スイートプリキュア♪ 鬼人の組曲   作:水無月 双葉(失語症)

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第3話 父娘の距離は
学校にて


 今日は朝から最悪だ、せっかく2度寝をしようとしたらパパの大きなクラッシック音楽で起こされるし、いくら嫌だと言っても会話に音楽用語入れるし、もう最低。

 

 学校に向かうさなか、スクールバッグの中に当然の様に入っているハミィとくだらない話をしながらも、私は今日の放課後は奏とカップケーキを持って八雲兄の所に突撃しようと考え無理やり気分を上げようとしていた。

 

 何となく気分も上がったところで王子先輩に声を掛けられて「コンサート来ないの? 指揮お父さんだよ?」ってだから行きたくないの、察して欲しい。

 

 途中であった奏に手を引っ張られながら学校に向かう私は気が付いたら何故か音楽室の前で音楽王子隊の練習を聴いていた。

 

 奏が中の様子を伺いながら私に話かける。

 

「北条先生授業の時となんか違うね」

 

 うん、奏の気持ちは嬉しい私を思っての事だ、でもまだ私はパパに対して割り切れない気持ちがある。

 

 5年前のあの出来事は今でも私の中で大きなシコリに成っている、八雲兄のお陰でピアノには触れられるし少し考え方も変わった。

 

 少し前の私なら絶対にここには来ないだろうし、きっと奏にも感謝は出来なかっただろう。

 

「響?」

 

 奏の心配そうな声で現実に引き戻される、暗くなっていく心が奏の一言で、ただ名前を呼んで貰っただけで軽くなる。

 

「ううん、何でもないよ奏ありがとう」

 

 奏に向かって笑って見せる、奏には申し訳ないがもうここには居たくない、私は奏の手を取り歩き出す。

 

「そろそろ行こう、奏」

 

「響……」

 

 心配そうな奏の声に私は気が咎められながら教室に向かう。

 

 

 

 壁に寄り掛かり腕を組みながら時間が過ぎるのを待っている。

 

 腕時計で時間を確認しながらそろそろかななどと思っていると建物中にチャイムが響く。

 

 ややあってガヤガヤと賑やかに成り、ドアが開き次々と生徒達が出てくるこちらを気にしながらも特に声を掛けられることも無く移動していくが目的の人物は出てこない。

 

 目線を感じそちらに目を向けると響ちゃんがびっくりした顔をしながらこちらに向かって来た。

 

「ちょっと、こんなところで何やっているのよ」

 

 眉間にしわを寄せながらも小さい声で尋ねてくる。

 

「仕事だよ北条さんのお父さん、北条先生に用があるんだよ」

 

 学校内しかも他の生徒が居るので名字で呼ぶ、それが気に入らなかったのか響ちゃんは少しムッとしていた。

 

「仕事してたんだ……」

 

「積極的にはしてないけどね、頼まれればだよ」

 

 肩をすくめてそんな話をしていたら奏ちゃんがこちらに気が付きやって来る。

 

「なんで居るんですか?」

 

「木野さん仕事だってさ」

 

 俺が応える前に響ちゃんが少しきつめに答え奏ちゃんは響ちゃんの顔を見て何かを感じたのだろう困ったように笑みを浮かべていた。

 

「お疲れ様です北条先生、第二音楽室のピアノの調律は終了しましたので確認をお願い致します」

 

 普段見せない姿にびっくりする二人、北条先生は楽しそうに返答をくれる。

 

「やぁ、木野君御苦労さま、いきなりすまなかったね助かるよ、確認は後でさせていただくよ」

 

「はい、お手数ですがよろしくお願い致します、このまま引き続き音楽堂の調律に入ります」

 

「ちょっと、何時から二人は知り合いだったの?」

 

 響ちゃんは信じられないと言った感じで北条先生に問い詰める。

 

「会ったの昨日だよ響、調律師を探していて音吉さんに相談したら彼を紹介して貰ったんだ」

 

 ニコニコと笑いながら答える北条先生、響ちゃんは不満そうだ。

 

「木野さん音吉さんと知り合いだったの?」

 

 奏ちゃんが割り込んでくる、説明して無かったなと少し後悔しながら答えようとするが。

 

「彼は今音吉さんと『調べの館』のパイプオルガンの修理をしているんだよ」

 

 北条先生に先に答えられてしまった、思わず苦笑いが出てしまう。

 

「ところで響は今日のコンサート来てくれるのかな?」

 

 響ちゃんが明らかに嫌そうな顔をするが北条先生は表情を変えない。

 

「分かんない……もう私行くね」

 

 響ちゃんは後ろを一度も振り向かずに小走りに行ってしまった。

 

「あ、あの、北条先生! 私誘ってみます、上手くいくか分らないですけれど……」

 

 おずおずと奏ちゃんが小さく手を上げて見上げてくる。

 

「うれしいなぁ、南野さんこれからも響の事よろしくね」

 

 北条先生は嬉しそうに笑っている、一応娘が気に成るんだなぁと頭の片隅でぼんやりと俺は思っていた。

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