スイートプリキュア♪ 鬼人の組曲 作:水無月 双葉(失語症)
そして、謝っておきます。
ごめんなさい。
「馬鹿め、もう手遅れだ、あの鬼はもう居ない」
いない……? 八雲兄が……?
全身から力が抜け、膝から崩れ落ちる。
「……! …………!」
音が聞こえない、彩の無い世界が広がって行く、おかしいな、おかしいよ、こんなに悲しくて、こんなに苦しくて、こんなに淋しいのに、涙が出ない……おかしいな………………
八雲兄が昇って行った彩の無い空を見上げた、無数の何かが瞬きながら落ちている……
私の頬を鋭い痛みが走る、ゆっくりと顔を向けた、奏が泣いている、奏、泣いているの?
「か、なで……?」
「そうだよ! 奏だよ! 響お願い! しっかりしてよ! 八雲さんが! プリズムフラワーが! 響!」
私の頬に熱い水滴が垂れる、奏の涙、意識がはっきりして彩が戻り世界が広がる、皆が私の周りで心配そうな顔をしている、左手が熱い、奏は手を離さないでいてくれた。
「もう、大丈夫……ありがとう……奏…………」
奏の手を借り立ち上がり大きく深呼吸をする、心の中で「大丈夫」を何度も何度も唱える。
「こんな所で座ってちゃ、八雲兄に怒られちゃうよ」
「そうかな、八雲さんなら、きっとしょうがないなって頭を撫でてくれるよ」
「うん、そうかな……そうだね」
奏が我慢をしているのが分かる、もしかすると私より泣き叫びたいのかもしれない、でも、歯を食いしばっている。
砕け散ったプリズムフラワーが意志を持った様に世界中に散って行く、私は誓う、美しい流れ星達に。
世界中の声が聞こえる、世界を守って欲しいと願う人々の声、思いが集まり優しく温かい光に包まれ……私達は
私達は皆で手を繋ぐ、私達は世界と一つになった、世界中の想いの力が溢れて来る、見ててね八雲兄、ここで決めなきゃプリキュアが……響がすたる!
「私達の最後の力! 受けてみなさい!」
私は全ての想いを込めて力の限り叫んだ。
ブラックとホワイトにルミナス、蘇った伝説の戦士、その力は他の追随を許さない、新たな伝説は彼女達から始まった。
「漲る勇気!」
「溢れる希望!」
「光り輝く絆と共に!」
「「エキストリーム!」」
「ルミナリオン!」
光の意思を守る光の使者、彼女達が守るのは、光りの心と輝く命。
精霊と心を通わせるふたり、咲と舞と精霊の心がひとつに重なり輝く星になる。
「精霊の光よ! 命の輝きよ!」
「希望へ導け! ふたつの心!」
「「プリキュア! スパイラルスター! スプラッーシュ!」」
大地に未来を、空に勇気を、花鳥風月と共に歩く彼女達の描く景色は美しい。
輝く蝶と気高き薔薇に導かれた5人の少女達、どんなに辛く険しくとも全員揃えば叶わない願いは無い。
「5つの光に!」
「「「「「勇気を乗せて!」」」」」
「「「「「レインボーローズ・エクスプロージョン!」」」」」
彼女達の希望の力と未来の光を携えた羽は、どんな嵐にも屈しない。
青い薔薇を携えて愛する国と仲間の為に、妖精の彼女は立ち上がる。
「邪悪な力を包み込む、煌めく薔薇を咲かせましょう!」
「ミルキーローズ! メタルブリザード!」
王国を守る最強たる薔薇、その存在は決して散る事も枯れる事も無い。
人々の幸せを願う少女達、どんなに辛くても手を伸ばし続ける、その手が届くその時まで。
「「「悪いの悪いの、飛んで行け!」」」
「プリキュア! ラブサンシャイーン!」
「プリキュア! エスポワールシャワー!」
「プリキュア! ヒーリングプレアー!」
「「「フレーッシュ!」」」
愛と希望を祈る少女達、彼女達の周りは常に幸せに溢れている。
幸せを知らなかった少女は愛に包まれ幸せを知る。
「吹き荒れよ! 幸せの嵐! プリキュア! ハピネス・ハリケーン!」
愛と幸せを知った彼女は高らかに歌う、真っ赤な心に情熱を乗せて、幸せの歌を。
彼女達は競い咲く、大地に、海風に、陽の光に、そして月光に。
「「「「花よ! 咲き誇れ!」」」」
「「「「プリキュア! ハートキャッチ・オーケストラ!」」」」
彼女達は守る心の花を、その思いは砂漠をも花畑に変える。
彼女達は世界と音楽を愛している、どんな小さな音でも彼女達には立派な音楽。
「「駆けめぐれ! トーンのリング!」」
「「プリキュア! ミュージックロンド!」」
彼女達は響き奏でる、時に荒ぶり、時にたおやかに、爪弾かれた幸せの組曲は、まだ始まったばかり。
私達の思いと世界の希望を乗せて放たれた一条の光、私は負けない、何があっても絶対に負けない。
ブラックホールが悪意の塊を吐きだす、ぶつかり合う希望と悪意、力が互角なら思いと心で押し通す!
「全ての光を飲み込むこのブラックホールの前では無力」
圧し掛かる邪悪な意思、足を踏ん張り気合を入れ直す、勝負は……勝負はここからだ!
「何があっても私達の心は暗闇に飲み込まれたりしない!」
ブラックが咆哮する、闇の力に対抗するように。
「どんな時も私達の心の光は明日を目指して輝くの!」
ブルームが叫ぶ、自分が信じる明日の為に。
「沢山の素敵な出会いが! 大きな成長と! 新しい旅立ちに繋がっていく!」
ドリームが猛る、自分の夢を力に変えて。
「私達は決して立ち止まらない! たとえ大きな困難にぶつかっても!」
ピーチは吼える、困難を打ち破る強い意志で。
「大好きなみんなと歩みたい、光輝く未来は絶対に手放しません!」
ブロッサムが、良く通る声で未来を語る。
「くだらん! たとえそれが叶ったとしても、お前達はもうバラバラなんだぞ、あの鬼の様に」
ブラックホールが私達の心を浸食しようとする、だが、誰の心も挫けない。
「ハミィ達妖精と私達は、お互いを思いやる心で繋がっているの! もちろん八雲さんとも!」
リズムが静かに怒る、怒りの全てを声に乗せて、ただひたすらに声を張る。
「絶対負けない! 八雲兄の為にも! 何があったって私達は真っ直ぐ、自分達の明日へと進むんだから!」
私は爪弾く、自分の心を、荒ぶる思いを希望に変えて、次会う時に胸を張れるように、自分の全てを出し切って見せる。
均衡が崩れたその時、世界は美しく光り輝いた。
ゆっくりと太陽が昇る、朝日にとける様に消えてしまったハミィ達、私達は泣いた、咽び泣く者、静かに涙を流す者、号泣する者、歯を食いしばり涙を流す者、私は……幼子の様に泣いた。
お読み頂きありがとうございます。
次回は来週末の更新予定となります、宜しければお付き合い頂ければ幸いです。
なんか、こんな展開ですみません、悲劇には成りません、させません。
私はハッピーエンドが好物です。
では、次回。
プリキュアオールスターズ 虹色の花束
第22節 奏の
よろしくお願いします。