緑谷出久の法則   作:神G

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【20万UA突破記念作】3作目!

 前回の話(番外編2作目2話)の前書きにもあった通り、今回の話で本格的に《出久君がいない雄英高校がどんな日々(4月~11月)》を送るのかを、私なりの推察を元に語っていきます。

 そして今回の話の後書きで《亡くなったキャラクター》や《雄英高校からいなくなったキャラクター》の詳細について纏めました。



 次の話(番外編2作目4話)から本格的に《HEROES:RISING》の話に突入していきます。
 その際、本編の《26話》を先に投稿すると予定でいるのですが、場合によっては《番外編2作目4話》の方を先に投稿するかもしれません。



 今回の番外編は前回と同じく《全5話》の予定でいるのですが、那歩島へ雄英生が来る前の時点で既に3話も経ってしまったので、もしかしたら全部7話程になるかと思われます。


【番外編】スローライフの法則(3)

●4月中旬…(ヘドロヴィラン事件から1年後)

 

 

緑谷出久 side

 

 9割9分の確率で、幼馴染みのアイツが起こしたであろう事件(《雄英高校内での殺人未遂事件》)の詳細とその後の出来事は…

 

「今回の一件に対して雄英高校は加害者の生徒Bを《除籍処分》とした………まぁ当然そうなるよね」

 

 事件から数日後、加害者である少年B(多分かっちゃん)がどうなったのかを知りたかった僕は、スマホや新聞や雑誌を汲まなく調べ尽くし、その文面を僕は読み上げながら確認していく。

 

「除籍処分を言い渡された少年Bは、被害者の少年Aの両親の職種を知った途端に態度を急変させて被害者家族へ謝罪を述べていた。しかし被害者の両親が事前に集めた《相手の思考を読む個性》の類いである個性持ちの検察官達に調べさせた結果、謝罪を述べている少年Bの本心は『雄英を除籍にされたくない!』『未来のNo.1ヒーローである俺の経歴にキズが付くのは嫌だ!』『そんな仕事(警視監、外交官)に就いてるなら先に教えろや!』などといった完全な私情しかなく、心の底からの反省を全くしていないことが判明………僕の時と同じで被害者側が大人しく引き下がるとでも思ったのかなぁ?」

 

 この少年Bが本当に《かっちゃん》だとするのならば、才能のある自分は『何をしても許される』とでも思ってたんだろうなぁ…

 

 その才能ゆえに、無個性だった僕と違って幼稚園の頃から周りの人間は称えられて、大人(教師達)からも優遇されていた…

 

 自分を《特別な存在》だの《選ばれた人間》だのと勘違いしていたイジメっ子が、ヒーローになるための第一歩として雄英高校に合格した…

 …が…入学してまだ数日しか経っていないというのに《こんな取り返しのつかない大事件》を起こした…

 

 かっちゃんを今の今まで優遇していた人達は、今何を思っていることだろう?

 

 

 

 …っとそんなことはさておき、新聞の記事を最後まで読み進め、雄英高校を除籍された《幼馴染みであろう少年B》がどうなったのかを僕は知った。

 

 加害者である少年Bは、雄英を除籍になったと同時に少年Aの被害者家族から訴えられ、直ぐ様に裁判所へと連れていかれた。

 僕は《裁判》や《刑罰》などについてそこまで詳しくないけど、こういう場合《未成年の少年B》はまず家庭裁判所に連れていかれ、最終的には《少年院に入れられる》という軽い罰で済まされるんじゃないかと僕は思っていた。

 

 でもそれは違った…《個性が当たり前となった超人社会》において、事と場合によってはそんな軽い罰では済まされないのだ。

 

 個性がどんどん変化し増えていくことに応じて《個性持ちに対する法律も改変され増えていった》のだ。

 

 その追加された法律の中でも《個性を使った悪質な犯罪や暴力を犯した者は、例え未成年だろうとヴィランと同じ扱いで重い罰を下すこと》となっている。

 

 新聞には加害者の少年Bの年齢が記載されていて、その年齢は裁判を行った時は《15歳》と記されていたが、4月の下旬になってからの新聞では年齢が《16歳》と変わっており、加害者の少年Bの誕生日が4月であったことが判明した。

 因みに僕を10年以上イジメていた《炎系の個性を持った幼馴染み》の誕生日は《4月20日》である…

 

 

 

 被害者の《少年A》についての情報も新聞やスマホのニュースに色々載っていた。

 少年Aの両親は、一人息子がヒーローになることは反対していたらしい。

 しかし少年Aは両親を説得し、周囲の反対を押しきって子供の頃からの夢である《ヒーロー》になると、身分を隠して自力で雄英高校のヒーロー科に合格した。

 

 両親は息子の《ヒーローになりたい覚悟》が本物であることを受け止めて理解し、これからは息子の夢を応援していこうとしていた…

 

 だがその矢先、雄英高校の入学式からたった数日後にこの大事件が発生してしまったのだ…

 

 事件当時の少年Aの容態は非常に悪く、名医であるリカバリーガールが緊急処置をし、あと数分遅れていたなら最悪《死亡》していた可能性が高かったそうだ。

 少年Aはギリギリ命は助かった………しかし《重度の火傷》と《少年Bの個性によって建物が破壊された際、崩壊した建物の瓦礫に挟まれたことによる頭部と内臓の大きな損傷》もあったことで、少年Aは昏睡状態となってしまい、最悪《植物人間》になる可能性が高いとも検査されているらしい。

 

 大切な一人息子がこんな酷い目に合わされたのだから、当然少年Aの両親も親族も《加害者である少年B》に対し大激怒、家庭裁判所をすっ飛ばして刑事裁判にまで発展。

 ヒーロー高校の敷地内とはいえ、資格未取得者が故意で個性を使い危害を加えたことは立派な規則違反であり犯罪である起訴され、更に警察が捜査した結果、加害者の少年Bが中学時代までに起こした数々の暴行事件や傷害事件も次々と発覚させ、その余罪の多さによって裁判では雄英高校が用意した加害者側の弁護士が裁判中で弁護を放棄したそうだ。

 

 《事件の際の映像(屋内対人戦闘訓練の授業)》《少年Bの普段の生活態度や人間性》《少年Bが過去に犯した問題の数々》などの多くの証拠によって、少年Bは未成年でありながら《死刑に匹敵する刑罰》を受けることがすぐに判決された。

 

 

 

 死刑に匹敵する刑罰…

 

 それは多くの大罪人が捕まっている牢獄…

 

 対個性最高警備特殊拘置所《タルタロス》への収監だった。

 

 

 

 そう…少年Bはタルタロスに収監されることになったんだ。

 

 

 

 未成年の人間がタルタロスに連れていかれたケースは過去にもあったらしいけど…

 

 日本屈指のヒーロー育成高校である《雄英高校》…しかも今年ヒーロー科を主席で合格したという新入生が《タルタロスに収監される》という事実は前代未聞であり、日本中…いや世界を騒がすビックニュースとなった。

 

 少年Bの本名は、ニュースやネットなどに一切として記載されてはいなかったが、静岡県にある少年Bの地元の町にある…僕には物凄く見覚えのあった《少年Bの自宅》や《少年Bが通っていた中学校》がTVで大々的に映った時、僕は驚きよりも『やっぱりか…』と納得する気持ちの方が大きかった…

 

 それを全て知った僕は…《心がすくような気持ち》になった…

 

 

 

 でもまだ終わりじゃなかった…

 

 被害者の少年Aの容態は日に日に悪化する一方で、現在はセントラル病院の集中治療室から出られず余談を許さない状態……っとスマホのニュースに書いてあった。

 

 あと、被害者の家族の名前については事件の数日後には世間に広まった。

 何故かと言うと被害者の父親の役職が《警視監》ともなれば該当する人物は限定される。

 だから世間のマスコミや記者は被害者の少年Aの父親の名字をすぐに特定していた。

 被害者の名字は《赤谷》というらしい。

 

「被害者の家族の《赤谷夫妻》は加害者の家族に対して多額の損害賠償金を請求………本当に何やってんだよ…かっちゃん…念願の雄英高校に入って早々にこんな事件を起こして…タルタロスにブチ込まれた挙げ句に…光己さんと勝さんに迷惑をかけるなんて、ヒーローを目指す人間が一番やっちゃいけないことってじゃないか………って!加害者が《かっちゃん》だって決まってないじゃないか!」

 

 加害者である《少年B》の名前も名字も判明してはいない。

 だから《少年B》が本当に《かっちゃん(爆豪 勝己)》だと僕は断定できない。

 

「まぁこの世には《炎系の個性持ち》で《誕生日が4月》で《文武両道の口の悪い乱暴な性格》で《同級生に無個性の知り合いがいる》なんて学生は沢山いるだろうから、別にアイツを示してる訳じゃないよね。ネットや新聞に載っている少年Bの『B』だってアイツの名字とは関係ないよね。きっと偶然か…」

 

 どう考えても該当する人物が自分の中では100%確定してはいるけど、ここは敢えて気に止めない方がいいと今の僕は判断した。

 

 

 

 もう僕はアイツのことを…《友達》だなんて思ってない…

 

 きっとアイツの中では…もっと前から…正確には10年前から…僕は《友達》では無くなっていたんだろうからね…

 

 

 

「忘れよう…アイツのことなんか…」

 

 僕は…かっちゃんを…爆豪勝己を忘れることにした…

 

 

 

 

 

 そして今回発生した《雄英高校内での殺人未遂事件》においては事実上、加害者の少年Bは除籍されたが、被害者の少年Aもまた…両親が強制的に中退を決定したようで、雄英ヒーロー科1年A組生徒は入学式から1週間も経たない内に《2人》もの生徒がいなくなった…

 

 

 

 

 

 でも…この事件は今年から始まっていく事件の数々の《序章》に過ぎなかった…

 

 その事件を皮切りに…今年から雄英高校に関する事件が多発していくことになろうなんて…僕も想像だにしていなかったよ…

 

 

 

 

 

 4月…

 

・《雄英バリア》という学園の防犯装置が何者かによって破壊された…

 

・さらにその後日には、なんと雄英高校内にある災害演習場に《ヴィラン連合》と名乗るヴィラン組織が襲撃するという大事件が発生した!

 今年からオールマイトが雄英の教師となっていたこともあり、現場に駆けつけたオールマイトの活躍によって主犯と思われる2人以外のヴィラン達は全員確保された。

 しかし…今回の件については《ヒーロー側の敗北》だとされていた…

 何故かというと…今回の襲撃で雄英側に《死者》が出てしまったからである…しかも《2人》…

 授業に参加したヒーロー科1年A組の生徒18名は軽傷者はいたものの死者はいなかった………が…亡くなった…いや殉職したのは《イレイザーヘッド》と《13号》というプロヒーローの2名である…

 ヴィランに襲撃されただけでなく、プロヒーローが2人も亡くなったことは、雄英高校にとって大打撃となった。

 

 

 

 まだ4月の時点で雄英高校は事件盛(ざか)りだったけど…まだまだ終わらない…

 

 5月から11月にかけても雄英高校の不運は続いていった…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 5月…

 

・雄英高校のメインイベントの1つである《雄英体育祭》が開催されて、1年の部門で優勝を飾ったのは氷の個性を使うヒーロー科1年A組の《轟 焦凍》だった。

 しかし、誰が優勝するかなんて観客席にいた一般人達には関係なかったようだ…

 彼らは体育祭中はずっと4月に雄英高校内で発生した3つの事件についての罵詈雑言で終始騒いでいたため、何とも後味の悪い体育祭となっていた。

 TVで見ていた僕としても、決して心良いものではなく不快な気持ちにされてしまった…

 あと優勝した《轟 焦凍》は、最終種目のガチバトルにおいて全ての対戦相手を数秒で倒し続けるという完全勝利をおさめたというのに、当の本人は何故だが体育祭中ずっと機嫌が悪いように僕は見えた。

 

・そんな体育祭後に行われた後日、雄英高校ヒーロー科1年生はプロヒーローの元に赴いて職場体験をしていた。

 しかし…保須市にて《飯田 天哉》という生徒が巷(ちまた)で噂となっているヴィラン《ヒーロー殺し・ステイン》によって、プロヒーローのネイティブと共に殺害された。

 しかもステインは今も逃亡しており、この時保須市に来ていたNo.2ヒーローのエンデヴァーを含む炎のサイドキッカー達は、ヒーロー殺しを捕まえられなかったことで世間から叩かれる結果となった。

 あと《亡くなった飯田天哉という生徒が何故ステインに殺されたのか?》その疑問については《ステインによって再起不能にされた身内であるターボヒーロー・インゲニウムの敵討ち》ではないかとニュースで言われていた。

 

 またしても雄英高校関係者の死者が出てしまい、雄英高校は世間からの信用をどんどん失っていった…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 6月…

 

 この月は、特にこれといった事件は何も起きなかった…

 

 でもそれは…《嵐の前の静けさ》であったことを7月になって僕は思い知ることになった… 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 7月…

 

 一般の高校生ならば、僕と同じく夏休みを満喫できる時期であるのだろうけど、ヒーローを目指す高校生達にはそんな暇はない…

 

 そんな雄英生達は又しても大きな事件に巻き込まれていった…

 

・木椰区ショッピングモールという商業施設にて《買い物に来てきた雄英ヒーロー科1年A組生徒がヴィラン連合の人間と接触した》という。

 それが偶然なのか必然なのか僕には分からなかったけど、それが凶兆であることは何と無く理解できた…

 

 そして…僕が予想していた凶兆は現実になってしまった…

 

・1万人以上の科学者達が住む人工島《Iアイランド》、世界中のヒーローの役に立てるサポートアイテムの開発が行われていて、島の警備システムはタルタロスに匹敵する装置が備えられており、今まで一度足りともヴィランよる犯罪が発生したことがないという…正に難攻不落な島だ。

 しかし、その難攻不落の島にどういうわけか《ヴィラン》が襲来した!

