自覚した時、僕の中には激しい《怒り》と《憎しみ》が沸き上がってきた!

 

「出久君、君は悪い子なんかじゃない…君はとっても良い子さ」

 

「僕は…良い子…悪い子じゃない………僕は…良い子…悪い子じゃない………僕は…良い子…悪い子じゃない…」

 

「そうだよ、君は悪い子じゃない。悪いのは君を追い込んだ《かっちゃん》って幼馴染みと…《オールマイト》っていうヒーローだよ」

 

「悪いのは…かっちゃん…オールマイト………悪いのは…かっちゃん…オールマイト………悪いのは…かっちゃん…オールマイト…」

 

 

 

 

 

「君は………何も悪くない!!!」

 

 

 

 

 

「!!!!!」

 

 ロベルトさんのその言葉を聞いて…僕の中の何か弾け……他の何か新しく芽生えた…

 

「復讐してやる!復讐してやる!!復讐してやる!!!今すぐ生き返って!かっちゃんとオールマイトに復讐してやる!!!!!」

 

「クハハハハハッ!いいねぇ出久君!今の君はとってもいいよ!純粋で膨大な《憎しみ》!本当に素晴らしいよ!!!」

 

 僕の素直な感情にロベルトさんは共感して喜んでいた。

 

「クククッ出久君、提案があるんだけど聞いてくれるかい?」

 

「なんですか?」

 

「僕の魂と君の魂を1つにしないかい?」

 

「魂を……1つに?」

 

「そうさ、君が良ければ僕も君の復讐を手伝ってあげるよ」

 

「手伝う?」

 

「あぁ…僕の魂と融合すれば、僕の……いや正確にはロベルトが持っていた【能力】と【神器】を君に全部あげられるよ?」

 

「能力?神器?」

 

「そうか、まず僕のことを色々と話さないといけないかな?」

 

 ロベルトさんは、僕のいた世界とは違う世界の話をしてくれた。

 

 その中で…この人が僕以上に辛く酷い人生を送ってきたことを僕は知った…

 

 幼い頃より…周りの人達からは『バケモノ』と恐れられて意味嫌われる…

 

 《『友達』だって言ってくれた子供》や《優しくていつも庇ってくれた大人》には裏切られた…

 

 経緯は違えど…それは僕のいた個性社会とよく似ているところがある…

 無個性の人間だけじゃない…発現した個性によっては…ロベルトさんのような仕打ちを受けた人は…僕の世界にだって珍しくはない…

 

 

 

 

 

 だからロベルトさんは…

 

《この世に正義なんて無いこと…》

 

《人間は所詮、怖いモノから目を背けること…》

 

《人間の正体が怖がりな弱虫だということ…》

 

 その全てを証明するために、世界を究極の恐怖で染め上げて、消滅させようとしていた!!!

 

 

 

 

 

 しかし…ロベルトさんの目的は…《植木 耕助》という少年の正義によって阻まれてしまった…

 

 

 

 

 

 自分の犠牲にしてでも他人を守り…あまつさえ自分を殺そうとしたロベルトさんを植木という少年は助けたようだ…

 それによって…ロベルトさんの心に迷いが出来てしまい、今僕の目の前にいる《人間を憎んでいた頃のロベルトさん》が、ロベルトさん本人の中から消えてしまった…

 

 

 

 そして、消えた《人間を憎んでいた頃のロベルトさん》は別の空間でずっと生き続けていた…

 

 その空間に、なんの偶然か僕はやって来たということだ… 

 

 

 

 僕自身、何を言って思ってるのか分からなくなってくるけど…細かいことは気にしない…

 

 ただ…分かるのは…

 

 僕の目の前にいる《人間を憎んでいた頃のロベルトさん》は僕のことを理解してくた!

 

 それだけで十分なんだ!

 

 

 

「それで?どうする?僕を受け入れてくれるかい?」

 

「勿論!ロベルトさん!僕と一緒に来てください!」

 

 僕はロベルトさんに右手を差しのべた…

 

「出久君………僕の魂は………君と共に…」

 

 ロベルトさんは笑顔で僕の右手に自分の右手を乗せた…

 

 すると!ロベルトさんの身体が光りだして、足から身体が消え出して光の粒子になっていく!?

 

 その光の粒子は僕の身体へと流れ込んできた!!!

 

 

 

 恐怖はない…

 

 僕を心から理解してくれたロベルトさんは…僕の中で存在し続けてくれる…

 

 こんなに安心できることがあるだろうか?

 

 

 

 そして…光の粒子が全ての中に入ると…ロベルトさんの記憶が頭に流れてきた!

 先程聞いた《ロベルトさんの辛い過去》を改めて噛み締めていると、ロベルトさんが手にしたという【理想を現実に変える能力(ちから)】と、天界人のみが使えるという【神器】の詳細も頭に流れ込んできた!

 

 

 

『出久君…この【能力】と【神器】を使って…君が証明するんだ…。君の世界にいる《ヒーローの本性》がいかに情けなくて…弱虫なクズであるかを…………………………頑張ってね…』

 

 

 

 ふとロベルトさんの言葉が聞こえた…

 

 

 

「はい……ロベルトさん……僕…頑張ります!」

 

 僕は固い決意と同時に、元の世界へと戻った…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

●ヘドロヴィラン事件から1週間後…

 

 

シンリンカムイ side

 

 あの事件から…早1週間…

 

 私は……いや私だけじゃない…あの事件に関わったヒーロー達は…毎日憂鬱な日々を送っている…

 

 そう…根津校長からの話を聞くまで…私達は《自分の罪と過ち》に向き合うことも…気づくことも出来なかった…

 

 プロヒーローになったことで浮かれてしまい…私は《辛い思いをした過去》など頭の隅に追いやっていた。

 そのせいで同じく辛い現実を生きている若者の立場を理解してあげられなかった…

 

 そう…1週間前に起きたヘドロヴィラン事件とは別に起きた《男子中学生の飛び降り事件》、その事件の被害者である無個性の少年《緑谷出久》君を自殺に追い込む《最後の一押し》をしたのは……誰でもない………この私だ…

 

 緑谷君の事情(イジメ、差別)を知らなかった………そんなの言い訳にならない!

 

 私も幼い頃から産まれもった個性によって辛い人生を送ってきたというのに…

 彼の心の悲鳴を一切察することが出来ずに《厳しく怒鳴ってしまった》…

 《ヘドロヴィラン事件での私の不甲斐ないヒーロー活動》も含めて、それらが世間に知られて以降……私はヒーローとしての威厳を失った…

 

 私だけじゃない…私を始めとし…現状では多くのヒーロー達が世間から叩かれている…

 オールマイト、デステゴロ、バックドラフト、Mt.レディ、そして私の5人で謝罪会見をした後、何者かによって《ヘドロヴィラン事件に関わったヒーロー達》や《エンデヴァーを始めとした個性婚をしたヒーロー達》の秘密をネットに晒されてしまい、ヒーローのほとんどが今や当たり前のように酷いバッシングを受けている…

 

 それもこれも…1人の少年に対して…適切な対応が出来なかった《私の責任》なのだ…

 

 事実…私とデステゴロ、バックドラフトとMt.レディが根津校長へ《緑谷出久君の護衛》をさせてほしいと直談判をするために雄英高校に訪れたが…結局は断固拒否されてしまった…

 今思い返せば…《給料を半分カットすること》を含めて何度もお願いするべきだったと後悔している…

 あの事件以降から…私やMt.レディ達はプロヒーロー以外の仕事が全て無くなり…《お金》に対する優先度の欲が出てしまったために言い出すことが出来なかった…

 

 結局…私達は…《自分が可愛い》だけ…

 

 被害者である《緑谷出久》君への謝罪の気持ちが《その程度だった…》と言うことだ…

 

 

 

 

 

 そして今日も…そんな罪悪感にかられながら…唯一残った職業である《プロヒーロー》の仕事としてパトロールをしている…

 

 そう…ただのパトロールだ…

 

 もうすぐ日が暮れる…

 

 町の人々からの《冷たい目線》…《陰口》が酷いがな…

 

 

 

 

 

 なに?折寺中学校3年生の奉仕活動の見張りはしてないのかって?

