緑谷出久の法則   作:神G

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 2話目の更新です。

 植木君から出久君へ能力と神器を渡す設定がかなり強引になってしまいましたが、どうかお許しください…


植木耕助の法則

出久 side

 

 目の前にいる僕と同じ髪色をした人は、僕のことを鏡に映る自分だと思っているらしい…

 

出久「あの…僕は鏡じゃないですよ…」

 

?「んお!?…あっホントだ、よく見たら別人だな」

 

 辺り一面草原しかないのに何故目の前に鏡があると思ったのだろうか…

 

出久「お、起こしちゃってゴメンナサイ!え~っと…僕は…緑谷 出久といいます」

 

植木「いいよ別に、気にすんな!俺は植木 耕助(うえき こうすけ)!よろしくな緑髪!」

 

出久「いえあの…緑谷です…」

 

 あなたも緑髪じゃないですか…と言いたかったがやめておいた…

 

植木「なぁ」

 

出久「な…なんですか?」

 

植木「お前、なんでそんな格好してんだ?入院でもしてんの?」

 

出久「え?………あれ?なんで僕…こんな格好!?」

 

 植木さんにそう言われ、改めて自分の今の服装と身体を確認した。ここ(木)に来るまで全く認識してなかったが、飛び降りた時は学ランを着ていた筈なのに、今の僕は病院の入院着を着ていた。身体の至るところに包帯が巻かれ、頬には医療用テープでガーゼが張り付けられていた。しかし包帯を巻かれているにも関わらず全く痛みはしなかった。

 今更だが植木さんは学ランを着ている…入院着を着た僕をなぜ鏡に写った自分と見間違えたんだろうか……寝起きだったから気づかなかったのかなぁ?

 

植木「それにしても誰かと話すのは久しぶりだなぁ、折角だし話でもしないか?」

 

出久「あっはい!いいですよ!(久しぶり?)」

 

 悪い人には見えなかったので僕は警戒せずに話をすることにした。

 

 

 

 

 

 

 お互いについて少し話すと、植木さんも中学生で年齢は15歳だと分かった。そんな話をする中で僕はふと気になったことがあり植木さんに聞いてみた。

 

出久「そういえば、植木さんの個性は何なんですか?」

 

植木「個性?なんだそりゃ?」

 

出久「えっ?こ、個性ですよ個性!?人が持つ特殊能力のことですよ!」

 

植木「能力?…ああ!中1の時にあったあの能力者バトルか!」

 

緑谷「中1?能力者?バトル?」

 

 なんだか僕の話と植木さんの話が何処と無く噛み合ってなかった…

 

 もしかして…植木さんは…

 

出久「あの~植木さん、唐突ですが《超常黎明期(ちょうじょうれいめいき)》《オールマイト》って聞いたことありますか?」

 

植木「《超々冷静にオールライト》?何だそれ?そんなの見たことも聞いたことねぇぞ?」

 

出久「《超常黎明期》も《オールマイト》も知らない!?やっぱり植木さんは僕とは違う世界の人!?でも別の世界なんて!そんな非科学的なこと…いや個性がある時点で僕がいた世界もある意味で非科学的な訳だし…別に他の世界があったっておかしなことはない………そうだよ!前に本で読んだことがある!世界は無数に存在しているって……………」ブツブツブツブツ

 

植木「お~い、帰ってこ~い」

 

出久「ハッ!す、すいません!つい癖なもので…」

 

 僕は考え事をする時に、手を口元に置きながら考えていることを小声で口に出しブツブツ言ってしまう癖がある……学校の授業中に難しい問題が出るとよくこの癖が出てしまい、『ブツブツ耳障りなんだよ!クソデクがぁ!!』と かっちゃん は個性の《爆破》を使いながら僕を殴ってくることがよくあった…煩かったのは申し訳ないが…それで暴力を振るわれる必要が本当にあったのだろうか…

