スイートプリキュア♪ 鬼人の組曲   作:水無月 双葉(失語症)

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お久しぶりです。
相変わらず言葉も会話は難しです。
今回も病気の前に出したものです、お読み頂いたら嬉しくて思います。
まだ、文章はありますが確認でに時間が掛かります、付き合って下さって頂ければ幸せ思います。


素直になれなくて

 発表会の日、俺は教室には入らず外の壁に寄り掛かり始まるのを待っている。

 

「やっぱり来たな」

 

「やっかましいわ」

 

 気配の方を向くと、セイレーンはキリノの姿で物陰から出て来て俺の側に歩いて来た。

 

「アンタは中に入らなの」

 

「どうせなら、お前と聞きたかったからな」

 

「来なかったらどうしたのよ、このお人好し」

 

 肩をすくめ溜め息を漏らすキリノ、俺は思わず笑いかける。

 

「でも、セイ……キリノは来てくれた。俺にとってはそれだけで嬉しいよ」

 

 キリノは一度俺を睨みつけると、何も言わずに中を伺いだす。始まる発表会、子供達の元気のいい歌声が外にまで聞こえる。

 

「ふふ、まあまあね、聞けるようになったじゃない」

 

 キリノは子供たちの歌を聞きながら嬉しそうに鼻歌を歌いだす、やはり彼女は優しいのでは無いかと思うが、俺はそれを確認する術を持ち合わせて無かったし、聞く事も憚られた。

 

「キリノと歌ってから劇的に変わったそうだよ、お前のおかげだ」

 

 キリノは俺に一瞥をくれるとまた中を覗く、その瞳は優しく慈しみに満ちており、俺は嬉しくも悲しかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 発表会が終わり園児と親達が出てくる。帰るタイムミングを逃した俺とキリノは、物陰に隠れキリノはセイレーンの姿に戻った。

 

 園児と楽しそうに話をしていた響ちゃん達、その後何故か王子君が園児を引きつれて教室に戻る。そんな中園児二人に何かを渡される響ちゃんと奏ちゃん、その手の中の物を見て俺とセイレーンは同時に呟く。

 

「「音符……」」

 

 セイレーンは二人を凝視したまま動こうとしない。

 

「行くのか?」

 

「子供達に免じて譲ってあげる、感謝しなさい」

 

 やはり基本的に優しいんだセイレーンは、では、何故こうなってしまったのだろうか、色んな事を考えていた俺はセイレーンの声で我に帰る。

 

「バスドラ……あの馬鹿」

 

 目を向けると園児から貰った小さなぬいぐるみを、バスドラはネガトーンに変えてしまっていた。

 

「ネガトーンが二体か……どうするセイレーン、俺を止めるか?」

 

 俺の言葉に対してセイレーンは目つきが鋭くなる、しかし、直ぐに目を伏せると重い雰囲気を醸し出す。

 

「バスドラが勝手にやった事よ、それに、私には関係ないわ……」

 

 セイレーンは重々しく言葉を紡ぐと、またキリノの姿に変わる。

 

「それに今の私は、アンタの家で厄介になった、ただのキリノよ、好きにしなさい」

 

「ありがとうなセイレーン、お前やっぱり良い女だな」

 

 思わず出た俺の言葉に、セイレーンは顔を赤くしそっぽを向く。

 

「やかまわしいわ、早く行きなさいよ」

 

 照れているセイレーンにうなずくと、変身して飛び出す。

 

 視界に入るのは捕まっている二人。俺は全速力で接近するとリズムを捕えているネガトーンに対し蹴りを入れ強引にリズムを引きずり出し、片手で抱きかかえ地面に下ろす。

 

「獣鬼!」

 

「烈火弾!」

 

 リズムに答える暇も無く片手で音撃棒を振るいメロディも救出したのだが、メロディはバランスを崩し尻餅をついてしまう。ネガトーンはその隙を逃さずメロディに巨大な拳を振り下ろしてきた。

 

 メロディにネガトーンの拳が入る直前に俺は間に強引に入り込みと、ネガトーンの拳に自分の拳を合わせ迎撃する、すかさず次の攻撃を仕掛けてくるネガトーン、拳同士のぶつかる激しい音と衝撃が辺りに広がる。

 

「獣鬼!」

 

「うおおおおぉ!」

 

 メロディの声を背中に受けラッシュを速めながら一歩一歩前に進みネガトーンを圧倒しだす、渾身の力を込めた拳がネガトーンを吹き飛ばす。

 

 座り込んでいたメロディに手を貸して立たせると、メロディは何故か涙を溢れさせていた。

 

「大丈夫かメロディ?」

 

 どこかが痛むのかと目視をするが特にダメージは感じられず、見えない所を痛めたのだと心配していると。

 

「大丈夫、何でもないよ、ありがとう獣鬼」

 

 メロディは涙を拳で拭いぎこちない笑みを浮かべる。

 

「ありがとう獣鬼、来てくれて嬉しい」

 

 合流したリズムも声を弾ませる姿に軽い違和感を覚えるが、ネガトーンは持ってくれずこちらに攻撃を仕掛けてきた。

 

 俺が一体をメロディとリズムが二人で一体を相手する。お互いが繰り広がる攻防戦、最初に均衡を崩したのはメロディとリズム。二人が得意としているコンビネーションでネガトーンを吹き飛ばす、ネガトーンが飛んで行く仲間に気がそれた一瞬に音撃棒を一気火勢の形の応用でネガトーンの腹部に叩き込み吹き飛ばすと、二体はもんどり打って一塊りになる。

 

「メロディ! リズム!」

 

「「オーケー、獣鬼!」」

 

「奏でましょう、奇跡のメロディ! ミラクルベルティエ!」

 

「おいで! ミリー!」

 

「刻みましょう、大いなるリズム! ファンタスティックベルティエ!」

 

「おいで! ファリー!」

 

「「翔けめぐれ、トーンのリング! プリキュア! ミュージックロンド!」」

 

「「三拍子! 1、2、3!」」

 

「「フィナーレ!」」

 

 光に包まれるネガトーンを確認しながらセイレーンに目を向けると、彼女は何とも言えない表情を浮かべ去って行く。その姿に俺は、セイレーンが泣いているように見えた。




お読みお頂きありがとうございます。
当時書いた後書きです、消そうと思いましたがそのままの状況にしました。

 八雲とセイレーンの繋がりを深めるお話しと成りました、セイレーンが轢かれる時に王子先輩が遭遇せず、間一髪で躱したが微妙に怪我をしたセイレーンを助けてみました。
 筆者なりにセイレーンの歌に対する考え方、葛藤が表現出ていれば嬉しく思います。
では、次回。

奇妙な時間 if 寂しい夜に

よろしくお願いします。
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