スイートプリキュア♪ 鬼人の組曲   作:水無月 双葉(失語症)

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重なった思い

「思い出のレコードを聞きながら奏のカップケーキと八雲兄の淹れてくれたハーブティー、ん~最高!」

 

 伸びをしながら緩んだ顔で響ちゃんが言いローテーブルの上のカップケーキに手を伸ばす、奏ちゃんは笑いながらその様子を見ている。

 

「もう、響ったら4個目よ」

 

「だって美味しいんだもん、奏のカップケーキ」

 

 ニコニコとカップケーキを頬張る響ちゃん、年頃の女の子が頬に生クリームつけてるって如何なものか、甲斐甲斐しく世話を焼く奏ちゃんを見ながら新婚なのかななどど思う。

 

「八雲兄、お茶お代り」

 

 カップを掲げお茶の催促をする、俺もこの状況が楽しく笑いながら返事をし立ち上がると、奏ちゃんも続く様に立ち上がりながら俺に声をかけてくる。

 

「八雲さん、私もお手伝いきゃあ」

 

 奏ちゃんは響ちゃんに腰に抱きつかれバランスを崩しソファーに突っ伏す。

 

「もー、響!」

 

 身をよじり響ちゃんに文句は言うがその顔は笑っており、響ちゃんも笑っている。

 

「かーなーでーはーこーこーにーいーるーのー」

 

「分かった、分かったから、響離して」

 

「やだ、抱き心地良いからお茶が来るまで、絶対に離さない」

 

 キッチンで作業をしつつそんな二人のやり取りを見て微笑ましく思う、お茶を持っていくとそれとなく二人は離れ、奏ちゃんは姿勢を正し響ちゃんに体ごと向き合う。

 

「響、ごめんね入学んんっ」

 

 言いかけた奏ちゃんの口に響ちゃんが人差し指で蓋をし言葉を奪う。

 

「良いのお互い様、奏が待っていてくれた、それだけで十分、私の方こそごめむぎゅっ」

 

 今度は奏ちゃんの人差し指が響ちゃんの口を押さえる、ややあって声を上げて笑い合う二人、ハミィが二人の側に近づく。

 

「二人が仲良くなって良かったニャ、でもどうやって仲直りしたニャ」

 

「私達は入学式の日にボタンを掛け間違えてしまったの、私は響に本当の事を聞くのが怖くて聞けなくて」

 

「私もね、怖くて聞けなかったんだ……」

 

 二人は見つめ合い頷く。

 

「でも、私は奏と昔みたいに笑い合いたかった、今みたいにね」

 

「うん、私もだよ、それでね、素直な心が人を強くし歪んでしまった関係を元に戻すって教えてくれた人が居たの、だからあの時響見つけて追ったし、響も私を信じて着いて来てくれた、だから響も絶対に私と同じ気持ちだって自信が持てたの」

 

 響ちゃんに笑いかける奏ちゃん、響ちゃんは照れくさそうに鼻の頭をかいている。

 

「だからね、ハミィこれが本当の私と奏の姿なんだ、きっとこれからも小さい喧嘩は一杯すると思う、でも、それは奏を信じているから本気でぶつかれるんだ」

 

「大丈夫! 受け止めるから! 私も受け止めてね」

 

 自分の胸を軽く叩きながら奏ちゃんが宣言する。

 

「まかせて! 体ごとぶつかって来て! 変身していても受け止める!」

 

 両腕を奏ちゃんに向かって広げる、堪えられなくなったのか笑いだす二人、やり取りを見ていた俺とハミィも笑う。

 

「ハミィ、これからよろしくね」

 

 奏ちゃんは右腕をハミィに差し出す、ハミィもその小さい手を奏に差し出し握手をする、奏ちゃんの体がびくりと動くと両手でハミィの手を掴むと引き寄せる。

 

「きゃー、肉球! この触り心地完全にツボ! 超テンションあがっちゃう!」

 

 ハミィの肉球に頬ずりをする奏ちゃんハミィが大騒ぎしながら何とか逃げ出すが、それを見ていた響ちゃんが悪い顔をする。

 

「見た! 八雲兄見た! 奏が肉球マニアだったなんて、みんなに教えないと!」

 

「いやー奏さんたいしたフェチっぷりですなぁ、ねぇ、響さんテンションあがりますぜ!」

 

 わざと二人をさん付けで呼び、奏ちゃんをからかう奏ちゃんが顔を赤くして震えているが、俺を睨むと口を開く。

 

「これは聞かない方が良いかなって思っていましたが、あえて聞きましょう! 八雲さん!」

 

「な、何でしょう……」

 

 何を聞かれるのかと身構える、響ちゃんも興味津々で耳を傾ける。

 

「昨日逃げる時に微妙に口元がゆるんでいましたがなんででしょう? 状況的におかしいです!」

 

 響ちゃんが「本当?」などと言いながら俺達を交互に見る。

 

「そりゃぁ……決まっているだろう響ちゃんの二つの膨らみが俺の背中にぃ、げっ」

 

 思わず本音を途中まで言ってしまい恐る恐る響ちゃんを見る、目が合うと顔を赤くししていた響ちゃんが自分の両腕で胸を隠し身をよじる。

 

「八雲兄のスケベ」

 

 言葉が出てこずもたもたしていると、後ろから鼻で笑う声が聞こえ振り返ると奏ちゃんがテーブルに肘を突き頬杖をしてジト目で俺を見ていた。

 

「うわっ、さいてー」

 

 奏ちゃんに吐き捨てられた。




第2話終了となります、お付き合いくださった皆様ありがとうございます、第3話もお付き合い頂ければ幸いです。

皆様のお気に入り登録やコメントが物凄い後押しになりました、こんなにも胸に込み上げるものだとは知りませんでした、本当にありがとうございます。
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