 っと…話が脱線してしまったが、僕には植木さんが嘘をつくような人とは思えなかった…

 

植木「さっき《違う世界》や《他の世界》って言ってたけど、お前の世界ってどんな世界なんだ?」

 

 植木さんにそう聞かれ、僕は自分がいた世界…《個性》のある世界について話した…その上で僕が《無個性》であることも話した…

 

植木「ほ~ん《個性》がある世界ね~そんな世界もあるんだなぁ」

 

出久「あれ?…信じてくれるですか?僕が言ってる出任せかも知れないんですよ!?証明も出来ないし!?」

 

植木「ん~って言われてもなぁ…俺の世界も普通の人間がいるのが当たり前なんだけどさ…他に《天界人》とか《地獄人》っていうのもいたし、《個性》がある世界があっても別に不思議じゃねぇと思ってさ」

 

出久「天界人!?地獄人!?」

 

 僕の話を信じてくれたのは良かったが、どうやら植木さんの世界も普通の世界とは違うらしい!

 

植木「まぁ俺もその《天界人》なんだけどな」

 

出久「ええっ!!?」

 

植木「んまぁ俺のことは置いとくとして」

 

出久「いえ!あの!置いておかないでください!?」

 

 いきなりの真実に僕は植木さんへ色んなことを聞きたかったが、植木さんが僕に言ってきた内容によってそれを聞くのはあとになった…

 

植木「ずーっと気になってたんだけど、なんでそんなに怪我してるんだ?お前が《無個性》なのと関係あるのか?」

 

出久「っ!?それは…」

 

 僕は迷った…僕の過去を全て話していいものなのか…最終的にはビルから飛び降りてしまう話なんて聞くのはイヤなんじゃないかと考えてしまう……

でも…何故だろう…この人には…植木さんには…安心して話せると思えてしまう…

…僕は《個性》のある世界で《無個性》として過ごしてきた自分のことを植木さんに話した…

 

 

 

 

 

 

 一通り…僕の過去について植木さんに話した…湿っぽい話をしていまい、植木さんはどう思っているのか恐る恐る顔を伺った…植木さんは腕を組んで難しい嫌な顔をしていた…

 

出久「あ…あの…植木さん?」

 

植木「…お前………凄く強い奴なんだな!」

 

出久「……えっ?」

 

 急に笑顔を僕へ向けてきた植木さんからの言葉の意味が分からなかった…今の話のどこで…僕が《強い》なんて思えたのか理解できなかったからだ…

 

植木「俺の世界にはさ《子供の頃にひどい目にあわされて、人を信じられなくなったから世界を滅ぼすなんて奴》もいたし、《理由もなく戦うことだけを生き甲斐にしてる奴》もいたし、《目的のためだったら他の全てを失ってもいいって奴》もいて、全員が自分のためなら他人を平気で傷つけても何とも思わないって奴らだったんだよ…」

 

 そ…それって一大事なんじゃ…特に1人目の人が!?

 

植木「でもお前は違う!個性がなかったとか、仕返しする力や度胸がなかったとかじゃない!イジメられたり、ひどいめにあったからって他人を傷つけることを絶対にしないのは、お前が誰よりも心が強くて優しいからなんだよ!だからお前は凄く良い奴だ!緑髪!」

 

出久「!!!??……う…植木…さん……」

 

 今の言葉は…僕に向けられた言葉なんだよね…出会ったばかりの僕の話を聞いてくれて…ここまで親身になって…僕の心の叫びを理解し受け止めてくれる人はいなかった…

母だってここまで言ってくれたことはない…

だから…だから……本当に…嬉しい!!!

