スイートプリキュア♪ 鬼人の組曲   作:水無月 双葉(失語症)

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サクラに挟まれて

「おはよう、響」

 

 後ろから奏に声を掛けられドキリとするが、昨日の八雲兄との会話を思い出しながら決心を決め、浅くなっていた呼吸を落ち着かせる為に一度深呼吸をする。

 

「お、おはよう、奏……」

 

「どうしたの響? 元気ないよ、私で良かったら話してよ親友でしょう」

 

 いつも通りの奏がそこに居た、鼻の奥が痛くなり涙が出そうに成るのをなんとか我慢する、やっぱり昨日の電話は偽者だったの? 

 

「ねぇ奏、昨日の夜だけど……」

 

「あの、ごめんなさい!」

 

 慌てて走って来たサクラが私に頭を下げると、奏は少し驚いた顔をしたが、直ぐにサクラが話しやすいように一歩後ろに下がるのが分かった。

 

「なんでサクラが謝るの?」

 

「昨日私我がまま言ってすいません、響さんの親友は私だけだなんて、でも思い直したんです響さんの親友はやっぱり奏さん……私は響さんの友達で居られるだけで幸せだって」

 

 辛そうに必死に謝ってくるサクラを見て心が痛む、何でそんな事言うの。

 

「サクラ……」

 

「だから、これからも私の友達で居て下さい、お願いします」

 

「よしてよ、サクラと私は親友のままだよ」

 

 サクラに近づきその手を取る、サクラの手は小さく少し冷たい、私は安心させたくなる。

 

「……ホントですか?」

 

 私が微笑みながら頷くと、サクラの潤んだ紫色の瞳がアメジストの様に綺麗に輝く。

 

「嬉しいです……」

 

「涙もろいのも同じだね、やっぱり私とサクラって気が合う見たい」

 

 ハンカチでサクラの涙を拭いながら奏を見ると、心配そうな顔をしながらも大丈夫と言わんばかりに小さく頷いてくれた、やっぱり奏は奏だ、私は安心してサクラの手を引く。

 

「行こう、サクラ」

 

 今は無理かもしれない、でも私は奏とサクラも親友になって欲しい、私はみんなで大切な時間を過ごしたい。

 

 サクラと手を繋いで歩いていたら、柔道部の部長が私の姿を確認すると、慌てた表情で向かって来た。

 

「大変よ! メグミが足をくじいちゃって」

 

 慌てて走って来た、柔道部の部長が一気にしゃべり肩で息をしている。

 

「どうしよう……メンバー一人、足りなくなっちゃったよ」

 

 息を整えつつしかめっ面の部長、私の頭の中で有る事が閃きサクラに体を向けた。

 

「そうだ、サクラって柔道やっていたよね」

 

 私の問いかけに、少し目を大きくし戸惑いながらも返事をしてくれる。

 

「お願い、今日の試合に出てくれない」

 

 頭を下げ両手を合わせサクラに懇願するが、サクラは困り顔だ。

 

「私が……あ、でも、今日はちょっと……用事が…………」

 

 サクラは困ったような声をあげる、いきなりじゃ仕方がないと私は小さく溜め息を吐いた。

 

「いえ! 親友の頼みとあらば断る訳にはいきません!」

 

「ありがとう! サクラァァ」

 

 両手で握り拳を作り、力強く宣言してくれたサクラに嬉しくなり、私は思わず力いっぱい抱きしめたらサクラは目を白黒させていた。

 

 

 

 

 

 

 

 北条先生との打ち合わせの後、柔道部の練習試合を見せて貰える事になり、柔道場に向かう最中に何かを手に持ち廊下に佇む奏ちゃんを見つける。

 

「よっ、柔道部の応援行かないのかい」

 

 かけられた声に奏ちゃんが、振り向くと目を丸くする。

 

「お仕事ですか、お疲れ様」

 

「今日は打ち合わせで来てね、柔道部の練習試合の見学許可貰ったから向かうところ」

 

 少し困った顔をすると、奏ちゃんは開いた窓の外を眺め、何かを飲み込む様に瞳を閉じた。

 

「ところでその手に持っているシュシュどうしたの?」

 

 奏ちゃんに訊ねながら隣に立つと、何処からともなく女子サッカー部の練習の声が微かに聞こえてくる。

 

「これ響に貸したんだけれど、机に忘れて行ってしまって……」

 

 奏ちゃんは一度も俺の方を向かず、窓を向いたまま少し寂しそうに呟く。

 

「応援ついでに持っていかないとね」

 

 あえて明るく接すると、ややあって奏ちゃんはこちらを向くと辛そうな表情だった。

 

「応援に行きたいけれど、まだ北条さんと仲良くなれてないから……響を板ばさみにしたくないよ」

 

 奏ちゃんは、自嘲するように笑みを浮かべ小さく溜め息を吐く、俺は後頭部を何度か掻くと奏ちゃんの手を取り引っ張っていく。

 

「柔道場の位置分からないから、案内お願いね」

 

「え、えぇぇぇ、ちょっと八雲さん」

 

「いやー、親切な生徒さんが居て助かるよ」

 

 最初は抵抗をした奏ちゃんだが、俺が譲らないのを理解すると、諦めて渋々と案内をしてくれた。

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