スイートプリキュア♪ 鬼人の組曲   作:水無月 双葉(失語症)

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緊急事態宣言がついに出てしまいました。

皆さん、お互いに頑張って乗りきりましょう。



第6話 ミラクルベルティエ
チョコレートの行き先は


「響ちゃん、奏ちゃん、ハミィ、おはよう」

 

 俺の掛けた声に三人は振り向き、挨拶を返してくる。

 

「八雲兄おはよう!」

 

「おはようございます、八雲さん」

 

「八雲おはようニャ」

 

 朝から元気だし可愛いなと思っていると、響ちゃんが首を傾げた。

 

「八雲兄どうしたのこんなに朝早く?」

 

 手に持った工具ケース持ち上げて見せる。

 

「音楽堂で調律、あのピアノは弦を張り替えたばかりだからマメに調律しないといけないんだ」

 

……音楽堂

 

 奏ちゃんは少し顔を赤くして小さく呟く、ハミィはそんな奏ちゃんを気にせず、機嫌がよく鼻歌を歌っている。

 

「響も奏も八雲が居なくても戦える位ハーモニーパワーが強くなったし次はミラクルベルティエニャ」

 

 聞きなれない単語に響ちゃんと奏ちゃんはハミィの方を振り向き聞き直し、俺はついに来たかと一瞬目を細めた。

 

「「ミラクルベルティエ?」」

 

「って、なに?」

 

 奏ちゃんの疑問にハミィは小首を傾げ「何だったかニャ」と本当に分からないようだった、俺達三人は思わず苦笑いをしてしまう。

 

「もう、適当なんだからそんなんでこの先やっていけるの?」

 

 奏ちゃんは不安と不満が混じり合った様な声をあげていたが、響ちゃんの表情は明るい。

 

「成るように成るって、奏、少し大げさだよ」

 

 響ちゃんのあまりに軽い言い方にムッとする奏ちゃん。

 

「響は軽く考えすぎ、この間のテストも軽く考えているんでしょう」

 

 今度は響ちゃんの顔色が変わる。

 

「テストは関係ないでしょ言う? 学年トップだからって……」

 

「そこまで、いい加減にしなさい道の真ん中だよ」

 

 じゃれ合う様な言い争いを止めていると、小さな影が近づいて来たので二人に声を掛けようとしたが、すぐ後ろに迫っていた小さな影がイラついた様な声を掛けてくる。

 

「邪魔、通れないんだけど」

 

 声の主は女の子で、響ちゃんより明るい茶色のボブカットで赤いアンダーリムのメガネを掛け、ピンクの長袖Tシャツにショートのサロペットを着ていた。

 

「アコちゃん、おはよう」

 

 俺が挨拶するとその女の子、アコちゃんは面倒くさそうに挨拶を返してくる。

 

「ん、おはよ」

 

 先生と俺の三人の時はもう少し穏やかだし、多少は笑いながら会話もするのだが、外ではやはり張りつめている、その顔を見ていると胸が痛む。

 

「やーい、姉ちゃん注意されてやんの」

 

 アコちゃんの後ろから、奏ちゃんの弟の奏太が顔を出し面白そうにはやし立てる。

 

「奏太!?」

 

「ごめんね」

 

 驚きの声を上げる奏ちゃんの横で、手を合わせながら響ちゃんは謝罪の言葉を述べるが、アコちゃんのイラつきは納まっていないようだ。

 

「謝る暇があるならさっさとどいて」

 

 吐き捨てる様な言い方に流石に二人は顔色を変える、そんな二人に構わずアコちゃんは二人の間をすり抜けていく。

 

「そう言う言い方は無いんじゃない? 悪かったのは私達だけれど、年上の人にそういう口の利き方は失礼な事よ」

 

 奏ちゃんが少し怒り気味で注意をすると、アコちゃんは面倒くさそうに振り返る。

 

「口うるさ……アンタもてないでしょう」

 

 アコちゃんの言葉に激しく動揺する奏ちゃん、左手がさまよう様にスクールバックの持ち手を掴み力が入っているのが分る。

 

「そんなことないよ、この前のバレンタインデーだってちゃんと素敵な人に手作りチョコレート上げたんだから……」

 

 バッグの持ち手を左右に引っ張りながら冷静を装う様に話す奏ちゃん。

 

「素敵な人って俺?」

 

 奏太の言葉に、アコちゃんは呆れ奏ちゃんは語気が荒くなる。

 

「あんたは義理で上げたに決まっているでしょう!」

 

「もしかして王子先輩に上げたの?」

 

 響ちゃんの突っ込みに目が点になる奏ちゃん。

 

「そ、そう、王子先輩すごく喜んでくれたし、今度のホワイトデーが楽しみだわぁ」

 

「自分からチョコ上げるのは、もてるって言わないでしょう」

 

 鼻で笑いながら、奏ちゃんに突っ込みを入れるアコちゃんを流石に止めようかと見ると、その目は余計な事は言うなと雄弁に語っていた、思わずため息が出る。

 

「アハハハハハ、確かに!」

 

 奏太が爆笑を始め、奏ちゃんは怒りに体を震わせていた。

 

「まぁまぁ」

 

「そっちはチョコ上げる相手も居なさそうだけど」

 

 奏ちゃんをなだめていた響ちゃんにも毒を吐きだす。

 

「んー、私はどちらかと言うと貰う方だよ、今年は和音の方が多かったかな」

 

 響ちゃんの話にアコちゃんと奏太の動きが止まり、奏ちゃんは苦笑いを浮かべていた。

 

「何よ、結局は上げる相手なんていないんでしょう」

 

「アコちゃん、いい加減にしな」

 

 流石に度を越して来たので声を掛けると、こちらを少し睨みつけてくる。

 

「八雲うるさい、アンタには関係無い、チョコ貰ったからっていい気になるな」

 

 言いたい事だけ言うと、踵を返しそのアコちゃんは足早し去っていってしまうが、少し申し訳なさそうな顔をしていた、その後を奏太が慌てて追いかけていく。

 

「「な、なまいきぃぃ」」

 

「ハモッたニャ」

 

 怒りで体が震えている二人をよそにハミィは何時も通りだった。

 

「ところで八雲兄、チョコ私以外誰から貰ったの?」

 

 響ちゃんは問い詰める様にこちらにやってくる、隣では奏ちゃんは楽しそうな顔をして答えを待っている。

 

「あとは奏ちゃんと先生のお孫さんの三個だよ」

 

「「思ったよりつまらない」」

 

「またハモッたニャ」

 

 期待した答えと違ったのか、二人は顔を見合わせ溜め息を吐いた。




お読み頂きありがとうございます。

試しに特殊文字を利用してみました。
読み辛いですかね?ご意見ありましたらよろしくお願い致します。

ifといい特殊文字といい、また奏ちゃんが被害に合ってしまいました、奏ちゃんゴメン。
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