羽衣狐ルート   作:眼鏡最高

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ごめんなさい。
ごめんなさい。
本当にごめんなさい。





第十六話 雨

学校が終わり帰ろうと下駄箱まで来たら。

土砂降り、さっきまで快晴だったろ…

 

「妾の傘に入れてやろう。お主が持て」

横にいた狐が折りたたみ傘をカバンから取り出し、俺によこした。ちっさい。

 

「二人は入らねぇだろ」

傘を広げたが、ちっさい。しかも狐の傘なので、なおさらちっさい。

 

「びしょ濡れよりはマシであろう。早くゆくぞ」

元々が狐の傘だし、狐が濡れないよう仕方なく傘を傾けて歩き出した。肩びしょ濡れ確定だな。

 

 

「総司、もっと寄れ」

校門を出たあたりで狐が言ってきたが。

 

「これ以上、どう寄れってんだよ」

 

「しょうのない奴じゃ」

そう言い狐は俺の腕に絡んできた。

 

「歩きづれぇ」

 

「役得であろう」

 

「はっ」

何を言ってんだが。

 

それから歩き続け。

帰り道の半ばまで来た時。

 

殺気。

空から針鼠っぽいのが降ってきた。

しかも針を飛ばしながら。

俺と狐は後ろに飛んで避けたが。

 

「クソが」

傘がぶっ壊れて、すぐにびしょ濡れになった。

 

「身の程知らずが、消えろ」

針鼠をぶっ飛ばし終わり、後ろを見やると。

びしょ濡れの狐は、明後日の方向の空を見ていた。妙に色っぽい…

 

「終わったか。うむ、帰るぞ」

 

「おう」

 

 

そっからは何事もなく家に着いた。

 

 

「風呂、入れ」

狐に言い、出迎えた狂骨にはタオルを取りに行かせた。

 

「一緒に入るか?」

 

「あ?誘ってのんか」

何故か低い声が自然と出ていた。

 

「おや、妾に欲情しておるのか?」

微笑みながら狐は首を傾げていた。

 

「…してるって言ったら」

ゆっくり近づき、狐との距離は一歩程になった。

 

「驚きじゃ。総司にも、そうゆう欲があったのか?」

さも、おかしそうに狐は笑っていたが。その笑いに腹が立ち、狐の両腕を掴み、一気に床に組み敷いた。

 

「女は嫌いではなかったか?」

 

「女は嫌いだが、女の体は嫌いじゃねぇ」

 

「ほぉ」

狐の目がスゥッと細められ、有無を言わせず、尻尾で吹っ飛ばされた。

 

「がっ!?」

俺は屋敷の外まで吹っ飛ばされ、大木を何本がなぎ倒し止まった。そして生まれて初めて胃液をビチャビチャと吐き散らした。

 

くそったれ…

しばらく俺は庭で動けず悶絶していた。

 

しかし、こんなにもダメージをくらったのは初めてかもしれん。少しして仰向けになり目を閉じ、容赦なく降る雨を感じていた。

 

 

 

 

うっとおしい。

まとわりつくような霧雨が降っていた。

 

早く家に帰って風呂入りてぇ。

ほんと、くそったれな雨だぜ。

 

そんな霧雨の中、俺は狐の隣を歩いている。

あれから狐はご機嫌斜めだ。

 

普段なら、あのよく回る口で俺の事をボロカスのけちょんけちょんに言うが、あれ以来、雰囲気や目で無言の圧力をかけてきやがる。

 

しかも一切、狐は無駄口をたたかなくなった。言葉のやりとりも極最小限にとどめてる感じだ。

 

そうとう怒ってんのか?

なんか悪いことしたか?

 

いや!

つーか!なんで俺がこんなにも狐の事を考えなきゃいけねぇんだ!阿呆らし!ヤメだヤメ!

 

今日の夕方のアニメはなんだったかなぁ?と思いを巡らしていたら、前から着物を着た女の妖怪が歩いてきた。

 

その女は、びしょ濡れで、物悲しい涙を流し、荒涼とした悲しみだけが伝わってきた。悲愴感が半端ないわ。

 

俺らとすれ違いざまに、女はつぶやいた。

 

「男は嘘つき、約束を破る、最低な生き物。可哀想、私が救ってあげる」

そして狐を襲ってきた。

俺の傘は、軽い音をたてて、地面に落ちた。

 

「こいつに手を出すなら容赦しねぇぞ」

女の腕を掴んで止め、睨みをきかしたが、相変わらず女の表情は暗いままだった。

 

「どうせ裏切るのでしょう?」

女は涙を流し、意味不明な事を言い出した。

 

「意味がわからん。おまえ何言ってんだ?」

女から手を放し、俺は一歩ほど距離を置いた。

 

「また嘘の言葉を並べるのでしょう?」

 

話が通じねぇ…

「…めんどくせぇ。とりあえず、ぶっ飛べ!」

 

一撃目は避けられたが、かえって逃げ場はねぇ!二撃目で、決める!だらっ!

