スイートプリキュア♪ 鬼人の組曲 作:水無月 双葉(失語症)
「うわ、うわぁ、食べても良いのかニャ」
大きめの箱に詰められたカップケーキを前に、ハミィが嬉しそうに私に聞いてくる。
「もちろん、フェアリートーンのみんなも食べてね」
ハミィに、カップケーキを手渡しながらフェアリートーン達に声を掛けると、我先に箱の周りに群がって来る。
指定された物をドンドンと渡すと思い思いの所に移動して食べ出す、その姿がまるでピクニックの様で楽しい。
やはりカップケーキを前にして喜んで貰えるのは嬉しい、今朝見た嫌な夢や思いが少しだけ軽くなるの感じながら、ハミィとフェアリートーンが美味しそうに食べる姿を眺め、幸せに浸る。
「美味しいニャ」
あっという間に一個を食べたハミィが、次のカップケーキを口に運んだ時、私は躊躇いがちに尋ねた。
「ちょっと教えて欲しい事があるんだけど……プリキュアの『ベルティエ』ってどうすれば…………」
次の言葉が出せない私に、ハミィは小首をかしげる、小さく息を吸い大きく吐き覚悟を決めて続きを話す。
「私『ベルティエ』がある響や、独自の戦い方をする八雲さんに頼ってばかりで、どうしたら私にも『ベルティエ』が現れるのかなって……」
こんな事をハミィに聞くのは間違いかもしれない、でもあの二人なら「気にするな大丈夫」だと言ってくれるだろうけれど、だからこそ私は隣に並びたい、強く成りたい。
「奏はあんまり気にする事無いニャ、そんなの気の持ちようニャ」
「気の持ちようって、『ベルティエ』が現れるにはやっぱり切っ掛けがあるんでしょう」
ハミィはやはりマイペースでのんびり屋さんだ、何時もはその性格に救われているけれど。
「きっかけ……んーえっと、えっと、えーっと」
ハミィはハミィなりに、腕を組み何かを思い出しているのか唸り続けている、私はハミィの邪魔に成らない様に息を潜めて神妙に答えを待つ。
「きっと響の持っているプリキュアのパワーニャ」
「パワー?」
予想外の台詞に、思わず繰り返して聞いてしまう。
「パワーニャ、そのパワーがニャーって溢れて『ベルティエ』に成ったニャ」
じゃあ、私にはプリキュアのパワーが無いって事なのかと思い、思わず大きな溜め息を吐いてしまう。
「そんな顔してたらパワー何て出無いニャ」
「ハミィ、八雲さんは何であんなに強いと思う」
ハミィが八雲さんの事をどう思っているのが気になる、ハミィの事だきっと予想外の事を話してくれそうだ。
「八雲かニャ、んー、八雲は八雲だから強いニャ」
「ハミィ、だからって……それ理由に成って無いよ」
斜め上すぎる答えに思わずおでこを押さえてしまう、それを見たハミィはまた首をかしげる。
「ハミィも八雲の事はここに来て知ったニャ、アフロディテ様も知らなかったニャ、助けてくれるから良い人ニャ、でもこの前響が八雲はエッチだって怒っていたニャ」
ハミィの最後のオチに思わず吹き出してしまう、この間のは事故だと思うな、でも私だったら……頬が少しだけ緩みそうに成り私は慌てて考えるのを止める。
「そんなに気になるんなら、八雲の所に行ってみれば良いレレ」
カップケーキを食べ終わったレリーが、口の周りを拭きながら何でも無い事の様に話す。
「え? でも、迷惑じゃ……」
「何を言ってるレレ、奏はどうしたいレレ? 気になる事は何でもやってみるレレ」
次のカップケーキを取り出して頬張るレリー、何かを思い出したのか、体を傾けると口の中の物を大急ぎで飲み込む。
「それに八雲は早い時間に良く走っているレレ、きっと何かをしているレレ、一度調べて見ると良いレレ」
「トレーニングでもしているのかな……」
海の視線を向けると水平線に点の様な船が見える、私は上手く考えを纏められないでいた。
「僕が力を貸してあげるから、『モジューレ』出すレレ」
言われた通り『モジューレ』を取り出すと、レリーは『モジューレ』に入り込む。
「奏、吹くニャ」
ハミィにも急かされ『モジューレ』を拭くと辺りに澄んだ綺麗な音が響き、不思議と力が湧いてくる。
「僕の力は、心と体に力を与えるレジェンドメロディレレ、後は奏次第レレ」
レリーはそれだけ言うと、カップケーキの続きを食べ出す。
気分が切り替わった私は、大きく伸びと深呼吸をする、レリーのお陰で力も湧いたし、ハミィにも話を聞いて貰え心が軽くなる。
「なんだか気分が軽くなったよハミィ、レリー、よーし、こうなったら響と八雲さんのパワーの秘密探ってみるか!」
「その意気ニャ!」
「頑張るレレ」