スイートプリキュア♪ 鬼人の組曲   作:水無月 双葉(失語症)

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敗走

 伝説の戦士に成った二人が俺の前に立っている、共に戦うと言って勇気を振り絞って立っていてくれるその優しさが嬉しい。

 

 だが、二人は戦いの道に入ってしまったこれから辛く苦しい日々が始まってしまう、そう思うと自分の不甲斐無さが許せなかった。

 

 何故今日に限って『音角』を忘れてしまったのか、たとえ二人に怖がら嫌われようが俺が変身して戦っていれば彼女達がプリキュアに成ると言う選択肢は無かったのではないか。

 

 普通の女の子として生活が出来たのではないか、悔やんでも悔やみきれない。

 

「八雲兄! ありがとう! 後は私と奏で戦う! ここで決めなきゃ女がすたる!」

 

「気合のレシピ見せてあげる!」

 

 彼女達の力強い声を聞いて俺は悔しいが頼もしさも感じていた。

 

 響ちゃんの体が一瞬沈んだの感じ俺も動き出す、ほぼ同時にネガトーンに向けて走り響ちゃんが勢いのまま拳を入れる、俺も一拍遅れて左の拳に右の掌を添えて左肘を入れる、響ちゃんと目が合うそれが合図と成り二人同時に宙返り蹴りを入れネガトーンが高く蹴り上げる。

 

 視界の片隅に慌てて走り込んで来る奏ちゃんを捕え右腕を差し出す、意図を感じてくれた奏ちゃんが手を取ってくれたので勢いを殺さないように全身のばねを使い奏ちゃんを上空に打ち上げた。

 

 奏ちゃんはそのままネガトーンに拳を突き上げ攻撃をしきれいな着地をする、俺は二人に対して手を広げ差し出す、意味が分った二人が同時にお互いの手を叩き合い良い音を立てた。

 

「良い気に成ってるんじゃないよ! ネガトーン! しっかりしな!」

 

 セイレーンに応えその強大な腕を振り回す、各々距離を取り回避する。

 

「ネガトーン! プリキュアとその男を引き離せ!」

 

 その言葉に従いレコードを撒き散らす、俺は左右にバックステップをしながら身を躱すが二人から引き離され館の入口付近まで追い遣られてしまう。

 

 十分に距離を空けたネガトーンは今度は二人に対してレコードを打ち出す、反応の遅れた奏ちゃんを響ちゃんが支え一緒に回避する。

 

「しっかりしてよね! どんくさいんだからさぁ!」

 

 響ちゃんの一方的な物言いに流石に奏ちゃんも声を荒げる。

 

「どんくさいですって!?」

 

 ネガトーンはそんな二人を無視し攻撃を仕掛けてくる、無遠慮にレコードが撒き散らされ二人は何とか躱していく。

 

「危ない!」

 

 俺はあらん限り叫んだが既に遅く、逃げるのが精一杯でだった彼女達はお互いの背中が衝突してしまう、痛がる二人に対してネガトーンは追い打ちをかけるが何とかしゃがんで躱す。

 

「二人ともどうしたニャ、さっきと違ってばらばらニャ、もっと心を合わせて戦うニャ」

 

 木の上にフェアリートーンと一緒に避難していたハミィが声を掛ける。

 

「そんな事言ったって……」

 

 奏ちゃんの困惑気味の声が聞こえる、そして何かを考えた様に響ちゃんの手を取るが響ちゃんは明らかに不快感を表したのが見て取れた。

 

 頭の中で警鐘が鳴り行動を起こすが、ネガトーンが攻撃を仕掛け今度は二人同時に「せーのっ」で回避しようと動くが響ちゃんの動きは速く吊られる様な形に成った奏ちゃんの足に攻撃が当たり落下する。

 

「何やっているのよ! 八雲兄に合流できないじゃない!」

 

「私だってしたいわよ! そっちが早いからよ!」

 

 互いに眉を吊り上げ睨み付けがなり合う、ネガトーンが動き出したのを察し今度こそ届けとばかりに絶叫する。

 

「二人とも! 跳べぇ!」

 

 二人はまるで磁石が反発するかのように左右に飛びのきネガトーンに攻撃をするために一気に距離を詰める。

 

 俺は強引に突破するためにバイクのエンジンを始動させ二人に向かって走り出す。

 

 距離を詰めた二人はジャンプしその勢いで攻撃をするために拳を振り上げるが、セイレーンがネガトーンに指示を出す。

 

「避けて」

 

「「「避けろ~」」」

 

 セイレーンと三人組の命令に従いバックジャンプで避けるネガトーン、その空いたスペースで響ちゃんと奏ちゃんが空中で衝突し絡み合いながら明後日の方向へと飛んで行く。

 

 何とか二人に追いつくと樹木に衝突する前に手を伸ばし捕まえ、奏ちゃんをサイドカーに響ちゃんは後ろに座らせるが変身が解けてしまい二人は驚きの声を上げていた。

 

 変身が解けてしまった事により俺の心は決まり、バイクを強引に回しながらハミィの元に向かう。

 

「ハミィ! 撤退するぞ! 跳び下りろ!」

 

 ハミィは響ちゃんの頭の上に飛び降りたが「音符が……」と俺に助けを求める様な声を上げるが。

 

「駄目だ!」

 

 俺は苦々しさを覚えながら短く吐き捨てると逃走を開始する、俺達を見ながらセイレーンが笑いながら声を掛けてきた。

 

「良い様だねぇ、これに懲りたら私達の邪魔をするんじゃないよ!」

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