目を覚ます。
ぐらつく視界、揺れる意識。
滲んだ目に映る光景は、いつの間にか別のものに変わっていた。
「……ここ、は」
「あ、お姉さん、意識戻ったみたいです。流石に強化者ですね、怪我ももうほとんど治っています」
「そうですか、良かった……。じゃあ、俺はこれで」
近くで、誰かの話す声が聞こえる。
呻き声を上げつつ、トウジはわずかに身体を起こす。
「無理に動かなくて大丈夫ですよ」
彼の顔を覗き込んだのは、白衣の男性医師だ。
思わず目を瞬かせるトウジ。
首を動かして周囲を見渡してみると、清潔感のある白い内装が目に入ってくる。
「……病院?」
「ええ。道で倒れているところを、通りがかった男の子が見つけたみたいで」
「道で倒れてた……? その、私は危険区域の博物館にいたはずなんですが」
言いながら、壁にかけられた時計を見る。
いつの間にか、時刻は昼前になっていた。
(あの博物館の閉館時間は確か、十八時だった……。一体どれだけ気を失ってたんだ……? それに、存在が消えるっていうのはどうなった? 身体のどこかがなくなってたりは……)
トウジは困惑しながら身じろぎする。
身体は普通に動くし、手足などを欠損している感覚もない。
だが、具体的にどこかはわからないが、多少の違和感がある。何かがない気がする。何かを忘れているような、思い出したくないような、奇妙な感覚。
気になったトウジは上体を起こし、自分の身体を見下ろした。
「……ん?」
胸元が、膨らんでいた。
「え――、あっ、いや、待っ……、うわ……」
複雑な感情が入り混じった声。
困惑とも諦観ともつかないそれを漏らしながら、がっくりと項垂れ、額に手をやるトウジ。そんな手のひらに感じるのは、伸びた前髪の感触だ。
(そうだ、そうだった、思い出した……。あー、なくなってる……なくなってるよ……)
戸惑いつつも、自分の身体をぺたぺたと触っていくトウジ。
あの時は気にしていられるような状況ではなかったが、こうして落ち着いた状況で確かめると、自分の身体が変わってしまったことがよく分かる。
体は全体的に華奢になり、筋肉も落ちて柔らかい。喉はつるりとして出っ張りがなく、下半身のそれに関しては言わずもがな。後頭部に手をやれば、長くなった髪の毛が腰の辺りまで続いていることにも気がついた。
「……あの、すいません。手鏡ってあります?」
「顔に傷などはありませんが、確認したいならどうぞ」
医師が机の上にあった十五センチほどの鏡を手渡してくる。
「……ああ……」
トウジはそれに自分の顔を映し、なんとも言えない感情を抱いた。
映ったのは、トウジと同じ年頃、二十歳ほどの女性である。
ぱっちりとした二重まぶたに、長いまつ毛が備わった緋色の瞳。顔立ちは非常に整っており、端麗でクールな印象を抱かせる。黒の長髪はさらりとして、艶やかな輝きを宿していた。体格はスリムであるが、胸はダブついた服の上からでもわかる大きさだ。
率直に言って、トウジのタイプだった。
(……咄嗟にやったから、無意識に理想の女性像を反映したんだろうな、多分……。ところどころ俺の要素が残っている気はするけど……)
妙な気恥ずかしさを覚えつつ鏡を返す。
「すいません、もう大丈夫です。後のことは自分の能力でなんとかするので」
「そうですか? 痛み止めと抗生剤だけでも処方しようと思ってたんですが」
「いえ、本当に大丈夫です。ありがとうございました」
医師に礼を言って部屋を出るトウジ。
待合室の会計カウンターに向かいながら、彼――否、今は彼女というべきか――は、今後のことを考える。
(というか、
推測を巡らせながら、受付職員と会計の手続きをするトウジ。
「えー、健康保険証が無いので、ひとまず七割負担となりますが」
