スイートプリキュア♪ 鬼人の組曲   作:水無月 双葉(失語症)

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判断と決断

 足を止め真正面からネガトーンと打ち合いを続けていると、突然二つの音が俺の隣で奏でられた、その音に押し出されるようにネガトーンが吹き飛ばされる。

 

「八雲兄、お待たせ!」

 

 左を見ると凛とした表情の響ちゃんが変身して立っていた。

 

「響ちゃん……」

 

「私と響で決めたんです、戦う事を」

 

 右を見る、姿勢を正した奏ちゃんも変身して立っている。

 

「奏ちゃん……二人とも本気なのかい?」

 

 答えなど分かっている、だが聞かずにはいられない。

 

「八雲兄、奏は言ったよ。私達で決めたって、それに私達は判断と決断が違うものだって分かっている!」

 

「八雲さん、私達は自分達の決断は間違っていないと信じています、だから……気合のレシピ見せてあげます!」

 

 二人の纏う空気から決意の大きさが分る、もう止める事は出来ない。

 

「何時までお友達ごっこしているのさ! お前達は本当になんだってのさ!」

 

 セイレーンが、全身の毛を逆立て怒りの声を上げる。

 

「黙れ! そんなに知りたかったら教えてやる!」

 

 声に力を乗せセイレーンに叩きつけると、身をすくめるセイレーン。

 

 一歩前に出ると構えを取りながら名乗りを上げる事にするが、憧れでもあるライダーは俺にはまだ荷が重い、自信を持って言えるまでは胸に秘めよう、だから今は。

 

「鬼姫の使者! 音撃戦鬼! 獣鬼!」

 

 響ちゃんが左隣に並んでくる。

 

「爪弾くは荒ぶる調べ! キュアメロディ!」

 

 奏ちゃんも同じように右側に並ぶ。

 

「爪弾くはたおやかな調べ! キュアリズム!」

 

 二人は構えると揃って声を張り上げる。

 

「「届け! 三人の組曲! スイートプリキュア!」」

 

 三人と言われ何とも言えないが嬉しい気持ちに成る、今顔を見られないのは正直ありがたい。

 

「響、八雲さん、私は運動は苦手で二人の足を引っ張るかもしれない、でも、自分の素直な心に従う事にしたの、だから……」

 

「大丈夫、そのために私と八雲兄が居る、奏は奏らしく戦えば良いよ私達は三人で戦うんだから」

 

 申し訳なさそうに話す奏ちゃんに響ちゃんが被せる様に言い放つ。

 

「強さとは己の弱さを認めるところから始まる、だから君は強くなる」

 

 奏ちゃんの肩に手を置き諭すように声をかけるが、セイレーンが行動を開始する。

 

「ネガトーン!」

 

 セイレーン声を聞きネガトーンがレコードを嵐の様に打ち出すが三人で手や足を使い弾いて行く、最後の一枚に対し三人同時に蹴りを入れネガトーンに打ち返し見事に直撃する。

 

「行くぞ! メロディ! リズム!」

 

 一瞬呼ばれた意味が分らず二人して顔を見合わせるがすぐに理解して何時もは見せない好戦的な笑みを浮かべた。

 

「「オッケー、獣鬼」」

 

 三人同時に走り出す、ばら撒かれるレコードを互いにフォローしながら躱し本体に攻撃をする。

 

 メロディが狙われれば俺とリズムがその隙を突き体勢を崩しメロディが一撃を入れ離脱する、まるで事前に打ち合わせしたかのようにネガトーンを翻弄した。

 

 メロディとリズムが同時に攻撃しようと高く飛ぶ、それを察知したネガトーンも攻撃のためにジャンプする、空中でレコードを打ち出すが、二人は手をつなぎそれぞれの力を使い回転しながら避けて行く、高い位置で交差したリズム達とネガトーン。

 

 俺はフォローするために二人に向かいジャンプして空中で二人と手を繋ぐと全身のバネを使い二人を上空に打ち上げる。

 

 メロディとリズムがネガトーンを追い抜き上空で体を捻り二人同時にネガトーンに踵落とし入れた。

 

 地上で体勢を整えていた俺はネガトーンの落下地点に走り込み地面に打ち付けられバウンドし空中で止まった瞬間に横蹴りを入れ更に弾き飛ばす。

 

 二人揃ってきれいな着地をしそのまま次の行動に移る。

 

 お互いの手を打ちつけ合い片足を軸にして左右にステップ切り背中合わせに成り手を打ち合い握り込む、軽く見つめ合いメロディが腕を上げながらリズムをくるりと回し、お返しとばかりにリズムがメロディを回す、その動きは美しくまるで踊っているようだった。

 

 二人がこれ以上ないと言った感じで背中同士が密着し組んだ手を上に上げ力を集めそのままネガトーンに向け差し出す、組んだ手の周りに光が集まり巨大なハートのト音記号が現れ高速に回転しながら一気に浄化の光を打ち出す。

 

「「プリキュア! パッショナートハーモニー!」」

 

 光に包まれたネガトーンの体の中央に黄金に輝くハートのト音記号が刻み込まれそこから取り憑いていた不幸のメロディが浄化される光に包まれ赤黒く変化していた音符も元来の音を取り戻しレコードも無事に元に戻る。

 

 ゆっくりと降りてきたレコードを丁寧につかむとメロディとリズムに差し出す、二人ははにかみながら受け取り笑い合った。

 

 ハミィの指揮の元ドリーの中に音符が収納されるとネガトーンによって苦しめられていた人々が淡い光に包まれ正気に戻る。

 

 セイレーン達は負け惜しみを言い一斉に逃げだす、それを見届けた俺達は顔を合わせて笑い合った。

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