 その島には何百人ものプロヒーローがいて、しかも襲来当時は《オールマイト》を始めとした《雄英ヒーロー科1年A組生徒17人》もいたというのに、全てが終わってみればIアイランドはヴィラン達によって滅茶苦茶にされた挙げ句、《デイヴィット・シールド》というオールマイトの元サイドキックかつ世界的科学者が誘拐されてしまい、更に犯人グループであるヴィラン達には全員逃げられてしまうという始末だ…

 事件後、オールマイトとプロヒーロー達は常々『人質を捕られていたためヴィランを捕らえることが出来なかった…』とコメントしていたが、世間がそんな見え透いた言い訳を受け入れてくれる訳がなく、その島にいたプロヒーロー全員は世界中からバッシングを受ける結果となってしまった…

 

・そんなIアイランドの騒ぎがおさまりきらない中、雄英高校に戻った雄英ヒーロー科1年A組は、同じヒーロー科である1年B組の生徒と共に世間には秘密で行われた《雄英高校ヒーロー科1年生達の林間合宿》にしていた。

 だが…その合宿に又しても《ヴィラン連合》が襲撃!

 プロヒーロー5人(ブラドキング、ワイルドワイルドプッシーキャッツのメンバー4人)がいながら、怪我人多数に加え、死傷者を出してしまう大事件が発生してしまった!

 襲撃してきたヴィラン連合の人数は10人程であり、その内捕まえることが出来たのは2人だけ…

 その10人程のヴィラン達による被害は決して小さくはなく、《ヴィランに負傷を負わされた者》《火傷を負った者》《毒ガスによって昏睡状態になった者》が殆ど占めるという甚大な被害を雄英生とヒーロー達に出した。

 しかもヴィラン連合のメンバーは2人を除いて全員逃げられてしまい、オマケに生徒2人とプロヒーロー1人を誘拐されてしまった!

 誘拐されたのは、雄英体育祭の優勝者と準優勝者であるヒーロー科1年A組に所属する《轟 焦凍》と《常闇 踏陰》という生徒2人と、ワイルドワイルドプッシーキャッツのメンバーの1人《ラグドール》である。

 因みに死者というは雄英生でもプロヒーローでもなく、一般人の子供である《出水 洸汰》という活真君と大差のない年齢の男の子だったらしい。

 どうしてそんな子供が雄英の林間合宿にいたのか?詳細は新聞にもネットにも載ってなかったけど、おそらくは《ワイルドワイルドプッシーキャッツのメンバーの誰かの子供》か、もしくは《その身内》なんじゃないかと僕は推察した。

 

 まぁ僕の考えはさておき、今年の雄英高校は本当に災難続きである…

 

 根津校長やリカバリーガールの苦労が目に浮かんだ…

 

 でも、日本の遠い南の島にいる僕には何も出来ないし…そもそも僕には何の関係もない…

 

 根津校長やリカバリーガールに恩はあれども、ヒーローを諦め《一般人》として生きていくことを決めた僕には…どうすることも出来ないんだ…

 

 僕が自分の無力さを改めて思い知っている間に7月は終わっていた…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 8月…

 

 この夏は正に…超人社会の歴史を覆(くつがえ)す一大事件が起きた…

 

 それは活真君と真幌ちゃんと一緒にTVで毎年夏に放送される定番のアニメ映画を見ていた時のことだった…

 突然TVの画面が変わって《神奈川県の神野区》という場所で発生していた《オールマイトの最後のヒーロー活動》が全チャンネルでリアルタイムに緊急放送された。

 

・7月に起きた雄英高校の林間合宿におけるヴィランの襲撃………その謝罪会見が生放送で報道されることを前もって雑誌を見て知った僕は、当日その番組を見ることはせず、その日は泊まりに来る活真君と真幌ちゃんと一緒に映画観賞をする約束をしていた。

 一番苦しんでいるであろう根津校長の姿を見たくはなかった……今年の雄英は本当に色々有り過ぎている…

 そうなれば会見に集まったマスコミやメディア達はきっと根津校長達に《心無い質問》ばかりをぶつけてくるに決まってる…

 何も出来ない一般人の僕に出来るのは…1人でも多く……活真君と真幌ちゃんに《根津校長の苦しむ姿》を見られないようにすることしか出来なかったんだ…

 本州に比べて娯楽が少ないこの島では《TVを見ること》が娯楽の1つ………そうなれば活真君と真幌ちゃんが会見当日に《雄英高校の謝罪会見》を見てしまう可能性は十分にあったから、同じ時間に放送されるアニメ映画を観るよう然(さ)り気無く仕向けた。

 お母さんも協力してくれたおかげで2人には雄英高校の謝罪会見の番組を見ずに済んだ……………っと思われた矢先に、突然映画が区切られて《神野区の戦い》を僕達は見ることになってしまったんだ…

 『見ない方がいい』と頭の中では分かっていても、僕はそれを見ずにはいられなかった…

 《世界の終わり》といってもいい激戦がテレビの向こうで繰り広げられたんだ!

 そんな最中…オールマイトに異変が起きた!

 

 

 

 オールマイトが萎(しぼ)んだのだ!!!

 

 

 

 何が起きたのか、僕にはサッパリ分からなかった!?

 1年4ヶ月前に僕が会った筋骨隆々のオールマイトが、骸骨のような見た目になってしまえば驚くに決まってる!!

 

 お母さんも真幌ちゃんも活真君も、突然のオールマイトの姿に理解が追い付いていない様子だった。

 

 そんな呆気にとられていた僕達なんてお構いなしに、オールマイトは血まみれでズタボロになりながらも元凶であるヴィランと戦い続け…最後は最強の必殺技でそのヴィランを倒した!

 

 その後、神野区での救助活動が進められる中…

 

 骸骨姿のオールマイトは、血反吐を吐きながらテレビに向かって人差し指を指しながらこう呟いた…

 

『次は………次は…キミだ……』

 

 …っと朝日に照らされながら…オールマイトは言った…

 

 オールマイトから短く発信されたメッセージ…

 

 僕はそのメッセージは《まだ見ぬ犯罪者への警鐘》と《平和の象徴の折れない姿》だと受け止めた…

 

 

 

 でも僕にとっては、そんなオールマイトの言葉なんかどうでもよかった…

 

 

 

 オールマイトが神野区の戦いで死に物狂いに戦う姿を見ても…

 オールマイトの勝利のスタンディングを見ても…

 僕は感動の涙1つ流せなかった…

 

 

 

 しかも、なんでオールマイトが神野区でヴィランのボスと戦ってたのかというと、誘拐された雄英生2人(常闇踏陰、轟焦凍)とプロヒーロー1人(ラグドール)を救出するため、雄英の記者会見と同時に《ヴィラン連合のアジト》へ攻め込む計画だったそうだ。

 でもその結果は、プロヒーローのラグドールは救出に成功したものの、雄英生2人の救出は叶わず、しかもオールマイトが戦ったヴィランのボス以外のメンバーには全員が逃げられてしまったという…

 その作戦にはシンリンカムイやMt.レディを含めたプロヒーローだけでなく、オールマイトを始めとしたエンデヴァーやベストジーニストといったトップヒーローまでも大勢参加したというのに、結局のところ作戦は失敗に終わったそうだ…

 

 

 

 まぁ今の僕にとっては…オールマイトが《勝とう》が《負けよう》がどうでもいいんだけどね…

 

 いやオールマイトだけじゃない、シンリンカムイもデステゴロもバックドラフトもMt.レディも…そして現役のヒーロー達も…この先のヴィランとの戦いで《生きよう》が《死のう》が…一般人の僕には何の関係もないし…思うことなんて何1つない…

 

 僕は彼ら(ヒーロー達)から拒絶された人間…

 

 ただ…それだけなんだから…

 

 

 

 No.1ヒーロー…オールマイトの引退が決まり8月が終わろうとしていた頃…

 最後の最後で雄英校内にて、とんでもないことが起きていた!

 

・なんと!雄英生であるヒーロー科1年A組生徒の中に、神野区の事件でオールマイトが倒したヴィラン連合のボスが差し向けた《内通者》が発覚したのである!

 内通者の名前は明かされなかったが、とにもかくにも内通者と発覚した生徒は家族と共に、一時的に警察署へと身柄を拘束されることになった………らしいんだけど…その《内通者の生徒》と《内通者の家族》、《連行に付き添っていた警察とヒーロー達》がそれぞれ警察署に向かうための高速道路で移動中に、護衛していたプロヒーロー1人を除いた全員が何者かによって惨殺されてしまったようだ…

 

 内通者の発覚は、雄英高校の立場を更に危うくさせていった…

 もし…オールマイトがヴィラン連合のボスを倒して確保さなければ、雄英高校は8月をもって廃校にされた可能性があるとニュースで言っていた…

 

 

 

 

 

 雄英高校ヒーロー科1年A組は…

 

 8月を終える時点で《担任》と《6人のクラスメイト》がいなくなった…

 

・《殺人未遂で逮捕されタルタロスに収監された生徒》から始まり…

 

・《理不尽な暴行によって意識不明の重体にされてしまった生徒》…

 

・《雄英校内に襲撃してきたヴィラン達によって命を落としたA組の担任》…

 

・《復讐心に取りつかれて身内の仇をとるために突っ走ったが返り討ちにされ命を落とした生徒》…

 

・《林間合宿にてヴィラン連合に誘拐され…神野事件でも救出出来ずに…未だ行方不明の生徒が2人》…

 

 そして…

 

・《ヴィラン連合の命令で雄英高校に内通者として忍び込んだ生徒は、内通者であることがバレてしまったためにヴィラン連合によって親子共々に抹殺された》…

 

 そんな…担任とクラスメイト6人がいなくなったヒーロー科1年A組の生徒達は今…

 

 いったいどんな心境なんだろうか………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 9月…

 

 夏休みが終わり…僕は島の高校で2学期を迎えて暫くすると…

 またしても雄英関係の事件が懲りずに発生した…

 

・ヒーロー高校の夏休み明けは《仮免試験》…つまりヒーロー科の生徒達は、ヒーロー仮免許を取得するための試験がある…

 因みに僕は、Iアイランドでヴィラン事件があった頃に16歳となり、フェリーで本州に行って《個性使用許可免許証》の最終試験を受けて見事合格した!晴れて免許を取得することができた僕が島に戻ると、お母さんと真幌ちゃんと活真君が僕の誕生日と試験合格のお祝いしてくれた。

 

 話は戻って、先月あれだけの事件が起きたのだから、もうこれ以上の事件は雄英で起こらないだろうと僕は高を括っていたんだけど…それは甘い考えだった…

 