 

出久「あ…ありがとう……ございます…そんな風に言ってもらえたことなんて…今までなかったから…凄く嬉しくて……あと…緑谷です…」

 

 自分で気づかぬ間に…僕はまた泣いていた…

さっきまで…僕の心を埋め尽くしていた負の感情が消えつつあった…

 

出久「ははっ…現世では散々な人生だったけど…天国へ来て…植木さんと出会えたのは幸運ですよ」

 

植木「天国?俺はまだ死んでないぞ?」

 

出久「……はい…?」

 

植木「というかお前も死んでないんじゃないか?」

 

 ぼ…僕がまだ死んでない!?じゃあ!この場所はいったい!?と僕が考えていると…

 

植木「お前が過去を話してくれたし、俺の過去も聞いてみるか?」

 

出久「い、いいんですか!?是非聞かせてください!」

 

 気になることはあったが、植木さんの送ってきた人生は知りたかった!《個性》のない世界で《天界人》?である植木さんはどんな日々を送っていたのかを。

 

 

 

 

 

 

 植木さんの話を聞いていくと、植木さんもビルの屋上から落ちたことがあったらしい。子供の頃に屋上の柵の外側で遊んでいた際、足を滑らせて落ちてしまったのだ!植木さんももう駄目かと思ったらしい……でも……そんな植木さんを地上で受け止めて助けてくれた人がいた!

 

 その人は…植木さんに怒鳴りもせず…叱りもせず…そして名前も言わずに笑いながら愚痴を溢して去っていった…

 

 それが……植木さんにとっての最高の恩師である《コバセン》という人との出会いであり…植木さんの生き方を…《正義》を示してくれた《原点(オリジン)》!

 

 植木さんはその人から学んだ《正義》を貫いて日々を過ごし、中学生になった時にその恩師と再会を果たしたそうだ。

 

 丁度その頃、植木さん達の世界で《天界》にいる《神様》という人が次の《神》を決めるために、《神》になりたい《天界人》に《地上》にいる中学生へ【能力】を与えて代理戦をさせるバトルが始まったらしい。コレがさっき植木さんが言っていた《能力者バトル》のことだろう。

《コバセン》も実は《天界人》で植木さんに【能力】を与えたらしい。でもそれは《神》になりたかったからではなく、植木さんのもつ《正義》を見たかったからなのだ。

そんな《バトル》の最中、植木さんはある強敵と相対し敗北ではなく命の危機にさらされた。そんな植木さんを《コバセン》が助けてくれた……でも《神様》が決めていたルールにより《地獄界》へと連れていかれてしまった…

植木さんは《コバセン》を助けるために《バトル》を続けた。ただ…そのルールの1つである《才》…つまり《人が持つ才能》は【能力】を使って《能力者》以外を傷つけてしまうと自分の《才》が1つ減ってしまうルールになっており、《正義》を貫く植木さんには重い枷になっていた。バトル関係なしに困っている人を見かけては【能力】を使い、植木さんの《才》の数は一桁や二桁で揺れていた…そして恐ろしいことに…その《才》が0になると…その《能力者》は 消滅 してしまうルールになっていたのだ…

そんな死と隣り合わせな植木さんだったが、友達や仲間と共にそのバトルを勝ち抜き続けた。そして《能力者バトル》最後の戦いで、植木さんは《才》があと1つしかないにも関わらず、《能力者でなくなった敵》を倒すために最後の一撃を喰らわせようとしたのだ!

 

自分が消えてしまうというのに…

 

とても怖い筈なのに…

 

友達や仲間を…多くの人達を守るために…植木さんは迷わず【魔王】という神器を使い…敵を倒した!

 

 

 

…でも…植木さんは消えてはいなかったみたいだ…

 

 

 

植木「なんであの時、俺が消滅しなかったのかは未だに分かんねぇんだよなぁ~」

 

 と他人事のように植木さんは言ってるが…

植木さんの話を聞いた僕は…言葉や行動では現せない程に衝撃を受けていた!!

 

 そうだよ…コレだ…コレだよ!!!

