スイートプリキュア♪ 鬼人の組曲 作:水無月 双葉(失語症)
私は5年ぶりにピアノの演奏をしていたの、小学校3年の時、嫌な事が有ってから触る事も嫌だった。
その日は不思議と鍵盤に触れたくて弾いたけれど流石にブランクが長すぎてダメダメだった。
柄にもなく大きな溜め息を吐くと、拍手が聞こえて振りむいたら、知らない男性が立ち上がりながらしてくれていた。
つい頭に来てしまって、年上らしかったけれど、怒鳴ってしまった。でも、真剣に謝れられてしまって、少し困っていたら「心に響くピアノ」って言われて、私の怒りは無くなってしまう。
あの日私の聞きたかった言葉……初めて会って、初めて聴いて貰って、一番欲しかった言葉を言ってくれた。
顔が熱くなって、つい心にもない事を言ってしまう、私は物凄く後悔した。そう、まるで奏に対する態度みたいで……私は何をしているのだろうってね。
恥ずかしくなって、つい下を向いていたら、いきなり撫でられて、でも、そんなに悪い気がしなくて、撫でられるなんていつ以来だろうって、嬉しくなっちゃって少し恥ずかしい。
「俺は、音楽とか色々な事は巧いとか下手とかよりも、俺自身にどう響くかって事が重要なんだ。
今、君の弾いていたピアノは、俺の心に届いたよ、実に魅力的で美しく優しい旋律だった」
こんなこと言われてびっくりしたけれど、私は一字一句忘れない、忘れたくない。
私の演奏が届いてくれた、魅力的で、美しくて、優しいって……
緩んだ涙腺を我慢しながら、頭を上げてその人の顔を見たら、すごく優しい顔していて、あぁ、お世辞じゃないんだと思ったら、涙が溢れそうになった。
涙を耐えてたら、ハンカチを貸して貰ったけれど、涙止まらなくて情けなくなって、どうしようもないってなっていたら、また、優しく撫でて貰えて、心が温かくなって、少しだけ甘えたくなって、本当に少しだけだからね!
思わず寄りかかったら、引き寄せられてびっくりしたけど、色々限界で涙は止まらなくて、少し声が出てしまったら、さらに強く抱きしめられてね、抑えられなくて大泣きしちゃった。
その後はもう気まずい、気まずい、泣き顔見られてみっともないやら、恥ずかしいやらで困っていたら「心が軽くなるなら大丈夫」と優しく微笑んでくれた。
今度は腫れた目の下を撫でられ、顔は熱くなるし恥ずかしくて、逃げる様に自己紹介して、名前聞き出してこれで逃げられる、と思ったら、またピアノを聞かせろって、うそでしょう? でも、ここで逃げたら女がすたる!
まぁ、言い訳半分でオーケーしたけれど、少し怖くなって不安になっていたら、また、撫でられるわ引き寄せられるわで、嬉しいやらなんやらでね。でも、悪い気はしなかった、おかしいよね初対面なのに……その後に一緒に食べたお菓子はおいしかったな。
帰りも遅いし、女の子一人は危ないって送ってくれて、あっという間に家に着いちゃって、玄関に入る時に時に寂しくなって振り向いたら、笑ってくれていて、嬉しくなって手を振ったら返して貰ったけど、途端に恥ずかしくなって逃げちゃった。
夜に交換した連絡先を見つめて、また会えると思うと嬉しくて、ベットの上で何度も転がったのは、私の秘密。
えっと、私に兄が出来ました。
まぁ、この前『調べの館』で知り合いになった男性だけどね、あれから結構ピアノを弾いていて、色々話もしたの、パパとママの事、友達や学校での出来事、部活は助っ人専門で色々やっていて試合とか手伝っているって話したら、今度応援に来てくれるって! 良い所見せないとね。
ここで決めなきゃ女がすたる!
ピアノはここでしか弾いていない、と言ったら「独り占めだね」と、さらりと言われて恥ずかしくって、肩殴っちゃた。うん、私は悪くない。
で、相談が出来るかなって思い、奏の事話したら『ラッキースプーン』によく行って奏と話してるって、ちょっとびっくり、あのお店有名だからしょうがないか、奏太にも会った話を聞いて、私は一人っ子だから兄弟欲しかったって話したら『お兄ちゃん』って呼ぶ? なんで聞かれるから、つい、呼んじゃった、ついね、つい。
それから私は彼の事を『八雲兄』って呼び、八雲兄は私の事を『響ちゃん』と呼んでくれる様になったの、呼んでも呼ばれても、恥ずかしくてもしかすると顔赤くなって無いかな? 少し心配。
はい、無駄に長いプロローグが終わり、次の更新から本編になります。
読んで下さった方ありがとうございます、閲覧があるだけで小躍りしてます。
主人公の氏名は声優ネタです、名字はまんまで名前はもじりました、鬼姫のどこぞの巫女姫です、ほら大賢者がねぇ…
下手は下手なりに書いていきますので生ぬるくお付き合い頂ければ幸いです。