・学校外でのヒーロー活動…通称《ヒーローインターン》というプロヒーローの元で実践的なヒーロー活動をする行事を雄英でも行われたらしいんだけど、そのインターンにおいて又しても雄英生に《死者》が出てしまったらしいんだ。

 雄英生(死者以外)の名前は新聞や雑誌やスマホのニュースには掲載されてないけど、どうやら《死穢八斎會》という指定ヴィラン団体を壊滅させるために動いた複数のヒーロー事務所にインターンで来ていた雄英生6人(3年生3人、1年生3人)の内の1人である《通形 ミリオ》という3年生と、オールマイトの元サイドキックであるプロヒーローの《ナイトアイ》が命を落としてしまったそうだ…

 2人の死因も詳しく掲載されており、ナイトアイはヴィランとの戦闘中に《腹部を貫かれた重症》によって死亡。

 もう1人の通形ミリオの死因は…なんと《急性心筋梗塞》…つまり《心臓発作》が死因だと掲載されていたのだ。

 にわかには信じられないけど、その通形って3年生はヴィランとの戦闘中に心臓発作を起こしてそのまま亡くなってしまったらしい…

 …っと仲間が死んで悲しむ暇はヒーロー達にはなかった…。彼らの作戦は《死穢八斎會の壊滅》と《その死穢八斎會に捕らわれている女児の救出》が目的だったらしいのだが、死穢八斎會という組織は壊滅されられたものの、その組織の《トップ》と《補佐》は取り逃がしてしまい、更に救出対象である《女児》の助け出すことが出来なかった事実は、又しても現役ヒーローと雄英高校へのバッシングを悪化させるだけとなった。

 

 ヒーローはヴィランを倒すのがこの世の常識…

 

 それが出来れば《歓声》を浴びれるが…

 

 出来なければ逆に《罵声》を浴びせられる…

 

 命を懸けて戦ったヒーローや生徒がいたとしても…世間の目は関係ないのだ…

 

 勝てば《歓声》…負ければ《罵声》…

 

 それがこの超人社会で《ヒーローになる》ということなんだ………

 

 

 

 そんなショッキングな事件が起きた9月が終わり頃…

 高校の帰り道で、僕のスマホに非通知の電話が1本かかってきた…

 

 悪戯電話かと思い最初は無視しようとしたけど、僕は何故だかスマホに表示された《応答ボタン》をスライドさせて電話に出ていた。

 

「はい、もしもし」

 

 誰かと不信に思いながら電話に出ると、その電話の向こうから聞こえてきた声の主は…

 

『やあ!緑谷君!僕が誰だか分かるかな!?』

 

「その声は!?ね、根津校長!!?」

 

 なんと僕に電話をかけてきたのは《根津校長》だったんだ!

 1年と5か月前、折寺町の病院以降は1度も会っていなければ連絡もしていなかった…

 そんな根津校長がどうして僕に電話してきたのか?

 

「お久しぶりです、根津校長。去年の春以来ですね」

 

『うん!本当に久しぶりなのさ!どうだい?新しい場所での生活は?』

 

「はい!とても充実させてもらっています!折寺町での学校生活とは《天と地》以上の差があるくらい、この島で平穏に暮らしてます」

 

『そうかい!キミやキミのお母さんが幸せに暮らしているのなら僕も嬉しいのさ!』

 

「そういえば、今回はどうしたんですか?いきなり電話なんて?」

 

『うん!風の噂で聞いたんだけど、キミが今年の7月に《個性使用許可免許証》を取得したと聞いてね!遅くなったけど、お祝いのメッセージを伝えようと思って連絡したのさ!緑谷君!合格おめでとう!』

 

「あ、ありがとうございます!根津校長からそう言ってもらえるなんて嬉しいです!でもよく僕がその免許を取得できたと分かりましたね?」

 

『そりゃ高校1年生でこの免許を取得できるのは毎年全国でも数人程度だからね、ちょっと調べればすぐに分かるのさ。ここ最近は色々あってキミへの連絡が遅くなっちゃったけどね』

 

 根津校長が今も大変な立場であることは変わり無いらしい…

 

 今年の雄英は4月から今月(9月)にかけて本当に色々ありすぎている…

 

 そんな忙しい合間を縫って根津校長は僕にお祝いの言葉を態々言ってくれたのだ…

 

 本当に感謝しかないよ。

 

『……………』

 

「ん?あの~根津校長?どうしたんですか?」

 

 電話の向こうで急に黙り込み…無言となってしまった根津校長を不思議に思った僕は質問した。

 

『………緑谷君……実はね……』

 

「はい…?なんでしょう?」

 

『……実は………実は…キミに………』

 

 電話越しでも分かってしまう程に根津校長は動揺している様子だった。

 

 僕が知ってる根津校長はいつも冷静で落ち着きのある人なのに…今は何故かその落ち着きが無いように僕は感じ取ってしまった…

 

「根津校長?」

 

『……………いや!やっぱりなんでもないのさ!』

 

「そ……そう…ですか…」

 

『久しぶりにキミの声が聞けて良かったよ!また連絡するのさ!それじゃ!』

 

 根津校長はそう言って電話を切った…

 

 いったい何だったんだろう?

 

 最後、根津校長は僕に何を言いたかったんだろうか?

 

 その疑問は解けないまま、僕は自宅への帰り道を歩いていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 10月…

 

 根津校長の電話をもらってから暫くすると、僕が通ってる高校では《11月の頭に開催される文化祭に向けての準備》が始められた。

 

 文化祭については、ヒーロー育成高校でも等しく存在する学校行事の1つであり、それは雄英高校も同じだった。

 

 でも、今年の4月から問題ばかりが起きている 雄英高校だ…

 そんな信用がガタ落ちしている今の雄英高校が《文化祭》を開催することが出来るのか?

 

 僕個人の意見から言わせてもらえば…雄英高校は体育祭を始めとした《学校行事(祭り事)》を行うことは困難だと考えている…

 

 世間の目もだけど、それ以上にヒーローの身分や評判を第一に考える《ヒーロー公安委員会》が黙ってる訳がない…

 オールマイトが引退してヒーロー社会が不安定なこんな状況で、ヒーロー育成高校が文化祭なんて浮かれたことを開催することは、ヒーロー公安委員会はきっと望まない筈だ…

 

 もしかしたら…この前根津校長が僕に電話してきたのは、文化祭の開催に対する悩みを僕に聞いてほしかったからなんじゃないか…っと僕は考察した…

 

 

 

 でも…仮にそんなことを根津校長から相談なんかされても…僕は何も力にもなってあげることはできない…

 

 根津校長は僕にとって恩人の1人だけど…

 

 ソレはソレ…コレはコレだ…

 

 ヒーローを目指していない…ただの一般人である高校生の僕は…

 

 根津校長の力にはなれないんだ…

 

 

 

 僕はそんな自虐心を抱きながら10月の月日を過ごした…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 そして11月…

 

 那歩島の高校で文化祭が開催された!

 

 文化祭にはお母さんや真幌ちゃんや活真君も来てくれて、僕は楽しい文化祭を過ごすことが出来た。

 

 そんな楽しい文化祭を過ごしていた僕達とは裏腹に…雄英の文化祭は散々なことになっていた…

 

・根津校長がヒーロー公安委員会を説得したのか?雄英高校の文化祭は無事に開催することが出来たみたいだ。

 このまま何事なく文化祭を過ごせれば良かったのだろうが、世の中そう思い通りにはいかないようだ…

 那歩島の高校での文化祭1日目が終わった日の夕方に、明日(2日目)の文化祭の準備を終えて自宅へ帰る途中にスマホでニュースを見ていたら《雄英高校の文化祭が急遽中止になった》と報道されていた!

 何が起きたんだと疑問に思い、詳しくニュースを見ていくと…

 雄英高校文化祭初日に迷惑動画配信者として知られている《ジェントル・クリミナル》というヴィランが、雄英のセキュリティと万全な警備を全て突破して文化祭中の雄英校内に侵入した。

 《ヴィランが雄英校内に現れた》…この事実によって雄英高校の警報システムが作動してしまい、雄英は文化祭どころではなくなってしまった。

 しかもその警報によって、雄英高校に来場していた一般市民はパニックを起こして大騒ぎとなり、ジェントル・クリミナルの一味はそのゴタゴタに紛れて逃走してしまったという…

 

 後になってニュースで知ったことだけど、今年の雄英文化祭については《ヒーロー公安委員会》ではなく《警察側》警察庁長官と赤谷警視監が全面的に反対しており『文化祭は自粛して後進育成に勤めるべきだ』…と根津校長は釘を刺されていたそうだ…

 特に根津校長は、赤谷警視監に対しては息子さんの件もあったために頭が上がらなかったという…

 それでも根津校長は何度も頭を下げて警察の人達を説得し、条件付きでの文化祭の開催を掴み取ることが出来たのだ。

 

 だが結果は…文化祭当日にヴィランの潜入を許してしまった挙げ句に逃げられてしまい、文化祭は即座に中止…そして警察からの信頼を雄英高校は失ってしまった…

 

 それだけではない、雄英高校にとって1番の痛手となったのは、取り逃がしたジェントル・クリミナルの一味がその日の夜にネットへ《ある動画》を投稿されてしまったことである…

 その動画の内容は…《ジェントル・クリミナルが相棒と共に雄英近辺の森を通って雄英高校の外壁に到達して、雄英のセキュリティを解錠し雄英校内に侵入するまでの映像》と《雄英高校の敷地のド真ん中でヴィランである自分の存在を大っ平に宣言する映像》…という雄英高校の警備を嘲笑うような動画を2つも投稿したのだ。

 

 ジェントル・クリミナルがこれまで上げた動画は低評価ばかりの動画で再生回数も少ない動画だったが、今回上げた2つの動画は世界中からの注目を集め、彼の動画の再生回数と高評価はとんでもない数値へと跳ね上がっていた。

 

 

 

「雄英文化祭までこんな滅茶苦茶になっていたなんて………根津校長…本当に大丈夫なのかなぁ?」

 

 那歩島の高校の文化祭(2日間)を終えた僕は、その日の夜にテレビで雄英高校のニュースを見てそう呟いた…

 

 僕は今年の4月からずっと思っていたことがある…

 雄英にとっての不幸なニュースが流れる度に…

 

 《もし僕が雄英高校に入学してたらどうなっていたんだろう》…ってね…

 

 そんな下らない妄想を考えていると、文化祭での疲れが出てきたのか、僕はすぐに寝ることにした。

 

 僕が自分の部屋に行くと2つ敷いてある布団の1つで活真君が静かに寝息をたてながら熟睡していた。

 僕は活真君を起こさないように自分の布団に入って瞼を閉じた…

 

 完全に寝落ちるまでの間…僕はさっきの下らない妄想…《自分が雄英高校に入っていたならどんな高校生活を送っていたんだろうか?》…と考えながら眠りについた…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

●11月末の那歩島(エンデヴァーが九州にてハイエンド脳無と戦った後日…)

 

 

None side

 

 今年の4月から今月までの波乱と騒動ばかり起きている本州とは打って変わって、出久は毎日を平和に過ごしていた。

 

 本州で起きている騒ぎなど、一般人として生きることを決めた出久には何の関係のないことであり、他人事も同然だった…

 

 神野事件後にオールマイトがヒーローを引退したと知った時も、出久の心には何も響かなかった…

 

 11月中に開催された《ビルボードチャートJP下半期》も《九州で起きたハイエンド脳無の事件》もだ…

 

 今の出久がヒーローに対して思うことはこうである…

 

『オールマイトがいなくなっても…ヒーローは腐るほど沢山いるのだから支障はない…』

 

 …っと出久は解釈していた…

 

 この先、ヒーロー達が何百人…何千人…何万人犠牲になろうと、一般人の出久には何の関係ないことなのだ…

 

 

 

 しかし、そんな平穏な日々を過ごして緑谷一家を震撼させる出来事が起きた!

 

 始まりは《海外の病院からの連絡》だった!

 

 電話の内容は《出久の父親がヴィラン事件に巻き込まれて病院に運ばれた》という悲報だったのだ!

