五十里啓とかいう勝ち組に転生した件について 作:カボチャ自動販売機
サブタイトルを人名にするという謎のこだわりスタイルで、当時のぼくは書いていた様です(笑)
なので最後までこのスタイルでいきます。
千代田花音。
ぼくの幼馴染みにして、中学校卒業と同時に許嫁になる少女。
濃いラベンダー色のショートヘアーに、溌剌とした元気で明るいボーイッシュ系。
良く言えば素直、直球で言うと猪突猛進。
典型的なガキ大将タイプだが、裏表がなく、竹を割ったような性格は嫌いではない。
原作通りとはいえ、ぼくのことを慕ってくれているし、少々引っ込み思案というか、テンションの低いぼくには、このくらいの娘が合っているのかもしれない、と思う。一緒にいて飽きないし、面白い。少々アホの娘ではあるが、そういうところも可愛いのだ。
ただ、今回ばかりは彼女にやられた。彼女のせいで、ぼくの計画は頓挫したのだ。
◆
ぼくは死にたくない。
人間、生まれてきた以上、いつかは死ぬことになるのだろうが、十代で死にたいと思う人間はいないし、ぼくだってそうだ。
そのためにぼくは『
確かにぼくは、知っている限り――原作の15巻まで――原作で死ななかったが、それは『
で、あればぼくが助かるという保証はない。
勿論、ぼくというイレギュラーがいるのだから、全く同じ状況になることは、まずないだろう。
そもそも、ぼくが瀕死の重症を負うような事態は発生しないかもしれない。
しかし、それは絶対ではない。
ぼくが二年の時の論文コンペ、その会場が大亜連合軍によって襲われることはまず変わらないのだ。
ぼく個人の行動によって変わるようなことじゃないし、止める気もないのだから。
ならば、ぼくの生を確実なものとするために物語からフェードアウトするしかない。
魔法科高校の劣等生という物語の登場人物として名前が残らないようにするのだ。
そのためにはどうすれば良いのか。
既にぼくは原作のキャラとも関わってしまっているし、そもそもぼく自身が原作のキャラだ。
一番良いのは魔法に関わらないことだが、ぼくは百家本流の一家、『五十里』の長男であるため、魔法師にならないという選択肢はないし、自分の可能性を狭めるようなことはしたくない。折角の家柄、折角の才能だ、勿体ない。
考えた末に辿り着いたのは主人公と別の学校を選択することで、完全に物語から姿を消すという作戦だった。
だからぼくは何年も前から準備して、四高に進学することを決めていたのだ。
四高の他にも二高と三高もオープンキャンパスで見学したのだが、二高は、兵庫県西宮市に設立された国立魔法大学付属高校で一学年の定員は200名、そのうち魔法力の高い100名を一科生、残りの100名を二科生としていて、国際評価基準に沿った教育を行っている、という一高と全く同じ教育カリキュラムとなっており、一高ではなく二高にする理由がなかったため止めた。
三高は一学年の定員は200名、というところは一高・二高と一緒だが、そのうち魔法力の高い100名を専科、残りの100名を普通科としている点と戦闘系の魔法実技を重視しているという点が異なり、一高との教育カリキュラムが違うため、ここに進学しても良かったのだが、ぼくは戦闘系の魔法実技はあまり好きじゃない。
五十里家の血筋なのか、ぼく本来の気質なのか、刻印魔法のような細々としたものを弄っている方が性にあっている。
だから四高に決めた。
五十里家は刻印魔法の権威と言われており、刻印魔法の新しい可能性を模索するため、とか適当に理由をつけて、魔法工学的に見て意義の高い複雑で工程の多い魔法を重視している四高に進学する、と言えば割と簡単に許された。一学年の定員は一高の半分の100名であるが、ぼくなら合格できるだろう。
これで全ての問題は解決された、ぼくは自由だ!……となれば良かったのだが、ぼくには思いもよらなかった壁が立ちはだかったのである。
「ダメ!啓は私と一緒に一高に行くの!」
幼馴染みにして許嫁、千代田花音。
彼女が駄々をこねたのである。
それはもう地雷源もかくやという凄い暴れぶりだった。
四高は静岡県浜松市の国立魔法大学付属高校だ。実家から通うのは不可能ではないが、大変なのは間違いなく、ぼくは向こうにマンションでも借りて一人暮らしをする気だったのだが、それが花音の耳に入ってしまったようなのだ。
こうなることが分かっていたから、彼女にはギリギリまで伝えないつもりだったのだが、親から情報が流出したらしい。
ぼくの両親は花音に頗る甘いから、ちょっと頼まれると断れない。
説得は困難を極めた。
暴れだしたら止まらない、暴走機関車のようになった花音はぼくが何を言おうとも納得してくれない。
どうやら、ぼくが花音に進学先のことを黙っていたということが許せないらしい。
三日間続いたぼくと花音の戦いは意外な形で終局することになる。
「花音ちゃんが可哀想だから、もうお前一高な」
悲壮感を漂わせながら、啓と離れるの嫌だ、と訴える花音にほだされたのか、父が勝手にぼくの願書を一高に出してしまったのだ。
当主がそう決定し、願書を出してしまった時点で、ぼくにはどうすることもできない。この時代錯誤な我が家――許嫁なんてものがいることからもお分かりいただけるように――では結局のところ、当主の決定が絶対なのだから。
花音に感謝されてデレデレしている父を見ていると大層殴りたくなったが、ぐっと堪えたのも、奴が当主だからだ。
息子の許嫁の女子中学生にデレデレしている姿を見せられては、あまり尊敬はできないが。
こうしてぼくは両親に裏切られ、一高に進学することになったのである。
仕方がないから、一高進学までの間、色々やっていこうと思う。
1話1話の文字数のばらつきがえげつないので、基本ショート目ですが、突然倍くらい文字数増えたりします。