スイートプリキュア♪ 鬼人の組曲   作:水無月 双葉(失語症)

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皆様お久しぶりです。
今回も病気の前に出したものです。
お読み頂いたら嬉しくて思います。


第10話 黒い女神
響と奏の音楽会


 あの戦いの後の荒んだ心はもう無い。毎日が楽しい、奏が居てハミィとフェアリートーンが居て、そして……八雲兄も帰って来てくれた。

 

 この間の戦いでは助けに来てくれた獣鬼の姿を見て、嬉しさのあまり思わず涙ぐんで心配をさせたみたい……機会を見て話をしないとね。

 

 奏とのピアノの連弾も楽しいし、奏の方も最近はますますカップケーキ作りに気合が入っている。音符集めも順調で言う事は無い、そんな中での帰り道小腹の空いた私は奏と一緒にミートデリカモーモーでホクホクじゃがの特製コロッケを買っている時に、違和感を感じて奏に声をかける。

 

「なんか、何時にも増して歌ったり演奏したりしている人多くない?」

 

「そうだね、何かあるのかな……」

 

「知らないのかい? あんた達、コレさ」

 

 私達の疑問に答えてくれたのはモーモーのおばちゃん。おばちゃんは店内に張ってあるポスターに顔ごと視線を動かした。

 

「明日、時計塔広場で『音楽自慢大会』が開かれんだよ」

 

「音楽自慢大会ってさ」

 

 喋りながら奏と視線を合わす。

 

「歌とか楽器の演奏を披露する会だよね」

 

 奏と話しながら、自分が不合格と合格の両方のイメージを浮かべ思わず笑いそうになる。

 

「加音町でやるんだ……こんなの何時から貼られていたっけ……?」

 

 ポスターも今初めて見たし、何よりパパから何も聞いて無い、パパは立場上そう言う情報は早いし話せる内容はみんな教えてくれる、疑問がちょっと湧いてくる。

 

「昨日からさ」

 

「えっ、この大会ってそんなに行き成りやるの?」

 

 私はおばちゃんの話に驚く。確かにこんなに準備期間が無いならパパも知らなくてもしょうがないか。

 

「加音町の住民たる者、音楽大会と聞いてじっとして居られないよ、みんな大会の為に練習さ」

 

 おばちゃんは脇に置いてあるヴァイオリンを手に取りながら、本当に嬉しそうに話す。

 

「ねえ、響、私達もピアノで出場してみない?」

 

「良いよ」

 

 奏のお誘い、当然快諾。

 

「やっぱ、ダメかぁ……えっ?」

 

 ちょっと驚いている奏が可愛い。

 

「奏とピアノ弾くの楽しいし、たまにはね」

 

 ウインクしながら奏に伝える、少し前の私なら取り付く島も無く断っているから驚くのも無理無いか。

 

「やったー」

 

 抱きついてきた奏を受け止める、少し細くて華奢な身体、ん……奏、育った? 

 

「ちょっ、奏ったら大げさだなぁ」

 

 色んな思いを意識の奥に追いやり、喜んでいる奏を見て私も嬉しくなる、こうなったら絶対合格貰わなきゃ、ここで決めなきゃ女がすたる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 一度家に帰り、準備をして響の家に向かっていると、見慣れた背中を見つけ声をかける。

 

「こんにちは八雲さん、買い物帰りですか」

 

 私の声で振りむいた八雲さんは、いつもの安心させてくれる笑顔を向けてくれた。

 

「こんにちは奏ちゃん、うん、買い物帰りだよ。奏ちゃんはどうしたのこんな所で」

 

 そう言って八雲さんは手に持った買い物袋を軽く持ち上げる。

 

「私は明日響と一緒に出る音楽自慢大会の練習に、響の家に行く途中です」

 

 私の話を聞いて感心する八雲さん、でも、何かを考えだしたみたい。

 

「そんな大会あったんだ」

 

「昨日、決まったみたいですよ」

 

 私の答えに驚く八雲さん、そうだよね、私も驚いているもの。

 

「絶対合格しますから、八雲さんも良かったら時計塔広場に来てください」

 

「大会楽しんでね、時間が上手く合えば是非行かせて貰うよ」

 

 八雲さんが話しながら何かに気が付いたみたいで私に近づいて顔に手を伸ばしてくる、八雲さんの銀色の瞳に見られ胸が苦しくなって呼吸が浅くなる、どうしよう頬が熱い。

 

 八雲さんの手が私の髪の毛に触れる。あの日、八雲さんが私の髪の毛にキスをしてくれた事を思い出して恥ずかしくて思わず目を瞑る。

 

「桜の花ももう、終わるね……さっき髪飾りみたいだったけれど流石にね」

 

 八雲さんの言葉に恐る恐る目を開けると、摘ままれている一輪の桜、思わず手を出して貰ってしまう。

 

「八雲さんは大会に出ないんですか? あの大きい太鼓を叩いている時すごかったですよ」

 

 恥ずかしさを誤魔化す為に思わず早口で尋ねる。

 

「そう、ありがとう。でも、俺のは音撃の為だし、人に聴いて貰うって訳じゃないからね」

 

「また、練習にお邪魔しても良いですか」

 

 八雲さんの太鼓もっと聴いてみたいな、思わず上目遣いで見てしまう。

 

「良いよ、何時でもおいで待ってるからね」

 

「ありがとう八雲さん、必ず行きますね」




お読み頂いたありがとうございます。
コメントやここすきをありがとうです。
まともな言葉も出来ません、皆様に心より感謝申し上げます。
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