スイートプリキュア♪ 鬼人の組曲   作:水無月 双葉(失語症)

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第9話 奇妙な時間
同居?同棲?


 気が重い、ひたすら重い、溜め息も出てしまう、隣を歩く奏に申し訳が無い、レポーターに続き今回も奏を巻き込んでしまった。

 

「ごめんね奏、幼稚園の歌の発表会につき合わせちゃって……」

 

 また溜め息が出る。

 

「ううん、平気」

 

 奏の声が弾んでいて思わず目を向けると奏はご機嫌だった。

 

「良いお天気でよかったね」

 

「はい、王子先輩」

 

 ピアノの演奏を頼まれている王子先輩が、誰に対しては無く言った言葉に奏がすかさず返事をする。

 

 物凄く嬉しそうだけど、最近の奏は前ほど騒がないなぁ……

 

「奏さぁ……」

 

「ん? 何? 響?」

 

 私は上手い言葉が見つからずに思わず視線を彷徨わせると、奏が不思議そうに小首を傾げる。

 

「ううん、何でも無い」

 

 私が誤魔化す様に愛想笑いをすると、奏は少し眉を寄せ何かを考える様に顎に指を添えた。

 

「そう? 変な響」

 

 私の前をフワフワと歩く奏を見ながら幼稚園の前にるくと、奏は幼稚園の前で足が止まり眉を寄せ少し困った様子を見せる。

 

「どうしたの、奏」

 

「え? 早く入りましょう」

 

 明らかに誤魔化し笑いをすると、奏は周りを気にしながら幼稚園に入って行く、そんな姿を私は首を傾げ悩んだが理由は思い当たらなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 一日音符を集めていた帰り道に何となく裏道を覗くと、隅でうずくまっている猫を見つける。

 

 慌てて近づくと気絶している猫はセイレーンだった、注意深く近づくとセイレーンは足から血を流しており擦り傷等もあった、流石に放っておく訳にはいかず着ていた上着で包み家に連れて帰る事にする。

 

 ソファーにセイレーンを寝かせ、治療の準備を終え治療を始めようとするとセイレーンは身じろぎ、目を覚ます。

 

「目が覚めたか、セイレーン。自分の状況は分かるか?」

 

「アンタは!」

 

 俺からジャンプして離れたが、セイレーンは体の痛みに襲われ崩れ落ちてしまう。

 

「怪我しているんだ、今は我慢して大人しくしてくれ、じゃないと治療が出来ない」

 

 うずくまるセイレーンを優しく抱きかかえてソファーに運ぶと、救急箱を引きよせ中身を確認しながら話す。

 

「セイレーン、すまないが人の姿に成ってくれ、その方が治療がしやすい」

 

 セイレーンは何も言わずに人の姿に成った、俺は治療を始める前にセイレーンの膝に、奏ちゃんが何時も使っている膝掛けを掛けてからセイレーンの前にしゃがむ。

 

「少し沁みるけど我慢な」

 

 セイレーンは顔を歪ませながら傷の消毒を受ける、この傷だかなり沁みるのだろう、セイレーンは小さく声を上げ歯を食いしばっていた。

 

 患部に保護シートを張りずれない様に包帯を丁寧に巻いていく。

 

「そう言えば……こんな事が前にあったな、あの時は奏ちゃんが響ちゃんの足に包帯を巻いていたっけ……」

 

「やかましいわ、そんな事忘れたわ」

 

 セイレーンを伺うと、少し遠くを見つめ懐かしみながらも寂しそうな表情をしていた。

 

 赤く腫れ上がった患部に湿布を貼り包帯をきつめに巻く出す、包帯を巻いている時にセイレーンが話しかけてきた。

 

「なんで、助けるのよ……私達は敵同士でしょう……」

 

「怪我しているやつ放っておける訳ないだろう……それに前話しただろう、困ったら助けるから遠慮無く言えって」

 

 セイレーンが体が大きく震える、小さく息を吐く音が聞こえ。

 

「お人好し……馬鹿じゃないの……」

 

「馬鹿で良いよ、おっし終わった。さて、セイレーン、食事にしよう」

 

 救急箱を片づけながら話すと、セイレーンは戸惑った様な声を上げる。

 

「本当に馬鹿ねアンタ、私はアンタ達が嫌う不幸の象徴、黒猫よ」

 

「うるさいよ、このアンコ猫はまったく。それにね、その怪我で動ける訳ないだろう、まともに動けるようになるまでここに居ろ」

 

「やっかましいわ! 誰がアンコよ!」

 

 猫の姿なら、きっと全身の毛を逆立てているのが想像できるほどの声で怒鳴るセイレーン。

 

「セイレーンみたいな黒猫は、アンコ猫と言われて幸運を招くって言われてるの、どっかの地方じゃ病気が治るって迷信だってあるんだぜ、知らないのか? 餡子の材料は小豆で祝いの席で出される縁起物、だ・が・ら・セイレーン達黒猫は不幸の象徴じゃない福猫だよ」

 

 騒いでいるセイレーンに対して一方的に話をし、反論される前に手をヒラヒラとさせてキッチンの入る。味をしみ込ませる為に前日に作っておいたものを温めながら副菜を簡単に作りテーブルに並べ、セイレーンを呼ぶと不貞腐れながらも食卓につくセイレーン。

 

「前も思ったけど、すごいのねアンタの食事……」

 

 食事を前にして少し驚くセイレーンに少し微笑ましく思う。

 

「「いただきます」」

 

 俺と「いただきます」がハモる、セイレーンもこう言う挨拶をするんだなと感心をしながら食事に手を伸ばす。

 

「おいしい……」

 

 セイレーンはひと口、豚の角煮を食べて呟く。

 

「口に合って良かったよ、しっかり食べないと怪我治らないからな」

 

 せっかく二人で食べて居るのに静かな食卓。しょうがないと言えばしょうがないのだが少し残念、こんな時に、響ちゃんと奏ちゃんだったらどうするのかな。

 

 結局あまり会話せず終わってしまい食後のお茶を出すと、セイレーンは一生懸命冷ましながら飲んでおり、気が付かなかったのを申し訳なく思ってしまった。

 

「セイレーン、ちょっと来てくれ」

 

 セイレーンが飲み終わったのを見計らい呼ぶと、溜め息をつきながらついてくる、ゲストルームの一室に二人して入るとセイレーンに向かって話す。

 

「怪我が治るまでこの部屋を好きに使ってくれ、ベットの上のウェアは響ちゃんがよく使っている物だが、茜色の我慢して使ってほしい、直ぐにセイレーン用のを買って来るから、今だけは敵味方ではなく怪我の回復だけを考えてくれ、俺はリビングに居るから何かあったら遠慮なく言ってほしい」

 

 セイレーンが顔を合わせようとしなかったので諦めて部屋から出て行く、セイレーンは何も言わずに部屋に残った。

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