 

 引子と出久の心は不安な気持ちに支配されていったが病院のスタッフからの話によると、出久の父親は確かにヴィラン事件に巻き込まれて病院に搬送されたが、検査を受けた結果その容態は『手術が必要とされる程の大怪我ではなく、命に別状もなく意識もハッキリしている』と病院のスタッフが教えてくれた。

 

 そのヴィラン事件において死者は出ておらず、出久の父親は暫く入院する程度の怪我であると病院側が詳しく説明してくれたおかげで、引子と出久はホッと胸を撫で下ろした。

 

 だが軽傷とはいえ、夫が心配になった引子は急遽、夫が入院する海外の病院へ行くことを決めた。

 

 島乃姉弟も引子と出久を気遣ってか、2人にお見舞いへ行くことを進めてくれた。

 

 出久も引子と一緒に父親の元へ行こうと思っていたが、《島乃姉弟の面倒》と《母子2人も行く必要はない》とのことで、出久は引子と話し合った結果、引子が1人で夫の元へ行き、出久は那歩島へ残ることとした。

 

 海外の病院から連絡を受けたその日に急いで出掛ける準備をした引子はすぐ様に港へ向かい、空港がある本州行きのフェリーに乗ろうとしていた。

 出久と島乃姉弟は、引子を港まで見送るために付いていった。

 

「それじゃあ出久、お父さんのことはお母さんに任せて、貴方は真幌ちゃんと活真君のことをお願いね」

 

「うん、分かったよお母さん。お父さんには『今度は僕が会いに行くから』って伝えておいて」

 

「分かったわ。それとさっきも言ったけど、お父さんの容態が安定するまでは向こうにいるから、こっちに帰ってくるのは早くても《3週間》くらい後になっちゃうと思うんだけど…その間お母さんがいなくても本当に大丈夫なの?」

 

「心配しないでよお母さん、もう高校生なんだからさ。安心してお父さんのお見舞いに行ってきてよ」

 

 心配性の引子を出久が落ち着かせていると…

 

「大丈夫よ引子さん!出久のことは私達に任せて!ね、活真!」

 

「う、うん。い…出久兄ちゃんには僕達がついてるから…安心して…引子さん」 

 

 真幌と活真も引子を安心させようと気を使ってくれた。

 

 引子は2人の言葉を聞くと笑顔になって、2人の頭を優しく撫でながら…

 

「頼もしいわね、じゃあ2人とも出久のことをお願いね」

 

「「うん!」」

 

 真幌と活真の返事を聞いた引子は、荷物をもってフェリーに乗り込んだ。

 

 暫くすると引子が乗ったフェリーは出航した。

 

 

 

 出久達はフェリーの出航を見届けると自宅へと戻ることにした。

 

「3週間か~結構長いな~」

 

 自宅への帰り道の途中、ふと出久は呟いた…

 

「何よ出久、高校生なのに3週間お母さんに会えないだけでメソメソしないでよ!」

 

 出久の言葉に真幌はすかさず厳しい言葉を投げ掛けた。

 

「あぁ…ゴメンゴメン、確かに3週間なんてあっという間なんだから、クヨクヨなんてしてなれないよね。

(本当は700日近く会わなかった期間があるんだけど…)」

 

 出久は心の中で精神世界で過ごした2年近い日々を思い出していたが、真幌がそれを知る訳がないため、出久は真幌の言葉を軽く受け流した。

 

 真幌が出久に突っかかっていると、活真は小さな両手で出久の右手を掴みながら…

 

「だ…大丈夫だよ出久兄ちゃん、僕達がついてるから」

 

 オドオドしながらも活真は活真なりに出久を安心させようとしていた。

 

「ありがとう活真君」

 

 出久は活真の頭を左手で優しく撫でながらお礼を言った。

 活真は出久から頭を撫でてもられて嬉しそうな顔をしていた。

 

 

 

 そうして3人は自宅へと戻り、真幌と活真は引子がいない間は出久に寂しい思いをさせまいと、緑谷家にずっと泊まることを決めた。

 

 その日の夕方、出久が晩御飯の料理をして、真幌と活真がその手伝いをしていると、突然居間に置いてある固定電話が鳴り響いた。

 

ジリリリリリリリリ…ジリリリリリリリリ…ジリリリリリリリリ…

 

「電話?」

 

「もう誰よ~こっちは晩御飯作ってるってのに~」

 

「なんだろ?ちょっと出てくるよ」

 

 出久はコンロの火を消して、ハンバーグを3つ焼いている大きなフライパンに蓋を被せると、居間に移動して固定電話の受話器を取った。

 

ジリリリリリリリリ…ガチャッ

 

「はい、もしもし緑谷です」

 

『出久君かい?私だ』

 

「村長?」

 

 電話の向こうから聞こえてきた声は《この島の村長の声》だった。

 

「どうしたんですか村長?」

 

『実はね、この島にプロヒーローの代役としてやって来るヒーロー科の学生が《何処のヒーロー高校》かさっき分かったから、今市役所から島の人達に伝えているんだよ』

 

「そうなんですか、それで何処のヒーロー高校の生徒なんですか?」

 

『その前に、今日は島乃さんの家の子達は泊まりに来てるかい?』

 

「え?はい、2人共泊まりに来てますよ?」

 

『そうか、ならキミから2人にも伝えてもらえるかな?』

 

「はい、分かりました」

 

 出久は平常心で村長と会話をしながら、内心ではこの島へやってくるヒーロー高校の生徒が《とある災難続きのヒーロー高校》でないことを強く願っていた…

 

 

 

 しかし…出久の願いは儚くも崩れ去った…

 

 

 

 

 

 

緑谷出久 side

 

 村長からの電話の内容を聞いた僕は、この島にやってくるヒーロー高校の生徒が《雄英高校の生徒》ではありませんようにと強く願った!

 

『明日、この島へやってくるヒーロー科の学生というのはねぇ、あの《雄英高校の1年生》になったんだよ』

 

「ゆ、雄英!!?…雄英って…あの雄英高校ですか!?今年になって色々と騒ぎに巻き込まれているあの雄英高校ですか!!?」

 

『え?あ、ああそうだよ。オールマイトやエンデヴァーの卒業校でもある《雄英高校》だが?』

 

 聞き間違いであってほしかった…

 

 だけど…僕の耳は正常のようだ…

 

「あの…村長…聞いてもいいですか?」

 

『何をだい?』

 

「いえ…その……ヒーロー高校なら他にも沢山ありますよね?何故、雄英高校の生徒がこの島のヒーローの代役になったんですか?」

 

『それについては、私も詳しくは知らされてはいないんだよ。ただヒーロー公安委員会の方から連絡をもらって、この島でのプロヒーローの代役を兼ねて《ヒーロー活動推奨化プロジェクト》という《次の世代となる若いヒーロー達に経験と実践を積ませるための実務的ヒーロー活動》を彼らにやらせてあげてほしいとね』

 

 なんてこったい…

 

 村長が《雄英高校の生徒》を代役に選んだ訳ではなく…

 

 ヒーロー公安委員会が勝手に決めたこととは…

 

『この島で活動するのは、あくまでも雄英高校のヒーロー科生徒だけで担任や教師は来れないみたいだけど、この島へやってくる1年生達は全員今年の仮免試験で仮免許を取得しているみたいだから心配いならないよ』

 

 違いますよ…村長…

 

 教師が来ようが来なかろうが…

 

 仮免許も持ってようが持ってなかろうが…

 

 そんなこと僕にはどっちでもいいんですよ…

 

 

 

 学生とはいえ、ヒーローが何人もこの島にやって来るだけでも嫌なのに…

 

 よりにもよって《雄英高校の生徒》がこの島のヒーローの代役に選ばれるなんて…

 

 

 

 この際、雄英以外なら何処でもいいから変更してほしい…

 

 今からでも村長に、この島へやってくる学校を変えてほしい…

 

 

 

 …とはいえ…これは村長の決めたことじゃないから…僕個人が今更何を言ったところで変えようがない…

 

「わ…分かりました……連絡してくれてありがとうございます。活真君と真幌ちゃんには僕から伝えておきますので」

 

『よろしく頼むよ。そういえば出久君、キミは今年で高校1年生になったんだよね?』

 

「え?はい、そうですが…」

 

『この島へやってくる雄英生達もキミと同い年な訳だし、折角なんだから《友達》になってみてどうかな?』

 

「…え?……」

 

 村長…それはマジで勘弁してください…

 

 僕は《現役ヒーロー》や《ヒーロー関係者》とは絶対に仲良くなんかなりたくないんですよ…

 

 この島に勤めていた老人のプロヒーローとだって、僕が7月に個性使用許可免許証を取得するまでの間、個性使用の許可をもらう時以外は関わらないようにしてきたのに、《プロヒーローを真剣に目指しているヒーロー科の学生》なんかと友達になるなんて無理に決まってる…

 

 しかも数日とはいえ、かっちゃんが在籍していたヒーロー科の生徒達になんか会いたくもないし、知り合いにだってなりたくない…

 

 第一、彼らは今年から雄英の教師となった《無個性差別者のオールマイト》からロクでもないことしか教わってない生徒であり、余計に信用なんかできない…

 

 でも…僕の事情を知らない村長は完全な善意で言っている…

 

「えっとぉ…まぁ…検討しておきますよ…」

 

 僕は村長からの言葉を受け流しながら、明日からこの島に来る雄英生達とは極力関わらないように気を付けようと心掛けていた…

 

『それに、キミの《モップの個性》の有能さを雄英生達が知ったなら、雄英高校からのスカウトもあるかも知れないよ?』

 

 ありがた迷惑ですよ!!?

 

 こちとらプロヒーローになるなんざ願い下げなんです!!!??

 

「いえいえ…僕の個性ではヒーローになるなんて夢のまた夢の話ですよ…」

 

『そうかい?キミなら十分素質はあると思うんだがね~』

 

 だから余計なお節介ですって村長ォ!!!!!

 

「あぁ…えっと…まだ夕食を作っている途中なのでそろそろ切りますね」

 

『うむ、ではまた』

 

ガチャ…

 

 僕は村長との通話を丁重に切り上げて、受話器を置いた…

 

 何故だが僕はどっと疲れてしまい、その場に座り込んだ…

 

「出久~まだ電話して………ってどうしたの?」

 

「出久兄ちゃん、大丈夫?」

 

 僕がいつまで戻ってこないのを心配してか、真幌ちゃんと活真君が様子を見に来てくれた

 

「あぁ…だ…大丈夫、何でもないよ。待たせてゴメンね。さっ、早く晩御飯にしようか」

 

 落ち込んでいても仕方ないと考え直した僕は、活真君達と一緒に台所へ戻って晩御飯を完成させた。

 

 出来上がった夕食を3人で食べていると、真幌ちゃんと活真君はさっきの電話の内容を聞いてきたので、僕は村長から言われた内容を全て2人に説明した。

 この島にやって来る学生ヒーローが《雄英生》だと知った途端、真幌ちゃんは不貞腐れた態度になってたけど、活真君は雄英生でも関係無しにこの島へヒーローがいっぱいやって来ることにワクワクしている様子だった。

 

 

 

 そんな2人の真逆の反応を見ていた僕は…

 

 心の中で《裏切られたショック》を受けていた…

 

 

 

 去年の4月…

 

 病院の応接室にて…

 

 超人社会からの理不尽さに打ちひしがれていた僕達《緑谷一家》に対し、根津校長達がせめてもの擁護の1つとして…

 

『これからキミ達一家に対して、ヒーローが関わることが無いように配慮するのさ』

 

 …と言ってくれたんだ…

 

 

 

「(どうしてですか根津校長……どうしてこの島に雄英生が来ることになったんですか……)」

 

 

 

 この場にいない根津校長に対し…

 

 僕は心の中で疑問を投げ掛けた…

 

 でもその疑問の答えを僕が知る由がなかった…

 

 

 

 

 

 

 次の日、雄英高校ヒーロー科1年生の生徒達が那歩島へやって来た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

●同時刻…(とある山奥の道路)

 

 

None side

 

 本州の山奥…

 

 雪が静かに振る夜のこと…

 

 猛スピードで走り逃げる装甲車を追いかける4台のカラフルな車が怒濤のカーチェイスをしていた!

 

 

 

 装甲車を乗っている者達…

 

 それは今年に入って勢力を拡大しつつある…

 

 現在、この日本において最も危険視されているヴィラン組織…通称《ヴィラン連合》!

 

 そのメンバーである《スピナー》《荼毘》《コンプレス》の3人だった!

