スイートプリキュア♪ 鬼人の組曲 作:水無月 双葉(失語症)
「響に食べて貰う大切な私のケーキを」
「奏の気持ちのこもった大切なケーキを」
「「みんなを怖がらせる怪物にするなんて!」」
「「絶対に許せない!」」
私と奏の怒りが爆発した。
「「レッツプレイ! プリキュア! モジュレーション!」」
「爪弾くは荒ぶる調べ! キュアメロディ!」
「爪弾くはたおやかな調べ! キュアリズム!」
「「届け! 二人の組曲! スイートプリキュア!」」
キュアメロディになった私は全身に力を漲らせる。
「行こう! リズム!」
「オーケーメロディ!」
ネガトーンがイチゴをミサイルの様に打ち出してくる、私達はジャンプして躱しそのまま跳び蹴り入れようとするが、ネガトーンに受け止められてしまう。
「捕まった!」
私達は脱出しようとしたがネガトーンは激しく回転し私達を振り回す。
「「きゃああぁぁぁぁ」」
放り出された私達は体勢を立て直す暇も無くネガトーンが放ったイチゴのミサイルが迫ってくる、かなりの量が撃ち込まれて土などが舞い散るが私は痛みを感じなかった。
恐る恐る目を空けた私は自分の体を確認すると何の異常もを感じなく、舞っていた土煙が風でゆっくりと流されると頼もしい背中が私達の前に立ちはだかり守ってくれていた。
「「獣鬼!」」
「すまない、遅くなった大丈夫か」
獣鬼は私達に労わりの声を掛けながらも油断なく構えている。
「また、あんたかい!」
セイレーンが獣鬼に叫ぶがそれには取り合わず獣鬼は手に持っていたバチの様な物ををネガトーンに向けた。
「俺が来た以上、もうお前達の好きにはさせない!」
メロディ達を襲う大量のイチゴみたいなミサイルを寸前で音撃棒を使い防ぎきり二人の無事を確認して安堵する。
「ケーキのネガトーンだと、まさか……リズム!」
ケーキ型のネガトーンに嫌な予感がしてリズムを見ると辛そうな顔をしていた。
「あれは響のために作った大切なケーキなの!」
言葉と共に目を伏せるリズムとメロディの悲しそうな表情を見て、俺は自分の中で抑えきれない程の怒りに心が支配される。
「ふざけるなあぁ! 人々を不幸にするだけじゃ飽き足らず! 響ちゃんと奏ちゃんまで悲しませるなんて! 覚悟はしているんだろうな!」
瞬間的に間合いを詰め左ひざ蹴りを入れそのまま右足で蹴りあげ上空に舞い上げる、それを追う様に高くジャンプしネガトーンを追い越し上から音撃棒を叩きつけ地上に落下させる。
ネガトーンに向かって落ちながら音撃鼓・火炎鼓をネガトーンに叩き込み音撃棒で連続で叩き清めの音を流し込む。
打ち込むたびに巨大な音と地面が震え俺の怒りが現れているようだった、清めの音を打ち込みながらも頭の中はメロディとリズムの悲しそうな顔で一杯になっており俺は更に打ち込みの速度を上げた。
清めの音で弱り切っているネガトーンに対しとどめの一撃と言わんばかりに両手を振り上げる。
「音撃打! 一気火勢!」
清めの音で浄化されネガトーンは元のケーキと音符に戻ったが奏ちゃんの大切なケーキは崩れてしまっていた。
ゆっくりと降りて来たケーキを受け止め怒りで我を忘れかけた事を激しく後悔しながら二人の元に向かう、一言言わなくてはと思い頭の変身だけ解くと二人は驚きの声を上げる。
「獣鬼って頭だけ変身解けるの!?」
「髪も瞳の色も違って別人みたい!」
二人掛りで食い入るように見つめてくる、その態度に少しこそばゆさも感じるが、俺は罪悪感に押し潰されそうだった。
「奏ちゃん、響ちゃんごめん、大切なケーキをこんな事にしてしまって」
二人は少しに間呆気に取られるがすぐに笑いかけてくる。
「そんな事無いよ、八雲さんが本気で怒ってくれて私嬉しかったよ」
「奏の言う通りだよ、ありがとう大切な奏のケーキを取り戻してくれて」
優しい言葉が胸に沁み込み俺の心を少しだけ軽くする。
「八雲兄かっこよかったよ、今のその髪と瞳の色も似合っているね、おでこに角が二本生えているんだ、それだけ変わっていると、もうばれないからさこれからは顔は出そうよ」
響ちゃんに言われ角を触りながら髪を少し引っ張り視界に入れると、そこには地毛の青銀色の髪ではなく光加減でマゼンダにも金色にも見えるマジョーラトラペジウムになっていた。
「うん、私もその方が良いな、髪の色、私とメロディを足したみたい、銀色の瞳も綺麗だったけれど今は虹色に輝いているね確かアースアイって言ったよね」
奏ちゃんも好奇心の塊の様に瞳を覗いている、そんな中響ちゃんが何かを思いついたように声を上げる。
「あのさ八雲兄、今から奏と八雲兄の家に行っても良い?」
変身を解きながら響ちゃんは楽しそうに提案してくる、俺と奏ちゃんも変身を解くと奏ちゃんは俺からケーキと受け取ると、響ちゃんと二人で準備しに行ってしまった。