 

 奉仕活動?

 

 見張り?

 

 なんのことだ?

 

 折寺中学校の生徒達は《そんなこと》をさせられてはいないぞ?

 

 だって彼らは…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ドガアアアアアアアアアアン!!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なっ!なんだ!?この轟音は!!?まるで巨大な怪物同時でも暴れてあるかのような…………………また《Mt.レディ》の仕業か?今度はどの建物を壊したんだ……あの《あばずれ女》…」

 

 突然に耳が痛くなるような物凄い音に驚いて何事かと考えてみたら、すぐに思い付いたのは先日デビューしただかりのMt.レディが、また巨大化した状態で何かをやらかしたんじゃないか…とのマイナスな発想が私の頭をよぎった…

 

「アイツ…この前根津校長からあんだけの説教を喰らっておきながらまだ懲りてないのか?次に個性を使って不用意に建物を壊したら免許剥奪だって言われたのを忘れたのか…」

 

 まだMt.レディが元凶だと決まったわけではないのに、私はいつの間か…彼女がこの轟音の発端だと決めつけていた…

 

 

 

 

 

 ドガアアアアアアアアアアン!!!!!

 

 

 

 

 

 ズガアアアアアアアアアアン!!!!!

 

 

 

 

 

 ボガアアアアアアアアアアン!!!!!

 

 

 

 

 

 なんて…後輩のことを悪く思っていると!さっきの轟音が立て続けに何度も起きた!

 

「この轟音は…尋常じゃない!?いったい何が起こってるんだ!?」

 

 私は騒音が鳴り響く方向に個性を使いながら急行した。

 

 その途中で、同じくパトロールをしていたデステゴロとバックドラフトと合流し、我々は3人で轟音の発生源へと向かった!

 

 すれ違い様に逃げる市民達の恐怖に染まった表情から《とんでもないヴィラン》がこの町に現れて暴れていると理解した私は気を引き締めた!

 

 

 

 もう1週間前のような過ちは犯さない!

 

 今の私に《ヒーロー》を名乗る資格はないが…

 

 それでも《ヒーロー免許》を所持する身…

 

 職務を全うしなければならない!

 

 そして…いつか目を覚ましてくれると信じている《緑谷出久》君から認めてもらえるヒーローになってみせる!

 

 

 

 私は心の中で新たな決意を抱(いだ)いていると、騒音の現場に到着した。

 

 その現場とは……なんと緑谷出久君が入院している病院だったのだ!!?

 

 しかし…最早その病院は原形を留めてはいない!!!

 

 小隕石がいくつもぶつかったように、病院の7割以上が破壊されていた!?

 

 中にいた人達の救出は…どう見ても絶望的だった…

 

 それだけじゃない!!!??

 

 私達がここへ向かってきた道は何事も無かったが改めて病院から町を見渡すと、周囲の住宅は《巨大な丸い何か》でも通ったかのように地面は抉(えぐ)られて、そこにあった建物は完全に消滅していた!!!

 

 

 

「な…なんなんだ……何が起きたんだ!!?」 

 

「いったい誰が…こんな酷いことを!!?」

 

 

 

 共に急行したデステゴロとバックドラフトも、病院と町の有り様を目にして困惑していると…

 

「おい!あそこに倒れているのって!?」

 

「Mt.レディ!!?」

 

 私は崩壊した病院の瓦礫の中に埋もれる《血まみれのMt.レディ》を発見した!

 

「デステゴロ!」

 

「分かってる!」

 

 デステゴロが瓦礫をどかし、バックドラフトと私はMt.レディを救出した。

 

 でも…既に彼女は瀕死の状態だった…

 

 医者じゃない私でも分かる…

 

 彼女の命は…もはや《風前の灯火》だ…

 

 

 

 

 

 何でそんなことが言えるのかって?

 

 そんなの彼女を見れば一門瞭然…

 

 《槍のような物》で貫かれたのか…

 

 彼女の腹には大きな穴が空いており…

 

 そこから大量の血が流れ出ているのだ…

 

 今から大急ぎでリカバリーガールの元へ連れていっても間に合わない…

 

 彼女は………もう…

 

 

 

 

 

「………ぁ…………ぁ……」

 

「っ!?おい!シンリンカムイ!Mt.レディが何か言ってるぞ!!」

 

「なに!?Mt.レディ!」

 

「ここで何があったんだ!誰にやられた!?」

 

「……み…d………ぃず……」

 

「み…ず?水か!?水か欲しいのか!?」

 

「…ち……ちがっ………みどr……いず……」

 

「おい!シッカリしろ!Mt.レディ!」

 

 瀕死のMt.レディは、必死になって私達に何かを使えようとしていた!

 

 

 

 だが…

 

 

 

「Mt.レディ?……Mt.レディ!!!」

 

「……………」

 

「そんな……」

 

「おい…嘘だろ……Mt.レディ…」

 

 私が抱えていた彼女は…

 

 何処かを指差そうとした途中で…

 

 生き絶えてしまった…

 

 

 

 

 

 こんな…

 

 こんな残忍で…

 

 無慈悲なことをするヴィランを…

 

 私は絶対に許さない!!!

 

 いやMt.レディの無念だけじゃない!

 

 この町に住む人々を!

 

 この病院にいた医者や患者の命を奪った!

 

 そんな非道なヴィランを私は絶対に許さない!

 

 どんなに凶悪なヴィランであろうとも!

 

 無謀な勝負だとしても!

 

 必ず仇を取ってみせる!!!

 

 

 

 

 

 私が己の心に固い決意を宿している中、近くにいるデステゴロとバックドラフトは、Mt.レディが死に際に指差してたであろう方向を見ながら…何故だか固まっていた…

 

 彼らの視線の先に、そんなに恐ろしいヴィランがいるのかと思った私も、Mt.レディが最後に示した《沈む夕日》に目を向けた。

 

 

 

 

 

 私は驚愕した!!!

 

 沈んでいく夕日をバックに宙へと浮く《羽を生やした何か》がいた!!!

 

 その何かは片腕に巨大な大砲をつけていたのだが…私が驚いたのはそれではなかった…

 

 離れてはいたが、私はその《何か》の顔を確認することが出来た!

 

 その顔を見た瞬間、私は動きを停止した…

 

「…そ……そ……そんな……どうして君が………」

 

 理解が追い付かない私を余所に…《彼》の後ろへ何処からともなく《暗雲》が集まっていた…

 

 その《暗雲》は繭のような形となって…どんどん大きくなっていき…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おい……なんだよ…《あれ》……」

 

「冗談だろ……悪い夢なら…覚めてくれ……」

 

 今…私達が目にしている光景に…デステゴロとバックドラフトは我が目を疑い…同時に戦意を消えつつあった…

 

 私だってそうだ…

 

 《彼》の後ろに集まっていた暗雲は…

 

 《悪魔のような怪物》へと姿を変えた…

 

 

 

 

 

 ヒーローなんだからどうにかしろって?

 

 巨大化したヴィランを相手にすると思えば何とかなるだろだって?

 

 緑谷君から認めてもらえる《本物のヒーロー》になると決めたなら、実行して見せろって?