「あ、はい――って、七割? いや保険証見せたんですけど」
「だってこの保険証、別の方のものですよね? 性別欄も男性になってますし」
「いやその、これは違うんですよ。本当に私のものなんです。色々と事情があって……」
職員に対して弁明する。トウジの財布には一応ギリギリで診察費が払えるだけの額があるが、これを使い切るともう彼女は一文無しになってしまうのだ。
ちなみに、他人に話しかける時のトウジの一人称は基本的に「私」である。後暗い仕事をしていたトウジだが、それでも仕事をしている以上丁寧語は使うのだった。
(くっそ、あんな馬券買うんじゃなかった。これまでのレース結果五年分見返して予想したのに全然当たらねえし)
内心で悪態をつくトウジに、職員が言う。
「何なら、弟さんに持ってきてもらっても結構ですよ?」
「? 私に弟はいませんが……」
「あれ、違いました? 付き添いで来てた子なんですけど」
職員が病院の玄関口を指し示す。
「ほら、入り口に立ってる男の子です。強化学院の生徒さん」
「ああ、あそこの、少年、が――」
――そこに、竜胆トウジがいた。
「……は?」
それを見たトウジは――職員と会話しているトウジは、思わず目を擦る。
だが、見間違えなどではない。瞳に映る緋色は、代々強化者の家系である竜胆一家特有のそれだ。
そして、職員にも同じものが見えている以上、幻覚でもない。
(なんだアレ、ドッペルゲンガー……!? そういうタイプの強化者か
そこにいた竜胆トウジは、少年というべき年格好だった。
見た限り、背は百六十センチ半ばほどだろうか。女になっている今の自分よりまだ低い。着ているのも、国立強化者養成機関、通称、強化学院の男子制服だ。
「ってことは……もしかして、時計型の
――まさか、そういうことなのか?
トウジの脳内に浮かぶ、一つの仮設。
彼女はまるで、恐る恐るといった風に、受付職員へ問いかけた。
「あの、今年って、
「いえ? 今年は
咄嗟に周囲にカレンダーを探す。カウンターに置いてあったその日付は、令成十年、八月十七日。
ポケットに突っ込んであったハズレ馬券を見る。そこにあった発行日は、令成十五年、八月十七日。
「五年前……!?」
困惑するトウジ。
慌てふためく彼女に対し、受付職員が言う。
「あの、さっきの子出て行っちゃっいましたけど、大丈夫なんですか?」
「なっ……す、すいません! わかりました、七割負担でいいんで、俺はこれで!」
財布の中に入っていた金を全てカウンターに出し、病院を出る。
(あり得るのか……? どんな強化者でも
トウジは半ば混乱しつつ、出ていった少年を――否、『過去の自分』を追った。
「おいっ、待て! そこの、ええと何だ、そこの少年! 竜胆トウジ! くそっ、思ったより足速いぞ過去の俺! っていうかこの身体、走りづらい!」
過去の自分を追って走るトウジだが、身体を変化させたばかりのために、上手く動くことが出来ない。
「ああもう、走ると痛いんだな、胸……!」
ボヤきながら、《ウロボロス000》で胸の靭帯などを強化し、同時に自分の動きに補正をかけていく。
そうしている内にどうにか走るのにも慣れてくるトウジだが、結果として過去の自分を見失った。
能力を使うのに気を取られてしまったのだ。
(どこ行った……? 八月十七日ってことは、まだ夏休みだよな? いや、でも確かこの時期は補習があったはず。なら、学校か?)
ここから強化学院に行く道はいくつかあるが、学生時代のトウジが使うならば川沿いの道だ。そちらに向かって駆け出していく。
しかし、とトウジは思う。
――とりあえず追いかけてしまったが、自分は、過去の自分に干渉して一体何をするつもりでいたのだろうか?
