学校で狐は、優等生のイイ子ちゃん「葛葉森羅」になりきっている。なので委員会の仕事は真面目にやり、先生の頼みは断らない、そのせいで帰りが遅くなる時がある。
今日も、そうゆう日で、俺は教室で待っていた。
ぼーっとしながら夕陽が沈むのを見ていた。
いや…、つか遅くね?
そんな時、いきなりドアが勢いよく開いた。
あらわれたのは、学生服を着た知らん男だった。
その男は慌てた表情で、俺の元に来た。
男の話を簡単に言うと。狐が中庭に居たら、がらの悪い五〜六人の男に囲まれ、どこかに連れ去られた。
不良にわざと狐が誘拐された、っぽい。
あいつ馬鹿か、何を考えてんだ。
族の知り合いに電話をし、調べさせた。
〜
で、やって来た。廃病院に。
ここに狐は捕まってる、らしい。
族からの話では、狐はカラーギャング達に捕まったようだ。ちなみに色は白と黒と緑だ。何度かぶっ潰したはずだが、まだ生き残りがいたようだ。
歩きながら人間達をぶっ飛ばし、病院の奥へ奥へ進んだ。でかい扉を蹴破ると、そこには数十人の白と黒と緑の服を着た人間と、ロープで縛られた狐がいた。
「お前マジで何をやってんだ」
ボロいソファの上に横たわる狐に言うと。
「余興じゃ、なかなか面白いじゃろう」
ロープに縛られたまま偉そうに喋るので、滑稽だ。
「アホか、つまんねぇよ」
俺と狐が話していたら、馬鹿共が遮った。
「おい!俺らを無視してんじゃねぇよ!」
「てめぇの女が人質にとられてんだぞ!」
その他も、やいのやいの言い、目障りだ。
ぶっ飛ばそうと俺が一歩踏み出したら。
「おっと、動くなよ。動いたら、こんな女の綺麗な顔に傷がつくぜ」
実に三下らしいセリフを吐いた。
「怖い。総司、助けて」
切羽詰まった表情で、目は潤ませながら狐は言った、そして。
「どうじゃ?少しはヤル気が出たか?」
一瞬で表情を切り替え、ニヤニヤしていた。
思わず、ため息が出た。
少し本気を出し、狐にナイフを向けていた男をぶっ飛ばした。
周りの人間はポカーンとしていた。まぁ早過ぎて見えなかったのだろう。とりあえず、そこに居た人間達全員をボコボコのボコボコにした。
「ホント何やってんだ」
ロープを引きちぎる様子がないので、ロープを切ってやった。
「うむ。なかなか楽しめた」
ソファから立ち上がり、狐は背を伸ばした。
「そうかよ。俺は探すのに苦労したぞ」
「ふふっ、そうか」
何故か狐は笑っていた。たぶん純粋に。
〜
廃病院から外を見たが、辺りは真っ暗だ。見たかったアニメ終わってるな。ボコボコにした人間達はそのままほっといて廃病院から出ようと歩き出した。丁度その時、叫び声が聞こえた。
狐は少しばかり思案し「見に行くか」と何故かそんな事を言った。俺は不可解なまま叫び声の元へ、向かう事になった。ズンズン進んで行くと、また叫び声が聞こえた。
叫び声の元は、大きなドアの中からだった。
また蹴破ってドアを開けると。
牛っぽい妖怪が、カッパを診察していた。
俺の見間違いでなければ、な。
そして狐は「ほぅ、やはり白澤か」と訳知り顔でつぶやいていた。狐は妖力を探り、なんとなく気がついていたらしい。このハクタクと言う妖怪に。
そのあと白澤は、カッパの干からびた皿を綺麗に治した。この妖怪は病気を治す事ができる妖怪らしい。部屋の外には妖怪達がずらっと一列に並んでいた。
狐は尊大に言い、白澤を勧誘していたが断れた。白澤は旅をしながら診療するのが自分の性に合っていると言った。
ようやく狐が諦め、帰ろうとしたら…外でギャーギャー妖怪達が騒ぐ声が聞こえた。そしてドアを壊しながら、意味不明な叫び声を喚き散らし、牛並にデカい猫が部屋の中に突っ込んできた。
なぜか猫又は体のいたる所に札が張り付いていた。
「こりゃ…もう駄目だな」
猫又の攻撃をかわし、冷静に白澤はつぶやいた。
仕方なく、暴れ回る猫又を、俺がブチ殺した。
猫又は煙を上げ、消え去った。
その後、白澤に礼を言われた。
が、別に礼を言われるような事はしていない。
ただ猫又をブチ殺しただけだ。
白澤に別れを告げ。
俺と狐は家に帰った。