 

 

 

 

 

 そうだな…

 

 だが………それは無理だ…

 

 

 

 

 

 何故なら…その《怪物》は既に我々に向かって来ているからだ…

 

 巨大化したMt.レディなんて比にならない程の《怪物》は…

 

 その巨体からは到底想像できないスピードで此方へと向かってきている…

 

 インゲニウムのスピードでもない限り…もう避けることなど出来はしない…

 

 そして私は悟った…

 

 これは我々に下された《天罰》なのかもしれない…

 

 ヒーローとしての職務を放棄し…

 

 1人の無個性の子供の心を壊した天罰なのだと理解した…

 

 

 

 

 

 迫りつつある怪物を前に…私はMt.レディを抱えながら…人生の最後に《彼》に対する《謝罪の言葉》をのべた…

 

「すまなかった………みd」

 

 私の最後の言葉は《巨大な怪物》によってかき消された…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その日、日本のある町が1つ滅んだ…

 

 町の全てが跡形もなく崩壊し…

 

 その町に住んでいた人々は殆ど死に…

 

 管轄だったヒーロー達は全員《殉職》した…

 

 生存者は……なんとたったの《1人》…

 

 歴史上に残る《史上最悪のヴィラン事件》となった…

 

 

 

 

 

 だが世界はまだ知らない…

 

 

 

 この大事件を引き起こしたのが…

 

 

 

 《たった1人の少年》だということを…

 

 

 

 そして…この大事件が…

 

 

 

 まだ《序章》でしかないことを…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

None side

 

 病院で目を覚ました緑谷出久は…

 

 ロベルト・ハイドンより授かった【能力】と【神器】を使い…

 

 折寺町を滅ぼした…

 

 自分の生まれ育った町の全てを消し飛ばした…

 

 何千…何万という人が死んでしまっただろう…

 

 その中には《無個性を理由に自分を苦しめ傷つけてきた人間》が大勢いた…

 しかし…同時に《無個性の僕でも受け入れてくれた人間》もいただろう…

 《自分のことなど全く知らない人間》もいた

 

 しかし…出久に後悔はなかった…

 

 精神世界にてロベルト・ハイドンと出会い…考えを改めた…

 

 《自分に優しくしてくれた奉仕活動の人達》も…心のどこかで自分という無個性の存在を疎ましく思ってたんじゃないのかと…

 

 それこそ…ロベルトが幼少の頃に裏切った子供や大人のように…

 

 だから全てを消した…

 

 自分のことを受け入れてくれない町なんて滅べばいい…

 

 自分は何も悪くない…

 

 悪いのは無個性の自分受け入れてくれなかった《この町》なんだ……と…

 

 

 

 

 

 出久は自分の心にそう言い聞かせながら…瓦礫の山になった折寺町に下り立った…

 

 

 

 

 

「ジェ!?ジェントル!!?危ないわ!!早く逃げましょ!!!」

 

 誰もいなくなった筈の町から…何故だか《女の子の声》が聞こえてきた…

 

 出久が後ろを振り向くと、そこには先程の声の主であろう《ツインテールの赤髪で小柄な女の子》と、《英国風の格好をした男》がいた。

 

「大丈夫さラブラバ……私に任せておきなさい」

 

「ジェントル…」

 

「………」

 

 つい先程この町へやって来たのか…2人は怪我1つしていなかった…

 

「そこの君……この惨劇は君がやったことなのかい?」

 

「………」コク

 

「そうか……」

 

「アナタは…《ヒーロー》なんですか?」

 

「いや…私はヒーローではない………私は救世たる義賊の紳士だ!」

 

「義賊?」

 

「そう!私の名は《ジェントル・クリミナル》!そして彼女は私のアシスタントであり相棒の《ラブラバ》だ!」

 

「ど……どうも…」

 

 ジェルトルと名乗る男の足元に隠れながら、ラブラバという女の子が挨拶をしてきた…

 

「君の名前は何というんだい?」

 

「…緑谷……出久…」

 

「そうか!そうか!緑谷出久君だね!では緑谷君!会って早々なんだが私から君に提案したいことがある!」

 

「………なんですか?」

 

「私達と………《動画配信》をしないかい!」

 

「……?」

 

 

 

 

 

 この時に出会った3人が…

 

 いずれ世界を支配する《悪》を築くことになる…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

オールマイト side

 

「なんだ……これは……何が起きたんだ…」

 

 他県でヒーロー活動していた私は、夕暮れ時に発生した《巨大な地響き》の原因を突き止めるため、発生源とされる折寺町へと急行したのだが…

 

 

 

 私が先日に訪れた町は跡形もなく崩壊し…

 

 私は《変わり果てた姿となった折寺町》に対面した…

 

 辺りが暗くなっても分かってしまう…

 

 崩れた建物のあちこちから火の手が上がり…

 

 暗い夜を無数の炎が灯し…

 

 まさに《地獄》のような光景だ…

 

 

 

 

 

 そして一番に酷いのは…《巨大な隕石》でも落ちたかのように…町の中心の地面が大きく削られて《巨大なクレーター》が出来ていたことだった!!!

 

 

 

 

 

 こんな惨劇を起こせる人間は、私が知る中では《1人》しかいない!

 

 5年前に倒した《あの男》はまだ生きている!

 

 私は確信に至った!

 

 この惨劇を起きてしまったのは《私のせい》だということに…

 

 私が奴を……オール・フォー・ワンを倒せていなかったばかりに…

 

 この町は滅んでしまった…

 

 もはや壊滅状態の町に生存者が残っているかは絶望的だった…

 

 『生存者』……ふとその言葉から頭に過(よぎ)った時、私は《1人の少年》を即座に思い浮かべた!

 

「緑谷少年……緑谷少年!!!」

 

 1週間前に…事実上、私が死に追い詰めてしまった無個性の少年…

 彼のことが心配になった私は病院へと向かった!

 

 だが…彼が入院していた病院は姿を消していた…

 

「そんな……緑谷少年……」

 

 私は絶望した…

 

 私は彼の夢を否定し…

 

 彼の心を壊した…

 

 それが原因で彼は自殺を図り…

 

 奇跡的に助かった彼はこの病院に入院していた…

 

 私は彼への償いとして…緑谷少年を次なる《平和の象徴》へと育てることを…後継者とすることを決めた…

 

 根津校長やヒーロー協会より、緑谷少年への接触や御見舞いは禁止されていたが、それでも私は諦められなかった!

 

 

 

 だが…その夢は…もう叶わない!!!

 

 私は気持ちも切り替えて、生存者の捜索に参加した!

 

 しかし…私を含め他の町から急行したヒーロー達の救助活動も虚しく…

 

 助け出せた生存者は…たったの《1人》…

 

 どういう偶然なのか…その唯一の生存者はヘドロヴィラン事件の被害者であり、緑谷少年の幼馴染みである《爆豪少年》だった…

 

 

 

 

 

 事件後…

 

 爆豪少年はセントラル病院に搬送されて治療を受けた…

 《折寺町の惨劇による唯一の生き残り》ということでニュースやネットでも大きく取り上げられていた…

 

 あの惨劇によって…爆豪少年は両親や友達を失ったというのに…マスコミやメディアは身体も心も傷だらけの爆豪少年へのインタビューを必要に求めてきた…

 

 私はそんな爆豪少年を哀れに思ってしまい、私が保護者として彼を引き取ることにした。

 周囲からの反対の意見はあったが、私はそれを押し退けて爆豪少年の面倒を見ることにした。

 

 そして今回の大事件を通し…《ヒーロー協会》《ヒーロー公安委員会》《警察》という多くの組織が協力し合い、この惨劇を起こした犯人の捜索へと乗り出した!

 

 そう…犯人……《オール・フォー・ワン》を!!

 

 私の残りの生涯をかけて!今度こそ…あの男を刑務所にブチ込んでみせる!!!

 

 亡くなった折寺町の《一般市民》や《ヒーロー達》……そして《緑谷少年》への無念を晴らすために!!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

●折寺町の崩壊から半年後…

 

 

緑谷出久 side

 

 ジェントルとラブラバさんとの出会いから…早くも半年の時が過ぎた…

 

 2人に拾われた僕は生まれ変わったように《幸せな日々》を送っている…

 

 ジェントルは初対面でありながら…僕を優しく受け入れてくれた。

 

 ラブラバさんは最初は僕のことを警戒してたけど、暫く経つと仲良くなっていた。

 ラブラバさんは外見では子供のような容姿をしているが、彼女は列記とした二十歳の女性だった。それについて僕が驚いた時は、ラブラバさんからガミガミ説教を受けたのを今でも覚えてる。

 

 2人は僕のことを《1人の人間》として受け入れてくれた…

 

 

 

 僕の存在を認めてくれた…

 

 こんな僕を必要としてくれた…

 

 そして…居場所をくれた…

 

 ジェントルとラブラバさんは…僕の心を救ってくれたんだ…

 

 

 

 ジェントルの元で過ごし始めた僕は、お世話になる以上は役に立つことをしたくて、2人の手伝いとして家事全般を引き受けたり、動画配信のサポートをするのが《僕の仕事》となった。

 

 犯罪動画配信をしているジェントルは《歴史に自分の名を刻み込むため》に日夜人々の目を引くための綿密な作戦を考慮した上で実行する。

 …と言うのがジェントル・クリミナルの主な活動内容である。

 

 ジェントルはリスナーに向かって自分のことを《義賊の紳士》と名乗っている。

 

 義賊とは、国家権力に歯向かい悪事を働くが、一般市民には危害を加えないことを意味する。

 

 《国家権力》とは、即ち《ヒーロー》のことを示す。

 

 要は《ヴィラン活動》だ。

 

 

 

 

 

 えっ?ヴィランの仲間になることへ抵抗はないのかって?

