スイートプリキュア♪ 鬼人の組曲   作:水無月 双葉(失語症)

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本編第一話になります。
オリ主はまだ変身をしません、それではよろしくお願い致します。


第1話 誕生スイートプリキュア
調べの館にて


 今日は八雲兄との約束の日、少しイライラしていたけれど、八雲兄に愚痴を聞いて貰おうと、私は足早に『調べの館』に向かう。

 

 入口のすぐ側に、八雲兄の大きなバイクが置いてあった、滅多に乗って来ないけれど、乗って来た時は必ず珍しいお菓子を用意してくれて帰りに街を一回りしてくれる、私の密かな楽しみの一つだ。

 

 少しだけ気分も上がりホールに入ると、いつも通りの優しい笑顔で私を迎えてくれた、うん、よし頑張ろう。ここで決めなきゃ女がすたる! 

 

 

 

 今日は響ちゃんとの約束の日だ、日に日に上手くなっていく響ちゃんのピアノを聴くのが楽しみだ。

 

 最近頑張ってくれるから、久しぶりに一緒にバイクで一回りしたいと思い乗って来た。

 

 響ちゃんの笑顔が見たくて、ここに来る前にちょっと遠いけど、評判の店のシュークリームを買って来てある、喜んでくれると良いな。

 

 しばらく待っていると、響ちゃんが少し駆け足で入って来る、今日も可愛いなと見ていたら笑顔を返してくれた。

 

「それでさぁ、聞いてよ八雲兄、奏ったら上から目線で欲しかったら言えとか言うの、何時も何時も余ってるのにさ~、ほんっとうに奏は石頭で、しかも私なんかに食べさせるケーキは無いってまで言うんだよ、ひどいよね」

 

 しかし、奏ちゃんが絡むといつも飽きもせずに言い争っているよな、この感じだとシュークリーム買っておいて良かった、二人が和解する方法ないのかな。

 

「一度、南野さんと話してみれば」

 

「ムリ! 奏が素直に話をするわけ無いじゃん、最近は喧嘩ばかりだしさ、昔は楽しかったのにさ…………」

 

 腕を腰に当てプリプリ怒ってる姿も、可愛くて良いけどさ、さすがに不味いだろうこれからの事考えると、しかしどうするか、露骨には出来ないし……

 

「八雲兄! 聞いてる?」

 

 覗きこんできた響ちゃんに、ドキリとしながらも曖昧に笑って誤魔化したら、拗ねられた。帰りにミートデリカモーモーの特性コロッケで手を打って貰いました。

 

「まぁ、やっぱりさ、一度話しなよ、良かったら俺も一緒に行くから、ね」

 

「少し……考える…………」

 

 頭をかきながら横を向く響ちゃんを見ながら、ちょっと厳しいかと小さく溜め息をついた。

 

「ああぁ、何でいつも喧嘩しちゃうんだろう……」

 

 響ちゃんは、そう小さく呟くと指先で鍵盤をなぞる。

 

「ここでね、いつも歌っていたんだ、もう、あの頃には戻れないのかな……八雲兄、あのね…………奏は一番の友達だったんだよ」

 

 落ち込んでいる響ちゃんの頭を撫でる、俺が言葉を発しようとした瞬間、別の女性の声がホ-ルに響いた。

 

「友達なんかいらないじゃない」

 

 二人して声のした方を見上げる。

 

 そこには、深い紫の長髪に不思議な光を宿した金色の瞳、白の長袖シャツに黒のタイトミニスカートとニーソックス、黒いラインの入った鶯色のブーツ、そして黒のノースリーブロングコートを着た少女が、足を組んで二階の手すりに座っていた。

 

「私の名はエレン、本当は友達なんかいらないって思っているでしょう?」

 

 馬鹿にしたように発せられた言葉に、イラつきを覚えながら響ちゃんの隣に立つ。

 

「そんな悲しい事思ってないよ」

 

「嘘おっしゃい」

 

 否定する響ちゃんに、かぶせる様に言われた言葉を聞き、響ちゃんの気持ちも知らない癖に、と俺は握り拳を作っていた。

 

「私はね、人の心が見えるの、ほら、もっと良く見せてごらん」

 

 そう言うと、少女(エレン)は両の手で三角を作り、片目をつむり響ちゃんを覗きこむ、その瞬間背筋が寒くなり響ちゃんの腕を取り引き寄せた。

 

「八雲兄?」

 

 いきなり引き寄せた俺に驚きながらも、俺と二階のエレンを交互に見て困惑する響ちゃん、だが、俺の行動は少し遅かったらしく。

 

「やっぱり、ト音記号の匂いがしたのよね、それが無いと楽譜は始まらない」

 

「何の話?」

 

 エレンの呟きに、響ちゃんは更に困惑を深め、俺は手遅れを悟り、知識がほぼ無い事を後悔した。

 

「あんたには関係ない話」

 

 その言葉とともにエレンはひらりと身を躍らせる、響ちゃんは危ない、と叫び身をすくませるが、ピアノの上に舞い降りたのは一匹の黒猫だった。

 

「響ちゃん! 逃げるぞ!」

 

 俺は、響ちゃんの返事も聞かずに、横抱きに抱きかかえると、外に向かって走り出す。

 

「お待ち」

 

 黒猫が、しなやかな走りで追いかけてくる、響ちゃんは俺の首に腕を回ししがみつくと切羽詰まった声を上げた。

 

「八雲兄、ネコ! ねこ! 猫に成った! しかも喋っている!」

 

 騒ぐ響ちゃんを一度見て、スロープを駆け上がり二つ並んだアーチを潜り抜け外に出る。

 

 このまま逃げようとバイクに向かうが、すでに遅く、緑、赤紫、水色と言った派手な色の髪の男達に立ち塞がれた。

 

 男たちは、お揃いのマントに同じ服を着て、違いは服の色で髪と色が同じで体のサイズは大きい、小さい、細いのだった。

 

「「「通さな~~い」」」

 

 俺は、妙にハモッた声にイラつきながらも、三人組を睨みつけた。

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