ユウイはクロメの事はクロと呼んでおり、妹の様に考えている。
そのため少し過保護である。
そして薬物強化や人体改造などの非人道的な行為は基本的に嫌っている。
ここは帝都近郊に位置するギョガン湖。
ここには山賊達の根城となっている砦が存在している。
「地形や敵の配置は頭に叩き込みましたが作戦はどうしましょう?」
ランはそう俺たちに確認を取る。
ランはその頭の良さからエスデスがいない場合の行動隊長に任命されている。
ちなみに副官は俺らしい…なんでだよ
「めんどいから正面突破で」
「正義は堂々と正面から!」
俺とセリューが全く同じ意見を出す。
そして俺は砦を囲む様に高さ約15メートル程の炎の壁を発生させる。
「ユウイすげえな!」
「まぁ努力の賜物だな。あと本部以外では荼毘で頼む」
「あっそうだった。すまねぇ」
俺の炎壁を見たウェイブが声を漏らす。
これだけ炎を操れる様になるまでどれだけ腕に火傷を負ったことか…
「敵だ!!皆集まれ!!!」
そして、それを見た見張り台の男が声を上げる。
すると俺たちはあっという間に包囲されてしまった。
「おいお前達!ここがどこだか知ってて来てんのか?ああ!?」
「正面からとはいい度胸じゃねぇか!!」
「生きて帰れると思うなよ!!?」
山賊達は俺たちに次々といかにも賊らしい言葉を投げかけてくる。
だがその中に俺の見過ごせないフレーズが入っていた。
「うっはーっ可愛い女の子もいるじゃねぇか!たまらねぇなぁ連れて帰ってお楽し…ぐがあぁぁぁあ!!!!?」
下品な眼差しをセリューとクロメに向けていた山賊。
俺は地雷を踏み抜いたそいつを炎で焼死体に変える。
「「「「「!?」」」」」
山賊達の視線が一気に俺に集まる。
「おい…セリューはともかく、クロに色目使ってんじゃねぇぞ…死なすぞ?」
「ちょっ!ユウイくん!私はともかくってどう言う意味!?」
「お兄ちゃん…」
俺の言葉にセリューは猛反発し、クロメはぽっと頬を赤く染める。
俺そんな変なこと言ったか?
「うう…!!納得いない!コロ!5番!」
まだ煮え切っていないセリューはコロに素早く指示をする。
5番?何のことだ?
するとコロはなんとセリューの右腕に噛みつく。
そしてコロが口を離した時、セリューの右腕には凶悪なドリルが露わとなっていた。
「また人体改造か?無理すんなよ」
「心配無用だよ!…失った両腕の代わりにドクターから授けてもらった私の新しい力…"十王の裁き"!!もうユウイく…じゃなくて、荼毘の足は引っ張らない!」
そのまま敵を蹂躙しながら、続いて『7番』と叫び巨大なライフルを出現させる。
どう見てもセリューよりデカイじゃねぇか…どう言う原理だ?
「実に見事な殲滅力ですね」
「もうあいつ1人でいいんじゃないかな…」
ランとウェイブが声を漏らす。
「あんまり無理させたくねぇんだが…」
「あら、いい観察力ね。そう、"十王の裁き“は強力だけど使えば使うほど使用者の体力を蝕む」
俺の予測はスタイリッシュによって肯定される。
「お前がアイツにアレ付けたのか?」
俺はスタイリッシュを睨む。
「ええそうよ!私の帝具【神ノ御手•パーファクター】は手先の精密動作性を数百倍に引き上げる。んもう最高にスタイリッシュな帝具なのよ!アナタ達がどんな大怪我しても死んでない限りはアタシが完璧に治療してあげる♡あっ…でも勘違いしないでね。彼女は自分から申し出て来たのよ?もうあなたの足を引っ張りたく無いんですって」
「アイツの意思ならそれでいいが…」
「ドクターは支援型の帝具だから護衛が必要だよな…」
ウェイブはスタイリッシュの身を案じる。
「うふふ、ありがと♡でもその優しさはプライベートにとっておいて♡」
そしてスタイリッシュは指を鳴らす。
すると周囲からぞろぞろと仮面をつけた不気味な集団が一斉に現れる。
「彼らは帝具で強化したアタシの私兵よ」
スタイリッシュが嬉々として帝具自慢をしているとクロメが小声で耳打ちしてくる。
「ねぇ…お兄ちゃん、話長いし一緒に…行こ?」
「そうだな…行くか」
俺達はスタイリッシュを無視して砦に突入する。
「あの…話してる最中にユウイくんとクロメさんが突入してしまいましたよ?」
「はやっ!」
「あの子たち…人の話を最後まで聞きなさいよ!」
あとで聞いた話だが、スタイリッシュは結構怒ってたらしい。
俺はクロメの戦いっぷりに感心していた。
今の10代ってあんなに動けんの?