 

 

 

 

 

 《ヴィラン》?《抵抗》?何を言ってるんだい?

 

 ジェントルは僕を救ってくれた…謂わば《救世主》なんだ!

 

 僕は受け入れてくれた人が《ヴィラン》だった!ただそれだけの話なんだよ!

 

 第一、僕はもう《ヒーロー》に対して何の未練も残っていない!

 

 いや…あるとするのなら…僕にも新しい目標が出来たってところかな?

 

 

 

 《僕の目標》のことはさておき、僕がジェントルとラブラバさんと出会ってから起きた半年間の出来事を断片的に説明しよう…

 

 

 

 半年前、僕はロベルトさんから授かった【神器】を使って折寺町を滅ぼした日の夜、僕はジェントル達と出会い、そのまま引き取られてジェントルのアジトで一緒に暮らし始めた。

 

 最初は落ち着かなかったけど、僕を《1人の人間》として接してくれる2人のおかげで、すぐに馴染むことが出来た。

 

 ジェントルの元で一緒に暮らし始めて1か月、ジェントルとラブラバさんは、月に3回4回のペースでヴィラン活動を行い、帰ってきては撮影した映像をネットに動画としてアップさせる活動をしていた。

 でもジェントルの動画は《再生回数》はともかく、高評価は一切無い《低評価》が多いの動画ばかりであり、すぐに削除されてしまっている。

 

 僕はというとアジトで家事をしたり、ラブラバさんのメイク技術によって頭の傷と頬のそばかすを隠して帽子やマスクで変装をした上で日用品や食材の買い出しをしている。

 

 僕としては2人のヴィラン活動のお手伝いもしたかった。

 

 だから1か月以上経過したある日、早朝に配達業者からの荷物を受け取って朝食を済ませたあと、僕は思いきって2人に『僕も一緒にヴィラン活動をさせてほしい』伝えることにした。

 

「ジェントル!ラブラバさん!お話ししたいことがあります!」

 

「む?なんだい?」

 

「どうしたのよ、急に改まって?」

 

「ぼ……僕も…僕にも!2人のお手伝いをさせてください!一緒にヴィラン活動に参加させてください!お願いします!」

 

『………』

 

 僕のお願いに2人は黙り混んでしまった…

 

「ハッハッハッ!そう言うと思ってたよ出久!」

 

「えっ?」

 

「ラブラバ、アレを持ってきてくれ」

 

「OK!ジェントル!」トッタトッタトッタトッタトッタトッタ

 

 ジェントルがラブラバに何かを頼むと、ラブラバさんは椅子から降りて部屋を出くが、すぐに今朝届いた段ボールを持ってきて僕に渡してきた。

 

「えっと…これは…」

 

「開けて見たまえ」

 

 僕の質問にジェントルが答え、僕は言われるがままに渡されて段ボールの中を開けてみると…

 

 《ジェントルの服装に似た緑を基本色とした英国風の服》と《ダーググリーンの丈の長いフード付きのローブ》が入っていた。

 

「あのぅ…この服は…」

 

「君の《コスチューム》さ!知り合いに頼んでオーダーメイドしてもらっていたんだよ!」

 

「でも出来上がるのに時間がかかっちゃったみたいで、さっきやっと届いたのよ」

 

「僕の…コスチューム…」

 

「やはり共に活動するのならば、まず第一印象である《身嗜み》が大切だからね!」

 

「貴方が私達と一緒に活動したがっていたのは知ってたわよ。いつも留守番じゃ退屈だものね?だから一緒に活動するために衣装を……って!?ちょっと!何で泣いてるのよ!?」

 

「ご…ごめんなさい……嬉しくて…涙が…」ポロポロ

 

「出久…」

 

「ふむ…では出久!早速だが、ヴィランとして活躍する以上、我々はコードネーム!つまり《ヴィラン名》で呼びあわなければならない!」

 

「(グズグズ)……はい!」

 

「そこで君のヴィラン名だが、以前3人で話し合って決めていた名前で構わないかい?」

 

「勿論です!」

 

「では改めて君のヴィラン名は…

《緑の貴公子 ロベルト・ハイドン》だ!」

 

「はい!」

 

「改めてよろしくね!いずk…じゃなくてロベルト!」

 

 こうして僕は、ヴィラン名《ロベルト・ハイドン》として、ジェントル達と共にヴィラン活動へ参加できるようになった!

 

 その日の《犯行予告動画》の撮影の際、僕は2人が用意してくれたコスチュームを身に纏いに、フードを深く被って顔を隠しながら、ジェントルと共に動画撮影に参加した。

 

「リスナー諸君!今日はいつもの犯行予告の他に、諸君へ私の《新しい仲間》を紹介しよう。

《緑の貴公子 ロベルト・ハイドン》だ!」

 

 ジェントルから僕にスポットライトが当てられた。

 

「これからは彼も私の活動に参加してもらう!彼の素顔が気になる人も気にならない人も覚えていてくれたかな?今後の君達も彼と出会う日が来るかもしれないからね!」

 

 ジェルトルは僕の紹介をしたあとは、明日の犯行予告をして今日の撮影は終了。

 すぐにラブラバさんが編集して動画にアップすると、結果はいつも通り《低評価》しかされていないが、コメントの中に『僕の正体を知りたい』という書き込みがあった。

 

 

 

 次の日、ジェントルとラブラバさん、そして僕の3人はヴィラン活動をする《とある町のコンビニ》にやって来た。

 手筈通り、このコンビニには店員が1人でお客が全く来ない時間があるため、その時間にジェルトルとラブラバさんがコンビニに入り、ジェルトルが店員にお金を要求し、ラブラバさんがその状況を撮影する。

 そして僕はコンビニの入口で《待機》及び《ヒーローの撃退》というのがポジションとなった。

 

「おい貴様!そのコンビニの中に!ジェントル・クリミナルがいるだろ!」

 

 暫くしてプロヒーローが1人やって来た。

 

 店員がどうやってヒーローに通報したのかは知らないけど、2人…3人…4人…5人とヒーローがどんどん集まってきた。

 

「貴様はジェルトル・クリミナルの動画に映っていた《ロベルト・ハイドン》だな!」

 

「無駄な抵抗はぜすに大人しく降伏しろ!」

 

「中にいるお前の仲間も一緒にだ!」

 

「………」

 

 今まで犯行動画の撮影中にプロヒーローが来てしまった場合、ジェントルはラブラバさんへ動画の撮影を中断させ、ジェントル自身が戦うという流れだった。

 その際に強すぎるヒーローが来た場合、最終手段として《ラブラバさんの個性によってジェントルがパワーアップし、そのヒーローをたおして逃げる》を切り札としていたらしい。

 

 

 

 

 

 でも…今後のジェントルとラブラバさんが戦うことで個性を使う必要は無くなるであろう…

 

 

 

 何故なら…

 

 

 

 集結したヒーロー達は…

 

 

 

 僕の【能力】と【神器】によって…

 

 

 

 ものの数分後には…

 

 

 

 全員が行動不能になったんだから…

 

 

 

「こんなものなのか…プロヒーローの実力は…」

 

「良くやったなロベルト!おかげでスムーズに仕事を終えられたよ!」

 

「ジェントル…」

 