 

 

 

 そんなヴィラン連合のメンバーが乗る装甲車を追いかける4台の車に乗っているのは、当然ながら《プロヒーロー達》である!

 先日の死穢八斎會の一件に参加した《錠前ヒーロー ロックロック》を始めとしたプロヒーロー達は『ヴィラン連合が装甲車に乗って何処か向かっている』との情報を入手し、こうして現在追跡中なのだ!

 

 しかし、ヒーロー達の追跡に苦戦してした。

 

 一般の普通車が装甲車のパワーに敵う筈がなく、装甲車からの体当たりでアッサリと車は大破させられ、ヒーロー達が各々の個性で装甲車を止めようとするも、荼毘とコンプレスの個性によってそれは阻まれてしまい、怪我人だけが増えていった。

 

「なんでヒーロー達が!!?」

 

「情報が漏れてるなぁ…」

 

「漏れてるって何処から!?」

 

「さぁな…」

 

 追跡してきたヒーロー達を振り切ったスピナー達は、何故自分達の行動がヒーローにバレてたのかで頭を悩ませた。

 

 ただ、彼等は自分達が運んでいる《積み荷》が何なのかは知らず、ドクターから『積み荷を装甲車ごと所定の位置まで運んでくれ…』との命令を受けただけである。

 

 

 

 しかし、彼らには考える暇は無くなった…

 

 何故なら自分達が走っている進行の先に…

 

 《復讐の炎に燃えるトップヒーロー》が待ち構えていたからである!

 

 

 

『追跡班がやられた!応援を!』

 

「皆まで言うな…俺がやる…」

 

 獄炎のヒーローは通信機から連絡を早速に返すと直ぐに身構えた!

 

「なあっ!?エンデヴァー!!?」

 

「消去法でNo.1にくり上がった悪名高きDVヒーローか!」

 

「フッ…」

 

 視線の先にいたトップヒーローに驚くスピナーとコンプレスに対し、荼毘は不適な笑みを浮かべた。

 

「ヴィラン連合!今日こそ焦凍の居場所を吐いてもらうぞ!」

 

 ただ…当のエンデヴァーは《ヴィランの捕獲》以上に《私情》で考えが埋め尽くされていた。

 

 

 

 今年の夏、雄英高校の林間合宿にて大切な我が子(最高傑作)をヴィラン連合に誘拐されたエンデヴァーは、神野事件にて《ヴィラン連合メンバーの確保》と《誘拐された生徒2人(常闇 踏陰、轟 焦凍)の救助》の作戦に当然ながら参加した。

 

 しかし、全てが終わってみれば作戦は殆んど成功せず《捕らわれていたプロヒーローであるラグドールの救出》と《ヴィラン連合のボスであるオール・フォー・ワンの確保》以外は失敗に終わった…

 

 息子を取り返せなかったエンデヴァーは案の定というべきなのか激情にかられ怒り狂い、今回の作戦に参加した警察やプロヒーロー達(オールマイト、ベストジーニスト、エッジショット、グラントリノ、シンリンカムイ、Mt.レディ等)の全員に対して怒りのままに責め立てて怒鳴り散らし、彼等を心身共に追い詰めた…

 

 だが、そんなヒーロー達に追い討ちをかけるかのごとく、神野事件から数日後にネット上の至るところに《エンデヴァーの家庭事情》が拡散された!

 ただでさえ今年のヴィランによる被害が異常であるというこのタイミングで《エンデヴァーの家庭の闇》が何者かによって世間に晒されてしまったのだ!

 

 神野事件の作戦が失敗に終わった状況での《エンデヴァーの家庭内事情》が拡散されたことは、ヒーロー側からすれば完全な痛手でしかなかった…

 《エンデヴァーが今まで家族にしてきた非道の数々が世間にバレたこと》に加え、《神野事件の失態》と《オールマイトの引退》が重なったことで、日本のヒーローの信頼は坂を転げ落ちるようにガタ落ちしていった…

 

 ヒーロー公安委員会は、あらゆる手段を使ってヒーローの評価の低下を防ごうとしたが、世間の人々が抱える不安の増加は凄まじく、もはや警察でもヒーローでも手に終えない状況となってしまった…

 

 世間が大変な時に、評判がガタ落ちしたエンデヴァーはというと、連日押し寄せる記者やマスコミを一切相手にせず、神野事件以降からは《ヒーローとしての活動》よりも《我が子(最高傑作)を取り戻すこと》…つまり《ヴィラン連合》に関わりのある事件にしか参加せず、他の仕事は全てサイドキック達に押し付ける始末であった。

 それは彼が管轄としている区画内でどんな大事件が発生しても知らん顔な程に、エンデヴァーは周りが見えなくなっていた…

 

 そんな不評しかないエンデヴァーが何故《現No.1ヒーロー》になれたのかというと、《オールマイトに次ぐ実力あるヒーロー》がエンデヴァーしかいなかったという消去法で、長年に渡って《No.2ヒーロー》だったエンデヴァーは念願の《No.1ヒーロー》に昇り詰めることが出来たのである。

 

 

 

 No.1ヒーローに上り詰めたエンデヴァーは今、山道を爆走して近づいてくる《ヴィラン連合が乗る装甲車》と向かい合っていた。

 

 進行先にいるエンデヴァーに対し、装甲車の屋根から上半身を出している荼毘は、エンデヴァーを真っ向から迎え撃とうと右手を構えた。

 

「こんな真夜中に…ご苦労なこったぁ!!!」

 

「【ジェットバーン】!!!」

 

 荼毘とエンデヴァーはそれぞれ右手から《青い炎》と《赤い炎》を発射した!

 

 2人の炎は激突すると、炎同士が竜巻のように絡みあって相殺された。

 

「クッ!」

 

 エンデヴァーは自分の必殺技が防がれてしまい機嫌を悪くした。

 

「おいおいおい!轢いちまうぞエンデヴァーーーーー!!!」

 

 装甲車を運転するスピナーは、目先にいるエンデヴァーに向かって車の速度をどんどん上げていく。

 

 しかしエンデヴァーはその場から1歩も動かず、両腕をクロスさせて大技を放とうとしていた!

 

「Mr.(ミスター)下がってろ」

 

 エンデヴァーの構えを見た荼毘は、仲間に避難を呼び掛けながら、両手に蒼炎を灯し構えた。

 

 双方の炎使いが炎圧を上げていき、荼毘は巨大な蒼炎を一気に放った!

 

 それに対してエンデヴァーは…

 

「今度こそ焦凍を助け出す!そのために…貴様らを死なない程度に焼き殺してくれる!」

 

 ヒーローらしからぬ発言をするエンデヴァーは自分が纏う炎圧を最大限にまで上昇させ、必殺の獄炎を装甲車に放った!

 

「【プロミネンスバーーーン】!!!」

 

 エンデヴァーが放った紅蓮の津波は、荼毘の蒼炎を押し返しそのままヴィラン連合が乗る装甲車を飲み込んだ!

 

「クソッ!ここまでか!」ドロッ…

 

「エンデヴァー…」ドロッ…

 

「フッ…」ドロッ…

 

 装甲車に乗っていたスピナー、Mr.コンプレス、荼毘の3人は全員が泥のように変化して消えていった…

 

 運転手がいなくなった装甲車は、炎に包まれながらガードレールを突き破り、そのまま崖下へと落ちていった…

 

 

 

 

 

 

ホークス side

 

 公安からの緊急連絡を受け、ヴィラン連合が現れた山奥の空へ駆けつけた俺は、着いて早々に炎上し落下していく車を見かけて急降下した。

 

 『ヴィラン連合の誰でもいいから乗っていてくれ』…という期待を寄せながら、炎がおさまった装甲車の運転席を汲まなく確認したが、車内には《泥のような物体》しか残っておらず俺の期待は儚くも消え去った…

 

「全員偽物か……よわったなぁ……またエンデヴァーさんの機嫌が悪くなるぞぉ」

 

 そんな愚痴を溢していると、当の本人がやって来てしまった。

 

 今回は何を言われることやら…

 

「ん?来ていたのか…少しは手伝ったらどうだ?ホークス」

 

「今来たばかりですって、エンデヴァーさん」

 

「連合の連中は?」

 

「全員トゥワイスの複製でしたよ」

 

「……連合の連中は?」 

 

「あのぅ…全員トゥワイスの複製です…」

 

「…………連合の連中は?」

 

「いえ…ですから…全員トゥワイスの複s」

 

ガシッ!

 

 俺の返答に納得がいかなかったのか、エンデヴァーさんはオウム返しで何度も同じことを聞いてきた。

 俺はその度に丁重に返答を繰り返していたが、エンデヴァーさんはいきなり俺の胸ぐらを掴んで引き寄せると、物凄い形相で俺に怒鳴ってきた。

 

「連合の連中は!!!??貴様が来る前に逃げたとは考えられんのか!!!??」

 

「お、落ち着いてくださいよエンデヴァーさん!報告にあったヴィラン連合の3人は間違いなく《トゥワイスの個性によって作られた複製》ですよ!」

 

 俺はエンデヴァーさんからの向けられる怒気に耐えながら、装甲車の運転席と後部座席に残る《泥》を指差しながら必死に説明した。

 

「チッ!」

 

ドサッ!

 

「イデッ!?」

 

 俺の言葉に納得したのか、エンデヴァーさんは舌打ちをしながら俺を乱暴に地面へ下ろした。

 

 尻餅をつくなんざ何年ぶりかなぁ?

 

「酷いっすよエンデヴァーさ~ん、この前《あの凶悪な脳無》を一緒に倒した仲間じゃないっすか~?トップヒーロー同士仲良くしましょうよ?」

 

「黙れ!貴様と馴れ合うつもりなど毛頭ない!それよりは連合の手がかりが何か残っている筈だ!汲まなく探せ!!!」

 

「はいはい」

 

 俺はエンデヴァーさんに怒やされながらも、再び装甲車内をエンデヴァーと調べることにした。

 

 この前よりも酷く荒れてるなぁ…

 

 息子さん(轟 焦凍)がいない時間が経てば経つほど、エンデヴァーさんはどんどん不安定になっていく…

 

 その仕草や言動はもはや…ヒーローではなくヴィランに近いものとなっている…

 

 噂だけだと思いたかったけど、さっきの俺に対する態度と行動からするに《エンデヴァーさんが自分の家族とサイドキック達を怒りの捌け口として暴力を振るっている》っていう噂は本当なのかもしれないなぁ…

 

 俺はエンデヴァーさんを心から尊敬してはいる……だが彼の家庭事情については不満しか無かった…

 ぶっちゃけた話、焦凍君が幼少期より送ってきた悲惨な人生は、俺の幼少期よりも酷いんじゃないかと同情してしまう程だ。

 焦凍君は雄英高校に入学した後も誰にも心を開くことなく自ら孤立していた………っと俺の事務所に職場体験に来てくれた時に《常闇君》が教えてくれた。

 

 その焦凍君と常闇君は今もヴィラン連合に捕らえられているようだが生死は不明…

 

 ヴィラン連合に潜入捜査している俺は《焦凍君と常闇君の安否》を知ろうと調べているんだが、未だに2人が何処にいるのかは分からない…

 連合の連中に何度かカマをかけて口を滑らせようと企んだが、おそらくヴィラン連合内でも2人の安否を知ってるのは《死柄木 弔》と《荼毘》そして《オール・フォー・ワンの側近》だけなのだろう…

 トゥワイス辺りからなら情報を聞き出すのは簡単だが、まず《死柄木 弔》とコンタクトをとるのはまだまだ時間を要し、《オール・フォー・ワンの側近》について未だ謎が多く、唯一連絡がとれる《荼毘》は狡猾で巧妙…うっかり口を滑らせるような男ではない…俺が求める情報を奴等から聞き出すのは不可能に近い…

 

 とはいえ今の状況が続けば、いくらNo.1ヒーローになったとはいえ、エンデヴァーさんがヒーローで居られなくなる可能性は十分に考えられる…

 現状の日本には、エンデヴァーさんを超えるの強い個性も持った逸材は、どのヒーロー高校にも存在しないと言っていい…

 今のエンデヴァーさんは《焦凍君をヴィラン連合から取り戻すこと》しか頭になく、謂わば暴走状態と言ってもいい…

 

 もしこの先、エンデヴァーさんがヴィランに敗北するような事態に発生したならば、現状ただでさえ不安定の超人社会のバランスは完全に崩れるだろう…

 