「こんな奴ら…能力を起動させるまでもない…全部片付いたら組み替えて遊んであげる…お人形さんたち…」
「クロ…そりゃダメだ」
俺はクロメを背後から抱き寄せる。
「えっ?お兄ちゃん?わ、私何かダメだった?」
クロメの発した言葉…『全部片付いたら組み替えて遊んであげる』これはおそらく人殺しを楽しんでる奴のセリフだ。
「人殺しは楽しんじゃ終わりだ…戻れなくなるぞ?」
俺はクロメを軽く叱る。
「ご、ごめん…気をつける…」
「分かればいいんだよ」
俺はクロメの頭を軽く撫でる。
するとダンッと発砲音と共に1発の銃弾が飛来する。
狙いは俺の額。
そのまま銃弾は俺の頭に命中…
する事はなかった。
俺は右手を銃弾に向ける。
すると銃弾は掌に触れた瞬間、突如として灰となる。
「人が話してる時は静かにしろって習わなかったか?まあいいや」
原理は簡単。
俺は何度かの戦闘によって腕を幾度となく回復している。
俺の皮膚は治れば治るほど炎…と言うよりは熱に強くなるのだ。
そしてそれの応用で掌に熱をを溜める。
すると掌の温度は約数千度。
それに触れた物質は燃える暇もなく灰になる。
「じゃあな」
俺は左手の爆破によって発砲した山賊の場所に一瞬で移動し、熱を帯熱させた右手で顔に触れる。
「っ!?」
山賊は声を上げる暇もなく灰になる。
「実戦で初めて使ったが…殺傷能力高すぎだな」
俺は新技の感触を確かめる。
同刻
「射殺せ!」
山賊達はボルスに向けて夥しい数の矢を射出する。
ゴウッ
ボルスは己れの火炎放射型の帝具【煉獄招致•ルビカンテ】で放出した炎を横に薙ぎ払う。
「…これもお仕事だから」
山賊達の断末魔が響き渡る。
「ぎゃあああああ!!!!」
「あ、あぢいよおおおお!!!なんなんだよこの炎!?なんで水かぶっても消えねぇんだよおおおお!!」
「だ、だずげでええぇ…」
ルビカンテから放出される炎は消して消える事はなく、対象が灰になるまで燃え続ける。
そこから少し離れた場所で燃え盛る同胞を見つめる山賊達。
「じ、冗談じゃない!こんな地獄さっさとおさらばしてやる!」
数名の山賊達は砦を逃げ出すが、行く手は蒼炎の壁に阻まれる。
「ちっ…どうすりゃ…」
1人がそう呟いた瞬間
バシュシュッ
と小さな音と共に山賊達の頭が貫かれる。
音の正体は小さな羽。
「あ…れ…?天…使……」
山賊の1人が宙に浮かぶランの姿を確認するとそう小さく呟き、力尽きた。
「ふう…ユウ…荼毘のおかげで取り逃さずに済みました」
ランは小さく安堵の息を漏らす。
翼の帝具【万里飛翔•マスティマ】
それがランの所有する帝具の名だ。
それから俺たちは各々の力で山賊達を瞬く間に殲滅していった。
砦から少し離れた丘の上。
タツミとエスデスはイェーガーズの殲滅戦を眺めている。
「すげぇ…」
タツミが小さく呟く。
「タツミ…お前は私が育てる。これぐらいできる様になるぞ」
「なんだか…いやに優しいんですね」
タツミはエスデスの意外にも優しい物言いに困惑している。
「ん?聞いていたイメージと違うか?実は私もこんな気持ちは初めてなんだ。誰かを好きになるというのはな。だが…悪くない」
