スイートプリキュア♪ 鬼人の組曲   作:水無月 双葉(失語症)

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現れたネガトーン

「「奏!」ちゃん!」

 

 響ちゃんと俺が絶叫するがセイレーンも動き出す。

 

「あんたもよ!」

 

 何とかバリトンを掻い潜るがすかさずファルセットが立ちはだかる、セイレーンが跳躍したのが視界の隅に入る心臓が早鐘を打ち叫ぶ。

 

「「響!」ちゃん!!!」

 

 俺と奏ちゃんの声がハモッたがバスドラが奏ちゃんの後ろで腕を振り上げる。

 

「奏ちゃん! 避けろぉぉぉぉ!」

 

 響ちゃんはセイレーンに胸を突かれ、奏ちゃんはバスドラに背中を突かれるのを見た瞬間俺の中で何かが弾け、飛び後ろ回し蹴りでバリトンを蹴り飛ばしその反動に更に回転を加えファルセットに裏拳叩き込んで吹き飛ばす。

 

 だが、視界に入って来たのは二人を包む込む光とその後に吹き飛ばされるセイレーンとバスドラだった、それを見た俺は響ちゃんに駆けよる。

 

 響ちゃんと奏ちゃんはお互いを確認しあうと。

 

「「何?」」

 

 と互い見つめ合う、バスドラは茫然と座り込み、俺に攻撃された二人も打たれた場所を抑えその光景に見入っていた、吹き飛ばされたセイレーンは体勢を崩したまま、呟く。

 

「どうして? 何故奪えない?」

 

「なんでかニャ……もしかしてこの二人、特別だったりするのかニャ?」

 

 訳が分らない響ちゃんと奏ちゃんは困惑したまま、奏ちゃんが響ちゃんに近づき。

 

「何今の?」

 

 奏ちゃんの呟くような問いに、響ちゃんは両の手を腰まで上げ手を外に向け。

 

「さぁ?」

 

 と、訳が分らないと言った答えをする、その時にハミィとセイレーン何かに気が付いて声を上げる。

 

「ニャ!」

 

「ハッ!」

 

 二人の見つめる先を見ると奏ちゃんの持っているレコードのやや上の部分にピンク色の丸い眼のついた音符の様な物が見て取れた。

 

「「音符見っけ!」」

 

 二人の台詞はきれいにハモッたがセイレーンは気にいらないのか全身の毛を逆立てて怒鳴る。

 

「真似するな!」

 

 だがハミィはそんなセイレーンの言葉に耳は貸さずに奏ちゃんの持つレコードに走り寄っていく、それを見たセイレーンは。

 

「させるか! いでよ! ネガト──ン!!」

 

 セイレーンが叫ぶと全身から黒いリング状の赤い禍々しいオーラをまとった物を打ち出した。

 

 その黒い光の輪が奏ちゃんの持っているレコードを包むと音符の丸かった目がつり上がり禍々しい赤色に代わる、それに合わせるかのように奏ちゃんの持っているレコードも赤黒いオーラに包まれその手からスルリと逃げ出す。

 

「え? うわっ」

 

 奏ちゃんは小さく叫ぶと飛んで言ったレコードに手を伸ばすが間に合わなかった。

 

 レコードに付いた赤黒い音符から同じく禍々しい鳥の様な物が飛び出しレコードを包み込み巨大な黒い光の渦をまき散らしレコードを化け物、ネガトーンに変えてしまった。

 

「ネガトーン!!」

 

 ネガトーンなったレコードが叫びを上げ、奏ちゃんは泣きそうな顔で絶叫する。

 

「やめて! そのレコードは!」

 

 叫ぶ奏ちゃんを不安そうに見つめる響ちゃんは「奏……」と呟く、

 

「二人ともあのレコードは一体……?」

 

 俺のその問いに響ちゃんは一瞬躊躇したが答えてくれた。

 

「あれは…………あのレコードは…………私たち二人の思い出が詰まった大切なレコードよ……」

 

 その答えに奏ちゃんは体を震わせると「響……」と小さく呟き響ちゃんも見つめた、奏ちゃんの方に振り返った響ちゃんは不安そうに「奏」と呟く。

 

 その時ハミィと俺には二人の中で息づく新たな力を感じていた。

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