スイートプリキュア♪ 鬼人の組曲   作:水無月 双葉(失語症)

41 / 110
響の兄妹

「くぅぅ、何時の間にか仲直りしちゃって! ネガトーン!」

 

 セイレーンのイラつきの言葉と共にネガトーンの蓋にあたる部分が開き、カップケーキの様なミサイルを数発打ち出した。

 

「ネガトーン!」

 

 ミサイルが奏ちゃん達に向かう中、奏ちゃんは自分自身を盾にする様に奏太を庇う、その姿を見た俺とメロディは二人を助ける為に全力で走る。

 

「メロディ!」

 

 メロディは名前を呼んだだけで意図を察して足を揃えジャンプをする、足を縮め力を溜めたメロディの足の裏に回し蹴りを合わせ、全身のバネを使いメロディを打ち出す、二人分の力を使いミサイルに追いついたメロディは、拳と足と使いミサイルを弾き二人を守るように立ち塞がった。

 

「あんた達なんかに奏を! あの姉弟を傷つけさせない、あの二人はすごいんだよ、いつもは喧嘩しているのにいざという時は当たり前に守って守られて! 思い合っている!」

 

 メロディが日頃思っている事を口する、俺はメロディの思いの丈を聞き彼女が如何に兄妹と言う存在に憧れを抱いているのかを改めて感じ取る。

 

「それが何? て言うかアンタは他人でしょう?」

 

 セイレーンは、メロディに対して心底馬鹿にしたように言葉を投げつける、俺がメロディの肩に手を置くとメロディは一瞬視線をこちらに向けた。

 

「そうだよ、私一人っ子だから、私にはそういう相手は居なかった、でも……獣鬼が私の兄になってくれた、だから初めて分かった兄妹の気持ちが!」

 

「だから何? アンタ達血は繋がって無いんでしょう、それに後ろの二人は関係ないじゃない、放っておけば」

 

 メロディの思いに、口を歪ませて笑うセイレーン。

 

「関係無くない! 確かに私と獣鬼は本当の兄弟じゃない、だからこそ分かったんだ奏の気持ちが! 二人には寂しい思いはして欲しくない、大切に思っているからこそ私と奏は本気でぶつかるし奏も奏太と本気でぶつかっているんだ、時には喧嘩をしたって二人にはずっと仲良くして欲しいんだよ、それに私にとっても奏太は弟みたいなものなんだ!」

 

 メロディの肩に手を置いたまま一歩前に出る。

 

「セイレーン貴様は分かっているのか人を思いやる優しい気持ちが! お前にだって居たはずだ、心から信じた人が、その人の思いを踏み躙るのか! メロディは俺の可愛い妹だし、今の俺にとっては奏ちゃんも奏太も大切な妹弟なんだ、だから傷つけさせない兄として必ず守って見せる!」

 

 肩から手を放し音撃棒を取り出し構える、メロディと俺の言葉を受けセイレーンは頭を掻きむしりながら声を荒げる。

 

「全っ然、分からない! ネガトーン! みんなまとめてやっちゃいなさい!」

 

 迫ってくるネガトーンに対し走り出し向かい打つ、後ろに行かせまいと足を止め打ち合いをする。

 

「私は獣鬼の思いを、優しい気持ちを常に感じていた、だからこそ私は奏達の気持ちを、お互いを思いやる心を守りたい!」

 

 後ろで今までにない光が溢れしネガトーンを吹き飛ばす、俺は後ろを振り返り光の発生源であるメロディに目線を向ける、その光は眩しかったが、優しく温かく全てを慈しむようだった。

 

 メロディは右手を下げ一度指を鳴らし、すぐさま右手を上げ、左手は下げる、上げられた右手を鳴らすと右の掌にはオレンジ色の、左の掌にはメロディの色でもあるマゼンダに輝く音符が現れる、祈る様に両手を胸の前で合わせ、ゆっくりと離すと輝きながら『ベルティエ』が姿を現す。

 

「奏でましょう、奇跡のメロディ! ミラクルベルティエ!」

 

 紡がれたメロディの奇跡の力。

 

「おいで! ミリー!」

 

 高く掲げられた『ベルティエ』にミリーが装着されとオレンジの光が溢れる。

 

「翔けめぐれ、トーンのリング! プリキュア! ミュージックロンド!」

 

 全身を使い大きな円を描くメロディ、その軌跡を追いオレンジのリングが現れる『ベルティエ』を掲げるとリングも頭上に移動し、メロディは勢いよくネガトーンに向け振り落とす。

 

 メロディの元から放たれた美しく輝くリングはネガトーンを捕え動けなくした。

 

「三拍子! 1、2、3!」

 

 メロディが全身を使い『ベルティエ』を指揮棒の様に大きく振る。

 

「フィナーレ!」

 

 メロディの掛け声に合わせリングが爆発を起こしネガトーンを浄化させた。

 

「また新しいパワー……冗談じゃないわよ! もう」

 

 セイレーンが負け惜しみを言いトリオ・ザ・マイナーと引き連れて逃げていく、奏ちゃんは気を失っている奏太を横抱きにして、陽が傾き始めた中を俺達の元にやってくる。

 

「これは……?」

 

 手の中の『ミラクルベルティエ』見つめながら呟くメロディ。

 

「二人を思いやり守りたいというメロディの心が生み出した新しい奇跡の力ニャ」

 

 嬉しそうに俺の肩に飛び乗り説明するをハミィ、ベルティエを持ち夕陽に照らされ佇むメロディを俺は無自覚に見惚れていた。

 

「獣鬼?」

 

 メロディの優しい声色で現実に引き戻されると、メロディは不思議そうな目線を向けて軽く首を傾げる。

 

「いや、何でもないよ」

 

 メロディの肩を軽く叩くと誤魔化す様に笑い掛ける、メロディは小さく頷くと柔らかい笑顔を向けてくれ、俺の心は温かい物に満たされたいった。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。