「…!」
タツミはあわよくばエスデスを革命軍側に引き込めるのでは?と考えていた。
殲滅戦の翌日
「よお、大分疲れてんな」
「昨日はよく休め…なかったみたいだな。その様子じゃ」
ウェイブと俺は疲れが目立つタツミの事を気遣う。
あらかた、一晩中オモチャにでもされたのだろう。
「緊張して朝まで眠れやしなかった」
どうやら朝まで抱き枕にされたらしい。
「クロは午前中だってのにお菓子か?」
「別にいいでしょ?」
「もう少し海産物を口にした方がいいぞ」
「そうしたらウェイブみたいに磯臭くなる」
クロメはしれっとウェイブをディスる。
「何?」
クロメを凝視してたタツミを訝しむ様に声をかける。
「いや…失礼かもだけど、手配書のアカメって人に似てるなって思って」
「あ、それ俺も思った」
タツミの疑問にウェイブも同意する。
「ああ…優等生の身内だよ。帝国を裏切っちゃったんだけどね。早くもう一度会いたいなぁ…会って…私の手で殺してあげたいの。大好きなお姉ちゃんだも……痛っ!」
「姉妹は仲良くな」
俺はクロメの頭を小突きながら咎める。
「お兄ちゃん…」
うー、と可愛く唸るクロメの頭を撫でながらウェイブ達と談笑していると
「今日から数日狩りに行くぞ!フェクマだ!ユウイとクロメ、ウェイブも共をしろ」
「「「了解」」」
「夕方までは私、クロメ、ユウイで東側。ウェイブとタツミで西側を探索する。ユウイとクロメはそこが見えないからな。これを機に隊長としてその実力を測ろうと思ってる。夜になったらウェイブとタツミには交代してもらう。その時はタツミは私とだ」
「あー…ウェイブ、夜になったら帰っていいぞ」
「うん。別にいなくていい」
「「っえ!?」」
エスデスの発言と俺とクロメのウェイブディスりに2人は声を上げた。
フェクマ…フェイクマウンテンと呼ばれる山には擬態を得意とする危険種が複数生息しており、戦闘における観察眼を鍛えることのできる山だ。
そんなフェクマに到着した俺、クロメそしてエスデスは大した苦戦もなく危険種を狩り続けている。
「…クロ、少しいいか?」
「え?どうしたのお兄ちゃん?」
「お前…体になんか違和感ないか?」
「?別に平気だけど」
「ならいいんだが…」
俺は少し気がかりなことがあった。
あとでドクターにでも相談してみるか。
追加
ユウイの新技
ため込んでいる部位の温度は数万度に及ぶ。
今の段階で一瞬で灰に変えられるサイズは精々成人男性程度で掌以外でも前腕のどこであっても使用可能だが右手で3回、左手で2回程度しか使用できない。(これは負担なしで使える回数で傷が治るたびに回数は増える場合がある)
数万度のものに触れると一瞬で灰になるって設定ですが、完全な想像で作りましたので物理に詳しい方で訂正ありましたらお願いします。
ヒロアカの敵連合好きすぎて…弔くんの要素追加しちゃいました。
マジで弔くんと荼毘が大好きなんすよ…
ちなみにユウイの能力は荼毘の個性にかっちゃんの個性を足して、応用で弔くんの個性の劣化版みたいな使い方もできるって感じです。