タイムスリップというのは、物語において非常にポピュラーな題材だ。トウジだっていくつもそういう作品を見たことがある。
そういう作品において、過去の自分や、自分に関わるものへの干渉というのは極めてデリケートな行為だった。
有名なもので言えば、「親殺しのパラドックス」、あるいは「自分殺しのパラドックス」だろう。
未来から過去に行って、過去の自分を殺した時、未来の自分はどうなるのか、という話だ。
過去の自分が死んだことで未来の自分がいなかったことになるのか、かつての未来は消滅し新しい未来が作られることになるのか、それとも矛盾によって時間という法則が壊れるのか、あるいはそもそも未来の自分が存在する以上過去の自分は殺せないようになっているのか。取り扱う作品によって解釈は様々だ。
今トウジに起こっているタイムスリップがどういうものなのかはわからないが、下手に干渉すれば、今ここにいる自分が消えてしまう可能性も有りうる。
トウジは立ち止まり、ひとまず慎重に行動することを考慮する。そしてそんな考えは――
「おら、どうした竜胆。せっかく落ちこぼれのお前のために、Cランクの俺と、Dランクのこいつらが模擬戦に付き合ってやってんだぜ? さっさと立てよ、Fランク」
「御剣ぃー、これもう竜胆のやつ補習いけなくなるんじゃね? あーあー、マジで落第だなぁ、こいつ」
「何したってこいつ能力で勝手に治るだろ? それに、俺らが何もしなくたってどうせ落第だ。ここで退学しとけば、無駄な勉強しなくて済むじゃねえか、なあ?」
「ははっ、確かにな! 間違いない!」
――目の前で同級生たちに
「御、剣ィイイイイイイイイイ!!!」
まるで足元を噴火させるように、凄まじい速度で突進するトウジ。
叫びながら走ってくる彼女に対し、ハヤトと、その取り巻き二人は思わず背後を振り返る。
「なんだ――」
だが、その反応は五年後のハヤトに比べてあまりにも遅い。
トウジは既に、自分の人差し指の腹を噛んでいた。作った傷口は銃口に見立てられ、手はピストルの形でハヤトに突きつけられている。
直後に放たれたのは、まるで、レーザーのような赤い一撃だった。
ドギュアッ! と凄まじい勢いで飛来する一撃。
それは、トウジの指先から高圧で噴射された血液である。肉体操作の応用によって、傷口からウォーターカッターのごとく撃ち出された鮮血の矢。
トウジが『
「ぎ、ぁあああああっ!?!?」
「み、御剣ッ!?」
手を抑えてうずくまるハヤトと、動揺する取り巻き。
それを見ながら、トウジはチッと舌打ちをする。
この『レッドライン』も、無限再生があった頃ならいくらでも連射出来た。
しかし、今では二、三発撃てば貧血になって倒れてしまう。
(こいつさえ、こいつさえいなければ今頃は――!)
トウジは憤怒に突き動かされるまま、ハヤトに向かって突き進む。
「ちくしょう、なんだこの女!」
取り巻きの片方が、銃を構えた。
しかし、それも遅い。もうトウジは取り巻きのすぐそばまで来ている。
トウジは長く伸びた自分の髪を梳き、指に絡まった毛を取り巻きに投げた。《ウロボロス000》によって髪は蛇のように動き、取り巻きの銃に絡みつく。
「なんっ、おかしい、銃が――」
髪によって安全装置も引き金も撃鉄も固定され、動かなくなった銃に戸惑う取り巻き。
その顔面を、トウジは渾身の力で容赦なく殴り飛ばした。
「ごふぁうばっ!?」
いくら身体能力の高い強化者とはいえ、女性ではあり得ないほどの重い一撃。それは、肉体操作によって生み出された極限の
トウジの為す全ての力は衝撃力に変換され、取り巻きは軽く十数メートルほど宙を吹き飛ぶ。体は勢いよく地面に落下し、しかし運動エネルギーを殺しきれず何回も転がった。
「ひ、ひぃ――」
もう一人の取り巻きが、その場から逃げ出そうと靴につけたタイヤを回転させる。それが彼の能力であり、武装なのだろう。
だが、逃げる直前に、彼の身体もトウジの投げ放った髪に囚われた。