 僕がプロヒーロー達の実力に愕然としていると、仕事を終えたジェントルとラブラバさんがコンビニから出てきた。

 コンビニの中にいた筈の店員は、僕がヒーロー達を倒す瞬間を見たためか、ジェントルにレジのお金を全部アタッシュケースにいれると店の奥へと逃げていったらしい。

 だが差し出されたお金は全額《出演料》として置いていくのがジェントルの流儀である。

 

「しかしまぁ、君が《夢の中で授かった能力》というのは…聞いてた以上に凄まじいな…」

 

 ジェントルは、僕とヒーローの戦闘によって原型を留めていない道路を見て唖然としていた。

 

「一応聞くが一般人に危害は加えてないよね?」

 

「はい、勿論です。言われた通り《向かってくるヒーロー》だけを撃退しました」

 

「うむ、よろしい」

 

「凄い……ホントに全員倒しちゃってる…」

 

 ヒーロー達が全員が倒されてるサマを見て、ラブラバさんもカメラを構えながら唖然としていた。

 僕はジェルトルからの命令で《僕達に危害を加えようとするヒーロー》は容赦なく倒して良いと言われたが、《一般市民には決して危害を加えてはいけない》と《戦う相手の命を奪ってはいけない》と忠告を受けていたため、ヒーローとの戦闘中は決して住宅や建物へ攻撃を当てないよう意識して戦った。

 

 

 

 僕達は《今日の仕事》を終えてアジトに戻り、ジェントルとラブラバさんは早速、今日撮影した犯罪動画を編集してネットにアップした。

 その際《僕が声を出しているシーン》だけはカットされて、《ジェントルの強盗シーン》と《僕がヒーロー達を倒したシーン》を映像として処理した。

 今日はもう遅かったため、僕達はすぐに休んでしまい、動画視聴者の反応を見るのは明日になった…

 

 

 

 

 

 そして次の日の朝、昨日アップした動画の再生回数を見たとされるジェントルとラブラバさんは口から泡を吹いて気絶し倒れていた。

 

 

 

 なんで口から泡を吹いて倒れたのかって?

 

 

 

 それは…まだ半日も経っていないのに、動画の再生回数が《とんでもない数値》になっていたからである。

 

 最初、僕は今回の再生回数が凄いという実感はなかった…

 小さい頃の僕は《オールマイトの動画》は見ていたけど、《再生回数》には全く目を向けてはいなかったから…

 

 意識を取り戻した2人から《1日も経過しない内にこんな物凄い再生回数になるのは有り得ないこと》と《今までこんなに再生回数を稼げたことが無いこと》を説明してくれた。

 

 ジェントルがこれまでアップしてきた動画の数々は、悉(ことごと)く削除されていたけど、今回の動画は何故か削除されることなく再生回数が伸びていった。

 

 

 

 

 

 

 それからの僕達3人がネットにアップしていく動画はいずれも再生回数は爆発的に上がり、それに応じての収入額も跳ね上がったことで、僕達は多大な資金を手にすることが出来た。

 

 ジェントルとラブラバさんと出会って1年近くが経過した頃には、ジェントルは一躍有名な《ヴィラン動画投稿者》として名を馳せていた。

 

 ジェントルが名を上げれば上げるほど、社会からの《ジェントルを批判する声》はあるのだが、それ以上に批判を受けているのは《現役のプロヒーロー達》と《僕に敗北して引退したプロヒーロー達》である。

 なんでプロヒーローが非難されるのかというと、その理由は簡単。

 ジェントルの犯行予告の動画を流され、その犯行をここ1年全く喰い止めることも、犯人であるジェントル一行を捕まえることも出来ない《ヒーロー達の不甲斐なさ》に市民達は呆れているからである。

 ジェントルの仕事の邪魔をさせないため、僕がヒーロー達と戦うことで町が壊滅状態になっても、世間の人達はジェントルにではなく…僕に対処することが出来ない《弱いヒーロー》達を責め立てていた。

 この前のヴィラン活動では30人以上のヒーロー集団がやって来て、その中にはヒーローランキングが《11位~20位以内のヒーロー》が数人いたらしいんだけど、僕は苦戦なんてする事なくヒーロー集団全員を簡単に倒せてしまい、本当に拍子抜けだった…

 

 

 

 

 

 余談だけど、僕が住んでいた折寺町が滅んでからというもの、数ヵ月の間は連日《壊滅した折寺町のニュース》が続いていた…

 

 あの事件での生存者はたったの1人…

 

 今でも折寺町の復興は全く進んでいない有り様だ…

 

 そして、あの事件を通し…《町1つが跡形も無く崩壊させる力を持つヴィラン》の存在……つまり《僕》を恐れ、ヒーローのスーツを脱ぎ…一般市民へと戻るプロヒーローが後をたたないという…

 

 あの町を滅ぼしたのは確かに《僕》だ…

 

 でも…僕には罪悪感なんて無かった!

 

 ロベルトさんが教えてくれた!

 

 僕は何も悪くはない!

 

 悪いのは《無個性》を理由に僕の存在を認めてくれなかった《折寺町》が悪いんだ!

 

 だから罪のない人々や…僕と関係のない人々まで巻き込まれて死ぬことになったんだ!

 

 僕の存在を否定する人間や町なんて必要ない!

 

 だから僕は…折寺町を跡形もなく吹き飛ばしたんだ!

 

 この…ロベルトさんから授かった!

 

 【理想を現実に変える能力】と【十種類の神器】によってね!

 

 

 

 

 

 僕はジェントルとラブラバさんと共に過ごせて《幸せ》さ…

 

 でも…僕にはどうしても叶えたい《夢》があった…

 

 ロベルトさんとの約束…

 

 《ヒーローの本性が臆病で弱虫なクズであることを証明する》…

 

 ジェントル達も僕の《夢》は知っている…

 

 2人は僕に『夢は順調に叶いつつあるんじゃないか?』とは言ってくれた…

 

 確かにジェントルの仕事において、プロヒーロー達をこれまで何百人も倒してきたこともあって、ヒーロー達の立場は悪くなる一方だ…

 

 でも…僕は1日でも早く…ヒーローの《化けの皮》をひっぺがし、その本性を世間に晒したいのだ…

 

 そして、この世から《ヒーロー》という存在そのものを無くしたい……そう強く思ってしまうのだ…

 

 だけど今の幸せを壊したくはない…

 

 そんな気持ちが入り乱れ…自分でもどうしていいのか不安になっていた時…

 

 その転機は何の前触れもなくやって来た…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

●折寺町の崩壊から1年以上が経過…

 

 

 春が終わってもうすぐ夏を迎える頃…

 

 本来なら僕は高校1年生になっているところだけど、ヴィランになった以上は学校に行く必要はない。

 勉強は時間があるときにラブラバさんが教えてくれるため、知識については問題ない。

 

 そんなある日の朝…

 

ピンポーン

 

「もぅ誰よ~こんな朝早くに~」

 

「お客さんですかね?」

 

 ラブラバさんと一緒に朝食を作っていると呼び鈴がなった。

 

「出久、悪いんだけど見てきてくれる?」

 

「分かりました」

 

 僕はキッチンを出て玄関へと向かい、ドアの覗き穴から外を確認すると、そこには《丸眼鏡をかけた銀髪の中年男性》がいた。

 外見で判断するのは失礼だけど、どうやら《ヒーロー》や《警察》では無いみたいだ。

 でもこのまま開ける訳にもいかないので、僕は扉越しに話しかけた。

 

「どちら様ですか~?」

 

「この部屋の主に『義爛』と伝えてくれ、そう言えば分かる筈だ」

 

「わ、分かりました、ちょっと待っててください」

 

「早めに頼むぜ~」

 

 扉の向こうにいる男の人は、僕が扉越しに話し掛けたことに何の不信感も持たずに軽く返答してきた。

 怪しい人だったが、ジェントルの知り合いだと思い、僕は急いでジェルトルの寝室に向かった。

 

コンコン

 

「ジェントル、お客様が来てますよ?」

 

「………」

 

 寝室のドアをノックしたけど返事がなかった。

 

「ジェントル、入りますよ?」

 

ガチャ

 

「ZZZ…ZZZ…」

 