「おいホークス、この荷台は調べたのか?」

 

「え?あぁいや、そこはまだ調べていません」

 

「馬鹿者!!汲まなく探せと言っただろ!!!」

 

 こっちの心情など知ったことなしに、エンデヴァーさんは俺に怒鳴り散らしながら個性を使って強引に装甲車の荷台の扉を抉じ開けて中に入っていく。

 エンデヴァーさんに続き、俺も装甲車の荷台の中を確認すると…

 

 そこには《怪しい機械》と《人間1人が入れる装置》があった。

 ただし、その装置の中には誰もいない。

 

「なんだ?これは?」

 

「生命維持装置?ですかね?新型の脳無を輸送していたとか?」

 

「何だと!?」

 

「(死柄木達はいったい…何を運んで…?)」

 

 俺の疑問の答えは見つからず、他のヒーロー達が来るまでの間、俺はエンデヴァーさんにお小言を言われながら装甲車を汲まなく調べることになった。

 

 

 

 

 

 

None side

 

 エンデヴァーとホークスを含めたヒーロー達が山道の下に落ちたヴィラン連合の装甲車を調べていた頃…

 

 その山の頂上に向かって森の中を登り歩く《1人の男》いた…

 

 その男の向かう先には、車のヘッドライトをバックに《青い狼の顔をした大男》と《赤い包帯を身体中に巻き付けた剣士の男》と《赤いロングヘアーの女》が佇んで待っていた。

 

「待ちくたびれたぜ…ナイン」

 

「そのかいはあった…」

 

 青い狼の顔をした大男《キメラ》が、山を登ってきた男《ナイン》を迎え入れた。

 

 ナインは山頂からの夜に輝く町の景色を見下ろしながら呟いた。

 

「実験は成功した…」

 

 ナインの言葉を聞いて3人は安堵する。

 

「これで俺達の計画が!」

 

「だが…副作用も悪化した…」

 

「え!?」

 

「なに!?」

 

「個性を多用すると…身体の細胞組織が死滅していく…」

 

「そんなぁ…」

 

「それじゃあ手術した意味ねぇじゃねぇか!?」

 

 ナインより語られた実験結果に3人は納得がいかず、キメラはナインに怒鳴った。

 

 そんな彼らに対して、ナインは静かな口調でこう返した。

 

「…《細胞を活性化させる個性》を奪う…」

 

「ッ!?」

 

「…細胞の活性…成る程、それならデメリットは無くなるわね」

 

「ならば善は急げでゴザル!速急にその個性を見つけようぞ!」

 

 ナインの提案を聞き、3人は落ち着きを降り戻した。

 

 ナインは再び山頂からの町の景色を見下ろし…

 

「そして…我々が望む世界を…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ナインが求める個性…

 

 それは日本の遥か南に存在していた…

 

 その個性の持ち主の名は…




 今作の番外編の現時点(那歩島編になる前)で、犠牲となった人達の詳細を纏めました。



・赤谷 海雲…意識不明の重体

・爆豪 勝己…タルタロスに収監

・爆豪夫妻…行方不明

・イレイザーヘッド(相澤 消太)…死亡

・13号(黒瀬 亜南)…死亡

・飯田 天哉…死亡

・出水 洸汰…死亡

・轟 焦凍…行方不明

・常闇 踏陰…行方不明

・青山 優雅…死亡

・通形 ミリオ…死亡

・ナイトアイ(佐々木 未来)…死亡



 以上のキャラクター達の詳細は、以下に纏めました。



◯赤谷 海雲…【意識不明の重体】

・前作の番外編(10万UA記念)と同じく、原作の緑谷出久のポジションとして雄英高校ヒーロー科に入学。

・今作の番外編での赤谷海雲の両親は《警視監》と《外交官(トップに近い立場)》であり、両親は息子がヒーローを目指すことは反対派だったが、赤谷海雲は両親の反対を押しきって、プロヒーローになるために雄英高校のヒーロー科に自力で合格した。

・しかし、雄英高校に入学して数日後に行われたオールマイトの初授業《屋内対人戦闘訓練》にて、赤谷海雲は麗日お茶子とペアとなり、飯田天哉と爆豪勝己のペアと対戦することになったのだが、その際に《爆豪の理不尽かつ身勝手な暴力》と《オールマイトが訓練を中断するタイミングを誤ったこと》で、《爆豪の一方的な攻撃を受けたことによる大火傷》と《爆豪の爆破によって倒壊した建物の瓦礫に挟まれたこと》で瀕死の重症となってしまい、リカバリーガールの緊急手術によって命こそ助かったが昏睡状態となり、現在もセントラル病院に入院している。



◯爆豪 勝己…【タルタロスに収監】

・ヘドロヴィラン事件のあった日、緑谷出久がビルからの飛び降り自殺を図ったことを次の日に知るも、爆豪本人は出久の心配など一切せず、出久が自殺未遂をしたことで自分の将来に支障が出るんじゃないかの心配しかしていなかった。

・ヘドロヴィラン事件の後日、何故か《出久の自殺未遂事件》はTVやネットから煙のように全て消えていたことで、爆豪や折寺中学校の人間は自分達に非が飛んで来ないことを理解し安心していた。

・ヘドロヴィラン事件から1週間以上経過したある日、担任から《出久が目を覚ましたこと》と《出久が退院と同時に何処かへ引っ越したこと》を爆豪及びクラスメイト達が知ったが、彼らは《出久の意識が回復したこと》よりも《出久が折寺町からいなくなってくれたこと》に喜びを感じており、特に爆豪は清々していた。そして《緑谷一家の引っ越し先》も《出久が個性(能力)を発現したこと》も爆豪達には一切明かされなかった。

・しかし緑谷出久が転校した後の爆豪は《ストレスの捌け口(出久)》がいなくなったことで、変わりにクラスメイトを男女関係なくイジメのターゲットとし自分のストレスの捌け口として痛め付け始めた。そして痛め付けられたクラスメイト達が反抗しようものならば、爆豪は出久の時と同じように個性を使って脅しクラスメイトを黙らせた。

・爆豪達が折寺中の卒業式を迎える頃には、爆豪と取り巻きの2人以外のクラスメイト達は全員が何かしらの怪我をしていた…

・中学卒業後は雄英高校ヒーロー科に入学した爆豪だったが、ヒーロー科1年A組の教室にて《緑谷出久と瓜二つの人間(赤谷海雲)》と出会った…

・それから暫く大人しくしていた爆豪だったが…入学式から数日後に行われたオールマイトの初授業《屋内対人戦闘訓練》で爆豪は本性を現した………その授業を境に爆豪の転落人生が始まってしまった…

・屋内対人戦闘訓練の最中、爆豪は中学に引き続き《ストレスの捌け口のターゲット》を赤谷海雲と定め、訓練とは名ばかりに赤谷海雲へ完全な私情である暴力を振るった………のだが、調子乗った爆豪は爆破の威力を制限せずに使ったことで、訓練に使っていた建物を倒壊させてしまったのだ…

・建物が倒壊するのは予想外だったオールマイトは即座に訓練を中止し、訓練をしていた4人の生徒の救出を行った結果、飯田 天哉と麗日 お茶子の2名はビルの最上階にいたことが功を奏して軽傷で済んだが、爆豪勝己は崩壊する建物の瓦礫に左腕と右足を挟まれはしたものの四肢の切断までに至る重症にはならなかった…。しかし…赤谷海雲は瓦礫に身体を挟まれた挙げ句に、爆豪の攻撃によって受けた傷の数々によって瀕死の重症と負ってしまった…

・授業は中止となり、リカバリーガールの治療を受けながら重症の2人(赤谷海雲、爆豪勝己)はセントラル病院へと緊急搬送されていった。当然ながら訓練を途中で止めなかったオールマイトは、根津校長を始め雄英の教師達からの叱責を受けた。

・次の日、爆豪はセントラル病院で目を覚ました………が…待っていたのは赤谷夫妻であり、夫妻は爆豪に対して謝罪を設けるも、爆豪は殺人未遂をした自覚など一切ない挙げ句に《自分は何も悪くない》と突っぱねながら、赤谷夫妻へ『俺が一番嫌いな無個性のクソナード野郎と同じ面をしてるアイツが悪いんだろうがよ!第一、子供の喧嘩で一々大袈裟に騒ぐんじゃねぇわクソ親が!』と暴言で返答をし謝罪を拒否した。
 そんな爆豪の返答を聞いた赤谷夫妻は、爆豪一家への僅かな恩情を全て捨てて、爆豪勝己を起訴することを決めた。
 赤谷夫妻が爆豪の病室を出ると入れ代わりで爆豪夫妻が入室し、入ってくるなり2人は怪我人の息子を問答無用で暴力を振るい続けた。ある程度ボコボコにされた爆豪が両親に怒鳴りながら訳を聞くと…爆豪夫妻は《赤谷海雲の容態》《赤谷夫妻の役職》《雄英高校を除籍されたこと》そして《裁判の件》を息子に全て話した…
 事の全てを知った爆豪勝己は顔を青く染め、急いで赤谷夫妻を追いかけようとするも、まだ怪我が完治していないため歩くことができず、赤谷夫妻に弁解することは叶わなかった。

・後日…退院を迎えた爆豪を待っていたのは《警察官》と、激情にかられた担任《イレイザーヘッド》であり、爆豪は病院を出てすぐに裁判所へと連れていかれ、未成年でありながらいきなり刑事裁判にかけられた。
 その裁判によって警察が調べ尽くた《爆豪勝己が物心つく頃より犯してきた罪の全て》が白日の元に晒された…。
 爆豪は裁判中に罪を何度も否定したが《相手の思考を読む個性持ち》である複数の検察官に調べもあって嘘は見抜かれてしまい、罪を偽ろうとしたことも追加されて、裁判の結果…爆豪勝己は《危険人物》と認定されてしまい、《死刑》は免れたものの《無期懲役でタルタロスへの収監》が決定されてしまった…

・爆豪勝己はタルタロスに連行されている護送車にて、トントン拍子で事があっという間に進んでしまった爆豪は理解が追い付かなかった。
 しかし、タルタロスに収監された爆豪はやっと自分のこれまでの行動の全てが《間違っていたこと》を心の底から理解した…。
 だが…時すでに遅し《もう誰も自分を助けてくれないという孤独感》と《2度と外へは出られないという恐怖》を毎日味わいながら、爆豪はタルタロスの中で過ごしていくこととなった…



◯爆豪夫妻…【行方不明】

・ヘドロヴィラン事件と同じ日に起きた《緑谷出久の自殺未遂事件》を知り、息子の心配は勿論のこと、出久のことも心配していた。

・ヒーロー公安委員会によって情報(出久の自殺動機)が揉み消されたことで、爆豪夫妻は《ヘドロヴィラン事件の真相》も《自分の息子が緑谷出久を10年以上も個性を使って痛め付けていたこと》も《事件当日に自殺教唆を言ったこと》も知らない。

・事件後、爆豪光己は出久のお見舞いに何度か訪れていたが、出久の意識が回復した連絡を知って直ぐ様お見舞いに行こうとするものの、何故か緑谷引子から理由も教えてくれずに面会を拒否されてしまい、そのまま出久の退院と同時に緑谷一家が何も言わずに引っ越してしまったことで、爆豪夫妻は緑谷一家の行動に心がモヤモヤしていた。

・だが…そのモヤモヤの原因を爆豪夫妻は1年後に骨の髄まで思い知ることとなった………1年後、息子の勝己が雄英高校に見事合格、晴れて雄英生として通い始めた数日後、授業中に息子がクラスメイトを瀕死の重症にさせたことで、爆豪夫妻の日常は崩れ去ることになった…

・我が子が殺人未遂を犯しただけでも親にとっては不幸だと言うのに《日本一のヒーロー育成高校である雄英校内での殺人未遂事件》…《被害者の両親が警視監と外交官であること》…《警察の調べによって発覚した親である自分達すら知らない息子がこれまでに犯した罪の数々》という…とどまることのない不幸の連鎖が夫婦を追い詰めていった…

