スイートプリキュア♪ 鬼人の組曲   作:水無月 双葉(失語症)

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重ならない思い

「で、そのマイナーランドの悪い王様のメフィストってのに楽譜が盗まれて、メイジャーランドのアフロディテ女王が音符を間一髪で此方にばらまいたのか、で『モジューレ』が伝説の楽譜のト音記号だから伝説の楽譜のために戦えって事? 響ちゃんと奏ちゃんが選ばれたからか?」

 

 ハミィの説明を確認するために簡潔に聞き直す、ハミィはウンウンと頷いた。

 

「それでハミィ、散らばった音符を集めないとどうなっちゃうの?」

 

 奏ちゃんが人差し指を頬に当て首を傾げハミィに尋ねる、その姿に可愛いななどと思っていたら響ちゃんの視線を感じたので気付かない振りをしてハミィの話に耳を傾ける。

 

「メフィストが幸せのメロディを不幸のメロディに書き換えてしまうんだニャ、そうしたら世界中の人々が不幸に成ってしまうんだニャ」

 

 響ちゃんと奏ちゃんが息をのむ、俺は実際に聞くと重いなぁと思いながらも事の重大さを再確認する、しかしメフィストって確か……。

 

「そんなの悲しい……」

 

 響ちゃんが俯き不安そうに声を上げる、だがハミィの言葉は終わらない。

 

「そうニャ、だがら早く音符を集めて世界を救わないといけないんだニャ、そのためには」

 

「響と」

 

 ハミィが響ちゃんを指さす。

 

「奏」

 

 続けて奏ちゃんを指す。

 

「二人の最高の友達の力が必要なんだニャ」

 

 ハミィの必死の訴えに二人は俯き考える、どちらからともなく見つめ「最高の……」と響ちゃんが呟く、だが奏ちゃんは一瞬つらそうな表情をすると目を背け、小さく溜め息を吐く。

 

「私、友達かどうか自信ない……」

 

 その声は小さいがはっきりと聞こえ、響ちゃんは驚愕し大きく息をのむ。

 

「奏ちゃん、どうしてそんな事を……」

 

 思わず口をはさむ、ハミィも心配そうに二人を見つめるが奏ちゃんの言葉は止まらない。

 

「だって響と私って会えばいつも喧嘩だし、プリキュアに成っても喧嘩ばかりじゃ……世界なんて救えないでしょう……」

 

 奏ちゃんの言葉に一瞬泣きそうな顔をする響ちゃん、顔を見せまいとうつむくのが見て取れる。

 

「プリキュアに成れたのは嬉しいけど、私きっと迷惑をかけるから辞退させていただきます」

 

 奏ちゃんは顔を背けてはいるが肩が小さく震え泣くのを我慢しているのが分る。

 

「そんな事言わないでニャ」

 

 ハミィも泣きそうな声を上げるが奏ちゃんは止まらない。

 

「いいよね、それで」

 

 奏ちゃんは更に不満をぶつける。

 

「響は言ったじゃん八雲さんと二人で平気だって言ったじゃん、私が居なくても勝てるって言ったじゃん! 私達もうあの頃の様な親友には戻れないよ」

 

「それ……本気で言っているの?」

 

 響ちゃんの声は震えていたが奏ちゃんは構わず続ける。

 

「本気だよ、親友の事もプリキュアの事も、だから八雲さんと二人で戦えば良いじゃない」

 

 お互いに言葉が出ず静寂が辺りを包む。

 

「そうだな、それで良いよ」

 

 俺は努めて冷たく言い放つ、奏ちゃんが体を震わせ俺を見つめてくる奏ちゃんの視線を受け止める、ハミィが騒いでいるがあえて聞かずに自分の思いを話す。

 

「そんな考えで戦うべきじゃないし戦わせはしない、奏ちゃんもだし当然響ちゃんもだ」

 

 響ちゃんは驚いて俺を見上げてくる、その表情には「なんで?」と書いてあるのが分る。

 

「ハミィ要するにだ、音符を集めつつマイナーランドの連中と戦い、最終的には幸せのメロディを完成させればいいのだろう」

 

 いきなり話を振られたハミィは驚きながらも答える。

 

「そうニャ、だからこそ伝説の戦士プリキュアの力が必要なんだニャ、世界のために響と奏にはプリキュアとして戦って欲しいニャ」

 

 二人に懇願するかのようにハミィが言うが、俺は構わずに飾り戸棚から一つの瓶を持ち出した。

 

「戦いも音符集めも俺がするって言っているだろ」

 

 ハミィの目の前に瓶を置く、瓶を見たハミィが大きな声を出す。

 

「音符ニャ! 結構入っているニャ!」

 

 その言葉にハミィの前の瓶を見つめる二人、だが二人とも眉を寄せていた。

 

「え、空でしょこれ?」

 

「何も入っていないですよ」

 

 困惑する二人、その声を聞きつけたフェアリートーン達も瓶の周りに集まり喜び勇んでいた。

 

「みんな見ていただろう、俺がネガトーンと戦ったところをさ」

 

 俺の言いたい事が分ったのか弾かれた様に響ちゃんが動き俺の胸元をつかむ。

 

「ねぇ、八雲兄、私は邪魔なの? 要らないの!?」

 

 響ちゃんの目には涙が溜まっていた、俺は響ちゃんの頭を撫でると言い聞かすように話す。

 

「今ならまだ戻れるんだよ、普通の女の子に、戦いとは無縁の日々を今まで通り普通に暮らしていけるんだ」

 

「八雲兄の馬鹿あぁ!」

 

 響ちゃんは俺の頬を叩くとそのまま家を飛び出していった、ハミィがオロオロとこっちを見て来たので頷くとフェアリートーンと共に追って行った。




ソーシロー様から誤字報告頂きました、ありがとうございます。
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