スイートプリキュア♪ 鬼人の組曲 作:水無月 双葉(失語症)
あれから響ちゃんと何度か会い、ピアノを弾いて貰っている。その後のお菓子を食べながらのおしゃべりは、俺の密かな楽しみだ、色々と響ちゃんの事も教えて貰えた。
お母さんは、世界的に著名なバイオリニストで、世界中を駆け巡っていて、今は演奏旅行でパリに居るらしい。
毎日のようにテレビ電話で話をしているから、そんなに寂しくないけれど、正直言うとそろそろ直接話したい。
お父さんも、音楽の世界で天才と言われていて、今は音楽教師をしているのだが、日常会話に音楽用語を入れてくるのが嫌で、いくら言っても聞き入れてくれなくて最悪。
更に、お父さんの勤務先は自分の通っている学校で、しかも音楽の担当教諭なので、物凄く嫌で憂鬱になる、とぼやいていた。
ピアノは色々あって、小学校三年から弾いていなかったが、あの日は何故だかピアノに唐突に触りたくなって、不思議に思いながらも演奏をしていた。
首を傾げ、不思議がっていた響ちゃんに「そんな響ちゃんのピアノを今は俺が独り占めだね」っと言ったら、顔を赤くして結構な力で肩を叩かれてしまった。
他に聞いた事は、勉強はちょっと苦手だけれど、スポーツは大得意、負けず嫌いでちょっぴりおっちょこちょい、色々な運動がしたいから部活は助っ人専門、それから甘い良い物が大好き。
話をしている時の響ちゃんは、表情がコロコロ変わり楽しそうに話してくれる。
一番良い表情は甘い物を食べている時なのはちょっと笑える、そんな響ちゃんが可愛くてたまらない。
そんな響ちゃんだが、一人っ子なので兄弟に憧れがあるらしく、半分冗談で『お兄ちゃん』って呼んで良いよ、と言ったら顔を真っ赤にしつつ『八雲兄』と、小さな声で呼んでくれた。
それ以来俺の事を『八雲兄』と呼ぶようになり、俺も『響ちゃん』と呼び合う仲にまで仲良くなった。慣れないうちは名前で呼ぶと、ちょっと恥ずかしそうな顔をするのが最高に可愛かった。
奏ちゃんに関しては『ラッキースプーン』にマメに通って顔を覚えて貰え、お互いに名前を教えあったが、店員と客なので名字呼びは仕方がない。
入店した時に、名字を入れて挨拶してくれる程度だけど、ケーキを持ってきてくれた時に、学校の話をしてもらえる位には仲良くなった。
スポーツはちょっと苦手だけれど、勉強とお菓子作りは大得意で、将来はパティシエールに成りたくて店の手伝いを頑張っている。
部活もスイーツ部に所属して、毎日の様にケーキを焼いて部活が楽しい。
最近の悩みは怒らせたら誰より怖いと、皆に言われ凹んでいるらしい。
この前お店で初めて、弟の奏太君に会った時に「なに? ねーちゃんの彼氏?」って奏ちゃんに爆弾を落として追いかけ回されていた。
金銭は十二分に用意して貰っているが、流石にそろそろ何かしないと不味いかなと思い、何が出来るかと考えたらどうやら俺は、ピアノの調律や楽器類の修繕調整が出来るらしい。
料理は昔からしているが、腕がさらに上がった様だ、この街に住むには、音楽関係はふさわしい技術って事か、本当に鬼姫様は良く考えてくれている。
奏side
最近ちょっと気になるお客さんが居る。ここしばらくで常連さんになった人だけれど、ちょっぴり素敵だなって思っている、流石に王子先輩にはかなわないけれどね。
何故だか話しやすくてつい、色々話してしまって、私っこんなのだっけてちょっとびっくり、パティシエールを目指してるって言ったら、将来を考えていて偉いって褒められちゃった。
友達に、怒らせたらものすごく怖いって言われて嫌だって言ったら笑われた、失礼しちゃう。
話をするのが楽しみで、いつもつい長話してママに注意されちゃう事もある。
自己紹介し合った後に、来店時に名字を入れて挨拶したら、驚いた後にすごく優しい笑顔で挨拶を返してくれた。顔が火照って、ちょっと恥ずかしくなっちゃった、顔赤いの気が付かれたかな、少し心配。
スイーツ部でケーキを焼いている時に、このケーキ食べたら、どんな感想を言って貰えるのかな、美味しいって言ってくれるかなと、そんなこと思っていた私にびっくり。
そうそう、この間弟の奏太に「ねーちゃんの彼氏?」って言われて、恥ずかしくて追いかけ回したら、楽しそうに見られてしまって、更に恥ずかしくてなってしまい最悪、でも、悪い気がしなかったのは私の秘密。