・爆豪勝己の入院中にやって来た被害者家族である赤谷夫妻に対して爆豪夫妻は謝罪し続けた。
 大切な一人息子(赤谷海雲)が死にかけたのだ…赤谷夫妻の怒りは相当なものであったが、爆豪夫妻が誠心誠意で謝り続けたこともあってなのか、赤谷夫妻は1度だけ爆豪夫妻にチャンスを与えた。
 そのチャンスとは《爆豪勝己が目を覚ました際に、加害者である彼が自分の愚行を心から反省した上で、自分達(赤谷夫妻)に謝罪をしてくれる》ならば裁判は起こさないと約束してくれた………のだが…当の爆豪勝己はその期待を裏切り、反省の色など一切見せずに、あろうことか謝罪を求めた赤谷夫妻へ暴言を吐く始末だった…
 息子と赤谷夫妻の会話を病室前で聞いていた爆豪夫妻は、扉越しにきこえてきた息子の暴言まじりの返答に絶望…
 赤谷夫妻が病室から出ていくと、爆豪夫妻は鬼の形相になって《今まで息子の悪事》を叱るが如くに、怪我人の息子を殴る蹴るでボコボコにした後に、赤谷夫妻との会話内容を息子に説明した。

・後日、当然というべきなのか…息子は雄英高校から除籍処分を言い渡され、更に病院を退院して直ぐに警察官と担任(イレイザーヘッド)によって裁判所へと連れて行くところを…爆豪夫妻はただ見届けることしか出来なかった…

・爆豪夫妻は息子に弁護人を設けることはせず…そのまま行方不明となり…今も赤谷夫妻を始め…息子が迷惑をかけていた人々に向けて謝罪の手紙を定期的に送っていた…
 ただし、その中でも1番息子が迷惑をかけてしまった《緑谷一家》へ謝罪の手紙を送りたいと爆豪夫妻は願っているのだが、その緑谷一家が何処へ引っ越したのか見当がつかずに《緑谷一家への謝罪の手紙》は貯まる一方だった…



◯イレイザーヘッド(相澤 消太)…【死亡】

・《赤谷海雲》含む《原作の雄英ヒーロー1年A組19人(緑谷出久以外)》のクラスの担任となるも、入学式(個性把握テスト)を行った数日後のオールマイトが担当した《屋内対人戦闘訓練》で爆豪が故意に赤谷を死なせかけたことを知ると、相澤は《亡き親友(白雲朧)》と《被害にあった赤谷海雲》を重ねてしまい、爆豪とオールマイトに大激怒!
 有無も言わさず爆豪を除籍処分とし、オールマイトには根津校長や他の教師達と共に感情のまま何時間にも及ぶ叱責をした。

・屋内対人戦闘訓練授業の次の日、雄英高校へやって来た赤谷海雲の両親に対して、相澤は根津校長と共に深々と謝罪した…
 しかし、赤谷夫妻の怒りは怒髪天を超えており根津校長と相澤を責め立てた。
 赤谷夫妻は、事件発生時の授業を担当した教師(オールマイト)を教えるように根津校長達へ懇願したが、ヒーロー公安委員会から『オールマイトを庇うように』と箝口令を言い渡された根津校長と相澤はオールマイトの名を出すことが出来ず、赤谷夫妻の怒りは募る一方となり、一時は《雄英高校の廃校》にまで話が飛躍してしまったが、何時間にも及ぶ話し合いと説得の末に《雄英高校側からの多額の賠償金》と《担任である相澤消太が今月をもって教育権を剥奪し、雄英高校を辞職すること》でなんとかその場をおさめることに成功した。

・爆豪の退院日、警察と共に爆豪を裁判所へ連れていくパトカーの中で相澤は爆豪に叱責と除籍処分を下しつつ、裁判では傍聴席に座って爆豪勝己の裁判の結果を見届けた。

・オールマイトの尻拭いをする形で雄英高校を今月(4月)一杯で辞めることが決まった相澤は、残り少ない教師人生を最後まで生徒のために役立てたいと決心し、爆豪の裁判が行われた次の日の《ヒーロー科1年A組18人のレスキュー訓練授業》に参加した。

・レスキュー訓練を行う施設(USJ)にて、オールマイトは活動時間の関係で遅刻する中、13号と共に授業を開始しようとした矢先《ヴィラン連合》の襲撃を受けた。
 相澤は最初、一人でチンピラヴィラン達を圧倒したが、脳無によって瀕死の重症を負わされながらも蛙吸梅雨と峰田実を逃がすために身を呈して時間を稼ぎ、最後は《死柄木 弔》の個性によって塵となり…命を落とした…



◯13号(黒瀬 亜南)…【死亡】

・イレイザーヘッドと同じく、雄英校内のUSJにて《ヒーロー科1年A組18人のレスキュー訓練授業》を開始しようとした矢先にヴィラン連合の奇襲を受けた。
 教師として…ヒーローとして…生徒達を守るため必死になって戦うも、黒霧の個性の機転によって自分の個性である《ブラックホール》を自分で喰らってしまい瀕死の重症を負った。
 事件解決後、緊急手術を受けるも背中と上腕に加えて後頭部にも裂傷が及んでしまい…そのせいで手術のかいなく…彼女はイレイザーヘッドの後を追う結果となってしまった…



◯飯田 天哉…【死亡】

・高校生活が始まったばかりで《クラスメイトが2人除籍と中退でいなくなり》…《始めてヴィランとの遭遇をし》…《担任含む教師2人が命を落とす》…という中学までは考えられない悲劇の連続に堪(こた)えていたクラスメイトを何とか纏め上げていこうと奮闘していた。

・しかし…5月に開催された体育祭の最中、尊敬する兄がヴィランに敗北したことをキッカケに飯田天哉の心は復讐に支配された…

・体育祭後に行われた職場体験、飯田天哉は保須市へと赴き、そして偶然にも兄を再起不能にした《ヒーロー殺し ステイン》と対面した。
 そのまま兄を仇を討つためステインに戦いを挑むも…結果は返り討ちにされてプロヒーローのネイティブと共にステインにトドメを刺されて命を落とした…



◯出水 洸汰…【死亡】

・身内であるマンダレイに付き合わされる形で雄英高校の林間合宿に参加。

・両親の殉職の件もあってヒーローを異常な程に嫌っており、空いた時は秘密基地である洞窟に1人来ていた。

・しかしある日の夜、秘密基地から見渡せる森から黒煙とガスが発生していることに気がついた………が…それに気づいた時にはもう遅かった…
 洸汰の背後には…両親の仇であるヴィラン《マスキュラー》がいたのだ!
 洸汰は本物のヴィランの殺気に涙を浮かべ恐怖するも、両親の仇を打つためにマスキュラーに向かっていった!
 だが…プロヒーローの両親が勝てなかったヴィランに子供の自分が敵う筈もなく…洸汰はアッサリと返り討ちにされ…そのままマスキュラーの手によって命を落とした…



◯轟 焦凍…【行方不明】

・原作では体育祭で緑谷出久との戦いを通して得た《炎の個性を受け入れたこと》《両親と向き合うこと》《性格が丸くなったこと》《クラスメイトと仲良くなれたこと》などが一切なく、今作の番外編の轟焦凍は雄英高校に入学してからずっと《一匹狼》のままでクラスメイトと仲良くしようとはせず…両親とも和解することなく…完全に孤立し…誰にも心を開かなかった…

・そんな状態ながらも、雄英体育祭では氷の個性のみを使って優勝を飾るも喜びの感情など一切見せず、職場体験では父親(エンデヴァー)から指名を受けるも当然ながら拒否し、他のヒーロー事務所へ行って職場体験を済ませた。

・そんなヒーロー科1年A組最強の轟焦凍は、林間合宿にて常闇踏陰とラグドールと共にヴィラン連合に誘拐されて、ヴィラン連合からの勧誘を受けた。
 最初はヴィラン連合の誘いを断っていた轟焦凍だったが、荼毘と2人だけで話をしてから明らかに様子が変化した…

・轟焦凍の心に迷いが指し出んでいた正にその時、オールマイト達がヴィラン連合のアジトに攻め込んで来た!
 だが…オール・フォー・ワンの策略によって轟焦凍と常闇踏陰は、ヒーローに救出されることなく…又しても死柄木弔率いるヴィラン連合メンバーに連れ去られてしまい、その後は完全に消息不明となった…



◯常闇 踏陰…【行方不明】

・雄英に入学してから数々の悲劇と困難にあいながらも、体育祭では準優勝を果たし、職場体験ではNo.3ヒーローのホークスからの指名を受けると、確実に1年生の中では轟焦凍に次いで実力者となっていった。

・そんな常闇は、林間合宿の肝試し中にペアで行動していた障子目蔵がムーンフィッシュによって手首を切り落とされたのを見た瞬間、怒りよって個性《黒影(ダークシャドー)》を暴走させてしまい、対処方法を見つけることができずに森の中で暴れながらもムーンフィッシュを倒した。
 しかし、その一部始終をMr.コンプレスに目撃されてしまい、暴走したダークシャドーと一緒に常闇はMr.コンプレスの個性によって捕まって、そのまま轟焦凍と共にヴィラン連合に誘拐された。

・ヴィラン連合のアジトにて、常闇も轟焦凍と同様に勧誘を受けたが、勿論ヴィランになる気などの毛頭なく死柄木からの誘いはキッパリ断った………だが…轟焦凍が荼毘というヴィランと2人だけで話をした後から様子が急変し、常闇は轟の態度の変化に疑問符を浮かべていた。
 その矢先にオールマイト達がヴィラン連合のアジトに突入、常闇は助かるんだと安堵しようと思ったのも束の間、オール・フォー・ワンの策略によって常闇は轟焦凍と共に死柄木弔率いるヴィラン連合に連れ去られてしまい、その後は完全に消息不明となった…



◯青山 優雅…【死亡】

・原作と同じく、オール・フォー・ワンによって雄英高校で内通者をやらされていた…
 《逆らえば家族が殺される》…その恐怖に脅えながらも青山はオール・フォー・ワンの命令に従い、雄英高校のスケジュールをオール・フォー・ワンに密告していた…
 しかし…原作と違い、今作の青山には《自分に近い人物(個性が身体にあっていない境遇)》…つまり《原作の緑谷出久》が居なかったこともあってより孤独となっており、その孤独と押し寄せる罪悪感に耐えきれなくなって、寮生活が始まる直前に…根津校長へ《自分が内通者であること》を打ち明けたのだ…

・青山は…自分が情報を密告したせいで《死んでいった人々(イレイザーヘッド、13号、出水洸汰)》や《連れ去られた人々(常闇踏陰、轟焦凍)》への罪悪感が日に日に膨れ上がってしまい、神野事件にてオール・フォー・ワンが捕まったことを機に、自分がヴィラン連合の内通者であることを両親に相談することなく雄英に自白した…

・プレゼント・マイクが危惧していた内通者が突如見つかったことで雄英教師達は驚愕。
 そして内通者が発覚したのならばやることは決まっている…《青山優雅》及び《青山夫妻》を一時的に警察署で隔離保護するために、プロヒーロー警護の元に連行されることとなった。
 青山優雅を雄英高校から警察署へ連行する際の護衛のヒーローとして、プレゼント・マイクが名乗りをあげた…
 プレゼント・マイクは、親友(イレイザーヘッド)を殺された原因の一端である青山を非常に憎んでいたが、プロヒーローの立場上感情を抑え…ヒーローとして青山の警察署まで護衛にすることにした。
 同じ頃、青山夫妻も警察とプロヒーローに連行されて息子が向かう警察署へ連行されていった。

・しかし…青山優雅と青山夫妻を乗せた双方のパトカーがなんと10体を超える脳無に襲撃されてしまったのだ!
 突然の襲撃に警察は戸惑ったが、プロヒーロー達は直ぐ様に脳無達と戦闘を開始した………が…10体以上の脳無が相手ではいくらプロヒーローとはいえ苦戦を余儀なくされてしまい、結果を脳無襲撃によって生き残ったのは《重症を負ったプレゼント・マイク》の1人だけであり…他のプロヒーローや警察…そして青山一家は…脳無によって全員命を落とした…



◯通形 ミリオ(ワン・フォー・オール9代目)…【死亡】

・多くの人々を救えるヒーローになるため雄英入学、インターンにてナイトアイからの指名を受けて個性《透過》を完全にコントロールし、その努力が実り3年生で《英雄のビッグ3》に上り詰めた努力の天才。

