スイートプリキュア♪ 鬼人の組曲   作:水無月 双葉(失語症)

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お久しぶりです、こんにちはです。
失語症の為で入院はしましたが、言葉も漢字もまともに出来ません。
病気前の書いた物を出します、直して無い物ですが、申し訳ない。
少しずつ出します、よろしくお願いします。


歌姫の歌

 朝、セイレーンを呼ぶといつもの姿でリビングに入って来る。

 

「セイレーン、おはよう。何だ、キリノじゃないんだ?」

 

「この間は特別、二人の前でこの姿で出られる訳ないでしょう……おはよう」

 

 挨拶だけ小さく呟いたセイレーンは、席に座ると俺に合わす様にやっぱり小さい声で「いただきます」を言ってから食べ出す。

 

「響ちゃんも奏ちゃんも歌の話は感心していたよ、流石に歌姫名乗ってる事はあるな」

 

 漬物を箸で掴みながらセイレーンに話すと、セイレーンは呆れた様に鼻で笑う。

 

「私はマイナーランドの歌姫よ。あの程度の話なんてどうって事ないわ、でも、あの二人単純なのね、ハミィといい勝負よ」

 

 言い終わると大きな口で鮭の塩焼きを頬張るセイレーン、味を確認して少し嬉しそうに頷いている。

 

「でも、お前地雷踏んだからな、注意しろよ」

 

「何よ、地雷って、そんな物を踏んだ記憶は無いわ」

 

 みそ汁と格闘をしていたセイレーンが答え、熱かったのか慌てて水に口を付けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 午後になりセイレーンの傷を確認するとほぼ治っており、動くのに支障は無いらしい。

 

「世話になったわヤクモ、もうこれで敵同士ね」

 

 セイレーンの顔は少し寂しそうであったが、指摘はしないでおく。

 

「セイレーン、帰る前にちょっと待って」

 

 俺はキッチンに入ると、飾棚の奥にしまってあった瓶を取り出しセイレーンに渡す。

 

「音符じゃない、どういうつもり」

 

 睨みつけて来るセイレーンに対して、大げさに肩をすくめて見せる。

 

「問題です、数日間リーダーが戻ってきませんでした、しかし戻って来たリーダーは何も持って帰ってきませんでした。と、戻って来たリーダーは音符を集めて帰ってきました。どっちが良いでしょう」

 

「フン、お礼は不幸のメロディで返してあげる」

 

 俺の大げさなもの言いに、鼻で笑いながら言い返すセイレーン。

 

「いいや、俺達が全て取り返して、幸せのメロディを響かせるね」

 

 数秒睨みあい、どちらからともなく声を上げて笑いだす、その直後けたたましくなるチャイムにセイレーンが驚くが、俺は思ったより来るのが遅かったな、と思いつつセイレーンに目線を向けた。

 

「セイレーン、キリノになっておいてくれ、今、朝話しておいた地雷だ」

 

 眉を寄せながらキリノに変わるのを確認し、インターフォンを見ると来ていたのは案の定響ちゃんと奏ちゃんだった、玄関を開け二人を入れると直ぐにリビングに向かいキリノの手を取る。

 

「キリノ良かった、包帯取れたんだね。悪いんだけど今から一緒に幼稚園に行こう」

 

 すごい勢いで迫る響ちゃんに、キリノはたじろいで居ると奏ちゃんも迫ってくる。

 

「お願いキリノさん、私達と幼稚園に行って子供達に歌を教えて欲しいの」

 

 奏ちゃんも手を取る、逃がす気は無い様だ。

 

「私、もう帰るから少しだけよ」

 

 キリノ(セイレーン)は響ちゃん達の勢いに負け承諾をするのを見て、俺は笑い出すのを抑えると、キリノ(セイレーン)が恨みがましい目線を向けて来た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「君がキリノさんだね、今日はすまないね、木野君もありがとう」

 

 北条先生が、いつもの調子で挨拶して来てキリノは少し引いていた。

 

 練習が集まるまで一苦労あったが、いざ始まると合唱はバラバラだが声だけは良く出ていた。キリノはつまらなそうに教室の壁に寄り掛かり、園児達の演奏に耳を傾ける。

 

「元気はあるけど、コレは大変そうだな」

 

「でしょう、これでもかなり良くなったんだよ、キリノのおかげで」

 

 響ちゃんは頭を掻きながらぼやく、そんな中、後ろから歌声が聞こえだす。

 

 振り向いた俺達が見たのはピアノに合わせ歌っているキリノであった。子供達に合わせる様に歌いつつ、いつの間にか子供達の声を一つにまとめ上げ、そのまま歌いきる。

 

「すごい……」

 

「きれい……」

 

 感嘆の声を上げる響ちゃんと奏ちゃん、俺はキリノが歌っている事が嬉しく言葉が出なかった、そんな中ハミィだけは何か言いたげにキリノを見上げていた。

 

「みんな分かった、今みたいに歌いなさい」

 

 言い方は冷たいがキリノの目は優しく俺は色々と考えさせられる、キリノは何も言わずにそのまま教室を出て行ってしまう、追おうとした響ちゃんとハミィを手で制し俺が教室を出る。

 

「キリノ」

 

 俺の呼びかけに振り向いたキリノは、面倒くさそうな顔をしていた。

 

「なによ」

 

「ありがとうな」

 

 見つめ合ったまま少しの時間が過ぎる。

 

「別に……ただの気まぐれ……そうね、食事の礼って、言っておくわ……」

 

 キリノが自嘲気味に笑う、キリノいや、セイレーンの胸中は分からない……でも。

 

「辛かったら、何時でも帰ってこい、万が一があったら俺の所に来い、あの部屋はお前の為だけに開けておく、約束するよ……セイレーン…………」

 

「やかましいわ、お人好し……じゃあね」

 

 歩いて行く背中を見送る、セイレーンは一度もこちらを振り向かずに行ってしまった。




ここすきをありがとうございます、嬉しいです。
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