スイートプリキュア♪ 鬼人の組曲 作:水無月 双葉(失語症)
プリキュア達の動揺、妖精の絶望的な声を聞いて私は繋いでいる手に力を込めた、握り返してくれるリズム、リズムが居れば大丈夫、私は戦える後は…………
「ご高説どうも! やらせねえよ!」
私達を飛び越え躍り出た、力をくれる声、頼もしい背中を見た私とリズムは叫ぶ。
「八雲兄!」
「八雲さん!」
空中からの魔女を狙った蹴り落としは、マントを付けた男に防がれた、けれど八雲兄はその場でマントの男と激しい打ち合いを始める、足を止めてのラッシュ、八雲兄がよく使う戦法。
私達の為に何時も危険な戦い方をする八雲兄、今もそうだ、八雲兄は何時も何時も自分の身を平気で敵に晒す、胸に色々な物が込み上がる、現に今だって動けない私達に代わって飛び出したんだ、変身もしないで……
何で私の足は動かないの、私は伝説の戦士じゃないの私の決意はこんなに軽かったの……
八雲兄の戦いに息を呑む、前に生身で戦った時より強くなってる、八雲兄はやっぱり凄い、打ち合いの最中、後ろのヘルメットをかぶった巨漢が八雲兄に向かって拳を下から上に振り抜く、腕をクロスしてガードした八雲兄はこちらに飛ばされる。
「八雲兄!」
「八雲さん!」
吹き飛ばされた八雲兄を見て、私とリズムは悲鳴を上げた。
「「「木野さん!」」」
「「お兄さん!」」
八雲兄を知っているブラック、ホワイト、ルミナスが絶叫し、近くに居たドリームとピーチが八雲兄の身を案じる様に叫ぶ、全員の顔に焦りが見える。
八雲兄は空中で姿勢を直し綺麗に着地をする、でも勢いが強く私達の側まで氷の上を滑る様に近づいてきた。
「なかなかの闖入者だ、だかプリキュアには遠く及ばん、無駄死にだ」
マントの男が楽しそうに笑う。
「ムシバーンと打ち合った……」
「ウソ、トイマジンの攻撃を防いだの」
ドリームが驚き、ピーチが信じられないと言った声を上げる。
「俺は勝てる勝てないで戦いを選ばない! 覚えておけ!」
気合の籠った声を発した八雲兄が、『音角』の入っているホルダーに手を伸ばそうとした時、魔女が不気味な声を上げた。
「やはりこの近くにあるみたいだねぇ」
魔女の水晶に映る、黄金に輝く美しい球体。
「あれがプリズムフラワー」
ドリームが声を上げたその時、プリズムフラワーが嫌な音を立てて、その美しい表面に亀裂が走る。
「やっぱり、弱ってるナツ!」
ナッツが叫び妖精達がどよめく、私はすがる様に八雲兄の背中を目線を送る。
「どうして! まだあいつらに奪われてないのに!」
焦りを隠せないアクアの声を合図に地面が揺れ出す、禍々しい水晶柱が地面から現れ、混じり合った世界を破壊していく。
「ブラックホールの強大な力が、もう地球全体を覆い始めているココ!」
空が荒れ、大地が裂け、ココの絶望に染まった声が木霊する、でも私は見た、揺れる大地を物ともせずに走り出したその背中を、まるで付いて来いと言っている様なその背中を。
「攻撃だ! あいつらを止める! プリズムフラワーを必ず守るんだ!」
叫んだ八雲兄が真っ先に敵に向かう、八雲兄がいれば私は戦えるし絶望はしない。
「八雲兄!」
「はあぁぁぁ!」
走り出し名前を叫んだ私と、気合を漲らせたリズムが後を追う、それを見たプリキュア達が一斉に動き各所で戦いが起きる、八雲兄はシャドウと言われた敵と戦っており、私とリズムは氷で作られた様な双子の男達とぶつかり合っていた、そんな中、トイマジンが高くジャンプする。
「させるか!」
危険を察知した八雲兄がシャドウを何とか掻い潜り、トイマジンに向かって高くジャンプしたが、ムシバーンに阻まれてしまう。
「君如きに邪魔はさせぬよ」
勝ち誇った笑みを浮かべるムシバーン、八雲兄は獣の様な咆哮を上げながら攻撃を開始する。
「どけえぇぇ!」
打ち合いをする八雲兄とムシバーン、だが魔女の水晶が怪しい光を放ちだす。
「お前達もバラバラにしてやる!」
トイマジンが絶叫と共に打ち付けた拳は地面を砕き私達は上空に吹き飛ばされる、なすすべなく飛ばされた私達はお互いがお互いの仲間を叫ぶ。
「二人とも手を!」
八雲兄の言葉に、私とリズムは八雲兄の差し出された手に向かって力の限り手を伸ばす、お互いの指が触れあったその時、更に突風が吹いて私達は離れ離れになる。
「八雲兄────っ!」
私の叫びは風に遮られ、届く事は無かった。
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プリキュアオールスターズ 虹色の花束
第6節 激戦の
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