スイートプリキュア♪ 鬼人の組曲 作:水無月 双葉(失語症)
空から聞こえるぶつかり合う音、激しく飛び散る炎、戦っている、八雲兄が一人で戦っている。
「八雲兄……」
空を見上げ涙する、自分の無力さが悔しい。
「勝って……お願い、八雲さん……勝って戻って来て、私と響の所に、お願い……」
奏の願う声、涙を流し空を見上げている大切な親友。
空を見つめたまま立ち上がる、小さく聞こえる「勝って」の声、皆が勝利を願っている、願っている……
「進むんだ、進まなきゃ」
願っているだけでは駄目だ、私は戦う決意をしてたはず。
激しくぶつかり合い強い衝撃が地上まで届く、八雲さんが戦っている、私達の為に、世界の為に、涙が止まらない。
このままじゃ居なくなってしまう、八雲さんが私達を置いて行ってしまう……
「八雲兄……」
響の呟き、大粒の涙を零しながら悔しい様な祈る様な親友の声。
「勝って……お願い、八雲さん……勝って戻って来て、私と響の所に、お願い……」
私は願う、どんなに酷い世界でも二人が居れば生きていける、だから……お願い、帰って来て、皆で……
「進むんだ、進まなきゃ」
響の小さな声、けれど決意のこもった強い声、私の好きな響の声。
私ってやっぱり弱い、どんなに辛くても茨の道でも進むって決めたのにね。本当に情けない。
「立ち止まってちゃ、何も始まらないんでしょう! 真っ直ぐ前進あるのみだって、さっきみんなが言ってたじゃない!」
思いの丈を皆にぶつける、皆の心にさざ波が立つのが分る。
「私、奏と八雲兄が居なくてすごく心細かったけれど、みんなが私の手を取って一緒に進んでくれたから、頑張れた!」
奏の瞳が大きく開かれた。
「そうだった……気持ちが繋がっていれば離れて居ても何時も一緒、みんながさっきそう教えてくれた」
奏がハミィの手を取って握手をする。
「たとえ離れ離れになったとしても心は繋がっている、そうだよねハミィ」
「私は黙って待っていたくない! ほんの少しだけれど私達にはまだ前に進む力が残っている、八雲兄だけじゃなくて私達も前に進まないと!」
私と奏の言葉に晴れやかな顔をしている仲間達。
「そうね、彼一人に戦わせる訳にはいかないわ、それに私達にはまだ出来る事があるわ」
月影さんの静かだけど強さを感じる声、泣きじゃくるポプリをあやすいつき。
「そうだよ! 前に進まなきゃ!」
えりかがシプレを抱きしめて大粒の涙を落とす、ラブとタルトが抱きしめ合い声を上げる、のぞみとココが手を握り合う。
「のぞみ……」
「どんなに離れて居ても私達はずっと一緒だよ」
のぞみと仲間たちの優しい視線、咲がフラッピを力強く抱きしめ、舞とチョッピが見つめ合い微笑み合う。
「離れていても気持ちは繋がっている」
「だからみんな何時も一緒よ」
ほのかとひかりがポルンとルルンに気持ちを伝え、メップルとミップルがそんな二人を抱きしめる、皆が別れを惜しむのではなく、絆を確かめ合って温かい涙を流す。
「みんな一緒だよ!」
なぎさが泣きながら笑顔でメップルにミップル、ポルンとルルンを抱きしめる。
「何処に居たって私達はみんな、ずっとずっと、ずーっと友達です!」
つぼみの言葉が皆に広がる、泣いている人は誰も居ない、皆の決意が固まった、ここで決めなきゃ女がすたる。
激しい音と炎を撒き散らしながら戦っている八雲兄とブラックホールを鋭く見上げ奏と強く手を握る、奏の体温を感じる、どんなに辛くても何時も勇気と力を与えてくれる大切な親友。
「心が繋がれば怖い事なんて何もない!」
凛とした奏の声に顔、ここぞと言う時に聴かせてくれる声、見せてくれる顔、私の大好きな奏の表情。
「私達は今出来る事を! 精一杯の事を頑張ります!」
つぼみの思い。
「私達の世界を闇に飲み込ませない!」
ラブの鼓舞。
「私達は絶対に!」
のぞみが皆に確認する。
「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「諦めない!」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」
私達全員の決意表明。
「プリズムフラワー! お願い!」
私は乞う、大いなる光をたたえるプリズムフラワーに。
「「私達に最後の力を!」」
重なる私と奏と皆の思い。
「「私に……共に戦う力を!」」
私と奏は最後の希望に手を伸ばす。
お読み頂きありがとうございます。
明日も更新の予定となります、宜しければお付き合い頂ければ幸いです。
最後の力に手を伸ばしたプリキュア達の戦いが始まります。
では、次回。
プリキュアオールスターズ 虹色の花束
第21節 プリキュア
よろしくお願いします。