スイートプリキュア♪ 鬼人の組曲 作:水無月 双葉(失語症)
目をつぶり体に力を入れる、迫ってくる光球に対してのせめてもの抵抗だ、光が爆発し暴風が吹き荒れる……
たいして
眼前に広がる無数の破片達、これが私達を守ったのだ……
「何があったの?」
ミントが自分の体を確認し、散らばっている破片達を見ながら首を傾げる。
「八雲さんのディスクアニマル……」
私は喉の奥がキュッと締まるのを我慢しながら、震える手でディスクアニマルの破片を一つ拾うと、胸に抱きしめ、溢れそうな涙を堪える。
「ディスクアニマル?」
破片を見回しながら、ベリーが不思議そうに声を上げた。
「私とメロディと一緒に戦ってくれている八雲さんの音式神、きっと私達を助ける為に送りこんでくれたんだと思うの、今頃は変身して戦っているはず」
バラバラになったディスクアニマル達を見つめ、私は下唇を噛み締める。
「二人と一緒に居た人ね、確か木野八雲さん、メロディのお兄さんよね、苗字が違うから親戚なのかしら」
ホワイトが思い出したのだろう、一人で納得しながら話している。
「もしかして、私達より早くシャドウに飛びかかった人かしら」
アクアが小首を傾げ、思い出す。
「あの無鉄砲か!」
腕を組み、大きく頷くマリン。
「すごかったね、私驚いちゃった」
イーグレットも、思い出しているのだろう、深く頷いている。
「ねえリズム、変身ってどういう事」
ホワイトが首を傾げながらも、期待のこもった目を向けてくる。
「八雲さんも変身が出来て、その時の名前が獣鬼って言うの……メロディとは血は繋がって無いわ、でも、私とメロディの兄代わりなの」
色々な思いを込め皆に話す。
「リズム、その木野さんって人もプリキュアなの?」
アクアが手を頬に添えて、思案顔で聞いてくる。
「ちがいます、八雲さんは…………」
私は一瞬言い淀む、果たして喋ってしまって良いのだろうか……
「で、何なのよ!」
マリンが、待ちきれないと言った感じで私に迫って来て、私は観念した。
「八雲さんは鬼人、鬼なんです……詳しくは聞いて無いのですが鬼姫の使者って名乗っています……」
いたたまれなくなり、目を伏せて下唇を噛む、皆が怖がったらどうしよう……顔が見れない。
「鬼? 鬼って言われても良く分からないわ、普通に喋っていたし、優しそうだったから」
ホワイトが、やはり思い出しながら言葉を紡ぐ。
「なら、みんなでお話しましょう」
ミントが手をポンと叩いて提案してくる。
「良いわねそれ、面白そう、異文化交流ね」
ベリーも乗り気だ、でも異文化じゃないと思う、本当に良かった、皆受け入れてくれるみたいで少し安心した。
「そうと決まったら、早く魔女の水晶を壊しましょう」
イーグレットが空を見上げて皆を鼓舞する、その横でバラバラになったディスクアニマルの破片を、思い詰めた表情で見つめているマリン。
「私、堪忍袋の緒が切れました! ってブロッサムがこの場に居たら大変な所だからね!」
魔女を指さし宣言するマリン、その瞳は少し……潤んでいた。
「そうね、ピーチなら、きっとこの状況を許さないわ」
ベリーが確信を持って答え、何かに耐える様にきつく下唇を噛む。
「ドリームだったら、真っ先に怒ってるわね」
「えぇ」
声を震わせた、アクアとミントが頷き合う。
「ブルームなら、きっと私の手を取って一緒に悲しんでくれる」
涙目のイーグレットが、魔女を睨みつける。
「私達を信じてこの子達を送ってくれた人が居る! 私達は自分のパートナーを! 皆を信じている!」
大粒の涙を一粒流したホワイトが、あらん限りの叫びを上げた。
「たとえ目の前に居なくても、こうやって助けあう事が出来る、お互いが思う事が出来れば、気持ちは繋がる!」
ミントの潤んだ瞳に力が宿る
「私達は、離れていても何時も一緒なの!」
流れ落ち出した涙を気にもとめずに、ベリーが力強く叫ぶ。
「リズム! 行くよみんなが待ってる! その鬼のお兄さんにも会わないとね!」
マリンが、私を見て親指を立てながらウインクをし、ディスクアニマルの破片を横目で見ると、ギリリと奥歯を噛み締め上空を睨み上げる。
「海より広い私たちの心も、ここらが我慢の限界よ!」
力強く一歩踏み出すと、皆の気合も膨れ上がった。
「バラバラにするだけで私達を倒せると思ったらお生憎様! 砕けてしまったディスクアニマルの為にも、私達のやり方、見せてあげる!」
ホワイトが叫ぶ、皆が砕けてしまったディスクアニマル達を思って怒って悲しんで、そして涙を浮かべ流してくれる、その事実が嬉しい。
「メロディも、獣鬼も、きっと頑張っている、だから私も!」
砕けたディスクアニマルの破片を胸に仕舞い、服の上から手で押さえ気持ちを高めていく。
大丈夫。私はまだ……戦える。
お読み頂きありがとうございます。
来週末の更新を予定しております、宜しければお付き合い頂ければ幸いです。
ディスクアニマルと言う援軍を得たプリキュア達の脱出への戦いが始まって行きます。
何かの犠牲の上の勝利は、プリキュアからは少し外れているかも知れませんが、お許し下さい。
では、次回。
プリキュアオールスターズ 虹色の花束
第14節 双六の
よろしくお願いします。