書けませんでした。
旧暦、一ヶ月くらい違うよね?的な感じです。
はやく千年魔境編を書きたい。
けど、遠い。
俺はカビ臭い物置小屋にいる。
何故ココに居るか、理由は単純だ。
明日はクソむかつく『ひな祭りの日』
で、狐が狂骨の為に、人形を出そうと思ったが、ドコにしまったか忘れ、俺が物置小屋の中を探しまわってる。狐も一緒に居るが、あいつは見てるだけだ。
つか、人形なんかあるのか?
俺は一度も見たことねぇが。
物置小屋の中を、ひっちゃかめっちゃかに探しまわっていたら、妖怪の気配がし、俺に向かって小さい奴が飛び出してきた。
ひとまず身をかわした。
しっかり見ると、それは人形だった。お目当てのヒナ人形だが、妖怪化してやがる。
しかし、俺に喧嘩を売るとは生意気な奴だ。
ブチ殺すか。
全力で殴ろうと、力を溜めていたら「待て」と狐の三本の尻尾に、腕をガッチリ絡めとられた。
動かせねぇ…
「ふむ、妾たちの妖気に当てられ、目覚めたようじゃな」
狐はしゃがみ込み、青白い顔の人形を見ている。
「おい。はなせ」
狐の尻尾にさっきから腕を絡めとられたままで、いい加減、うぜぇ。
「ならば、力をぬけ」
振り向かず、そのまま狐は答えた。
「…これでいいだろ」
すると狐は、ようやく腕から尻尾をほどいた。アホほど強く締め付けやがって、痕になってやがる。
「なかなか可愛いのぅ。どうじゃ、妾の百鬼夜行に入らぬか」
狐は両手で人形を持ち上げ、眺めていた。
人形は青白い顔でコクコク頷いていた。
それからすぐに狐は人形どもの為に和風家屋を屋敷に作るように下っ端どもに指示し、ヒナ祭りには和風家屋が出来上がっていた。
そのヒナ祭り当日。狂骨は、ひな人形どもを見てはしゃいでいた。そして、すぐに狂骨とひな人形どもは仲が良くなっていた。髪をとかしあったり、まぁガキ同士だから気が合うんだろう。
ちなみに俺はヒナ人形どもとは関わっていない。つか、ひな人形どもは俺を見るとビクつき、逃げて行くので、まだ一言も喋ってすらいない。まぁ話すことなど無いが。
夜。
俺は一人、縁側で酒を飲んでいた。
ひな祭り、桃の節句、クソむかつくぜ。
心底腹が立つ、クソ忌々しい。
桃太郎か…
いたらぶっ殺したのになぁ。
俺は、二つ目の酒樽を飲み干し、庭に投げ捨て、三つ目の酒樽に手を延ばした。グビグビと酒を飲んでいたら、狐の足音が聞こえてきた。
かまわず酒を飲んでいたら、狐は無言で俺の隣に座った。俺と狐は静寂に包みこまれていた。
静寂の中、俺から口を開いた。
「なんか…用か」
「あぁ。そうじゃ、こちらを向け」
胡散臭い事この上ないが、さも、今思い出したような口調だった。
「あんだよ」
俺は怪しみながらも狐の方に顔を向けた。
「目を閉じよ」
狐は真っ直ぐに俺を見ていた。
「なんで?」
「はやうしろ」
わりと真剣な声色で狐に言われた。つか、さっきから、ずっと真っ直ぐに狐は俺の目を見ている。
「ほらよ」
居心地が悪く、視線をそらすように、俺は目を閉じた。
すると狐はほっぺを触ってきた。はっ?
