スイートプリキュア♪ 鬼人の組曲   作:水無月 双葉(失語症)

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創作ケーキと山口ヨウコ

 訪ねて来た奏ちゃん迎え入れるべく玄関を開けると酷い顔色をした奏ちゃんが立っていた。

 

「いらっしゃい奏ちゃん、どうぞ」

 

 出来るだけ明るい声で奏ちゃん迎え入れ、ダイニングに通すと自分はキッチンに向かう。

 

「奏ちゃん、何飲む?」

「この前のハーブティーが良いです……」

「分かった少し待っていて」

 

 横目で奏ちゃんを見ると思いつめた表情をしていた、準備をしていると奏ちゃんがキッチンに入って来る。

 

「八雲さんお皿と包丁お借りします」

 

 ハーブティーを淹れダイニングに持っていくと奏ちゃんは箱からケーキを取り出す、出されたケーキは黒かった。

 

「奏ちゃん……これは……?」

 

 奏ちゃんらしくないケーキに驚いて見てしまう、奏ちゃんは俺の雰囲気が少し違うのを感じ取り自信が無さそうに声を出す。

 

「コンテスト用の試作品です、八雲さんにも試食をして貰いたいんです」

 

 切り分けられたケーキの乗っている皿を一度持ち上げて眺める、黒い生クリームのチョコレート生地のケーキ、まぁ、見た目は良いと思う、俺は好みじゃないが好きな人もいるだろう、皿を置き手を合わせ食べ出す、その姿を奏ちゃんは心配そうに見ている。

 

「どうですか、このケーキ」

 

 ダイニングで黒いケーキを食べ終わった俺に恐る恐る聞いて来る奏ちゃん、俺は思わず後頭部を掻いてしまいそれを見た奏ちゃんは更に不安そうな顔になってしまう。

 

「普通のお店で買ったケーキとしてなら美味しいよ、うん、でもこれは駄目だ、これ誰にアドバイス貰ったの」

 

 奏ちゃんを正面から見据えるとびくりと体を震わせた。

 

「このケーキは奏ちゃんのケーキじゃないよ、全てにおいてチグハグだ、この前お店で食べた試作品の方がよっぽど美味しかったよ、色々と試行錯誤があったし奏ちゃんの頑張りも見て取れた多少空回り気味だとしても美味しかった、だから響ちゃんもあの日は普通に美味しいとしか言えなかったんだ」

 

 奏ちゃんの目が大きく見開くき口を手で覆う。

 

「でも、でもコレ、山口ヨウコさんにアドバイスを貰って……私には才能があるって……」

 

 また頭を掻いてしまう、奏ちゃんの瞳にはうっすらと涙が溜まっている。

 

「うん、奏ちゃんはケーキ作りの才能あるよそれは俺も思うし、諦めなければきっとプロになると思う」

 

 俺の言葉を聞いた奏ちゃんは半泣きで笑う。

 

「俺は会ってないから何とも言えないが、その人本当に山口ヨウコ? 俺さ奏ちゃんの助けになるかなって買って来た物があるんだ」

 

 ローテーブルに置いてある本を持ってきて奏ちゃんの前に置く。

 

「これって……人気薄で手に入らないレシピ本じゃないですか……これを私のために?」

 

 本を両手でかかえ抱きしめる奏ちゃんを見て俺は自分の思いと考えを伝える。

 

「何時も一生懸命な奏ちゃんにささやかなプレゼント、俺さそれ以外にも調べたけどさ山口ヨウコの作るケーキにさっき食べた様なケーキの要素は無いと思う、奏ちゃんはファンだからちょっと考えてごらん」

 

 奏ちゃん喉を大きく鳴らすと小さく震えながら俺を見てくる。

 

「うん、確かにこう言うケーキは作らない……それにきっとあんな事は言わないはず……じゃぁ、私は誰に会っていたの……」

 

「あんな事って?」

 

 奏ちゃんは戸惑いを見せたが意を決して口を開く。

 

「友達が私の作るケーキを美味しいと思わないのは私の才能に嫉妬しているって……」

 

 その台詞を着て聞いて思わず天を仰ぎ大きく息を吐き奏ちゃんを見据える。

 

「今の様子だと、響ちゃんにもこのケーキは不評だったんだね、でだ、奏ちゃんはどう思っているの?」

 

「響は……きっと響は、絶対に嫉妬なんかしない! なのに、なのに私は一瞬響を疑ってしまった!」

 

 手で顔を覆い泣き出す奏ちゃん。

 

「響はあんなに私の事を信じてくれて、私の気持ちを汲んでくれているのに、私は、わたしはひびきをしんじることができなかった、うぅ、うぅうぅぅ」

 

 泣きじゃくる奏ちゃんを見てられず一瞬躊躇したが構わず抱きしめる、奏ちゃんは俺の服を掴むと更に大きな声で泣き出した。

 

「大丈夫、大丈夫だから、きっと響ちゃんも分かってくれる、奏ちゃんの親友なのだろう、大丈夫だよ、大丈夫……」

 

 強く抱きしめる、不安な心が俺の中に入り奏ちゃんの心が軽くなればと思いながら、少しづづ泣き声が小さくなり嗚咽に代わっていく。

 

「八雲さん、ありがとう……私八雲さんの前で泣いてばかり……恥ずかしい……」

 

 奏ちゃんは顔を埋めたまま小さく呟く、腕に少し力を入れる。

 

「平気だよ、何時でもおいでって言ったでしょう、辛い時甘えたい時何んとなくでも良い、来たい時においでまっているからね」

 

 腕の中で頷いてから離れ気まずそうにしている奏ちゃん。

 

「うん、ありがとう元気出た」

 

 無理に笑って答える奏ちゃんが痛々しい、言葉を掛けようとしたその時けたたましく呼び鈴が鳴らされた。

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