蒼き炎が照らすもの   作:96犬くん

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一話 首斬りザンク

帝都の辺境に位置する場所

ここには帝都でも有名な殺し屋集団であるナイトレイドのアジトがある。

 

 

ナイトレイドのマークが堂々と飾られた大部屋。

 

その中央には厳つい義手を装着した白髪のイケメンな男性…ではなく女性はナジェンダ。

元帝国将軍であり、現在ナイトレイドのボスの役割を担っている。

 

ナジェンダは今回の標的を皆に説明する。

 

「今回の標的は帝都で噂の連続通り魔だ。深夜無差別に現れ、首を切り取っていく…もう何十人殺されたかわからん」

 

「その中の3割は警備隊員なんだろ?強ぇな」

 

茶髪の少年…タツミは今回の被害を考えながら息を呑む。

 

「間違いなくあの"首斬りザンク"だろうね」

 

タツミと違い、緑髪にゴーグルをつけた青年…ラバックは現状を細かく分析している。

 

「なんだソレ?」

 

「知らないの?ほんとド田舎に住んでたのね」

 

「私も知りません…」

 

眼鏡をかけた紫髪の女性…シェーレもタツミに便乗する。

 

「シェーレ…アンタは忘れてるだけでしょう…」

 

そして改めてタツミの疑問にツインテールの少女…マインが説明する。

 

「首斬りザンク…元は帝国最大の監獄で働く首斬り役人だったんだけど、大臣のせいで処刑する人数が多くてね。何年も続けているうちに首を斬るのがクセになったそうよ」

 

マインが細かく説明する。

 

「そりゃおかしくもなるわな…」

 

「討伐隊が組織された直後に姿を消しちまったんだが…まさか帝都に出てくるとはな」

 

立派なリーゼントを携えた大男…ブラートが補足する。

 

「ザンクは獄長の持っていたが帝具を盗んでいる。十分用心しろ…それと最近帝都で焼死体が相次いで見つかる事例が報告されている。こちらも気をつけておけ」

 

「焼死体か」

 

黒髪を腰まで伸ばした赤目の少女…アカメが小さく呟いた。

 

 

 

 

同時刻帝都にて

 

「『首斬り』ねぇ…」

 

ユウイは手配書を眺めながら呟く。

 

「何かお探しかな?」

 

突如背中から声をかけられる。

 

「あ?誰だお前?」

 

振り向いた先にいたのは額に目の様な装飾品を身につけた大男。

 

「あぁ…失礼。『首斬り』ザンク。よろしく頼むよ」

 

「…荼毘だ。よろしく」

 

お互いに殺意をぶつけ合いながら2人は不気味に笑っていた。

まるで面白い獲物を見つけたかの様に…

 

先に動いたのはユウイだった。

 

ゴォッ!

 

ほとんどノーモーションで炎を放つ。

 

「あぁ…愉快愉快」

 

「今のを避けんのかよ…」

 

不意打ちであり必殺の一撃を躱され俺はダルそうに悪態をつく。

 

「君いいねぇ…オレの干し首コレクションに加えてやろう」

 

「いや、遠慮しとく」

 

ザンクは俺の攻撃をことごとく躱して行く。

 

(なんだ?心でも読まれてんのか?)

 

「ピンポーン。俺の帝具【五視万能•スペクテッド】の能力の一つ、これは洞視だな。表情を見て相手の思考を読み取る、まぁ観察力が鋭いの究極系だな」

 

「なんだそりゃ、反則だろ」

 

めんどくさそうに呟きながら続け様に炎を放つ。

 

「ほぉ最大火力か…怖いねぇ」

 

ゴォォォォォオ!!!

 

先ほどとは比べ物にならない規模の炎がザンクに迫る。

 

「危ない危ない」

 

ザンクはそれをも簡単に躱す。

 

「これも避けんのかよ…」

 

俺の右手は最大火力の代償に大火傷を負う。

 

(はぁ…心を読まれるってのはこんなにもやりにくいのかよ)

 

俺はザンクと戦闘を続行する。

 

 

 

 

「私達の受け持ちはこの区画だ」

 

タツミ•アカメペアは帝都でターゲットであるザンクを暗殺すべく帝都を探索している。

 

「帝都住民は辻斬り怖さで外出ていないな。逆にやりやす……ムグッ!?」

 

タツミの発言を遮り、アカメはタツミを無理矢理柱に隠す。

 

「帝都警備隊だ。ああいう連中もいる。気をつけていこう」

 

アカメたちは帝都を探索しているとどこからか何かが焦げる様な臭いがすることに気づく。

 

「なぁアカメ…何の匂いだろ、これ」

 

「何か焦げている様な匂いだな。二手に分かれて探してみよう」

 

「了解!」

 

アカメとタツミは素早く指示を出し合い、二手に分かれて夜の帝都に消えていった。

 

 

 

アカメと別れたタツミは青白い光を発見し、その場所に向かっている。

 

「え!?何だこれ!?」

 

現場に到着したタツミは目を疑っていた。

 

額に目?の様なものを付けた大男と両腕に火傷を負っている長身の男が戦闘を繰り広げていた。

 

 

 

 

 

 

(ああ…ダルい)

 

そんなことを考えながらも攻撃の手は緩めない。

 

「そろそろ両腕が痛くなってきたんじゃないか?」

 

「気にすんな」

 

確かにもう両腕はボロボロだが、まだ動ける。

 

何度か攻防を繰り返していると、背後から少年?の様な声がする。

 

「え!?何だこれ!?」

 

「あ?」

 

俺は咄嗟にザンクの視界を奪う。

 

(どうやら視界を封じられると帝具は使えねぇみたいだな)

 

俺は爆発を推進力に剣を背負った少年のもとに向かう。

 

「うわっ!なんだ!?」

 

少年は驚きの声を上げる。

 

(まだ若いな…俺よりも5、6歳下か?)