俺が目を開ける寸前、狐の尻尾に目の前を覆われた。フニフニした尻尾の毛が顔に当たり、くすぐってぇ。
「なにをしてんだよ」
「マッサージしてやろう。お主は近頃、力みすぎじゃ」
狐の奴、完璧に笑ってやがるな。残りの八本の尻尾を出して、チョイチョイ触ってきた。
「よしよし」
ほっぺを触られた後、あろうことか奴は頭を撫でやがった。
「なっ!?」
俺が立ち上がろうとしたら、九本全ての尻尾でグルグル巻きにされ、少しも動けねぇ。目の前には微笑んでる狐の顔があった。
「おい…、はなせ」
「総司は毎年、春は不機嫌になるのぅ」
ニコッニコッな笑顔が、腹立つ。
「ふんっ、ムカつく事が続くからな」
それから狐は。
無言で、俺の頭を撫で続けた。
〜〜〜
卒業式。
狐は在校生代表らしく、なんか喋っていた。
なんやかんや、歌を唄ったりして卒業式は終わった。
俺は今、卒業生の奴らに呼び出され、告白されている。
んで、三度目の告白が終わった。断ると毎度のように「言いたかっただけだから、ありがとう」とそんな感じのことを言われる。
よう意味がわからん。謎だ。
体育館裏から出て、校舎の方に向かって歩いていたら、また呼び止められた。
「朱天、総司くん」
渡り廊下には、お下げ髪のメガネの女がいた。
「あん?なんだよ」
「あの、お礼が言いたくて。一年ほど前、あの時、助けてくれて、ありがとうございました」
「間違いなく助けたのはたまたまだ。それに覚えてねぇ」
「でも、それでも、ありがとうございます」
「お前、変わってんな。じゃあな」
で、帰ろうと踵を返そうとしたら。
「あの…、その…」
女はうだうだしていた。
「なんだよ。言いたい事があるなら言え」
「好き、です。」
「恋愛に興味ない」
「…ありがとうございます。ところで葛葉さんとは付き合ってるんですか?」
「あ?ちげぇよ。あいつとは約束してるだけだ。守ってやるってな」
「そんなんじゃ葛葉さんに振り向いてもらえませんよ」
「はっ、寝言は寝て言え」
俺はさっさと帰ることにした。
〜〜〜
もうすぐホワイトデーだ。なので俺は例年通りに家でチョコを大量生産することにした。
しかし面倒だ。しかし作らなきゃ狐が煩い。
高校に上がってから狐がホワイデーには三倍返しをしなくてはならぬ。とか言い出し、延々と女子の気持ちなどを聞かされた。寝落ちしそうになると頭を殴られ、面倒になりホワイトデーには三倍返しすると約束してしまった。
最初のホワイトデー、全員にチョコを返す為にチョコを買おうとしたらバカみたいな金額になった。狐から貰う小遣いじゃサイフがすっからかんどころかマイナスだ。
つか狐には、どうするか…
この前クソ苦いチョコを作りやがったからな。
仕返しに同じことをするのは嫌だし、う〜ん…
そうだ逆に、くそ甘いチョコにしよう。
われながら良い考えだな。
学校にはダンボールで持って行き、勝手に取っててもらう。放課後まで残ってるチョコもあるが、いつも翌日にはなくなってるので、そのまま放置して俺は帰る。
家に帰り、飯を食い終わり、狐は食後のティーを俺は茶を飲んでいた。
「ほらよ」
俺は狐にチョコを手渡した。投げると怒られるからな。
「ふむ」
狐はそう言い包装紙を丁寧に開いた。
「相変わらず凝った作りじゃのう」
「三倍返しだからな。それに、お前のは特別製だぜ」
ニヤリと笑ってやると。
「ほう、それは楽しみじゃ」
狐は素で笑っていた。
俺が何か言う前に、その小さい口でチョコをかじった。
「ふむ、総司」
チョコから顔を上げて、無表情でこっちを見た。
「な、なんだよ」
何故かどもってしまった。
「この甘さには、なにか意味があるのか?」
「……ただの仕返しだ」
これも何故か言うのに俺は躊躇った。
「で、あろうな。総司には一寸も期待はしていないが、はぁ、天然とは恐ろしいものじゃ」
「意味がわからん」
切実に意味がわからん。
「まぁまぁであった」
狐は椅子から腰を上げ、部屋から出て行った。
不可解さと俺だけが残った。
マジ意味がわからん。