スイートプリキュア♪ 鬼人の組曲 作:水無月 双葉(失語症)
レナちゃん達見つめていた響ちゃんが奏ちゃんに視線を向けゆっくりと俺に振り向いた、その不安を抱える瞳を見つめ大丈夫だよと視線を送る、響ちゃんは表情を改めると奏ちゃんに向かって問いかける。
「奏もしかして、入学式の日」
響ちゃんの言葉を聞き奏ちゃんが響ちゃんを見て困ったようなそれでいて照れている様な笑顔を向ける、その瞬間響ちゃんの憑き物が取れた様に微笑んだ。
「なにそれ、友達ぶっちゃってさ私そういうの大っ嫌い」
二人の穏やかな時間を引き裂く冷たい声が後ろから付きつけられ俺達三人は声の方に振り向いた、そこに立っていたのはセイレーンとトリオ・ザ・マイナーであった。
「ネガーン!」
その言葉に従いネガトーンがセイレーン達の側に仁王立ちする。
「聞かせなさい! 不幸のメロディを!」
ネガトーンは言葉に従い全身に力をため不吉な音をばら撒く、その衝撃はに飛ばされそうになった二人を支えながら俺は頭の中は冷静だったが、心の中は暴風が吹き荒れていた。
音が鳴り終わると次々に生徒が倒れ嘆き悲しむ、レナちゃんとありさちゃんも同様にお互いを支えながら泣き崩れている。
レナちゃん達に駆け寄り支える二人、彼女たちに任せる事にし俺はゆっくりとネガトーンに向かって歩いて行った。
「馬鹿な男だね、戦えると勝てるは違うのにさネガトーンとやり合うのかい?」
セイレーンの馬鹿にした声を無視し、ベルトに着けたホルダーから『音角』取り出すと同時に手首のスナップを使い展開させる、ゆっくりと胸の前に『音角』を構え。
「黙れ! 響ちゃんと奏ちゃんの大切なレコードを使い人々を苦しめる事は許さない、お前達の好きにはさせない! 絶対にだ!」
『音角』を指で弾く、まわりに澄んだ美しい音が響き渡るそのまま額の前に持っていくと体が紫色の炎に包まれるが熱も恐怖も感じないむしろ内側から力が溢れはじけた。
体に纏わりついた炎を片手を使い吹き飛ばす、俺はマジョーラアンドロメダの光沢のあるスーツを纏ったが歩みは止めない。
「八雲兄?!」
響ちゃんの声を合図に一気に間合いを詰め拳を入れる、ネガトーンが浮き上がった瞬間に体をひねり回し蹴りの追撃、弾んでいくネガトーンを見ながら何事も無い様に着地をする。
ネガトーンが起き上がる前に更に追撃をするためにネガトーンに向かって走り出した。
慌てた様子のハミィが私達の側にやってきて戦っている八雲兄と私達を交互に見て不思議そうに聞いてくる。
「響! 奏! 戦っているあの人はだれニャ?」
二人は顔を見合わせると確かめ合う様に呟いた。
「八雲兄よ……あれ」
「変身しちゃった……」
「ニャんですとー!」
ハミィは混乱しながらも私達に気を使う様に問いかける。
「二人は戦わないのかニャ?」
「だってこの前八雲さんが戦うなって……」
ハミィの問いに奏が弱々しく答える、奏の手を取り変身した八雲兄を見ながら自分に言い聞かせるように言葉を紡ぐ。
「多分、八雲兄は私達の決意を知りたかったんだよ、戦わせたくないってのも本音だろうけどさ、状況に流されて戦うのではなく、私達が自分の意思で戦う事を決めないから反対されたんだ」
奏が手を握りかえしてくる、その力と温かさは私に何時も勇気を与えてくれる。
「私と奏がちゃんと決めた事ならば戦うことを認めてくれるよ、奏だって分かっているのでしょう八雲兄の事、悔しいけれど名前で呼ぶぐらいだからね」
私は少しおどけて奏に笑いかける、目を丸くした後に頬を染めた奏が恥ずかしそうに呟いた。
「ごめんね」
「ううん、仲良いの聞いていたし、奏が私に気を使ってくれているのも知ってる嬉しかった、だから大丈夫」
一瞬目を潤ませた奏だったけどすぐに真剣な眼差しを私に向けてくる。
「やっぱり私、こんな小さい子を泣かして……」
奏が何を言いたいのかが直ぐに分かる、懐かしいこの感触、私が一日も忘れなかった待ち望んだ感触。
「人々を悲しませるあいつらを」
奏の言葉に続く、私と奏は失った半身を今取り戻した。
「「絶対に、許せない!」」
互いに手を強く握り合い『キュアモジューレ』を取り出す、フェアリートーンが『モジューレ』に装着されるのを確認し奏に語りかける。
「ねぇ奏、あの日の約束を覚えている」
「もちろん、せーので一緒に学校に入る!」
どちらともなく笑い私達は頷き合う。
「じゃあ、行くよ」
私達の繋いだ手はさらに強く結ばれる。
「「せ~の!」」
お互いの『モジューレ』をぶつけ合い、魂を響かせ合い心の底から力ある言葉を奏でた。
「「レッツプレイ! プリキュア! モジュレーション!」」
私達は光に包まれた、決意を固めた私達の初めての変身、ここで決めなきゃ女がすたる!