 

《自分のためじゃない!他の誰かを助けるためなら…自分の命を惜しまない!》

 

《どんなに危険でも…勝算がなくても…死ぬかもしれなくても…身体が動ける限り…最後まで諦めずに戦い!他人(ひと)を守る!》

 

 それが!それこそが!僕が憧れていた《ヒーローの姿》!

 

 そして、この人が…植木さんこそが…僕が目指している《本物のヒーロー》の姿なんだって!

 

 いつの間にか…僕の中で砕け散ってしまった《何か》……《ヒーローへの尊敬》が元に戻っていた!

 

 こんな凄い人に出会えるなんて感激だった!さっき会ったオールマイトが霞んでしまうほど、僕には植木さんが輝いて見えたのだから!

 

 

 

……僕の世界に…植木さんや…《コバセン》っていう人が居てくれたなら……あんなバカな真似しないで済んだのかなぁ……

 

 僕は植木さんとはまるで違う……

 

 『無個性』として産まれ…

 

 幼馴染みや同級生からは貶され…

 

 憧れの人からは夢を否定され…

 

 ヒーローに絶望した僕は…その現実から逃げるためにビルから飛び降りてしまった…

 

 植木さんと僕では天と地以上の差があった…

 

 でも!植木さんはこんな僕を《強い》と言ってくれた!僕もこの人のようになりたいと、いつの間にか心に決めていた!元の世界に戻ったなら植木さんが教えてくれた《正義》を教訓に生きていこうと!!

 

植木「そうだ、折角だし《コバセン》からもらった【能力(ちから)】見せてやるよ!」

 

出久「えっ!?でも植木さんの【能力】と【神器】はもう…」

 

 さっきの話で、植木さんの【能力】…【ゴミを木に変える能力】は《能力者バトル》の最終決戦で【神器】という武器と共に力を使い果たしてしまい、《バトル》後は《能力者》全員の【能力】も【神器】も消えたという話だったが…

 

植木「ここでずっとボーッとしてる時に、昔の思い出を振り返ってる時にまた使えねぇかなぁ…と試してみたらさ!何でか分かんねぇけどまた使えたんだよ!あと【神器】もな!」

 

出久「じ!【神器】もですか!?」

 

 植木さんの話にもあった【神器】。【神器】とは、植木さんの世界にいる《天界人》という人達だけが使える10種類の武器で、植木さんも《天界人》だからこそ使えていたみたいだ。

 

出久「…あの…それじゃあ見せていただいてもいいですか?」

 

植木「おう、いいぞ!」

 

 植木さんは僕の顔に貼ってある取れそうだったガーゼの医療用テープを1枚を剥がして、それを右手で握りしめた…すると…

 

植木「【ゴミを木に変える能力(ちから)】!」

 

 植木さんがそれを言った瞬間、握り拳の中から黄緑色の光が放たれた!

植木さんが手を開くと、手の平で輝く黄緑色の光から【小さな木】が生えてきた!!!

 

植木「これがさっき話した、俺がコバセンからもらった【ゴミを木に変える能力】だ!」

 

出久「て!?テープが木に!?凄い!凄いです!!今更ですが地球にとても優しい【能力】ですね!」

 

 植木さんが使っていた【能力】を見ることができるなんて感激だった!!……しかしヒーローオタクだった僕は…植木さんの【能力】に対する《感激》の次に思い浮かべたのは……先程の事件現場にいた《木の個性》をもつヒーローのことだった…

僕の心を救ってくれた植木さんが持つ【ゴミを木に変える能力】に対して……なぜ僕の心を壊すキッカケとなったヒーロー1人が頭に浮かんだのか……

 

 僕はそんな自分に嫌気が差した…

 

出久「………」

 

植木「どうした?」

 

出久「うぇ!?ああいえその!!僕も植木さんと同じ力を使えたらいいのになぁって思いまして!…あはは…」

 

 嫌なことを思い出してしまい…それを隠そうと咄嗟に誤魔化す筈が、つい本音を言ってしまった!

