あと二三ヶ月、消えます。
戻らない場合は、死んでます。
もうすぐ修学旅行だ。
今日はその修学旅行の班決めをする事になっている。
俺と狐。
後の班員はニット、ガリ勉、ハム。本名は知らん。
女子は「葛葉森羅」の友達だ。色黒、メガネ、チビ、その三人。
「班員の名簿、提出してくるわ」
狐は席から立ち上がり教員に出しに行った。
「ほんとに朱天はさ。森羅と付き合ってないわけ?」
何故か色黒女がいきなり話し掛けてきた。
つか、またその質問かよ。他の奴に何度も聞かれる。うんざりだ。
「付き合ってねぇよ。つか前にも言ったろ」
席に座り、足を机に乗せたまま答えた。
「でもさ、いつも一緒に居るじゃん」
なおも色黒女は食い下がらずジーッと俺を見ている。
「小さい時に、守ってやると約束したからな」
あの時はびっくりしたな背とか縮んでよ。
まったく変な約束しちまったぜ。
そう俺が言うと皆は「ふ〜ん」とか「へぇ〜」とか言っていた。
「どうしたの?」
狐が戻ってきて、その話は終わった。
〜
で!来たぞ!
ネズミーランド!
テンション上がりまくりだぜ!
そんな時に狐が「少し落ち着け」と言い俺を殴った。
もちろん人には見えないスピードで、だ。
まず最初に俺達はお化け屋敷に向かった。
男女のペアで、俺は狐とのペアになり、一番最後に入った。
しかし、お化け屋敷は何が楽しいのか、さっぱりわからなかった。
で、お化け屋敷を出ると、あいつらは消えていた。
狐と二人だけだ…
「どうするよ?」
横の狐に尋ねると。
「まわっていれば見つかるじゃろう。行くぞ」
普段の口調で狐は返事をし歩き出した。
「んー」
俺は狐の背中を見ながら答えた。
んで、俺と狐は次にジェットコースターに乗り、自転車のモノレール、ゴーカート、水の乗り物、今はゲーセンに居る。
何をしているか、俺はUFOキャッチャーをしている。狐が狐のぬいぐるみを欲しそうに見ていたので、500円の大金を投入した。なんとか最後の一回で狐のぬいぐるみを落とす事が出来た。
「ほらよ」
狐に狐を投げた。
「なんじゃ、くれるのか?」
狐は狐を受け取り、腹の立つ笑い方をしていた。
「あぁやるよ」
油揚げのカップ麺を持った狐のヌイグルミなんて、いらんからな。
俺は歩き出し、どこに行くか考えていたら後ろから「うむ。可愛いのぉ」と狐の声が聞こえた。
ゲーセンを出て、すぐ近くにミラーハウスがあったので入り、ミラーハウスを出るとティーカップがあったので乗った。
うぐっ、調子に乗り過ぎた…
ティーカップを回し過ぎて気持ちわりぃ…
「回し過ぎじゃ…、馬鹿者め…」
狐もダウンし弱弱しい声だった。
狐を椅子に座らせ、俺は飲み物を買いに行った。
自販機で飲み物を買い、狐の所に戻ると、狐が男に囲まれていた。
近づいて行くと狐の声が聞こえてきた。
「連れが居ますので」「他の人を誘ってあげてくたざい」
目と鼻の先になり。
「遅いわ総司。待ちくたびれたわよ」
狐は葛葉森羅の口調で喋っていたが、目が、眼が笑っていなかった。
すこぶる御機嫌斜めだな。
「おいっ、俺の連れに何か用か」
ガン睨みしたが。
「ガキは帰りな」
「あ゛調子に乗ってんな中坊が」
「痛い目みたくないだろ。消えな」
「彼女は俺等がエスコートするから安心しろ」
俺が穏便に事を済ませようとしてやったのにコレだ。
とりあえず近くに居た一人をブン殴った。
他の奴らが殴りかかってきたので、全員ぶっ倒した。
「さぁ、行きましょうか」
にこやかに狐は言い歩き出した。
「…あぁ」
スゲー笑顔だったな。
ジュースを飲みながら移動し、少し離れた所にベンチを見つけ座った。
しばし緑茶を飲みながら、のほほんとしていた。
「あれに乗るか」
狐の目線をたどると。
「観覧車か」
そんな感じで観覧車に向かった。
並ぶ事も無く、すんなり観覧車に乗れた。
もう夕方だな。夕日が綺麗だねぇ。
「夕日が綺麗じゃのう」
外の景色を見ながらポツリと狐が呟いた。
「くっ、そうだな」
「なんじゃ?」
「なんでもねぇよ」
それから観覧車を降りた時に。
ニット、ハム、ガリ勉。
色黒、眼鏡、チビ。
皆と合流した。
で、俺達はホテル向かったが…
全員で迷子になっていた。
夜の繁華街を中学生が歩いてる。悪目立ちしてるな。
あっちこっち歩き、とりあえず駅に戻る事にした。
そんな時に、俺と狐以外の班員がフラフラと路地裏に歩き出した。
回り込んで顔を見ると、目がうつろだった。
こりゃあ妖気で操られてるな。
「おい、出て来い」
俺は自然とドスをきかせていた。
「はやようしろ」
棘がある声で狐は暗闇に向けて言葉を放った。
「おや、お仲間とは、これは失礼」
ホスト風の男が路地裏の暗闇から出てきた。
「てめぇみたいなのと俺を一緒にするんじゃねぇよ」
妖気が雑魚じゃねぇかよ。
「まったくじゃ。鉄鼠風情が生意気な」
めずらしく狐が俺に同意した。
「とっと消えな」
本気で睨んでやると、あっという間に鉄鼠は逃げ去った。
ニット、ハム、ガリ勉、女子の連中も意識が戻り、特に大事無いようなので駅に向かった。駅に着き、北口と南口を間違えていた事が判明し、無事に俺達はホテルに到着した。
その後は何事も無く、修学旅行は終わった。