 部屋の中に入ると、ジェルトルはパソコンが置いてある机に突っ伏した状態で寝息を立てていた。

 昨日も遅くまで、次のヴィラン活動の作戦を練っていたようだ。

 

「ジェントル、起きてください、ジェントル」

 

「……ん?…ふわああぁ……あぁ…いかんいかん…いつの間にか寝てしまったようだ…」

 

 肩を軽く揺さぶりながら声をかけると、ジェントルは大あくびをしながら目を覚ました。

 

「ジェントル、起きて早々に申し訳ないのですがお客様が来てますよ?」

 

「お客?私に?こんな朝早くにかい?」

 

「はい、『義爛』と言えば分かると」

 

「ぎらん?………ッ!義爛だと!?」

 

 寝惚けていたジェントルは、一気に目を覚ました。

 

「ど、どうしたんですか?ジェントル?」

 

「その者は確かに『義爛』と言ったんだね!?」

 

「はい、そうです。でもまだ中には入れていませんよ?」

 

「わ、分かった!私が対応しよう!出久、いつものローブを羽織って顔を隠していなさい!いいね!」

 

「わ、分かりました…」

 

 ジェントルはそう言うと身だしなみを整えて玄関へ走っていった。

 

 僕は言われた通り、自室からローブを羽織ってからリビングに戻った。

 

 リビングのテーブル椅子にジェントルとラブラバさん、そしてさっきの怪しい男の人がいた。

 

「ようロベルト君、はじめましてかな?」

 

「どうも…ロベルト・ハイドンです」

 

「ほぉ…俺の予想通り…随分と若者みたいだね~ロベルト君」

 

「……ジェントル…この人はいったい?」

 

「彼の名は《義爛》といって、裏の社会では有名なブローカーさ。《人材斡旋》や《闇商品の売買》など、ヴィラン達のバックアップをしてくれる人なんだ。私がヴィランとして本格的に活動する際も彼からお金を借してもらったり、今住んでいる場所だって彼が裏で手を回してくれたおかげなんだよ。因みに君のコスチュームを依頼したのも彼さ」

 

「ロベルト、一応言っておくけどジェントルはこの人から借りたお金は去年の内に全額返金してあるんだからね」

 

 ジェントルが義爛という人の説明をしてくれた後に、ラブラバさんが補足を入れてきた。

 

「それで義爛君、いったい何の用件で来たのかな?君がここに来るのは、私にこの部屋を紹介してくれた時以来だろ?」

 

「まぁそう警戒するなや、まず俺としちゃスゲェ驚いてんだぜ?去年の頭までは《小物ヴィラン》だと言われてたアンタが、今じゃ世界中が恐れる《大物ヴィラン》並びに《有名動画配信者》にまで登り詰めちまったんだからよぉ。お祝いの言葉をのべに来てやったのさ」

 

 この義爛という人は…何を考えているのか全く読めない…

 

 でもこの人からは敵意を一切感じられない…

 

 いったい何が目的なのか…

 

「さて、前口上はこのくらいにして本題に移るかな。アンタらも知ってるんだろ、今年の春に雄英高校内部で《ヴィラン連合》と名乗るヴィラン組織が襲撃事件を起こしたのをさ」

 

「あ…あぁ…知ってるよ、確かに今年入学したヒーロー科1年A組生徒19人が襲われたらしいな」

 

「でも同じく今年から雄英高校の教師となった《オールマイト》にやられちゃったんでしょ?主犯と思われる2人以外全員捕まったとか…」

 

「そうなんだよなぁ、折角揃えてやったってのにさ。その成果は、雄英教師数人に重症を負わせただけ…生徒は全員軽傷で終わっちまった」

 

 《雄英高校襲撃事件》…未だにその騒ぎは完全には静まっていない雄英始まって以来の大事件だ。

 

 《雄英バリア》という生徒や教師以外の人間は決して通さないとされる防犯システムが雄英高校にあったというのに、大勢のヴィランの侵入を許してしまった事件は世間を震撼させた。

 

 ニュースによると《ワープ系の個性》という非常に珍しい個性を持つヴィランがいたことによって侵入されたそうだ。

 

「子供相手とはいえ雄英高校のヒーロー科に合格したんだ、捕まった者達は彼らの実力を舐めすぎていたと言うことだな」

 

「ああ全くだ、ガキ相手に負けるなんざ情けねぇ連中さ。目的を達することも出来ずにな」

 

「目的?」

 

「ああ…その目的って言うのは《平和の象徴・オールマイトの抹殺》だ」

 

「オールマイトの抹殺だと!?」

 

「それ…本気だったの?No.1ヒーローの抹殺なんて出来るわけないじゃない…」

 

「ま、普通はそう思うよな。だが奴等にはそれ相応の《駒》を用意してたみたいだぜ?結局はやられちまったらしいがな」

 

「それじゃあ意味無いじゃないの…」

 

「まぁな、それともう1つ。アンタらもヴィランなら知ってるだろう?先日の《ヒーロー殺し・ステイン》の事件を?」

 

「…勿論…知ってるとも……エンデヴァーによって倒された殺人鬼だったかな?」

 

「そのヒーロー殺しのせいで、折角アップしたジェントルの動画の再生回数がいつもよりも落ち込んじゃって、私達にとっては良い迷惑よ!」

 

「この前、保須市で捕まったんですよね?でも捕まる前に、プロヒーローの《ネイティブ》と、雄英生である《インゲニウムの弟》が殺されたって大ニュースになってましたね」

 

「そうだとも、雄英はまたしても非難の嵐を浴びている。だが逆に社会の裏に隠れていた者達が…ヒーロー殺しに感化されて活動を始め…今まさに纏まろうとしている…」

 

「なんで…そんなことをジェントルに話すのよ?……ま、まさか…」

 

「あぁそのまさかだ……ジェントル…《ヴィラン連合のボス》がアンタら3人と手を組みたいと言ってきたんだよ…」

 

「手を組む!?それってつまり…ヴィラン組織同士の《同盟》ってこと!?」

 

「正解だぜ、お嬢ちゃん」

 

「私達との同盟!?」

 

 義爛という男からの要求に、ジェントルは驚愕していた。

 

「なっ!?何言ってるのよアンタ!!」

 

「おいおい、俺は同盟を要求してきたのは俺じゃなくて《ヴィラン連合のボス》だぜ。俺に怒鳴ってどうするだよ?お嬢ちゃん?」

 

「くぅ!?ジェントル!こんな話を受ける必要なんて無いわ!ジェントルと私とロベルトの3人でこれからも頑張って活動していけば!いつかジェントルは歴史に名を残せるわ!!!」

 

「……いや…ラブラバ……私はこの誘いを受けようと思う…」

 

「ジェ!?ジェントル!??」

 

「ラブラバ……君も分かっているのだろう?私の動画が多くの人々に見てもらい…高評価をもらっているのは………全て《ロベルトのおかげ》だということにね…」

 

「そ…それは……」

 

 気にしないようにはしてたけど…やっぱりジェントルもラブラバさんも思うところがあったようだ…

 

 そう…ジェントルのアップする動画が《異常な再生回数になった》のも…《高評価が沢山つけられている》のも…《動画が削除されなくなった》のも……僕がヴィラン活動に参加してからなのだ…

 

 動画のコメントを見れば…それは一目瞭然、コメントの大半は…僕がヒーロー達との戦闘で使う【理想を現実に変える能力】と【神器(一ツ星~九ツ星)】、そして《僕の正体》の詳細を知りたいというのが8割を占めている…

 

 

 

 そんな僕こと《緑谷 出久》は…

 

  世間からはこんな2つ名をつけられた…

 

 《破滅の象徴 ロベルト・ハイドン》…

 

 

 

 つまり何が言いたいのかというと…

 

 ジェントルに対しての注目は低いということだ…

 

「私は《動画の再生回数が跳ね上がったこと》…《沢山の高評価をもらえたこと》で……いつの間にか有頂天になってしまっていた……私は《ロベルトの強さ》に甘えてしまっていたんだ…」

 

「ジェントル…」

 

「………」

 