「ぶっ――!?」
バランスが取れないままタイヤを回転させたことにより、取り巻きは顔面から地面に転ぶ。
その一瞬後には髪のワイヤーで身体を地面にくくりつけられ、一切の身動きを封じられた。
「よぉ、今も昔も変わんねえなあ、御剣ィ……!」
トウジは転んだ取り巻きの頭を踏みつけながら、うずくまるハヤトを見下ろす。
「な、なんだ! 誰だお前――」
「口開いてんじゃねえよクズが!」
ゴッ! とハヤトの顎がトウジのつま先に打ち上げられる。
「クソが、クソが、クソ野郎が! ああ、こういうやつだった、忘れてた! テメェは最初からこういうやつだったよ御剣! あの時お前の言うことを信じたのがバカみたいだよな、なぁ!?」
「げ、ご、ぶ……!」
怒鳴りながら、トウジは何度もハヤトの顔を殴りつける。
そして、殴るだけでは終わらない。腹を蹴りつけ、膝を入れ、貫手で肺を刺し、首を締め上げ、胸ぐらを掴み、地面に叩きつけ、懐からナイフを取り出す。
「お前は殺す。死ね」
そして、トウジは刃先をハヤトの脳天に向けて振り下ろした。
※
「…………」
「……あっぶねえ……」
ナイフは、止まっていた。
――過去の竜胆トウジによって、ハヤトに突き刺さる寸前で止められていた。
「……おい……」
自分の腕を掴む過去のトウジに対し、未来のトウジは言う。
「どうして、止めた?」
「いや止めるだろ! いくら何でもそれ以上はダメだ、御剣が死ぬぞ!」
「死んでいいだろうが! こんなクズに何を躊躇する必要がある!?」
「やめろ! アンタだって人殺しになる!」
「なら腕を切り落とす! 治癒能力でも治せないぐらいに傷口をズタズタにして、二度と刀を握れない身体にしてやる!」
「そういうことじゃねえ! とにかくやめろ!」
過去のトウジが無理矢理に未来のトウジを引き剥がす。
自分を押さえようとする過去の自分を払いのけながら、未来のトウジは叫んだ。
「止めるな! お前は憎くないのか、こいつが!」
「憎い! 憎いけど、だからって
「そこまですることはない……? こいつが、こいつがか!? ふざけるなよ、こいつは、こいつはなぁ!」
叫びながら、ナイフでハヤトを示し――そして、トウジは気づいた。
ハヤトが、震えて、怯えていることに。
「…………あ?」
なんだ、それは、とトウジは思った。
何故、こいつは自分が被害者であるかのようにこちらを見ている。
御剣ハヤトは自分に対して、あれだけのことをしたのだ。
こいつは自分の罪を後悔しなければならない。
醜く謝りながら命乞いをしなければならない。
自分が悪かったと泣き叫ばなければならない。
そうでなければ、おかしい。
それなのに、何故――
(……違う)
そうだ。
そうなのだ。
この時代の御剣ハヤトは――
確かに、過去のハヤトは、過去のトウジを甚振っていた。あざ笑っていた。
だが、言ってみればそれだけ。
まだトウジの能力を奪っていない。トウジの人生を奪っていない。
殺されるだけの、一生を償うことに費やすだけの罪を、犯していない。
(じゃあ、なんだ)
トウジは思う。
(ここで俺が何をしたって――こいつは
それは――許せなかった。
そして、許せない以上に、おぞましかった。
自分の人生を滅茶苦茶にした最悪の加害者が、無辜の被害者になるなど、考えたくもなかった。
それも、他ならぬ自分の手によって。
「……ッ」
ナイフを持つ手が、揺れる。
怒りはあるのに、やり場もあるのに、それを叩きつけることが出来ない。してはならない。したくない。
「クソ、が……」
「ひ……」
漏れる怨嗟。その恐ろしい声に、ハヤトは小さく悲鳴を零す。
「クソがぁッ!」
「ひぃいいいいいっ!?」
逃げ出していくハヤト。
追従するように、取り巻き二人もその場を慌てて去っていく。
まるで地団駄を踏むように、身体は怒りに震えていた。
「はぁっ、くそ、クソッ……! ……ッ!」