・ミリオが3年生になって暫く経った4月のある日、根津校長に放送で呼び出され会議室へ行くと、そこにはナイトアイ、オールマイト、グラントリノ、塚内警部、根津校長、リカバリーガールという《ワン・フォー・オールの秘密を知る者達》がミリオを待っていた。
 会議室に入ったミリオは状況が把握できず内心慌てていると、ナイトアイが事情を説明し始めてくれた。
 そしてミリオは、自分が《オールマイトの後継者》…《次なる平和の象徴》として選ばれたことを理解した。
 突然に明かされた秘密の連続にミリオは驚きを隠せなかったが、恩師であるナイトアイからの勧めもあり、ミリオはオールマイトの意思を継いでワン・フォー・オールの継承を決意した。
 オールマイトからワン・フォー・オールを譲渡され、晴れて9代目となった通形ミリオはその後も努力を積み重ね、ナイトアイだけでなくオールマイトやグラントリノの指導を受けて《次なる平和の象徴》に恥じない実力をつけていき、神野事件のあった夏には既にワン・フォー・オールを《50%》までコントロールすることを可能にしていた。

・オールマイトの引退騒ぎが静まらない9月、ミリオはインターンのパトロール中に《ある女の子》と偶然出会い、その直後に現在ナイトアイ事務所が調べている《オーバーホール》こと《治崎廻》と鉢合わせてしまったのだ。
 女の子の怪我の状態から見て《保護するべきだ》と頭では分かっていたが、状況を即座に把握し先のことを考えたミリオは、蚊細い声で助けを求める女の子の声に敢えて聞き流し、治崎廻へ女の子を返すとその場を立ち去った………女の子が最後に見せた《哀しみと絶望に染まった顔》を胸に刻んで…
 その後、ミリオはナイトアイに《治崎廻との接触したこと》と《治崎に娘がいること》を報告した。

・時は遡り、ファットガム事務所が《個性消滅弾》を発見したことで事態は急展開を迎えた。
 報告を受けたナイトアイは即座にファットガム事務所やリューキュウ事務所、グラントリノやロックロックといった精鋭達を集めて緊急会議を開いた。その際、インターンに来ていた雄英生6人(蛙吸梅雨、麗日お茶子、切島鋭児郎、通形ミリオ、波動ねじれ、天喰環)も参加した。
 その会議の中で…ミリオがつい最近出会った女児が治崎によって《個性消滅弾》を製造するための道具にされていることを知り、ミリオは自分自身を攻め続けた…

・更に時は流れ、遂に《死穢八斎會の壊滅》《主犯である治崎廻(オーバーホール)の確保》そして《捕らわれの女児救出》の作戦が決行された。
 『今度こそ壊理ちゃんを保護する!』とミリオは固く決意し、死穢八斎會へ突入した!
 八斎會組員に加え鉄砲玉八斎衆が行方(ゆくて)を阻んできたが、他のヒーロー達や同級生(天喰環)や後輩(切島鋭児郎)が道を切り開いてくれたおかけで、ミリオとナイトアイは遂にオーバーホールとクロノそして壊理に追い付いた!
 壊理の救出を最優先に、ミリオはオーバーホールと激戦を繰り広げた!
 だがオーバーホールの強さは計りしれず、ミリオは起死回生を狙い、ワン・フォー・オールの《100%》を解放した!
 個性《透過》と《ワン・フォー・オール100%》を組み合わせることで、ミリオはオーバーホールを圧倒!
 トドメの一撃をオーバーホールに放とうとした!………正にその瞬間、ミリオの身体が動かなくなりそのまま意識を失った。

・オーバーホールとの戦闘中に突然意識を失ったミリオはというと、夢の中で始めて《歴代のワン・フォー・オール所持者》達と対面していた。
 そしてミリオは、歴代のワン・フォー・オール所持者達によって自分の身に何が起きたのか…4代目(四ノ森避影)から詳しく説明された…
 《8代目のオールマイトすら知らないワン・フォー・オールのデメリット》…《膨れ上がったワン・フォー・オールを譲渡し使いこなせるのは無個性の人間だけであること》…そして《ミリオがオーバーホールとの戦闘中に100%の力を使ってしまったことで残された寿命を飛び越してしまい、突然死という名の老衰になってしまった事実》をミリオは教えられた…
 ミリオは自分が死んでしまったことを受け入れられなかった…そして何より《壊理ちゃんを救うことが出来なかったこと》…それがミリオにとって最大の未練となった…

・ミリオ(9代目)が死んだことで…この世界から《ワン・フォー・オール》は消えてしまった…



◯ナイトアイ(佐々木 未来)…【死亡】

・過去…オール・フォー・ワンとの戦いでオールマイトが限界を迎えたことを知ったナイトアイは、オールマイトが安心して引退できるようにと《ワン・フォー・オール後継者》育成に力を注ぐことを決意。

・事務所を設立後、ヒーローとして勤しみながらも雄英校内に《ワン・フォー・オールを受け継ぐに相応しい逸材(通形ミリオ)》を見つけ、インターンを通してミリオを鍛え始めた。

・ミリオが3年生になった年の4月、ナイトアイは《樹は熟した》と察して雄英の教師となったオールマイトに、通形ミリオへのワン・フォー・オールの譲渡の話を持ちかけた。
 ナイトアイが雄英に電話した時、丁度雄英高校ではオールマイトが授業で大失敗をした日であったため、タイミングが悪くナイトアイの話は先送りとなってしまったが、次の日改めてナイトアイは根津校長と《通形ミリオを9代目のワン・フォー・オール継承者にする話》を持ちかけた。
 雄英校内のUSJにヴィラン連合が襲撃したことで《ワン・フォー・オール継承の件》は暫し先送りとなったが、4月の末に改めてナイトアイ、グラントリノ、塚内警部といった《ワン・フォー・オールの秘密を知る者達》が雄英高校に集まった。
 雄英高校に突然集まった相応な面子にオールマイトは思考が追い付かなかったが、久しぶり会うナイトアイから《ワン・フォー・オールを通形ミリオに譲渡してほしい》との突拍子もない提案にされた…
 今月の最初に受け持った授業にて教師として大失敗したオールマイトだったが、ワン・フォー・オールの継承については『譲渡したい無個性の少年がいるんだ…』とオールマイトは発言するも、オールマイト以外の人間はその意見に反対した。
 話し合いの中で、ナイトアイが平和の象徴の後進育成に励んでいたのは《全てオールマイトのため》であり、それがナイトアイなりの《優しさ》であることを知ったオールマイトは、ナイトアイの意見を聞き入れて《通形ミリオにワン・フォー・オールを譲渡すること》を了承する。

・通形ミリオが正式にワン・フォー・オールを受け継いだことで《オールマイトの肩の荷を下ろすことが出来た》と安堵するナイトアイだったが、ここから本番であり通形ミリオを雄英高校卒業までに《次なる平和の象徴》として育て上げるため、より一層にミリオの育成に励むようになった。
 オールマイトやグラントリノ達も協力してくれたおかげもあって、努力の天才であるミリオはメキメキと成果をあげてワン・フォー・オールを自分のものにしていった。

・そんな折に迎えた8月、オールマイトがオール・フォー・ワンとの激戦で勝利を掴み取った代償に《オールマイトはヒーローを引退》…更に《オールマイトの中に残っていたワン・フォー・オールは完全に消え去る》という事態が起きた…
 オールマイトの中にあったワン・フォー・オールが消えた………秘密を知る者達にとって…それは大きな損失だったが、既に《次なる平和の象徴(通形ミリオ)》は着実に育っていたため、ナイトアイ達はオールマイトを手厚く労った。
 この時は誰も予想だにしてなかった………ミリオの中のワン・フォー・オールが、ミリオの命を日に日に削っていたことを…それをナイトアイは翌月の9月に思い知ることとなった…

・オールマイトの引退ニュースが連日報道される9月、ナイトアイ事務所は指定ヴィラン団体の死穢八斎會が《個性消滅弾》を開発している情報を掴み、死穢八斎會を壊滅させるためファットガム事務所、リューキュウ事務所などに協力を要請した。

・決行日、ナイトアイ事務所、ファットガム事務所、リューキュウ事務所を始め、ロックロックなどのプロヒーロー達と、インターンで来ていた雄英生6人(蛙吸梅雨、麗日お茶子、切島鋭児郎、通形ミリオ、波動ねじれ、天喰環)そして警察と共に《死穢八斎會の壊滅》と《主犯である治崎廻(オーバーホール)の確保》と《個性喪失弾の開発に利用させている女児の救出》を目的に、死穢八斎會のアジトに突入した!
 行く手を阻む鉄砲玉八斎衆によって戦力を削られつつも、ミリオとナイトアイは遂に主犯の《オーバーホール》、補佐の《クロノ》、そして救出対象である女児《壊理》に追い付いた!
 壊理の救出を優先しつつ、ミリオはオーバーホールと戦い、ナイトアイはクロノの相手をした!
 しかしオーバーホールの強さは計りしれず、ミリオとナイトアイは苦戦を余儀なくされた…
 ミリオは逆転を狙い、まだ完全にはコントロールしきれていないワン・フォー・オールの《100%》を解放した!
 個性《透過》と《ワン・フォー・オール100%》を組み合わせて戦うことで、ミリオはオーバーホールを確実に追い詰めていった!
 そんな勇敢なミリオの姿を見たナイトアイは、ミリオの勝利を確信した!………と思われたが…オーバーホールにトドメの一撃を喰らわせようとしたミリオのワン・フォー・オールは急に停止してしまい、しかもミリオもスイッチを切ったかのように突然動かなくなった…
 いきなりの出来事にその場にいた4人(ナイトアイ、オーバーホール、クロノ、壊理)は考えが追いつかなった…
 それがいけなかった……ナイトアイは隙をつかれてしまい、オーバーホールが個性で作り出したコンクリートのトゲに腹を貫かれて動けなくなった…
 そんなナイトアイを他所に、オーバーホールは戦っていたミリオの異変を調べると………なんと通形ミリオは死亡していた!
 オーバーホールの言葉にナイトアイは納得などできなかったが、動けなかったナイトアイはそのまま気を失ってしまった…

・ナイトアイはリカバリーガールの緊急手術を受けている最中………夢の中でミリオと会っていた…
 そしてナイトアイは…ミリオから《歴代ワン・フォー・オール所持者達と話した内容》を聞かされた…
 ミリオが死んだ理由(《ワン・フォー・オールのデメリット》)を知ったナイトアイは…後悔の念にかられ…涙ながらにミリオへ謝罪した………だが…当のミリオはナイトアイを責めることはせず『自分を最高のヒーローに育ててくれて…ありがとうサー…』と感謝の言葉を述べながら…ミリオはナイトアイの夢の中から姿を消した…

・リカバリーガールの手術を受けたものの…ナイトアイは既に明日を迎えられる状態ではなかった…
 危篤状態となったナイトアイの元にオールマイトが訪れた…
 オールマイトは《通形ミリオが死んだこと(ワン・フォー・オールが途切れてしまったこと)》は伏せてナイトアイと最後の会話をするつもりだったが、なんと死に際のナイトアイの方からミリオの話を持ち出され、ナイトアイは死に直面しながらも必死に《夢の中でミリオと話した内容》をオールマイトに伝えた…
 オールマイトは、ナイトアイからの言葉を疑うことなく全て聞き入れた…
 ナイトアイは全てを話し終えると…《自分の考えが間違っていたこと》…《取り返しのつかない過ちを犯してしまったこと》を深く反省と後悔をし…オールマイトに謝罪をしながら…ミリオの後を追い…病室のベッドで息を引き取った…





 以上がこの番外編にて、運命が大きく変わってしまったヒロアカキャラクター達です。

 原作のナイトアイのご要望通り、通形ミリオがもしワン・フォー・オールの9代目に選ばれたならばどうなったかを私なり考えて、この後書きに纏めました。
 その結果は、前作の番外編(《ロベルト・ハイドンの法則》)で9代目に選ばれた爆豪勝己よりも悲惨なことになってしまいました…
 ナイトアイも自分の考えが間違いであったことに知った時は、悔やんでも悔やみきれなかったでしょう…

 ワン・フォー・オールが完全に消えてしまった番外編のヒロアカ世界、いつかこの世界が迎えるヴィランとの全面戦争はどうなってしまうのか………私には想像がつかないですね…
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