 

植木「そうだなぁ、お前凄くいい奴だし、試したことねぇから分かんねぇけど、この【能力】ならお前に与えられるかもしれないぞ?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ……今……植木さんはなんと言った?……『自分と同じ【能力】…【ゴミを木に変える能力】なら…僕に与えられるかもしれない』……っと………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

出久「ほっ…ほっ…ほほほほほほほほっホントですか!?」

 

植木「ああ、でも上手くいくかは分かんねぇぞ?それでもいいか?」

 

出久「か、構いません!どうか!よろしくお願いします!」

 

 植木さんと同じ【能力】が使えるようになれるかもしれない!それはとても嬉しいことだ!!

例え…【能力】を受け取ることが出来なかったとしても…植木さんという《本物のヒーロー》に出会えた!元の世界に戻って…これからも一生《無個性》のままでも…植木さんが教えてくれた《正義》がある!それだけでも僕は満足なんですから!!

 

植木「わかった…じゃあ始めるぞ!」

 

出久「はい!」

 

 植木さんが僕に向けて右手を翳した!すると、植木さんの掌から虹色の細い何本もの光が出てきてユラユラと僕の身体に流れ込んできた!同時に僕の身体は赤紫色に光り初めた!

 

出久「う、植木さん!これは!??」

 

植木「コバセンと犬のおっさんが【能力】を渡す時にやってたのを、見よう見まねでやってる。」

 

 なんとも不思議な感覚だ…身体が光っているのに僕は安心しきっていた…植木さんになら自分の心の奥にある感情を出せる…そんな安心感があった…

 

 ある程度の虹色の光が僕の身体に注ぎ込まれた頃に、植木さんの手から出ていた虹色の光が止まり、僕の身体も赤紫色の光がおさまった…

 

植木「これでいい筈だけど…試してみろよ」

 

出久「は、はい!やってみます!」

 

 さっきの植木さんのように、僕は頬にあるガーゼを剥がし右手で握った!そして頭の中で木をイメージし…

 

出久「スゥーハァー……【ゴミを木に変える能力】!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 深呼吸をしてから【能力】の名前を大声で言うと…僕の右拳の中で黄緑色の光が輝き出した!!?

握っていたガーゼの感触がなくなり、僕はそっと手を開くと…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 手の平の黄緑色の光から【小さな木】が生えてきた!!!

 さっきの植木さんと全く同じだった!!!!!

 

出久「で…ででででで…出来たーーーーー!!!??」ウワアアアアアアアアア

 

植木「おお、本当に出来たみたいだなぁ。って…すげぇ量の涙だなぁ…噴水みてぇだ…」

 

 僕は顔を上に向け、両目から大量の涙を出していた!!

夢じゃない!!

幻じゃない!!

《無個性》だった僕が、手で握っていたガーゼを【木】に変えたのだ!!

この嬉しさは言葉になんて出来ない…《正義》を貫く植木さんの【能力】を受け取ることが出来たのだから!!

僕は歓喜に震えつづけながら涙を吹き出し続けた!!!

 

植木「なあ、もしかしたら【神器】も使えるんじゃね?」

 

出久「…じ、【神器】ですか!!?」

 

 感動に打ち震えて泣き続ける僕に植木さんは【神器】の話題を持ち出してきた!正直、個性…じゃなくて【能力】を頂けて使えるようになっただけでも十分だった!……でも…もし植木さんが話していた【神器】も使えるのなら…この上なく嬉しいことだ…でも…僕は《天界人》じゃない…

 

出久「それは流石に無理だと思いますよ…」

 

植木「まぁ試しにやってみようぜ!もしかしたら【能力】と一緒に受け継いでるかもしれないじゃん!」

 

出久「…わ、わかりました…やってみます!確か植木さんは中1の時…つまり13歳の時に【二ツ星の神器】を既に持っていたんですよね」

 