「だからここで変わらなければならない!それに…義爛君を通して私達に声をかけてくるということは…《ヴィラン連合のボス》というのは《大物》と見て間違いということだ…。それほどの人が同盟を求めてきた。そうだろう?義爛君?」

 

「…ハハッ…まぁそういうことだな」

 

「…ロベルトに頼りっきりでは駄目なんだ…私自身も成長しなければな!」

 

「ジェントル…素敵よ!私は何処までもジェントルに着いていくわ!」

 

「僕も…ジェントルに着いて行きます」

 

「ラブラバ……ロベルト……」

 

パチッパチッパチッパチッパチッパチッ

 

「良い子達を見つけたなぁ…ジェントル。おじさん感動でもう胸一杯だよ」

 

 義爛さんは僕達に拍手を送っていた…

 

「んじゃまぁ、同盟を組むかはどうかは取り敢えず《本人》に会ってからかな?」

 

「あぁ…そうしてもらえると助かる…。いつ会う予定でいたんだい?」

 

「アンタらが了承してくれるなら《今から》でも大丈夫だぜ?」

 

「い!?今から!!?」

 

「そんな!?いったいどうやって!!?」

 

「こうやってだ」

 

パチッ

 

ゾワァ

 

『!!!??』

 

 義爛さんが指を鳴らすと、突然リビングに《黒い靄》が出現した!!?

 

「なっ!?なに!??」

 

「この黒い靄はいったい!?」

 

「………もしかして……これが例の雄英高校に侵入できたという《ワープ個性》ですか?」

 

「その通り……お初にお目にかかります……私の名は《黒霧》…」

 

 僕が質問すると、黒い靄に《不気味な黄色の目》が浮かび上がって返答してきた。

 

「驚かしてすまなかったな、コイツの個性で《ヴィラン連合のボス》のところにはすぐに行けるぜ?どうする?」

 

「………分かった行くとしよう。だがちょっと待っててくれ…身嗜みを整えなくてはならないからな」

 

「勿論です。準備が終わったら声をかけてください…」

 

 黒霧という人は催促はせずに、僕達が準備を終えるのを待っててくれた。

 

 そして…

 

ゾワアアアアアァ

 

「さぁどうぞ…お通りください…」

 

 黒い靄が大きく広がり、僕達は義爛さんに招かれて黒い靄の中へと入った…

 

 

 

 

 

 黒い靄を抜けた先で待っていた男…

 

 僕達は話し合いの末…

 

 僕達はその男と……いや…《ヴィラン連合》と同盟を結んだ…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

●英雄林間合宿の前日…

 

 

None side

 

 とある暗がりのBARに何人もの人が集まっていた。

 

 ヴィラン連合の死柄木弔と黒霧を始め、闇のブローカーの義爛を通して集められた実力ある強者達が1人を除いて、後日に決行される《雄英高校林間合宿襲撃計画》の作戦及び打ち合わせをしていた。

 

「死柄木弔、突然なんですが…ここにいる面子とは別に《もう1人》…追加されることになりました」

 

「あぁ?もう1人?ムーンフィッシュだったら当日に来る予定だろ…」

 

「いえ、彼ではなく別の人物です」

 

「そんなの…聞いてねぇぞ?」

 

「義爛さんを通して《同盟》を組んだ少人数の組織でして、今回は急遽そのメンバーの1人が参加してくれることになったのです」

 

「同盟だ?……まぁ戦力が多いに越したことはねぇがよ…」

 

「弱ぇ奴じゃ足手まといになるだけだぞ…」

 

 死柄木弔の疑問を荼毘が口にした…

 

「それについては心配はありませんよ。おそらくはここにいる皆さんが知る《実力者》ですからね」

 

「実力者?」

 

「俺達も知ってる?」

 

「どんな奴なんだ?」

 

「…んで黒霧…その実力者はどこにいるんだ?」

 

「はい、そろそろいらっしゃるかと…」

 

コンコンッ

 

 黒霧が話してる最中に、BARの扉がノックが聞こえてきた。

 

「どうぞ…」

 

ガチャッ

 

「失礼」

 

「おっ!義爛じゃねぇか!?いつ見ても良いマフラーしてるじゃねぇか!趣味の悪いマフラーだな!」

 

「元気そうだなトゥワイス」

 

「…おい黒霧……まさかとは思うが…その実力者ってのは義爛のことか?」

 

「いえ、義爛さんは案内役ですよ。そして…彼が連れてきてくれたのが…」

 

 義爛が出入り口の扉から離れると…

 

 

 

「ごきげんよう!ヴィラン連合の諸君!」

 

 

 

 《髭を生やした英国紳士》と、その後ろに《赤い髪の小柄な女性》と《ダーググリーンのローブを纏った者》が入ってきた。

 

「じぇっ!?ジェントル・クリミナル!!?」

 

「うっそ!?本物!!!??」

 

「スッゲェ!!始めて生で見た!!!見てねぇよ!!!」

 

「ちょ!?ちょっと待て!!じゃあ後ろにいる《緑色のローブを着た奴》は!!?」

 

「《緑の貴公子 ロベルト・ハイドン》か!!?」

 

「オールマイトに相対する…《破滅の象徴》…」

 

 ヴィラン連合新メンバーの男性人は、BARに入ってきた予想外すぎる人物達に驚いていた。

 

「はわわぁ…ラブラバちゃん!私が思ってたよりもずっと可愛いのです~!!」ギュウウウウウ

 

「えっ!?ちょっと!!なにすんのよ!!放してーーー!!!」ジタバタジタバタジタバタ

 

 そんな男性人が驚いている中、ヴィラン連合の新メンバーの紅一点であるトガヒミコは、ラブラバを発見するや否や近づいて抱き上げた。

 

「おいおい黒霧……お前……とんでもねぇ大物を連れてきやがったな…」

 

「交渉してくれたのは義爛さんですがね」

 

 死柄木弔も顔に出さないようにしているが、想定してなかった人物に内心は動揺していた。

 

「始めましてだね、君がヴィラン連合のリーダーだね?」

 

「あぁ…そうだ………有名な犯罪動画配信者に名前が知られてるとは光栄だね…」

 

「色々と騒ぎを起こしているんだからね、同じヴィランである以上は多少の情報は耳に入っているさ?」

 

「そうかい……んで?今さっき黒霧から…アンタらの内の1人が今回の作戦に参加してくれるって聞いてるんだが…誰が参加してくれるんだ?…アンタか?」

 

「いや私ではない。参加するのはロベルトだ」

 

 ロベルトの名前が呼ばれると、騒いでいる女性人2人以外の視線がロベルトに集中した。

 

「マジかよ!?ロベルト・ハイドンも参加してくれるのか!!」

 

「こりゃ……作戦は成功したも同然だな…」

 

「決行日が更に楽しみになったぜ!」

 

「《破滅の象徴》と共に活動できるだと……俺は夢を見ているのか……」

 

「なに言ってんだよスピナー!夢じゃねぇよ!これは夢だーーー!」

 

「あのジェントル・クリミナルと同盟を組んでる上に…ロベルト・ハイドンが味方とは…なんて心強い!」

 

 新メンバー達は、改めてヴィラン連合という組織の一員になれたことをそれぞれ喜んでいた。

 

「ロベルト、ご挨拶しなさい」

 

「はい、ジェントル」

 

「(ん?…声が随分若いな……もしかしてガキなのか?)」

 

 始めて聞くロベルトの声に死柄木はちょっとした疑問を持った。

 

「始めまして…ロベルト・ハイドンです。以後よろしくお願いします」

 

「よろしく………って言いたいところだが…挨拶するんだったら…せめて顔くらい見せろ。容姿を教えない奴を俺は信用できねぇぞ…」

 

「………ジェントル…」

 

「構わないさ、彼らにならね」

 

「了解…」

 

 ロベルトはジェントルに確認をとると、ずっと被っていた顔をフードを捲って素顔を晒した。

 

「……お前が……ロベルト・ハイドンか………」

 

 始めて目にするロベルト・ハイドンの素顔に、ずっと騒いでいたトガヒミコも含めてBARにいる全員の視線が集まった。

 