 

ちっ。

 

「ほぅ、逃がしてやったのか?」

背後から狐が嫌味たらしく言ってきやがった。

 

「右腕は吹っ飛ばしたし、長くは持たねぇだろ」

 

「まぁどうでよい。しかし哀れな女じゃ。だが、最低な生き物とは同意じゃな」

俺を横目で見ながら狐は静かに言い放った。

 

「俺は、嘘はつかねぇ。最低かは知らんが、お前を守ると約束した。必ず、お前を守る」

 

「ふん。帰るぞ、総司」

 

「あぁ」

にしても、最近濡れてばっかりだな。

 

 

 

 

雨は!うんざりだ!

 

また今日も雨だ。学校の帰り道、曇天の空からポツポツ降ってきたかと思えば、今はザーザー降りだ。

 

狐が濡れるのを嫌がり、今は近場の軒下で雨宿りしてる。

 

無駄に雨の音を聞いていた。

そんな時、少し前に世話してやった水虎が血相を変えて走ってきた。そして俺に飛びつくように抱きつき、わんわん泣きはじめた。

 

アホのように泣く水虎を狐がよしよしと頭を撫でながら慰め、ようやく水虎が話はじめた。

 

助けてください。女の剣士が手当たりしだいに殺し回ってるんです。河童さんに助けを呼ぶように言われて、僕だけ逃がしてくれたんです。川獺さんや蟹坊主さんは殺されました。助けてください。

 

「あの川か?」

一通り水虎の話を聞き、俺は尋ねた。

 

「はい。そうです」

泣きながら水虎は答えた。

その返事を聞き、雨の中を俺は歩き出した。

 

「どこに行くのじゃ?」

ニヤニヤと狐が聞いてきた。

 

「散歩だ。…ついでに女剣士をぶっ潰す」

 

「ふむ。ならば妾も行こう」

おかしそうに狐は笑っていた。そして狐は一枚の葉っぱを広い「コンコン」と言うと、何故か葉っぱが和傘になった。

 

「おい…、なんだ、それ」

 

「どうした?そのような面白き顔をして狐にでも化かされたか?ん?」

 

「ちっ、さっさと行くぞ」

 

 

 

 

川辺には紅い野太刀を持った女が立っていた。

周りには妖怪の死体が転がってる。

 

女は俺と同じで傘を持たず、制服姿だ。

俺と狐と水虎が近くまで来ると女が声をかけてきた。

 

「なんですか、あなた達は」

その声は、とても冷淡な声だった。

 

「俺達を殺し回ってるんだろ。なら、俺の事もやってみろや」

俺は少しばかり妖気を出し、女を睨みつけた。

 

「…妖怪でしたか。聞きたい事があります。一週間前、私の友人が消えました。容姿は黒髪のポニーテール、性格は世話づきのお節介です。何か知っている事があれば話してください」

 

「知らねぇよ。つか覚えてねぇな。人間を殺すことなんて俺達にとっちゃ当たり前の」

 

俺が言い終わる前に、女は斬りかかってきた。刀が風を切る音を聞きながら、一応は刀を避けていた。腕はまだまだ、だが刀は良いモノ使ってやがる。

 

「お前程度じゃ、俺は斬れねぇよ」

腕で刀を受け止めると女は驚いた顔をしていた。

 

「じゃあな」

腕を振りかぶり、女の顔に拳を叩き込んだ。

人間の死体が一つ出来上がった。

 

「ふむ。獅子王か、いい刀だ」

狐は死んだ女には目もくれず刀を手に取り眺めていた。

「この刀は総司が持っておれ」

 

「あ?なんでだよ」

 

「お主が殺るといつもグチャグチャじゃ。子供の衛生上よくないであろう?」

そう言い狐は俺に刀を手渡してきた。

 

「別に変わらん気がするがな、つかコレどうするよ」

女の死体を指差し狐に聞くと。

 

「仕方ない。妾が火葬してやろう」

 

「よく燃えるねぇ」

 

「帰るぞ」

さっさと狐は歩き出した。

 

「あぁ」

俺は振り返り、水虎を見た。

 

「水虎。弱いままじゃ人間に殺られるぞ。強くなれ、誰にも屈指ないように強くな。じゃあな。」

 

あぁ、服が濡れてうざってぇ。

 

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