 

「おいガキ…こんなところでなにしてんだ?危ねぇからさっさと帰れ」

 

俺がそう忠告してやると

 

「お、俺…『首斬りザンク』って奴を倒しにきたんだよ!おちおち帰れるかっての!」

 

ここにきた動機に驚く。

 

「ってことは戦えるって事だよな?」

 

「お、おう」

 

「俺も事情があってそいつを消したいんだわ。」

 

「ザンクを倒すのを手伝ってくれってことか?」

 

「ああ。礼はアイツの懸賞金の半分でどうだ?」

 

「そんなのいらねぇよ!俺は街の人たちが安心できるならなんでもいい!」

 

「へぇ…大層な志をお持ちのようで…今は"荼毘"で通してる。短い間だがよろしく頼むぜ」

 

「おう!よろしくな」

 

俺が少年と取引を終え、改めてザンクに向かい合う。

 

「2対1か…」

 

ザンクが考え込む様に呟く。

 

「いくぞっ!」

 

すると少年がザンクに向かって突撃する。

俺はそれに合わせる様に左手を突き出し、炎を放つ。

 

本来なら少年と俺の心は読まれ避けられる筈…だがザンクは少年の攻撃を避けきれなかった。

 

「くっ…」

 

「あれ!?心読めるんじゃねぇのかよ?」

 

少年が少し戸惑う。

 

(ああ…なるほど)

 

俺は一つの結論を出す。

 

「お前…心読めるって言っても1人だけなんだろ?」

 

俺の発言にザンクは目を見開く。

 

「図星か?ならどっちの心を読むべきか、よく考えろよ?」

 

俺はそう吐き捨てながら炎を放つ。

 

「おい…俺の炎に合わせろ」

 

「っ!了解!」

 

「この…クソッ!」

 

(アイツは十中八九俺の心を読んで来る筈…なら俺は牽制し続けりゃいい。あとはアイツの技量次第だな)

 

俺の負けがあるとすれば少年がザンクに殺されること。そうなれば再び俺が後手に回ることになる。

 

そんな俺の危惧は杞憂に終わる。

 

「へぇ…アイツやるじゃねぇか」

 

少年はザンクと互角以上に斬り結んでいる。

 

「首ばっか斬ってた様な奴に負けるかよ!!」

 

少年は威勢よく吠える。

 

すると、突如としてザンクの動きが少年に追いついて行く。

 

「黙れ!!」

 

「!?」

 

ザンクは帝具を俺ではなく少年に使用する。

 

ザンクの2本の刃が少年の首に迫り、そのまま少年の首を……斬ることは無かった。

 

俺は炎を放ち、ザンクの剣を破壊する。

 

「なっ!?」

 

「…俺から目、離しちゃダメだろ」

 

帝具の縛りから解放された俺はザンクとの距離を一気に詰める。

 

俺の両腕は度重なる火炎放射でもうボロボロだ。

特に右手はもうダメだ。

 

(だが…)

 

俺は左手をザンクの至近距離で向ける。

 

(右手は最初の最大火力から既に限界…だからこれで本当に最後の最後…)

 

「あばよ」

 

序盤に出した今自分の出せる最大火力をお見舞いする。

 

咄嗟に俺の思考を読んだザンクは叫ぶ。

 

「畜生ぉぉ!!」

 

「あばよ」

 

ザンクは蒼炎に飲み込まれ、断末魔をあげる。

 

「すっげぇ…」

 

少年は小さく呟く。

よく見ると少年は至る所に傷がある。

 

「…悪かったな。巻き込んじまって」

 

「いや…俺こそ助かったよ。俺だけじゃ絶対勝てなかったから…」

 

お互いに礼を言い合っていると、少年が質問してくる。

 

「なぁ…アンタはなんでザンクと戦ってたんだ?」

 

「別に理由なんてねぇよ。ただ…」

 

「ただ?」

 

「気に入らなかったからかな」

 

俺は少年に自分が殺しを行う理由を話す。

 

「俺は今を壊す。そして証明する。『救われなかった人間などいなかった』とへらへら笑ってるこの国をな」

 

話していると周りから複数の足音が迫る。

 

「ああ…帝都警備隊か?まぁ、これだけ派手に騒いだらそりゃ来るよな…おいガキ…?」

 

さっきまで少年がいた場所を見てみが、少年はおらずザンクの額にあるはずの帝具が消えていた。

 

「…まぁ、いいか…」

 

足音がして逃げるということは何か事情があるのだろう。

 

俺は深く考えず、警備隊員に事情を聞くため連れて行かれた。

 

 

 

 

 

タツミは帝都警備隊が迫って来たため、急いでその場を後にした。

ついでにザンクの帝具を持ってきた。

 

「タツミ!どこ行ってたんだ?」

 

アカメはタツミの傷だらけの体を確認すると事情の説明を求めてくる。

 

タツミは先ほどの出来事を説明し、ザンクの帝具【スペクテッド】をアカメに渡す。

 

「"だび”と名乗った青い炎を操る男…か」

 

「うん。何か知ってんのか?」

 

「いや…ボスに報告しよう。タツミ、帝具の回収ご苦労だったな」

 

 




閲覧ありがとうございました!!
読みにくかったらごめんなさい。
こうやったら読みやすい!とかこういうところが読みにくい!みたいなのあったらコメントよろしくお願いします!


補足
ユウイ(荼毘)は最大火力を放出した後でも痛みに我慢できれば炎を放出することはできます。
そしてユウイは度重なる能力の使用により痛覚が麻痺してしまっています。ついでに危険種の血のおかげで再生能力も異様に高いです。
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