植木「ああ、星を1つ上げるには5年かかるらしい。つっても俺の場合は友達や、敵だと思ってた奴に星を上げさせてもらったから【十ツ星】になれたんだけどな」

 

出久「僕は今14歳…もし使えるとするなら【二ツ星】までの【神器】を使えるかもしれないってことですね」

 

植木「さぁな、俺の世界では5年だって聞いたけど、お前の世界じゃ違うかもしれない。まぁとりあえず、まずは【一ツ星の神器】からだな!」

 

 そういうと植木さんは少し離れ、風によって木から落ちてきた葉っぱをキャッチして右手で握りしめると…

 

植木「【鉄(くろがね)】!」

 

 植木さんの右手の握り拳からさっきよりも強い黄緑色の光が放たれた!その輝きに驚いて僕は両腕で目元を覆った!光が収まり腕をどけると……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 植木さんの右側に【木の根を支えにした巨大な大砲】があった!!!

 

出久「こ…こここっ…これが…【神器】!!!」

 

 ドンッ!!!

 

 凄い音と共に【大砲】から【木の砲丸】が発射されて、草原の遥か向こうまで飛んでいった!

 

 僕は唖然としてしまっていた…その威力は勿論!こんな凄い【武器】を使える植木さんへの驚き!そして、それを僕も使うことが出来るかもしれないということに!

 

植木「これが【一ツ星の神器】の【鉄】だ!じゃあ次はお前の番な!」

 

出久「はっ、はい!!」

 

 落ちていた葉っぱを拾い、右手で握りしめて…

 

出久「【鉄(くろがね)】!」

 

 僕も【一ツ星の神器】の名前を叫んだ!……

 

 

 

 

 

 しかし…

 

 

 

 (シーン)

 

 

 

 何も起こらなかった…右手に未だ葉っぱがあるだけだった…

 

出久「…も、もう一度!【鉄(くろがね)】!……【鉄】!………【鉄】!…………【鉄】!……………」

 

 ……駄目だった…やっぱり《天界人》じゃない僕には【神器】まで受け継げなかったらしい…やめようとしたその時…

 

植木「なぁ、お前のなりたいヒーローってなんなんだ?」

 

出久「……え?」

 

植木「さっきお前が言ってた1番強いヒーローの《オールライト》って奴みたいになりたいのか?」

 

 僕のなりたいヒーロー…確かに小さい頃からずっと《オールマイト》みたいなヒーローになりたいと思っていた…でも今は違う…植木さんが僕に与えてくれた【ゴミを木に変える能力】と共に、植木さんから教わった《正義》…《自分を投げ出して他人を助ける》ヒーローになりたい!でもその分、植木さんは友達や仲間に心配をかけてしまってもいた…

 

 植木さんみたいな人になりたい…

 

 でも誰かを不安にさせたくない…

 

 僕がなりたい…ヒーローは!

 

出久「《誰にも心配をかけずに、他人(ひと)を助けられるヒーロー》になりたいです!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 僕がそうを言うと、僕の右手の握り拳からさっき(【能力】初使用時)とは比べ物にならない程の黄緑色の光が放たれ、僕はその眩しさに目を瞑ってしまった!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 右腕に何か違和感を感じ、そっと目を開けると……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そこには…植木さんが先程見せてくれた【巨大な大砲】が…僕の右腕を巻き込んで存在していた…

 

植木「おっ、出来たじゃん!」

 

 僕はまた……号泣してしまった……




 出久君は植木君から【能力】と一緒に【神器】も与えられました!
 本来、【一ツ星の神器・鉄(くろがね)】は《天界人》が自分を《天界人》だと《自覚》することによって得ることが出来るのですが、出久君の場合は《今の自分がなりたい本当のヒーロー》を《自覚》することによって使えるようにしました!

 次は一旦、現世の話にしようと思います。

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