やりきれない怒りにトウジは呼吸を荒くし、ナイフを地面に投げつける。
「……。……はぁ」
そして、何度か大きく肩を上下させた後……。
疲れたように、ゆっくりとその場にしゃがみこんだ。
「嫌になるな、もう……」
ぽつりと呟くトウジ。
「……あー、その」
それを見て、過去のトウジは困ったように言う。
「……でも、少なくとも、俺は助かったよ。助かりました。ありがとうございます」
「そうか……。そうだな、うん……」
「俺が今朝病院に連れてった人ですよね? あんなに強いなんて思いませんでしたけど」
その言葉に、トウジは思わず皮肉げな苦笑を零す。
「別に強くない。お前と……君と同じ、Fランクだよ、私は」
「え――いやでも、あれぐらい強いなら、いつかランク上がるかもしれないし……」
「上がらないんだよ、もう。どれだけ対人戦が出来たってダメなんだ、
あの警備ロボットなどそうだ。
あれは血の矢に一発撃ち抜かれた程度では止まらないし、電気を纏うために殴ることも出来ない。
それに、対人戦が出来ると言っても、確実に勝てるのはDランク以下の強化者のみ。
それ以上のランクが相手では不意打ちをしなければどうにもならないし、不意打ちしたとしてもBランク以上ならまず無理だ。そして、例えDランク以下でも、それが実戦経験に優れた相手だったなら途端に勝ちが覚束なくなる。
「そう、なんですか……」
「ああ」
「じゃあ――、――俺も無理なのかな、やっぱ」
その言葉を聞いて。
トウジは、思わず過去の自分に向けて振り返った。
そうだ。
この過去のトウジは、まだ事故に遭っていない。
強化者が持つ特殊な臓器をまだ損傷していない。
自分の力を使いこなせていないだけで、いくらでも強くなれる……最強の、Sランクにさえなれる男だったのだ。
「……あ」
トウジは思う。
もしこの自分が強くなって……誰よりも強くなって、ハヤトなど即座に一蹴出来るようになって。
果てには、あの時の『事故』さえ真っ向から粉砕出来るほどになったなら。
ハヤトが罪を犯し、しかしそれを打ち砕き、その罪に対してしかるべき罰を与えたならば。
能力を奪ってSランクになる御剣ハヤトと、能力を奪われFランクになった竜胆トウジではなく。
二度と強化者としての栄光など掴めない惨めな犯罪者・御剣ハヤトと、Sランクの強化者として最強の名を欲しいままにする英雄・竜胆トウジが生まれたならば。
そうなった再起不能のクズ野郎に対し、「お前と、未来のお前がクズだったからこうなったんだ」と言い放ったならば……。
自分は――
(そうだよな……)
何が足りなかったのが分かった気がした。
(復讐っていうのは、そういうもんだよな。スッキリするかどうかだ。ただアイツを殺すだけじゃ、ただ人生を滅茶苦茶にするだけじゃ、スッキリしない。自分がやったことを存分に後悔させなきゃ気が済まない)
しゃがみこんでいたトウジは立ち上がる。
「なあ」
そして、落ち込んでいる過去の自分に対し問いかけた。
「君、強くなりたいか?」
「え? そりゃ、強くなれるなら、強くなりたいですけど」
「じゃあ最強にしてやる」
過去の自分の頭に手を置き、トウジは言う。
「強くなれるよ、君は。どこまでも、際限なく」
そんな始まりの終わりとともに。
《ウロボロス》の
・まとめ
竜胆トウジ(未来)
今なら復讐相手もぶっ殺せるけど、ぶっ殺すだけじゃ満足できないので自分を強くすることに決めたタイムトラベラーの元青年。黒髪ロングでクール系の巨乳美人。
竜胆トウジ(過去)
いじめられっ子な強化学院のFランク一年生。弱いが、再生能力は使えている。
御剣ハヤト(過去)
いじめっ子な強化学院のCランク一年生。入学して半年も経っていないので実戦経験が少ない。
ランク
ブロークン相手の戦闘力で決定される。対人戦闘力に関しては考慮されない。実はランクが低くても評価されている強化者はいっぱいいるのだが、トウジに関しては少し事情が複雑。