「あら、想像してたよりもずっと若いわね。トガちゃんと同い年くらいかしら?」

 

「ロベルト君も思ってたより可愛い顔をしてるのです~」

 

「僕よりは年上……なのかな?」

 

「コイツが《破滅の象徴》の正体なのか?」

 

「まだガキじゃねぇか」

 

「実際に素顔を見ると…全然凶悪そうには見えねぇな…」

 

「髪は緑色だったか~。緑?黒だろ!違う緑だ!」

 

「(新しく集まった奴らは…ロベルト・ハイドンの素顔を見てギャーギャー騒いでるが……俺はコイツの顔を見た途端に…《同類の何か》を感じた…。その幼い顔つきとは裏腹に…前髪で見え隠れしている額のデカイ傷痕からは《何か》が伝わってくる…。俺は直感で感じ取った…コイツは…俺が探している《答え》を知っているんじゃないかって…)」

 

「これでいいですか?死柄木さん…」

 

「ああ…いいぜ…改めてよろしくな…ロベルト…」

 

「よろしくお願いします」

 

「そんじゃあ…まずは…確認がてらお前の《個性》を教えてくれねぇか?動画を何度も見ちゃいるんだが…お前の個性が何なのかが全然分からねぇんだよ…」

 

「そうそう!それは俺も気になってた!興味ねぇよ!」

 

「《大砲》やら《刃物》やら《鞭》やら様々な武器を使っていて、何の個性なのかサッパリだからな」

 

「その武器はどれもこれも馬鹿デカいし」

 

「他にも《高速移動》したり《空を飛んだり》で…全く個性の予想がつかめねぇ…」

 

 死柄木の質問に、新メンバー達は同意していた。

 それはここにいる人達だけでなく、世界中が知りたいことだろう…

 

 死柄木の質問に対して、ロベルトはローブから右手から出して、死柄木に握手を求めてきた。

 

「……なんのつもりだ?」

 

「握手してもらえれば…すぐに分かると思いますよ?」

 

「お前…俺の個性を知らねぇのか?」

 

「知ってますよ。ジェントルから事前に聞いています」

 

 途中から無言だったジェントルは、ロベルトが顔を向けると頷いた。

 

「ふん!いいぜ…お望み通り握手してやるよ!」

 

パシッ!

 

 死柄木はロベルトから差し出されたを右手を掴んだ!

 

 死柄木の右手の指5本が…ロベルトの右手に触れた…

 

 

 

 しかし…

 

 

 

「……………あぁっ?」

 

 死柄木は違和感を感じた…

 

 自分と握手できるのはイレイザーヘッドだけだと思っていた…

 

 だが…目の前にいるロベルトは平然とした顔で当たり前のように手を握っている…

 

 その様子に黒霧と義爛は納得の表情をしていた。

 

「あれ?死柄木が5本指で触れてんのに何も起こらねぇぞ?」

 

「死柄木の個性って《五指で触れた物を崩壊させて塵にする個性》じゃなかったのか?」

 

「ただ普通に握手してるだけじゃん」

 

「ますますコイツの個性が何なのかは分かんなくなったなぁ…」

 

 自分達のリーダーの個性を前もって知っていた新メンバー達は、ロベルト・ハイドンの個性が何なのかと更に疑問が募っていた。

 

「おい黒霧…コイツの個性はなんなんだ?イレイザーヘッドみてぇな《個性を消す個性》なのか?説明しろ…」

 

「いえ違いますよ。それは御自身で御理解したほうがスッキリすると思いますよ死柄木弔?」

 

「おいおいズリィぞ黒霧……自分だけ答え知ってるなんてよ……教えてくれたっていいじゃねぇか…」

 

「…そうですねぇ……ならば…ロベルト君、これを…」

 

 黒霧はそう言って《水を入れたガラスのコップ》をロベルトに渡した。

 

「《百聞は一見に如かず》…実際に見てもらった方が納得しますよ」

 

「あぁ?どういう意味d」

 

 黒霧が死柄木へ訳の分からないことを喋っていると…ロベルトは不意に《水の入ったガラスのコップ》を手放した。

 

 コップは重力に逆らうことなく、床に向かって落ちていく…

 

「(ざけんな!そんなことすりゃ!割れて破片が俺に刺さるじゃねぇか!?)」

 

 ロベルトの行動に苛立った死柄木を余所に、コップは床へと衝突した。

 

ガン! ゴロゴロゴロゴロ…

 

「……は?」

 

「ガ、ガラスのコップが割れてねぇ!?」

 

「いやそれだけじゃない!!?コップの水が溢れてねぇぞ!?」

 

「どんなマジックだ!?手品師の俺でもタネが分からねぇ!?」

 

「このグラスが硬質ガラスなだけじゃね?普通のガラスだっての!」

 

 そう……ロベルトが床に落としたガラスのコップは割れるどころかヒビ1つ入っていなかった。

 

 そして何より皆が驚いたのは、コップに入った水は一滴も床に溢れておらず表面で止まっていたことだった!!?

 

「い……いったい…何なんだよ……その個性は…」

 

 死柄木の問いに…ロベルトは……出久はこう答えた…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「中身が溢れず、落としても割れないガラスのコップ………正に理想的でしょう?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「理想的?……………おいおい冗談だろ……そんなチート個性が有りかよ…」

 

「そういうことか…これならヒーロー達が全戦全敗してるのも頷けるな…」

 

 いち早く理解した死柄木と荼毘は冷や汗をかきながら、ロベルトの持つ個性の恐ろしさを知った。

 

「……僕の個性は《理想》…《理想を現実に変える能力》です」

 

 本人から語られた桁外れの個性に、新メンバー達はタジろいだ。

 

「そんな万能個性が有ったのかよ…」

 

「成る程、ガラスのコップが割れないのも…コップの水が溢れないのも…それなら説明がつく…」

 

「じゃあ死柄木の個性が発動しなかったのは…」

 

「そうです…《僕と握手する相手の個性は発動しない》…と僕が理想したからです」

 

「個性の無効化まで出来んのかよ!!?ある意味最強じゃねぇか!!!」

 

「つまり《相手を無個性にするもの》自在ってことか…」

 

「動画に映っていた《いくつもの武器》も…それなら説明がつくぜ…」

 

「頭の中で想像した武器も現実に出きるのか…」

 

「思ったことが現実になるとか!絶対に勝ち目なくね?」

 

 皆が改めて…ロベルト・ハイドンがいかに強いのかを理解した…

 

「まさか…俺と握手ができる奴がいるとはな…。黒霧……義爛……本当に良い奴を連れてきてくれたな……感謝するぜ…」

 

「ありがとうございます」

 

「喜んでもらえて何よりだ」

 

 死柄木は満足そう不気味な笑みを浮かべながら…黒霧と義爛を誉めた…

 

 満場一致でロベルトが受け入れられたのを確認したジェントルは帰宅しようとしていた。

 

「ではロベルト…私達は帰るとするよ。くれぐれも気を付けるようにな」

 

「はい、ジェントル」

 

「うむ…では黒霧君」

 

「はい」

 

ゾワア

 

 ジェントルの呼び掛けに、黒霧はクリミナル達を帰すためのゲートを開いた…

 

「ヴィラン連合の諸君、私とラブラバはこれで失礼する。ロベルトのことをよろしく頼むよ」

 

 クリミナルはヴィラン連合のメンバー達に向かって紳士的な振る舞いをしながら去ろうとした…

 

 

 

 のだが…

 

 

 

「いい加減に放せーーー!!!」ジタバタジタバタ

 

「ダメですよ~♪私はもっと《ラブちゃん》を抱きしめていたいのです~♪」ギュウウウウウ

 

「誰が《ラブちゃん》よ!!?」

 

 トガヒミコはラブラバを抱っこして放そうしなかった…

 

 結局、トガヒミコの気が済むまでラブラバは解放されず、ジェントルが帰宅するのは遅くなった…




 ジェントル・クリミナル達と出会い…

 ヴィラン連合ともヴィランとして出会ってしまった出久君…

 彼はこの先…どうなっていくのか…
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