ウラキは新装備を愚痴る
今日、第三アリーナでセシリア戦が行われる。そのせいか観客には大勢の生徒が集まっていたのだ。そしてアリーナのど真ん中には、二人を叩きのめすセシリアが待っていた。セシリアは自分の力を思い知らせ、見下すといった歪んだ考えを持っていた。だがその考えはすぐ打ち砕れるのだった。
(しかし、遅いですわね?まさか逃げたのかしら?)
そう思っていた次の瞬間、ゲートから何かが歩いてきた。
(来ましたわね...!...は?)
セシリアは呆気に取られた。歩いて出てきたのは、黒い布に覆われた機体であった。
それはセシリアと戦う前に遡る。
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「まだ一夏の専用機は来てないのか?」
この日は決闘と専用機到着日であるが、肝心の専用機がまだ来ないのだ。このまま呑気に到着を待つと相手が痺れを切らし逃げたと考えてしまうだろう。
たとえ到着したとしてもISの「初期化」と「最適化」(合わせて一次移行)を行わないと専用機としての性能が発揮出来ないのだ。
そうなるとコウが出るしかないのだ。
丁度、コウはAE社から新装備が送られそれを試す機会を得たのだ。しかもぶっつけ本番で
その新装備の名は、ABCマント。正式名はアンチ・ビーム・コーティングマントである。
特殊繊維とビーム・コーティング材を織り込んだ対ビーム装備である。
この装備はビームを弾き返す他、機密性に優れているのだ。しかし残念な所もある。機密性を発揮するのは暗い宇宙空間しか出来ない他、マントとスラスターの干渉関係で使えないことだがスラスターを一切使わなければ問題無いのでは?という無茶苦茶な発想が出たのだ。
つまり、スラスターを使わず戦えと言っているのである。
しかも、これを作るのにコストが高いため一つしか作られていないのだ。
(スラスターを使わず戦えだと?しかも使える武装がビームライフルだけだなんて...機体の適性考えているのか!?)
だがそれでもやるのがコウ・ウラキという男である。
「コウ・ウラキ!ガンダム試作1号機行きます!!」
本来ならスラスターを吹かせゲートからカッコよく飛び出すのだが、歩きなのでなんとも言えなかった。
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観客はざわめきが広がっていた。それはそうだ、一夏のISでは無く、黒い布に覆われた謎の機体が出てきたのだから。
だがコウはそれに構わずセシリアのISを見た。
(あれは...射撃特化のISか?)
コウは一目見て分かったが、まだあのISには自分を驚かせるものがあるのではないかと、戦闘前にも関わらず心の中で興味心が広がっていくのだ。
ガンダムも同じで、ISという機体にもこの世界に来てから興味を示したからであった。
(まったく俺は...戦う前に何を考えているんだ...。この癖だけ治らないのか?)
『両者試合を開始してください』
試合開始のブザーがアリーナに鳴り響き、コウはガンマンのように素早くライフルを抜き撃った。
その前にセシリアはコウに「この場で土下座をすれば許してやる」と言いたかったが、運悪くブザーが鳴り先手を取られてしまったのだ。
「な、なんて腕ですの!?あの距離から当てるなんて!?」
セシリアはビームをギリギリ避け、上空に止まり自身が得意とした「アレ」を1号機に向けて撃った。
「舞いなさい!!「ブルーティアーズ」!!」
これを見たコウは、避けようとするが2発マントに当たった。しかしそれはマントにより跳ね返された。
「ビームが跳ね返された!?けど連続で当てれば!!」
(2発...!後何発耐える...!?)
このABCマントはもう一つの問題がある。それは耐久性だ。ビームを無効化にしてもビームを連続で受ける耐久力に関しては、何発耐えるかは作った人間にも分からなかった。
だんだんブルーティアーズの猛攻は激しくなり、遂にマントは持たなくなった。
(マントがっ...!だがこれで戦える!)
コウにとってはスラスターの制限をするマントは邪魔でしかなく、後で技術開発の人間に報告しようと考えたぐらいである。そしてマントをおもいっきり脱ぎ捨て、ガンダムの姿が露になった。
「「全身装甲!?」」
(あ、あの姿は...あの時の!?まさか奴が!?)
千冬は表情は表さなかったが心の中で驚いていたのだ。それもその筈、白騎士というISに乗り、初めて戦った相手なのだから。
「全身装甲だなんて...そんなの聞いてませんわ!!何故貴方が・・・」
そう言いながらもスターライトmkⅢを撃ち続けるも、難なく避けられる。
「無駄口が多い!!」
スラスターで跳躍し、セシリアに攻撃をしようとする。それをさせまいといわんばかりにセシリアはブルーティアーズを展開、攻撃した。
「邪魔だぁ!!」
コウはブルーティアーズを踏み台にして破壊し、セシリアに迫った。セシリアは実弾のミサイルを撃つもビームサーベルで切り落とされた。
セシリアの残された武装はスターライトmklllとインターセプターのみである。
ここまで接近されたらインターセプターを展開しなければならないが、この武装は滅多に使わないのでそれが仇になった。
その隙にコウは背後に回りセシリアの翼部を掴んだ。
そして・・・・
「沈めぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇえ!!!」
翼部を掴んだまま急降下。飯綱落としをセシリアに食らわしたのだった。
この時セシリアの絶対防御が発動し気絶。セシリアの敗北が決定した。
『試合終了。勝者コウ・ウラキ』
はい、新装備の正体はクロボンのABCマントでした。
機体の適性により恐らくこの装備は二度と作らないでしょう。
最後の飯綱落としはただ書きたかっただけです。